●前回のおさらい●
ステラさんに挨拶だと言いきられてキスをされた上に、未だに倉津君の事が好きだと告白されて困惑する不良さん。
だが、このまま『またややこしい事になる』っと踏んだ倉津君は。
奈緒さんとのある出来事を、ステラさんに伝えて『自分の事を諦めて貰おう』っと企む(笑)
「だったらよぉ。この話でどうだよ?」
「なんですか?」
「実はな、俺。奈緒さんと結婚するつもりで、昨日、彼女に『結婚証明書』を渡してあんだよ。だから無理」
「ぷっ……そうでしたか。それを聞いて安心しました」
「はっ?はぁ?」
なんで此処で笑ってんだコイツ?
此処はシリアスに聞く所で、全然笑う所じゃねぇだろ?
なんだこれ?
「ですから、安心したって言ってるんですよ。……また言葉の意味が解らないのですか?」
「なにがぁ?」
「はぁ、赤ちゃんでも解る様に説明するなら、ポンコツの気持ちが、奈緒に固定されているなら安心だと言ってるんです」
「だから、それのなにが、オマエの安心に繋がるんだよ?」
「アナタの精神は人並み外れてポンコツですから、女の子とのちょっとした出来事で、直ぐに他の女にフラフラするでしょ。私はそれを見ていて、いつもハラハラしていた訳です。……っで、そんなゴミ屑みたいな精神のアナタが、覚悟を決めて奈緒に結婚証明書を渡した。……この現状を見て、普通の精神の持ち主なら、一安心するのも頷けませんか?」
「いやいやいや、俺、オマエが言う程、そんなフラフラしてねぇぞ」
「どこがですか?……今日にしても、美樹達4人組には良い様にあしらわれてるし。千尋には完全にオモチャにされてる。それに咲って人も、結構アナタを狙っている感も見受けられましたし。アナタが乳首を舐めた素直に至っては少なからず感情移入している。……これをフラフラと言わずして、何をフラフラと言うんですか?」
「まぁ……確かにそうだな」
だよな。
見た方に寄っちゃあ、そう見えなくはないはな。
「それにそんな人達が、真面目にアナタを狙い始めたら、どうなりますか?アナタ、それらの誘惑に抗う自信が有りますか?」
……ある。
……ない。
っで言えば、確実に【ない】だな。
つぅか、そんなもん、男なら誰だって無理だろ。
男って奴は、幾ら大切に想う人が居ても、良い女が居れば、ついつい振り返っちまう悲しい生き物なんだからよぉ。
それに、ソイツとHしてみたいなぁとか思う。
そんな下衆な思考が有る以上、女性の誘惑に100%勝てる自信の有る奴なんて、絶対居ねぇぞ!!
あぁ……敢えて言えば、そんな誘惑をモノともしない男……仲居間崇秀って馬鹿が居ますよ。
けどな、そんな精神のイカレタ化物でもない限り、大概の男なんぞ『据え膳食わねば男の恥』とか都合の良い事を言って、絶対に喰っちまうに違いないって……
特殊な人間を抜いて、一般的に言えば、男の精神って言うのものは、それ程いい加減に出来てる。
だから俺も、多分、そっち側の人間だと思う。
「まっ、まぁそりゃあよぉ。ホモでもない限り、あの面子に言い寄られて、嫌な気分の野郎は居ねぇだろな」
「ですから不安だったんですよ。それに奈緒は、あぁ見えて、結構、繊細ですからね。アナタが、いつも自分に興味が湧く様に、彼女は必死に努力し続けていた。奈緒は中々本音を見せない子ですよ。……気付いてましたか?」
「へっ?……いや、あれって、奈緒さんの本音じゃないのか?」
「ハァ、流石、ド低脳日本代表のエースですね。アナタは女性……いえ、奈緒の事を完全に見誤っている。なにもわかっていない」
「ぐっ!!」
奈緒さんの『あれ』って、本音じゃねぇのか?
俺はテッキリ、俺にだけは、いつも本音をぶつけてくれてると思ってたんだがな……
もしステラの言う事が本当なら、相当アホだな俺。
にしても、ステラの奴は流石だよな。
同性だけあって、付き合いが短くても、男の俺とは見てる所が違うもんな。
「良いですか、ポンコツ?まずにしてアナタ、奈緒の事を、なんでも出来る凄い子だって思い込んでませんか?」
「いや、まぁ、その、なんだ……思ってるな」
「だと思いましたよ。確かに、それは女性にとって喜ばしい事ですが。裏を返せば、男性の思い描く理想の高い女性像を演出しなければなりません。期待される方にしたら、これは凄いプレッシャーになるんですよ」
「なんでだ?」
「低脳過ぎますね。……奈緒は、アナタの、その妄想に塗れたイメ-ジ通りの出来る女を演じ続けなければならないからですよ」
「あっ、いや、でも、だったら、素でも良いじゃんか」
「それは無理な注文ですね。我々は女性と言う生き物に生まれた以上、そんな訳にもいかないんです。基本的に我々女性は、馬鹿な生き物なんです。好きな男性の色に染まりたいなんて意識が高いので、その人の為に、出来る限りの良い自分を演出したいと考えてしまうものなのです。……此処、わかりますか?」
いやまぁ確かに、どこかで、そんな話を聞いた事があるが……あの奈緒さんが、ワザワザ俺の為に、そんな事までするか?
まぁそりゃあ、彼女の性格から言って全く無くはないだろうけども、そこまで無理をする必要性があるか?
