●前回のおさらい●
教室に入室後、比較的、平和的な状態ではあったが。
何故か、教室で紅茶を振舞っているだけの真上さんを見る女子クラスメイトの眼が冷たい。
その理由は言うまでもなく。
今まで自分達がチヤホヤされていのに、彼女の登場で世界が一変してしまったからだ。
早い話、真上さんの気遣いある天然魔性が気にくわないからだ。
それを見兼ねた倉津君は、なんとかしようと、真上さんを連れ出そうと考えるが。
それをしてしまうと、今度は男子から自分が顰蹙を買ってしまう可能性がある。
さぁ、どうする倉津君!!
「伊藤。そんなに心配しなくても、これは、そこまで深く考える様な話じゃねぇよ」
「えっ?なんで?」
「ふん、そんなもん言うまでもねぇよ。大体なぁ、男共なんぞに容赦はイラネェの」
「あっ」
「それにな。真上さんは、元々俺の知り合いだからな。誰にも文句なんぞ言わせねぇよ」
「あっ、そうか!!なるほど、その手があったね」
「そういうこった。まぁ、見てろって」
俺は、真上さんの性格を加味した上で、ある言葉を発する。
「オイ、テメェ等、いつまでノウノウと遊んでやがんだ?人に散々糞ダリィ事を押し付けといて、テメェ等は女子とお喋りですか?最近、俺が大人しくしてるからって、あんま舐めてんじゃねぇぞ」
「はっ!!……ごっ、ごめん」
ハイ、一撃でクラスメイトの男子は撃破。
だってコイツ等、俺がヤクザの組長の息子だって事をよく知ってるんだも~~ん。
それ以前に、俺、不良だも~~~ん。
……って、これは自分で言っててダメ過ぎるな。
「おぉ、わかったんなら、サッサと続きをやれ。それに職人さん達もよぉ。アンタ等も金貰って、此処に来てんだろ?なら、早く仕事しろよな。此処はキャバクラじゃねぇんだぞ」
「おい、餓鬼。あんま知った風な口聞いてっと、ブッ殺すぞ。大人をあんま舐めんなよ」
「テメェこそ、あんま俺を舐めんなよ。テメェのせいで、向井奈緒が出演依頼をキャンセルしても良いんだな?テメェ等が仕事してねぇんだから、こりゃあ契約違反じゃねぇよな。賠償金タップリ払って死ね」
TV局に依頼したの奈緒さんだからな。
だから、奈緒さんの名前が一番効果的なんですな。
「はぁ?なに言ってやがんだオマエ?向井奈緒が、オマエなんかの話を聞くかよ」
「オモシレェ、なら、試してみっか?」
もしOKしたら、マジで死ぬぞ。
「おぉ、やれるもんなら、やってみろよクソガキ」
ハイ、死んだぁ。
賠償金払えずに、町の路地で野垂れ死ね。
「ホントに良いんだな?」
「あぁ、ゴチャゴチャ言ってねぇで、さっさとやれよ」
「おぅ、先に言っとくがな。俺は、奈緒さんとは元バンド仲間だ。それでも構わねぇんだな。オマエ、マジで路頭に迷うぞ」
「かましてんじゃねぇよ、クソガキが」
「あっそ。んじゃま、直ぐに電話するわ」
「へっ?ちょ、マジか!!」
奈緒さんは仕事中だとは思うが、一応、電話してみっか。
まぁ此処で奈緒さんの手を借りるのは、正直どうかとは思うんだがな。
この悪い状況を打破するには、それが一番手っ取り早い方法なのは確かだしな。
ってな訳で、マジで奈緒さんに電話してみる。
『プルルルルル……ガチャ!!』
早ッ!!ワンコールだよ。
矢張り、何と言っても、愛の力は偉大なもんだな。
「もしもし、俺ッス」
『あれ、クラ?こんな時間にどうしたのよ?なんかあった?』
「いや、奈緒さん、非常に申し訳無いんッスけど、クレームっすよ」
『『クレーム?』……私、クラになんかクレーム付けられる様な事をしたっけ?』
まぁ、過去に……沢山された気はしますね。
でも、それは奈緒さんの可愛い一面でしかないので、実際はクレームには成らない。
なので、奈緒さんに対してのクレームなんぞは、この世には存在しないですぞ。
「あぁ、違うッス。クレームって言っても、直接、奈緒さんのせいじゃないんッスよ」
『うん?どういう事?』
「いや、あの、奈緒さんが入れてくれた大道具職人の中に、1人使えない奴が居るんッスよ」
『ふ~~ん。その人、なんて名前?」
「ちょっと待って下さいね。本人に代わります」
『うん、そうだね』
俺は受話器から耳を離し、職人に手渡す。
「ほらよ。向井奈緒本人だ」
「オイ……嘘だろ?」
「いや、マジだから。ほら、サッサと代われよ。本人からのご指名だぞ」
「チッ……どうせハッタリだろ。貸せよ」
「ほ~らよ」
職人は、俺から携帯を受け取ると、奈緒さんと話し出す。
そしたら、見る見る顔が蒼褪めていく。
どうやら、電話口の相手が奈緒さん本人だと気付いたらしい。
っで、そうなったら奈緒さんのこった、意地の悪い事を連続的に言うに決まってる。
……予想通り、職人は、数分後項垂れていた。
そして、俺に携帯を返してくる。
「オラ、ニィチャンよぉ。これでわかったんなら、サッサと働け」
「ぐっ!!」
っとまぁ、此処までは、まずは、こんな感じで上々だ。
何故なら、一旦、此処で蹴りが付いたから、此処で真上さんが介入してくる筈だからな。
真上さんは、変な所で、話の腰を折ったりはしないからな。
「えぇっと、倉津さん。どういう状況かは存じ上げませんが、そういう言い方は、あまり良くないのではないでしょうか」
来た!!
