最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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862 他愛もない会話

公開日時: 2023年6月17日(土) 00:21
文字数:2,852

●前回のおさらい●


 暗い雰囲気を少しでも変える為に、眞子が故意的にしているお馬鹿な会話に引っ張られ。

少しづつ表情が明るく成って来た奈緒さん。


その会話の続きと言うのが……

「……ですかね?あぁ、でも、あれですよ。別にその意見を否定する訳じゃないですけど。誰にでもって言う訳じゃなくて、これは崇秀限定での話ですよ。アイツの為だけなら、果てしなく尽くして見せますよって話で」

「ぷぷっ、それは、ある意味、当たり前なんじゃない?って言うか、誰彼構わず『尽くして』どうするのよ?そう言うのは1人限定で良いの」

「ほらほら。だったら、ヤッパリ奈緒ネェだって、私と同じじゃないですか。奈緒ネェ『これでもか!!』って言うぐらい、真琴ちゃんに尽くし捲くってましたよ」

「えっ?そっ、そうかなぁ?でもさ、でもさ、好きなんだからしょうがないじゃない。だから、偶々そうなっただけなんだよ」


だからぁ……それがですね……



「あの、奈緒ネェ」

「なによ?」

「……それを、俗世間一般では、完全なドM気質って言うんですよ」

「えっ?あっ、あぁ、まぁ……そうとも言うね」

「いや……そうとしか言わない様な気がしますが」

「ふふっ……だよね。向井姉妹は、姉妹揃って典型的なドMなんだ。……でも、なんかこの呼び方ヤダなぁ」

「ですよね。『ドM』って、世間的にもイメージの悪い言い方ですよね。じゃあ、なんか違う言い方を考えましょうか?」

「例えば?」

「あぁ、そうですねぇ。……例えばぁ……アナタ好みの『カメレオン』とか?」

「嫌だよ。それだったら、まだ『ドM』の方が響きが良いよ」


……ですね。

これに関しては、自分で言ってて、自分で嫌になりましたからね。


これはダメですね。


失敗です。



「あぁ、じゃあ。『自己恋愛コンサルタント』とかは、どぉですか?」

「悪くは無いけど。なんか、それって、自分に陶酔してるナルシストっぽくない?」

「……ですね。誰がどう聞いても100%でナルちゃんですね」


簡単に思い付くと思ったけど、ドMを良い様に言うのって、意外に難しいなぁ。


なんか『これだ!!』って思える様な良い表現がないものですかね?



「あぁ、じゃあ、この間の美樹さんを文字って『美樹ってる』って言うのはどうですかね?結構、的を得てると思いますけど」

「内容を知ってたら、必至過ぎて引くって……」

「あぁ……ですね。確かに引きますねぇ。ドン引きですね」

「いや……アンタって、何気に酷い事を言うよね」

「あっ、あの、すみません。……今の言葉に悪気は無いんですよ。直感的な素直な意見なんで」

「アンタって、天然で、そんな事を言っちゃっうんだ……性質悪ッ」

「ははっ、そこは放っといて下さい」


だって……美樹さんも、私達同様、かなりの『尽くし女』ですよ。

他にも言えば、素直ちゃんだって、多分その類の人間ですよ。


あっ……そうかぁ。

だったら、その呼び方がありましたね!!



「……っで、他に候補は無いの、眞子?」

「ふふっ、今、とんでもなく良いのを思い付いたんですけど、聞いてくれますか?この呼び方は、かなり良い響きですよ」

「なになに?なにを思い付いたの?」

「私と、奈緒ネェはですね。『ドM』なんかではなく『素直』若しくは『健気な女』なんですよ。……これ、良くないですか?」


どうですかね?


まぁまぁ『素直』って方は。

素直ちゃんの重たいイメージが有るから、どうかとは思いますが『健気』って言葉の方は良くないですか?


私、この言葉好きですよ♪



「あぁ、それは上手く言ったね。じゃあ『健気』の方向で」


あっ!!この様子じゃあ、ヤッパリ『素直』の方は、素直ちゃんで引っ掛ったな。



「じゃあ、向井姉妹は『健気』って方向で」

「だね♪……って、これ、なんの話?」

「あり?」

「だから……それ、可愛くないって」

「そんな事ないです!!気に入ってるんだから、放って置いて下さい!!」


そんなに可愛くないですかねぇ?

