最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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151 不良さん 呆れられる

公開日時: 2021年7月7日(水) 00:21
更新日時: 2022年11月26日(土) 22:21
文字数:5,008

●前回までのあらすじ●


 追試の為に『勉強する』と言いつつ『テストを盗んで回避』しようとするアホ2人組。


それを聞いていた真面目な素直ちゃんは不機嫌に成って怒っていると。

そこに更に奈緒さんまで現れてしまう。

「えぇっと、ごめん。なんか、そんな空気じゃないみたいだね。……何かあったの?」

「なっ、なんもない、なんもない。なんもないで、奈緒ちゃん」

「カズ……嘘言わなくて良いからね。どう見ても、そんな雰囲気じゃないでしょ。何があったか正直に言いなさい」

「いや~~~、奈緒ちゃんには敵わんなぁ。実は、今なぁ、ちょっとテスト勉強してたんや」

「テスト勉強?なに?期末テストが終わった所なのに、まだ何かテストとかあるの?」

「いやいや、誠にミットモナイ話やねんけどなぁ。俺と、マコが追試やねん」

「あぁ、そう言う事ね。クラと、カズが追試を受けなきゃいけないから、それでアリスが勉強を見てると」

「まっ、まぁ、そんな感じやな」


山中は、現状をアヤフヤな言い方で誤魔化した。


いや……正確に言うと、庇ってくれたのと、自己防衛の為の最低限の言い訳だな。



「……っで、どうなの?追試、大丈夫そうなの?」

「まぁ、そうやなぁ。ハッキリとは言えんけど、今のとこ、微妙なラインやな」

「嘘吐き。全然出来てないくせに……」

「えっ?なに?全然ダメなの?」


ポソッと素直が発した言葉に、奈緒さんがキッチリ反応しちまったな。


それを見て、ヤバイと思った山中が、即座に反論する。



「なんでやな?そんな事ないって。そこそこイケてるって」

「どこがですか?さっき山中君、数学の問題、公式から間違えてたじゃないですか」

「うん?アリス、どういう事?」


ヤバイ。

これは本格的にヤバイ。

もし此処で、素直が真実を喋ったら、奈緒さん絶対怒るぞ。


頼む素直、バンドの為にも、この事は黙っててくれ……本当に頼む素直!!



「真琴君も、山中君も、勉強もせずに、ズルし様としてるんです」

「ズルねぇ。……ふ~~ん。それは、また興味深い話だね。……っで、この馬鹿2人は、一体なにをしでかすつもりなの?」

「向井さん、聞いて下さいよ!!この2人、勉強もせずに、夜中に学校に侵入してテストを盗もうとしてるんですよ」


……あぁ~~あっ、言っちまったよ。


まぁ素直の奴は、あの件に関して、かなり怒ってたみたいだったしなぁ。

奈緒さんに言ってしまっても、仕方はないがな。


感情に流されるのは、良くないぞ素直。



「はぁ……今時テスト泥棒とか、君達終わってるねぇ。不正までして点数取りたいんだ」

「違うッス、違うッス」

「あのねぇ、クラ、なにが違うの?アリスが、ここまで怒ってるって事は、君達は盗む事を前提にして、どうせ何も勉強をしてなかったんでしょ。そうじゃないの?違うんだったら反論しても良いよ」

「いやいやいや、そんな事ないって。マコはしてないけど、俺は、ちゃんとしとったて!!」


……オマエ、中々の勇者だな。

この奈緒さんに反論するなんざ、勇者過ぎんぞ。


あのなぁ、勇者・山中よ。

この魔王・奈緒さんには、絶対、反論しちゃいけないラスボス的存在なんだぞ。

それを、なんの武装(テスト勉強の実績)も無しに突っ込んで行くなんぞ、無謀の極致じゃん。


黙っていれば、傷も浅くで済むものを……



「でも、山中君、解けなかった」

「だから、それは偶々やって……偶々、問題の相性が悪かっただけやって」

「なるほどね。……あのね、カズ。問題を解けなきゃ、テストって言うの点が取れないものなのよ。だから解けなかった時点で、それは、なにもしてないのと同じ。もしそれでも君が勉強をしていたって言うなら、それは『勉強をしたつもりになってる』だけ。……ハイ、何か反論はある?」

「……なんも反論出来へん」

「でしょうね。あぁもぉ、馬鹿過ぎる……」


だから言っただろ、ダメだって……



「ちょう待ちいな。まぁ確かに、俺も大概アホやけどやな。奈緒ちゃんの彼氏なんか、もっと酷いで」


あぁ、この勇者・山中、また行ったよ。

なんでそうやって裸のままで、何回もラスボスに突っ込むんだよ?


オマエ、ホント、いい加減にしないと、マジ殺られるぞ。



「カズ……人の事を言う暇が有るの?」

「うぅ……そやかて」

「ってかね、大体にして、クラが賢い訳ないじゃない。どうせ一桁ぐらいしか点数が取れないんでしょ」


ちょ!!なんで俺に飛び火?