人のフォローをするのが自然な行為の真上さんなら、絶対に、そう言ってくれると思ったよ。
それに、この人は責任感も強い。
故に、この状況は、自分の生み出したものだと思い込んだ筈だ。
正に想像通り!!
「けど、コイツ等、遊んでバッカで、全然仕事してないじゃないッスか。そりゃあ、流石に頂けないでしょ」
「そうですね。一方向から見ると、倉津さんの言う通りなのかも知れません。ですが、人間には休憩する時間も必要ですよ。それにですね。最初にお茶にお誘いしたのは私ですから、責任は、全て私に有ると思うんです。責めるなら、私を責めて下さい」
ほらな。
この人は、こう言う生真面目な人なんだよ。
「真上さんを責めろたって、サボってたのは、コイツ等っしょ。自分の意思でサボってるんだから、全部自己責任ッスよ」
「あぁ、そうじゃないんです。お話が楽しくて、私が皆さんをお引き止めしただけなんです。ですから、皆さんに責任は有りませんよ。どうか、お許し下さい」
ふっふっふっふっふっふっ……
聞け……この無尽蔵に湧いてくる『他人を思いやる言葉』を!!
そして……自分の事しか考えていない腐った眼を見開いて活目しろ『彼女の菩薩力』を!!
……オマエ等、今、真上さんの言葉で、心の中が罪悪感で一杯だろ。
俺も、この罪悪感を幾度となく味わったがな。
この人は、本心でそんな事を言ってるから、自分に罪が有る場合、フォローされたら、された分だけ、ある意味地獄だろ。
この罪悪感は、そう簡単には消えないんだよ。
『葛藤』と言う名の地獄を味わえ。
これが、真上さんの一番怖いところだ。
「くっ、倉津君。ごめん、俺等、ちょっとサボり過ぎてたな。直ぐに作業を再開するから許してよ。それに王家さんは悪くないからな。俺等が悪いから」
「ケッ!!」
ほら、こんなにも簡単に、人は堕ちるもんなんだぞ。
この人の魅力ってのは、並みの餓鬼共が抵抗出来る程、柔な代物じゃねぇからな。
少しの間、罪悪感に縛られながらテキパキ仕事しとけ。
「なぁ、アンタ。もぅ良いだろ。俺等も、ちゃんとすっからよ。その子を責めてやんなよ」
ぷっ!!
奈緒さんの協力が有ったとは言え、大の大人まで堕ちやがったよ。
此処まで、アッサリ堕としちまうとはな。
『奈緒さん&真上さん恐るべし』の1言に尽きるな。
これにて男共の件は、一件落着だな。
まぁ、つってもだな。
これで男共の件が、一応、片が付いたとは言え、女子の方は、これじゃあ納得しないだろうな。
きっと今もクラスの女子達の頭の中じゃ『また更に、男に媚びやがって』とか『良い子ぶるなよな』程度にしか、真上さんの行動は認識されてない筈だからな。
まぁそうは言ってもだ。
真上さんが此処に訪れる事も、もう早々ないだろうし、これはこれで放置しても大丈夫だろ。
(↑果てしなく楽観視する馬鹿な俺)
「チッ、勝手にしろ。もう、俺の知ったこっちゃねぇよ」
では、チェリーズ(童貞)&ジェントルメンズ(紳士)
(↑間違い)
せめて君達だけでも、真上さんから受け取った、その気持ちをシッカリ抱いたまま、仕事に励んでくれ給え。
サラバだ。
俺は、それ以上口を開かず。
女子の件は諦めて、呈の良い逃亡を計った。
すると……
「倉津さん、待って下さい」
「倉津君」
っと、計った様にタイミング良く、真上さんと由佳が追い駆けて来た。
これは、中々願ってもないチャンスだ。
よしよし、上手く、こう言う構成になったのも何かの縁だ。
このまま3人で、コーヒーショップに道具一式借りに行くか。
どうせ真上さん、店の車で来てるだろうし……横浜まで車借りよ。
(↑真上さんが学校に来た時点で、実はこれが狙いだったって噂)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
真上さんの魔性に嵌ってしまった男性陣を一喝!!
そして、それにより、真上さんをこの場から連れ出す口実まで上手く作り上げた。
今回の倉津君は、中々にやりますね(笑)
それにしても真上さんは、本当に他人のせいにしない子ですね。
まるで全てが自分の責任で起こった事だと言わんばかりに、怒られている者達を庇う。
ホント、よく出来た子ですよ(笑)
さてさて、そんな中、真上さんの乗って来た車を借り。
由佳ちゃんの頼み事である荷物運びをする事に成るのですが……このまま何事もなく上手く行くのでしょうか?
それはまた、次回の講釈。
また良かったら、お気楽な感じで遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!