「いや、理屈ではわかるけどよぉ。じゃあ奈緒さんは、毎回、俺と顔を突き合わすたびに、そんな面倒臭い事をしてるのか?」
「当然です。先程も言いましたが、女性は、少しでも自分を良く見て欲しいと言う願望の強い生き物です。特に奈緒は、そういう傾向が強い人ですからね」
「じゃあ、オマエはどうなんだよ?オマエも、一応、女だからそうなのか?」
「まさか。私は、そんな必要なんてないですから、そんな事は一切しません」
「じゃあ、なんで奈緒さんはするんだよ」
「実際の事は解りませんが、基本的には過去の恋愛で何かあったか、家庭環境じゃないですか。……奈緒は、本音の見えない子ですから、私にも、その辺はよく解りませんね」
ヤッパリ、行き着く先は、誰に聞いても、そこなんだな。
つってもまぁ……この辺は、他人が問答しても、何の解決にもなら無いから、話を元に戻そう。
「っで、結局、なんでオマエが、奈緒さんの事で安心するんだよ」
「奈緒は、私の初めて出来た大切な友人です。そんな彼女の傷付く姿を見たくなかったんですよ」
「じゃあなにか?俺と、奈緒さんが結婚すりゃあ。他の女が諦めて、俺に手を出して来ないと踏んだ訳か?」
「まぁ、今の処は、大凡、そんな感じですね」
お節介な話だなぁ、オイ。
コイツも崇秀同様、スゲェお節介な奴だな。
「って事はだ。今の話の経過からして、オマエが、俺の事を好きって、あれは完全に嘘か?」
「いいえ、決して嫌いではないんですよ。病室で初めて逢った時『好きかも』とか思いましたからね」
「じゃあ、なんで急に、掌を返した様に、奈緒さんに肩入れする気になったんだよ?」
「いえ、当初は、本気で奈緒から奪ってやろうと思ってたんですけど。……翌々考えると、アナタは、修復不可能なぐらい凄いポンコツな訳じゃないですか。それを見てたら『あぁもうこれは、奈緒にしか扱えない代物』だと思い。急激に、アナタを見る眼が醒めたんですよ。……こんな理由じゃ、おかしいですか?」
ヒデェ。
……つぅか、俺って、そんなにポンコツなのか?
「……さて、話は、これでおしまいです。時間も結構経った事ですし、そろそろ私は現場に向おうと思いますが。……ポンコツ、アナタはどうされますか?」
「そうだな。んじゃま、俺もそろそろ行くとすっか……って、あれ?」
一気に起き上がろうとしたんだが、まだ、頭のふらつきが微妙に残っており、再びステラの腿に逆戻りしてしまう。
「まだダメージが残ってましたか」
「……悪ぃ」
「仕方有りませんね」
「つぅか、オマエさぁ。……綺麗に入れ過ぎなんだよ。意識がハッキリしてるのに、体が上手く動かねぇって、どんな入れ方してんだよ」
「さぁ、どんな入れ方なんでしょうかね」
「オマエねぇ」
……ってな事をブツブツ言ってるが、実際は、そんなに悪い事ばかりじゃない。
頭がふらついてるお陰で、もぉ少しステラの膝枕をまだ堪能出来るし、こうやって、ステラとの会話を続けるのも悪くないしな。
これは、これで『ラッキー』だと言えよう。
なんてったってよぉ。
コイツの腿は、奈緒さんよりも肉感が多いから、なんとも言えない張りと、柔らかさが有るんだよな。
(↑多分これがステラの心配する要因で有り、俺がポンコツと言わしめる所以だな)
「ポンコツ……アナタ、今、なにか良からぬ事を考えてませんでしたか?」
「いや、なんでわかった?あぁいやいや、なんもねぇ」
「本当に最低な人ですね。アナタって人は……」
「いや、だってよぉ。オマエの腿って、スゲェ寝心地が良いんだもんよぉ。そうなってもおかしくねぇって」
「そうなんですか?それは知りませんでした」
「おぉそうか、そうか。だったら俺が保証してやるよ。この膝枕で落ちねぇ男はいねぇってな」
「結構です。ポンコツに保証されたら、私が『欠陥品』みたいじゃないですか」
「オマエって……どこまでも可愛げの無い奴だな」
「そうですか?ホントに可愛くないですか?」
「・・・・・・」
毎度毎度、よくもまぁ、そんな嫌な質問を思い付くな。
実際、今にしたって……顔だけじゃなくて、このステラとの空間ですら、なんか最近は『有りかな』って思ってる自分が居るんだよな。
なんつぅか……コイツって『こう言う関係の女友達が居ても良いんじゃねぇかな』って思わせる要因を、沢山持ってやがるんだよなぁ。
解り易く言うとだな。
なんでも好き勝手言える女友達なんて、早々出来無いだろ。
なんか、それが悪くねぇ……ってか、寧ろ、この空間すらも心地良い様な気がしてならない。
俺、ひょっとして『M度数』上がってないか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
結局、からかわれる運命でしたね。
ステラさんの掌の上で、本日2回目のモンキーダンス(笑)
ですが、そんな中でも、ステラさんが本気で、倉津君に心を開いているのだけは事実かも知れません。
作中で彼女が言った様に『女性は好きな人の求める色に染まりたい』っと言う願望が、少なからずある訳ですからね。
ステラさん自身も無意識の内に、自分が倉津君に求められている『女性の親友』を演じているのかもしれませんからね。
さてさて、そんな中。
まだステラさんの膝枕をされながらの話も、もう少しだけ続きます。
どんな会話が続くのか気にして頂けたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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