そんなメラゾーマみたいな、メラはいりませんよ魔王・奈緒様!!



「……知っとったんかいな」

「クラは、自分の彼氏だよ。それぐらい知ってるよ。……それにしても、ホント、2人して情けないなぁ。ちょっとは仲居間さんを見習ったら」

「ちょ、奈緒さん……見習うって言っても、なんで奈緒さんが、アイツの点数なんか知ってるんッスか?」

「あれ?なんだ、クラ知らないんだ。仲居間さん、今、飛び級して高校で勉強してるんだよ」

「はぁ?アッ、アホだ、アイツは」


信じられねぇアホだ。

俺と山中なんぞ、中学の勉強で四苦八苦してるって言うのに、あの馬鹿は高校で勉強だと?


病気も此処まで来ると、誰にも止められねぇな。

つぅか、アイツ『義務教育中だから、早く帰って来た』って言ってなかったか?


騙しやがったな!!



「全然アホじゃないわよ。それ以前に、努力してる人を馬鹿にするなんて、どういう神経よ。アホは、君達2人でしょ」

「けど、奈緒さん、たった3ヶ月で飛び級なんて、アイツ、完全に病気ですよ」

「辞めて!!もぉいい加減、真琴君も、山中君も格好悪いよ!!お願いだから、もぉそんなミットモナイ事を言うのは辞めて!!自分達は何もしない癖に、頑張ってる人の悪口言うなんて、絶対に、おかしいですよ。格好悪いですよ」

「素直……」

「ホント、君達は最低だね。最低ランクだね。アリスの言う通り、今の君達は最高に格好悪い。そんなにまでして勉強をしたくないんだったら、もぉルパンでも気取って、テスト泥棒でも、何でもすれば良いじゃない。馬鹿にはお似合いだよ。ホラ、早くやりなよ。『ルパン・ザ・サード』ってね」


そこまで嫌味言わなくても……


そりゃあ、今更だけど、勉強して、少しでも解るなら、幾らでも勉強する。

けど、今の俺の現状じゃ、なにをどうやっても、実際はどうにもならない。


たった1日、必死に勉強した所でなんになる?


流石に、これは無理だろ奈緒さん?



「行こアリス。コイツ等、性根が腐ってるよ。もぉ金輪際、この件で関わる必要はなし」

「あっ、あの、でも、向井さん。ホントに、それで良いんですか?」

「良いも、悪いも、本人達がそうしたいんなら、そうすれば良いじゃない。私は、そんな甘ったれた人間を甘やかす程、甘い人間じゃないの」

「でっ、でも、向井さん。きっと2人共、反省してますよ。もぉ許してあげませんか?」

「ハァ、もぉ甘いなぁ、アリスは。……っで、どうするのよ、お2人さん?勉強するの?しないの?」


奈緒さんは、結局そう言ってくれる。

見捨てないのは解っていたが、上手く素直を立てる様に持って行くのは、実に、この人らしいやり方だな。


ヤッパ、なにするにも余裕が有る人は違うな。



「奈緒ちゃん、アリス。こんなロクでもない事を考えた俺に、まだ勉強教えてくれる気があるんか?」

「あっ、うん。ヤル気があるんだったら、協力しますよ」

「ハァ、しょうがないなぁ。アリスが許したんだから、私も教えてあげる。……っで、そっちの人は、どうするの?」


どうする?って言われてもなぁ。


この案件、奈緒さんの中では、どうにか出来るもんなのか?



「あっ、あの、俺……本気で勉強なんか、全然わかんないッスよ。そんなんでも良いんッスか?」

「全然解らないのかぁ。……どうする、アリス?君が決めて」

「あっ、あのっ……一生懸命やれば、先生だって認めてくれますよ。だから真琴君、頑張りましょうよ」

「素直」

「うん、じゃあ、決定ね……あぁけど、此処で勉強するのもなんだしなぁ。良かったら、みんな、ウチに来る?」

「えっ?でも、奈緒さん……」


奈緒さん家って言ったら、ご両親が居る所ですよ。


それって奈緒さんは、気持ち的に大丈夫なもんなんッスか?



「なに?……あぁクラ、心配しなくても大丈夫。今から行くのって、実家じゃないから」

「へっ?どういう事ッスか?」

「うん?私、1人暮らししてるの……知らなかった?」

「あっ、はい。全然、知りませんでした」

「そっかぁ。言ってなかったっけ」

「そうッスね」

「じゃあ、そう言う事」


奈緒さんがそう言うなら、この件は深入りはしないで置こう。


今はそんな事よりも……兎に角、勉強をするって決めたんだから、気持ちを、完全にそっちに向けないとな。



「あぁそうだ。この分じゃ練習も出来無いし、嶋田さんも呼ぼっか」

「へっ?なんで嶋田さんなんや?」

「なんでって聞かれても……嶋田さん、国立大学出だよ」

「はっ?はぁ~~~っ!!うそ~~~ん」


オイオイオイオイ、ウチの知り合い頭良過ぎだろ。


素直は、勿論、優等生で成績は良いし。

奈緒さんは、勉強に何かしろ自信を持ってる。

馬鹿秀は、飛び級する程の馬鹿。

その上、嶋田さんは国立大学出だと……どうなってんだよ?


