●前回のおさらい●
倉津君を救うのだけではなく。
他の性同一性障害の人達をも救う為に研究を続ける崇秀の気持ちに、倉津君は感動している様です。
そんな中、会話が再開される。
「って事で、第一回目の報告は、これにて終わりだ。なんか質問あるか?」
「あっ、あのよぉ、崇秀。別に質問って訳じゃねぇんだけど。兎に角、マジで頑張ってくれな。……俺なんかの事よりも、その人達の為にもよぉ」
「ふっ、そんな遠慮するな。オマエも纏めて面倒見てやるよ」
「崇秀……ぐすっ……サンキュウな……うっ、うっ……いつもゴメンな……」
また自然と涙がポロポロと出てきた。
ホント、女の体って、スゲェ涙腺緩いよな……
ちょっと感情が昂ぶったら、直ぐにポロポロ涙が出るんだもんな。
情けね……
崇秀の人間的な大きさに感動して……泣いてらぁ。
「泣くなつぅの。鬱陶しい。……あぁそうだ、そうだ。って事で、今回の報告で、半分以上は『俺のせいじゃないと判明した』訳だから、今後は違うアプローチをかける為にも、オマエの色々なサンプルを近々必要になるだろうから、出来れば最寄の病院に行って、その辺の用意しとけよ」
「いや、それなら、俺の方から、直にそっちに行くよ。それに、この体なら手伝える事が有るかも知れねぇしよ」
「ねぇな。全くねぇ。邪魔なだけだ。来んな」
断言って……
そんな言い方しなくても良いじゃんかよ。
俺だって、なんかの欲には立つかも知れねぇじゃん。
それによぉ、俺みたいな男だか女だか解らん様な存在でも、一応は形は女だからさ。
職場に花を添える位の事は出来るかも知んねぇじゃん。
だから、そんな冷たい事言うなよ。
「いやいやいやいや、そんな事はねぇだろ」
「ボケ。必要な物は、全部、俺が取りに行くから、オマエは、そんな余計な事を考えずに、向井さんの事だけを必至に考えてりゃ良いんだよ」
「けどよぉ……」
「やかましいわ!!……んな事バッカリ言ってるとなぁ。オマエに裸エプロンさせて、研究が終わるまで、研究員の茶汲みさせるぞ」
それは幾らなんでも嫌過ぎる……
眞子は『清らかな乙女』だから、そう言う関連のHなものは無理ッス……
「いや、あの、マジで、それだけは勘弁して」
「あっそ。じゃあなんの役に立たねぇから、オマエは、ソッチの事だけを集中してシッカリやっとけ」
「あっ、あぁ、はい、そうですね。ご尤もです」
果てしなく使えねぇのな俺って……
いやいや、ヤッパ此処は1つ。
恥ずかしいのを我慢してでも、崇秀や研究員達の頑張りに応える為にも『裸エプロン』で茶汲みするべきか?
この美少女的な容姿なら、それはそれなりの価値がありそうな気がするし……
あぁ、でもなぁ。
ヤッパ、裸エプロンは恥ずかし過ぎるから、メイドとかでまけてくれたら、此処は我慢して了承するべきだな。
「あぁ、そうだ、倉津。そう言えば言い忘れてたんだが、最後に2つ忠告だ」
「ふっ、2つ?なっ……なんだよ?」
「んあ?なに動揺してんだ、オマエは?」
「いやいやいやいや、なんでもないッス、なんでもないッス」
あぁ恥ずかしい。
一瞬でも、なに考えとんじゃ俺?
『メイドとかならOK』とかそう言う問題じゃなくて。
あんなヒラヒラした格好をして、研究員達のお茶汲みしようとしてんじゃねぇつぅのな。
まずにして、そんな事してても意味ねぇよな。
「あっそ……時間がねぇから、その件に関しては、まぁ良い。先に言う事を言うぞ」
「あい」
「まず1つ目はな。あんま女の体でオイタすんなよって事だ」
「なんでだ?」
「あのなぁ。女の性感覚ってのは、男の性感覚とは、あまりにも別物だから。下手に女性の感覚で快感を味わい過ぎると、男に戻った時、快感に物足りなさを感じ。不感症になって、勃起しなくなる可能性が高いんだよ」
「えぇ……なに、その嫌な話?」
「いや、その辺は、自分でAVでも買うか借りるかして、男の感じ方と、女の感じ方の違いを自分で研究しろ。……これ、オマエの冬休みの研究課題な」
ショボ……
崇秀先生は、世界中の困った人を助けるのが命題。
俺はAV見ながら、女の子の快感度数を調べるのが冬休みの研究課題。
……なに、この天と地ほどもある差?
「崇秀君、酷いよ。……心配しなくても、私、そんな安い女じゃないもん」
「心配してねぇし。黙れモブ」
酷い……
眞子は、全然モブじゃないもん!!
