最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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366 真上さんの黒い噂

公開日時: 2022年2月7日(月) 00:21
更新日時: 2022年12月26日(月) 12:57
文字数:3,075

●前回のおさらい●


 親切にしてくれてる真上さんに、どうしても恩返しがしたい倉津君。

なので今日も、音楽室での練習を終えて、真上さんの手伝いに行こうとしたら。

カジ君達から『あの子は魔性の女だから危険だ』と注意されるが……あまりしっくりこない倉津君。


そこに、山中君まで現れて……

「昨日カジから連絡が有って顔を出したんや。『最近オマエが、なんや、おかしな事になってる』って、相談受けてな」

「はぁ?なに言ってやがるんだ?俺は、なにもおかしくねぇつぅの」

「ほれ見ぃ。言うてる傍から、もぅ自分の事が見えてへんやんけ」

「なにがだよ?オマエの方こそ、なに言ってんだよ?」


突然現れたと思ったら、おかしな事ばっかり言いやがって!!


なんなんだよ?

それに、なにが『ホンマや』だ?

真上さんの事を良く知りもしない癖に、揃いも揃って変な言いがかりバッカリ付けてんじゃねぇよ!!


オマエなんぞ所詮は、Tシャツを作って貰っただけの仲じゃねぇかよ。


出しゃばんな!!



「あんなぁマコ。俺は、なんの根拠も無しに、こんな事を言うとんのとちゃうぞ。昨日な、カジから電話があった後、ちょっと、あの子について調べてみてん。ほんだら、出て来るわ、出て来るわ。あの子の黒い噂がな」

「『黒い噂』……だと?オイ、なにが出てきたって言うんだよ?オマエじゃあるまいし、真上さんに、そんなややこしい過去がある訳ないだろ」

「ところがや。公表されてる案件だけでも5件。非公開のものやったら、何軒有るか知れたもんやないぞ」

「公表……なにが有ったんだよ?教えろよ!!」


案件なんて言葉が出て、俺は更に動揺する。


気付けば山中に押し迫っていた。



「そんな近付いて来んでも、シッカリ、全部教えたるわ。えぇか?あの子の起した事件の大半は『恋愛の縺れからくる刃傷沙汰』や……かと言ってもや。真上ちゃん自身は、なんも悪ないんやで。けどな、その中心におったんは、間違いなく真上ちゃんなんや」


どう言う事だよ?

その言い分じゃ、犯人じゃなくて、黒幕みたいな言い方じゃねぇか。


あの人が、そんな犯罪紛いの事に関わるなんて、イマイチ『ピンッ』っと来ねぇぞ。



「矢張り、そうだったか。……って事は、あの案件も、あの子絡みか」

「ちょっと待てな。ほっ、本当になんの話だよ?」

「憶えてないか倉津?去年、川崎であった『中学生同士の刃傷事件』その他にも『女子高校生、男子高校生殺人未遂事件』」

「あぁ、それなら知ってるが。確かそれって、男子中学生同士が遊び半分で彫刻刀を刺しちまった事件と、女子高生が浮気した彼氏に嫉妬してボコボコにしたって事件だろ。だったら真上さんには微塵も関係ねぇじゃねぇかよ」

「それが大有りやから、困りもんなんや」

「だから、なんでそうなるんだよ?いい加減、言い掛かり染みた話をするのは辞めろよな」

「アホ。よう考えてみぃや。中学生が、普通、遊びで刺し合って、そんな大怪我するかいな。それに、嫉妬の事件の方も、女の力やったら、なんぼなんでも、早々には殺人未遂にはならん。オマエ、なんで、そうなったと思ってんねん?」


そんなもん答えるまでもねぇ。


『馬鹿だからだ』

若しくは『自分を弁えてない』かのどちらかだ。


感情に任せて、調子に乗ったのが『中学生同士の刃傷事件』

同じく感情に任せて、自分の顔のレベルも忘れ、ヒステリーを起こしたのが『女子高校生、男子高校生殺人未遂事件』


どちらも、明白な犯行理由が有るじゃねぇかよ。



「どうせ、馬鹿共が限度も知らずに、度が過ぎたんだろ」

「ちゃうなぁ。真上ちゃんに対する嫉妬心が、そうさせるんや」

「あのなぁ、幾らなんでも強引過ぎるぞ。それに、なんでそこまで真上さんを悪人に仕立てたいんだ、オマエ等は?」


そこまでして、真上さんを悪く言う理由がわからねぇよ。


なにが言いたんだ、コイツ等は?

推理オタクの事件マニアかつぅの!!