なんのインテリ集団だよ!!

馬鹿なのは、俺と、山中だけじゃん!!



「あっ、そうだ。じゃあ、向井さん。僕、一回、家に帰って来て良いですか?少し取って来たいモノが有るんですけど」

「うん、流石……テストの点数の取り方わかってるね」

「あっ、はい」


テストの点の取り方?


なんじゃそれ?

素直が家に帰ったら、テストの点数が上がるのか?



「なっ、なっ、なんッスか、それ?どういう事ッスか?」

「もぉ、この馬鹿は……アリスが家に帰るって事は、傾向と対策でしょ」

「はぁ?」

「ハァ~~~~~~……、もぉ、なんで解らないかなぁ。だから、傾向と対策」


なんの傾向と対策?


イヤイヤ、勘違いすんなよ。

最低限だけどな、テストの傾向と対策だって事ぐらいは解ってんだぞ。


ただ素直が帰る理由がわかんねぇから『はぁ?』って言ったんだぞ。



「いやいや、奈緒さん。幾ら俺だって、最低限それぐらいは解ってるんッスよ」

「じゃあなに?なにに疑問を持ってる訳?」

「いや……素直の奴、なんで家に帰るんッスか?」

「あぁもぉ、この馬鹿……じゃあ聞くけどね。君達2人は、期末テストの問題を、今でも、ちゃんと持ってるの?」

「そんなもん、とっくにないで。答案用紙ごと紙飛行機になって、ドッカ飛んでったわ」

「俺も、終わった瞬間、紙飛行機にして、ゴミ箱に捨てたからねぇッス」


……って言うかな。

テスト終了後だな。

アホが集まって、紙飛行機を作って。

誰がゴミ箱に上手く入れられるかを、ジュースを賭けて競ったんだよな。


だからッスね。

その紙飛行機も、今頃は灰になっちまって、何所にも存在しないッスな。


あぁ因みにッスけど、その紙飛行機ゲームの優勝者は、アホのゼンだったかな。


アイツ、変な所だけ器用なんッスよね。


どうでも良いッスね。


すんません。



「ハァ、だったらアリスが、わざわざ家まで帰って、問題を取りに行ってくれる理由もわかるでしょ」

「へっ?」

「あぁ、そう言う事かいな」

「あぁ……やっぱりクラより、カズの方が、少し賢いのね。もぉ情けないなぁ」


なんで?


勉強しねぇから、全然意味がわからん。



「追試やから、前の問題をやって丸覚えすんねやろ」

「あっ、頭痛くなってきた。……アリス、悪いけど。この馬鹿な子2人に説明してやってくれる?」

「あっ、はい。わかりました」

「君は、ホントに良い子だね」


奈緒さんは頭を抱えたまま、なにも言わなくなった。


……って事はだな。

山中も間違った事を言ってたって事だな。

わかった様な顔しても、所詮は、俺と同レベルだな、同レベル!!


虚しい……もぉ辞めとこ……



「あのですね。僕が家に問題を取りに帰って来るのは、先生の問題傾向を、向井さんに知って貰う為なんですよ」

「なんや?そんなん見ただけで、出題される問題がわかるんかいな?」

「あっ、うん。僕も、そのやり方で、よくテスト勉強するんですよ」

「ほぉ~~~、そうなんかいな。そりゃあ感心したわ。賢い奴は、ホンマ凄いねんなぁ。殆どエスパ-やんけ」

「あぁ、そんなに難しい事じゃないの。先生の好きそうな問題を書き出して憶えるだけだから」

「けどよぉ。それって『山を張る』とかって奴だろ。……外れたら終わりだよな」

「あの……重点的にやるだけだから。別に、他を憶えてない訳じゃないですよ」

「そうなんか?それにしても、凄ぇな、素直」

「えっ?……あぁっと、えぇっと、とっ、兎に角、僕、テスト取って来ますね」


素直は、顔を真っ赤にして走っていった。


ってかアイツ、何を、そんなに顔を赤らめる必要が有るんだ?

俺『凄ぇな』って、言っただけだぞ。


なんのこっちゃ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


結局、奈緒さんと素直ちゃんが勉強を見てくれるみたいですね。


良かったですね♪


まぁただ、このアホ2人組が、多少勉強をした所で50点を取れるのかが不安な所ですが……


さてさて、そんな訳でして。

次回、このアホ2人が、如何に勉強していないかが明らかに成ります。


なので、よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

(学生さんには、結構、耳の痛い話かも(笑))

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