逢った人は、みんながみんな、ちゃんと可愛いって言ってくれるもん!!
でも、これを言ったら、また確実に、からかわれるだけだから、なんも言わんとこ。
ダンマリだ。
「んで、2個目ってなんッスかね?」
「あぁ、それについては大層な話じゃないんだが。オマエ用に『別の日本国籍』を作って置いたから、その体自身も、日本国民として認められてるってだけの話だ」
「はい?いやいやいやいや、ちょっと待て!!オマエ、なにしてくれてる訳?」
「だからよぉ。ヤクザ・モドキなら、これぐらい、なにしたかわかんだろよぉ」
「オイオイ、まさかオマエ……」
「あぁ『氏名:倉津眞子・性別:女・本籍:秋田県能代市・生年月日1984/6/6』で、一葉が、秋田県の市役所に入って登録済みだ。……これ以上は説明が面倒だから、手段は教えねぇ。……つぅか、もぉ聞くな」
あれぇ~~~?
なんで、こんなパーソナル・データが、コイツの元に流れてるんだ?
国籍の違法登録のやり方はハッキリ解ってるのに、この情報漏洩の方だけは、暗闇を彷徨うばかりで一向に見えて来ないぞぉ~~。
……ってか、奈緒さんッスね。
それ以外、100%居ないッスね……
まったく、あの悪戯大好きティンカーベルだけは……
「はいはい、わかりやした、わかりやした。んじゃまぁ、もぉ、なんも聞きやしやせんよ」
「殊勝なこったな。……んじゃま、そう言う事で報告も終わった事だし、そろそろ切るぞ……」
イキナリ話が終了したと思ったら、当然、研究に忙しい崇秀は電話を切ろうとした。
……んだがな。
その瞬間、俺ある重要な事を思い出し。
慌てて、電話口の相手である崇秀を引き止めた。
そう言えば、凄く気になってた事がまだあったんだった。
「ちょ!!ちょっと待ってくれ、崇秀!!」
「んあ?」
「どうしても、もぉ1つだけオマエに聞いて置きたい事があんだよ」
「んあ?どうしても聞いておきたい事だと……んだよ?」
「いや、あのな。実に突飛ようしもない話なんだがな。XXの染色体って、突然、人格形成がなされる可能性って有るのか?」
いや、急でなんなんだがな。
あの俺が女に成って困り果ててた当初にXX眞子の件なんだがな。
あれ以来、XX眞子が出現した痕跡がまったくないんだよな。
突然、こんな風に全くの無反応になっちまったから、アイツがどうなったのかが知りたいんだよ。
「染色体に人格だと?なんだそりゃあ?どこのSFの話だよ」
「いや、SFって訳じゃねぇんだがな。そう言うのも有るのかなぁって思ってよ?」
「あぁ、もぉ、次から次へと、ややこしい事を……。まぁ『ない』とはハッキリ断言は出来ねぇな」
「そう……なのか?それって有り得る話なのか……」
「あぁ、まぁなぁ、なくはないだろうなぁ」
「そうなんだ」
「……って言うのもな。実は細胞ってのは、1つ1つが記憶媒体みたいなもんだから『ない』とは一概には言えねぇんだよ。ただなぁ、染色体に限定されると成ると、オマエが引き継いだDNAの関係も含まれてくるから、結構、話がややこしいぞ。……ってか、まさかオマエ!!そんなもんまで『出現した』とか言い出すんじゃねぇだろうな」
重ね重ね、すんません。
実は、知らず知らずの内にとは言え、そう言う物が出現しちゃいました。
ただ本当に悪気は無いので、許しちくり。
「いや、それがぁ……」
「オイオイ、マジかよ。……ちっ、面倒臭ぇなぁもぉ。まぁ良いや。取り敢えず、その時の状況を克明に説明してみろ。その話を聞かねぇと始まらねぇしな」
「あっ、はい。喜んで……」
「俺は、ちっとも喜ばしくねぇつぅの」
……ですよね。
ただでさえ研究で忙しいのに、ややこしい事ばっかり言ってスマンのぉ。
そんな訳で、XX眞子が出現した状況を、崇秀に事細かに説明した。
その時の俺の克明な心理描写付きで……
……俺の心理描写は、明らかに要らないですね。
時間の無駄ですね。
はい、2度としませんので、すみません。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君の冬休みの課題が『性行為に於ける男性と女性の感じ方の違い』に決まり。
余りにも違う、崇秀との研究の差に落胆する倉津君ですが。
此処に来て、TS化した当初に出現した『XX眞子』の話題が出てきましたね。
あの問題については、まったく手付かずな状態ではあるのですが。
倉津君の話を聞き、崇秀は、一体、どう言う回答を導き出してくるのでしょうか?
それは次回の講釈なのですが。
この謎に、少しでも興味が湧きましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!