そんなに邪推がしたいんなら、探偵事務所にでも就職しやがれ。



「別に悪人に仕立てたいんやない。ただ事実を述べてるだけや」


まだ言ってやがるよ。


面倒臭ぇなぁもぉ。

こんな事してる間に、真上さんと逢う時間がなくなるだろに。



「だ~か~ら~」

「まぁ、えぇから聞けって。1個目の事件の被害者は、真上ちゃんの当時の彼氏。ホンで刺した相手は元彼や。……っで、2個目の事件は、付き合うてもせぇへんのに、アホ男が、自分の彼女と別れたい一心で、真上ちゃんを遠目から見せて『自分の彼女』やって嘘付いたんが原因。ほんで女の方は、真上ちゃんを見るなり逆上。その場で男をボコボコにシバキよったんや。これが事件の真相や」

「ほれみろ。だったら真上さん、なにも悪くねぇじゃねぇかよ」

「そうやないやろボケ。あのなぁ、ドッチも、あの子に対する嫉妬心から逆上しとんねん。可哀想やけど、あの子にはな、そういう『人が扱いきれん魅力』があんねん」

「なんの証拠が有って、そんな事を言ってんだオマエ?」

「簡単な理由や。現にな、俺も昨日、真上ちゃんに嵌りそうになったからや」

「なっ!!カジや、グチだけに留まらず、オマエまでもがか?」

「そうや。この間、あの子に逢った時、あまりの楽しさに、アリスの事なんかスッカリ抜けとったわ。それ程あの子の『魅力』は強力なんや」


ばっ、馬鹿な!!


カジやグチが『真上さんに惚れた』って話も、確かに驚きでは有ったが。

山中が、素直の事を忘れてまで、真上さんを自分の物にしようとしてたなんて有り得ねぇ。


だってよ、コイツの素直に対する気持ちは、そんな生半可なものじゃなかった筈だぞ。


有り得ねぇよ!!


そんなの、いつものオマエ流の性質の悪い冗談だろ。



「俺が正直に此処まで言うたんや。ちょっとは眼ぇ覚ましてくれ」

「けどよぉ。結論から言やぁ、結局、真上さんのせいじゃねぇんだろ。だったら問題ねぇだろに」

「まだ言うか?それとも、そこまで嵌りきっとるんか?」

「そうじゃねぇよ。それに第一な。俺には奈緒さんが居るんだから、変な気になんねぇよ」

「既に、なっとるちゅうねん」

「だ~か~ら~、どこがなってるちゅ~んだよ?ただ手伝いに行ってるだけだろ」


お世話になった人の手伝いをして、なにが悪い。


こんなもん個人の自由だろ。

他人にトヤカク言われる筋合いはねぇよ!!



「あのなぁマコ。あの子は、商売でオマエと取引をしたんやで。ホンで取引も、既に成立しとる。それやのに、あの子を手伝う理由がどこにあんねん?貸し借りを考えんねやったら、チャチャと金で済ませや。それが一番手っ取り早いし、彼女も助かるんちゃうんか?」


まぁ、オマエのその言い分は解る。


けどな、真上さんは、絶対に、そう言う金を受け取らないんだよ。

あの人は慈悲と献身の心で出来てる様な人だから、必要以上の金は受け取ってくれないんだよ。


だから俺は、手伝いで返そうと思ってるだけだ。


これのなにが悪いんだよ?


迷惑だから、いい加減、変な勘違いすんな!!



「あぁ、もぉ良い。オマエ等の妄想には付き合い切れん。そう思いたいんなら、勝手にそう思っとけ」

「マコ、頼むから、この話だけは聞き入れてくれ。俺は、オマエと奈緒ちゃんが別れる所なんか見たないねん」

「だから、心配すんなっての。真上さんとは何にもならねぇって」

「マコ……」

「兎に角だ。奈緒さんって存在が有る以上、俺が真上さんに靡く事は、絶対にない。……まぁそういうこったからよ。俺、もう行くぞ」

「わかったわ。そこまで言うんやったら、もうえぇ。ただ、これだけは肝に銘じとけ。あの子の魅力の効果はなぁ……」

「はいはい、わかった、わかった。もう沢山だ……じゃあな」


とても聞いてられない馬鹿話。


聞くにも値しねぇ。


クッダラナイ妄想を語りたいなら、NHKに申し込んで『しゃべり場』にでも行っとけ。

幾らでも、自分勝手に思い込んだ妄想話が出来るだろうからよ。


俺は、山中の忠告も聞かずに、教室を後にした。



「マコ、ちゃうねん。あの子の効果は、なんも男だけやないんや、女の子にも…………」


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君は、軽く聞き流している様ですが。

こう言う異性から異常なまでにモテる子って、本当に怖いんですよね。


本人の意図しない所で事件が起こったり、同性からは妙な嫉妬心を持たれる事が多いですからね。


そんなやや危険な雰囲気を纏う真上さんなのですが。

倉津君は、こんな軽い感じで、本当に真上さんと関係を持っても大丈夫なのでしょうか?


ちょっと怖いですよね(笑)


さてさて、そんな感じのまま、真上さんの所に出向いて行った倉津君なのですが。

次回、どういう展開が待っているのか?


少しでも気に成りましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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