結構、男性的な意見で言えば、女の子の『あり?』は、結構イケてると思うんですけどね。


……っと、まぁまぁ、そんな与太話を、尽きる事無く連続で話してる訳ですが。

決して、崇秀の事を忘れてた訳じゃないんですよ。


これは、奈緒ネェが気を遣って、私の話に付き合ってくれているだけの事。


あの凄惨な状況を、直ぐに立ち直れる筈なんてないんですよ。


恐らく、それは奈緒ネェも同じ考え。

その証拠に、こうやって笑っていても、2人して、今笑ってる表情は、普段より、まだまだ硬いままだし。

体は、心の中を隠しきれず小刻みに震えたまま。


本当は、なに1つ割り切れてなんか居ない。



……でもね。

さっきも言ったけど、下を向いたままで、俯いていたってなにも始まらない。

だから1人じゃ足を進められなくても、2人だったら少しづつでも歩は進められる気がして、こう言った馬鹿な話を持ち出してみた。


兎に角、崇秀や、真琴ちゃんが、どういう形であれ、また、この世界に帰って来てくれると言うなら。

いつでも全力疾走出来る様に、周到な準備して置かなきゃいけませんからね。


その準備さえ出来てれば、よ~~~いドン!!っで、ロケットスタートですよ!!



「ふぅ~~……まぁまぁ、眞子がお馬鹿なお陰で、少しだけ気が楽になったよ。当事者で一番辛いのに、変に気遣わせて、ごめんね」


ほらね。

奈緒ネェの性格から言って100%そうだと思ってたんですよね。


流石、GUILDが誇る『気遣い女王様』。


いつも完璧です。



「あぁ、そんな、そんな。気遣って貰ってるのは私の方ですよ。奈緒ネェだって、真琴ちゃんの話があるから、自分の事で一杯一杯な筈なのに。こんなに気を遣って貰って……こちらこそ御心配して頂いて、ありがとうございます」

「ふふっ……姉妹なのに、お互いで気を遣い合ってたら世話ないね。……あぁ、それはそうと眞子」

「あぁ、はい」

「私達はもぉ本当の姉妹なんだから、そろそろ、もぉちょっと砕けた感じで話しても良いんじゃない?」

「あぁ……まぁ、言われてみればそうですよね。でも、私って、そんなに硬いイメージですかね?」

「まぁ、ズッと、その感じだから、特に違和感がある訳じゃないんけど。ちょっと他人行儀っぽいかなぁ」

「あぁ、だったら……『奈緒、奈緒。ごめんごめん。さっきは変に気を遣わせてゴメンネェ』って言うのは、どうですかね?」


一応、ヤリスギになら無い様に気を付けて発した言葉遣いなんだけど。

姉妹って立場なら、これも、少し変なのかなぁ?



「あぁ、微妙かなぁ。いきなり、そうやってタメ口叩かれたら、張っ倒しそうだしなぁ」

「ちょ、ちょ!!張っ倒されんのは嫌ですよ。だったら、もぉ少しの間、このままで良いです。変更無しの方向で」

「そっか。けど、そりゃあそうだよね。話し掛けて、イキナリ引っ叩かれたら嫌だもんね」

「……ですよね。痛いの嫌いですし」

「だね。……まぁ、それはそれとして置いて置いてさぁ。そろそろ、眞子の髪型を綺麗にしよっか?話し過ぎて、スッカリ忘れてたけど。……アンタ、かなり酷いわよ」

「いや……奈緒ネェだって、人の事を言えた義理じゃないですよ」

「……だよね」


奈緒ネェは基本が綺麗なんで、今の状態でも、そこまで酷いって訳じゃないんですけどね。


正直、普段の奈緒ネェから比べたら、今の姿は見れたもんじゃないですよ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子との会話の中で、少しづつ前を向き始めた奈緒さん。

そして、それは同時に、今の自分がすべき事を自覚し始めた瞬間でもあった。


なので、このまま上手く行けば良いのですが……相手が奈緒さんだから、そこは未知数(笑)


果たして、眞子はキッチリと身嗜みを整えて貰う事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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