最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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770 和解の糸口

公開日時: 2023年3月18日(土) 13:00
文字数:3,413

●前回のおさらい●


 崇秀との関係に関しては恋のライバルではあるものの。

偶然出会った飯綱ちゃんと言う、自身とよく似た性格の欲望に忠実な友達を得る事が出来た眞子。


それ故に、機嫌良く教室に戻って行くのだが……(笑)

 ……えぇっと。

今ね、今日の授業が全部終わって、雛ちゃんのホームルームの時間に成ってるんだけどさ。


でもさ、でもさ。

もぉ一分一秒でも早く飯綱ちゃんに逢いたいから。

いつも通り、冷静な顔はしてるんだけど……気分はソワソワしてる。


けど、そんな私の気持ちに反して雛ちゃんはと言うと……

相も変らず要領が悪く、教壇の立って必至にピィピィなんか言ってるんだけど、全然みんなに伝わっておらず、ホームルームが終わる気配が無い。


最悪だよ。


もぉ……頼むよぉ。



そんな事を考えてた折……何の前触れもなく『ガラッ!!』っと教室の前の扉が開いた。


何事?っと思って、そちらの方を射てみると……



「よっ、お久しぶりやで。ちょっと悪いけど、お邪魔すんで」

「「「「「飯綱?」」」」」


えっ?あれ?

飯綱ちゃん、クラスに来たくないんじゃなかったっけ?


それにさぁ、彼女が教室に入って来ただけなのに、凄いざわめいてる。


これって……みんな、ちゃんと飯綱ちゃんの事を認知してるって事だよね。


それになによりね。

私のせいで暗くなっていた教室が、一気に明るくなった。


だとしたら、凄いカリスマ性?



「なんやの?」

「なんだよ、飯綱!!久しぶりに学校に来てるんなら、もっと早く顔を出せよ」

「はい?なにがやの?ウチ、毎日学校に来てんで」

「ちょっと飯綱さん。毎日学校に来てるの?」

「来てるで、なんで千夜ちゃん、そんな事を聞くん?」

「なんでって……あの、じゃあ、なんで授業に出てくれないの?」

「なんでって。勉強したないから」

「そんな理由って……」


ぷっ!!マイペースの飯綱ちゃんらしいなぁ。

なにがあっても、絶対に自分を曲げない子だね。


でも、そう考えるとあれだね。

本当に飯綱ちゃんが言った通り、我欲従順な所は、私達2人はソックリだ。



「まぁ、そんなショウモナイ事は、どうでもえぇねんって」

「良くないし……」

「そんな事よりな。ちょっと、ウチの話を聞いて欲しいねん」

「聞いてないし……」


やっぱり、ウルトラ・マイペースだ。


でも、今、なにかを話す様な気配でモノを言ってたけど、なんの話をするんだろう?


・・・・・・


……って!!まさか!!



「それで、飯綱ちゃん。どうしたの?」

「あのな。なんて事ない話やねんけどなぁ。眞子の事なぁ、もぉ虐めんとたって。ウチの友達やから……それだけ」


飯綱ちゃん……



「虐め……」

「そやで千夜ちゃん。クラス全員で眞子を無視して虐めとんねん。やめさせたって」

「あの、飯綱ちゃん。それ、酷い誤解だよ。向井さんは、このクラスの人間を、誰も相手にしてないだけなんだって」

「なんでやの?ウチを相手にしてくれてんで、全員ちゃうで」

「それは、飯綱ちゃんは認めて貰えたからじゃないの」

「なんで、友達なるのにイチイチ認めて貰わなアカンのよ。アンタ、アホちゃうか?それにウチは、やりたい様にやってるだけやで」

「そうだけど……」

「……それとな。ホンマの眞子は、アンタらが思ってる様な子やない。何処ぞの誰かにな『こう言う風にやれ』って言われてやってんねん。クラスメイトやねんやったら、ちょっとはそう言うのにも気付いたったら、どないやの?」


あっ……



「でも……」

「『でも』は無しやで」

「でもね。あれだけ突き放されたら、話し掛けれないよ」

「まぁそやね。そこは、眞子が悪いのは間違いないね。だからなぁ、此処に居る全員が、お互い様やねん。そやからなぁ、もぉ遺恨なしでえぇやろ。みんなで楽しくやりや。ホンで眞子も、いつまでもショウモナイ意地張ってやんと、はよ、みんなに謝り。しゃあないと、ホンマおもんない中学最後の生活を送る事になるで……アンタは、それでえぇんか?」


一斉に注目されてもなぁ……


そりゃあね。

『実験』だの『奈緒ネェの疑似体験』だの『素直ちゃんとの約束』だの言ってたけど。

飯綱ちゃんの言った通り、こんなんじゃあ、全然、学校生活が面白くないんだよね。


やっぱりね。

真琴ちゃんの件があるから、みんなに無視されるのは嫌だよ……


だったら此処は四の五の言わず。

こうやって、飯綱ちゃんにチャンスを作って貰ったんだから、ちゃんと、みんなに謝らないとね……



「ごっ、ごめんなさい」

「「「「「えっ!!」」」」」

「あの、本当に、ごめんなさい。……私、本当は、皆さんと一緒に楽しい学校生活を送りたかったんだけど。事情があるから、今まで『こんな風』にしか接せられなくて……ごめんなさい」


約束破って、ごめんね、素直ちゃん……


もぉ限界。


もぉ私には出来無いよぉ。


結局、奈緒ネェの気持ちは、なにも解らなかったけど、私は、どこまで行っても私でしかない。


無理をしても意味が無かったんだ。



「そう言う事やから、もぉ無視とかせんとったってな。眞子はな。メッチャ素直でえぇ子やから、もぉヤメたってな。……わかった?」

「なぁなぁ、飯綱。でも、それ、本当なのかよぉ?これも演技なんじゃねぇの?」

「はぁ……相変わらず山西はアホやねぇ。ちゃんとなぁ、眞子を見てへんから、そんなアホなセリフが出て来んねん。こんなえぇ子が反省してんねんからな。2回も嘘付けへんて。……もし、まだ嘘付いてんねんやったら、今度はウチがドツキ廻したるわ。そやから、此処はウチに免じて信じたって」


また……人のお世話になっちゃってるね。


私って、なんで、こんなに融通が利かないんだろ?



「じゃあよぉ。向井は勉強とか教えてくれるのかよぉ」

「甘えるな。勉強ぐらい自分でしぃ。……アンタなぁ。眞子みたいな可愛い子と、同じ空気吸えるだけでも有りと難い思いや。アホちゃうか?調子のんな」

「酷ぇ~~」

「まぁまぁ、そうは言うてもやな。山西が、眞子と友達になったら、眞子もなんか教えてくれるかも知れへんで。可愛くてなぁ、頭のえぇ子に教えて貰えたら幸せやろ。しょうもない遺恨なんか持たんと、友達になれる様に努力してみたら」

「だな。だな」


そこまでして貰ったら……



飯綱「他の子もそうやで。人間って言うのはなぁ。お互いの持ってるメリットちゅうもんを分け与え合うもんや。眞子に、なんかしたれる思う事が有ったら、ドンドン友達になったってや」


飯綱ちゃん……



「そんな訳やからな。眞子、ちょっとコッチおいで」

「えっ?どうして?」

「えぇから、はよコッチおいで」

「あっ、うん」


私は訳も解らないまま、飯綱ちゃんの居る教壇までトコトコと歩いて行く。


ちょっと、みんなの視線で恥ずかしい。



「あの、飯綱ちゃん……」

「ほな、みんな、注目」

「オイオイ飯綱。なにをする気だよ?」

「イチイチうるさいわ山西。なんも解れへんねんやったら、大人しく黙って聞いとき」

「すっ、すまん」


うわ~~~。

解ってはいたけど、この子も、大概、傲慢な子だなぁ。


流石、崇秀の最長の幼馴染だけの事はあるよ。



「ほな、みんな、ちょっと聞いてな。昨日、どっかに転校してもた『向井』って言う嫌な子が居ったけど。今日から、同じ苗字の『向井眞子』って子が、このクラスに転校して来たから、絶対に仲良ぉしたってな」

「「「「「!?」」」」」

「あっ……」


もぉ……この子も、崇秀と同じでズルイ子だ。


出会って間が無いって言うのに『お節介』だよ……



「なんか眞子に質問ある?」

「じゃあさぁ、前の向井に聞いた事なんだけどよぉ。スリーサイズは?」

「もぉ……ご想像にお任せします」

「ちぇ……そこだけは前の向井と一緒かよ。けどさぁ。今回の向井は良い奴そうだから、宜しくな。俺、山西な」

「あっ、うん。宜しく」


あぁ~~あっ、あの質問って、山西君だったんだ。


でもねぇ。

二回聞かれても、スリーサイズは答えないっての……



「あぁじゃあ、俺も質問だけど。向井ってさぁ。頭良いって噂を聞いたんだけど。勉強を、偶にで良いから教えてくれる?」

「あぁ……頭が良いか、どうかは解らないけど。私で良かったら、いつでも聞いて。出来る限り協力させて貰うよぉ」

「マジで。俺、結構な馬鹿だけど、大丈夫」

「あっ、うん。精一杯頑張ってみる」

「頑張ってみるって……酷ぇなぁ。まぁ良いや。俺、坂田ね。宜しく」


この後も、続々と、みんなが名乗りを上げてくれる。


一般的には、漫画にありそうな臭いシーンなんだけどね。


これは、夢でも幻でもない。


目の前にある事実。


……皆さん。

……ありがとう。


それに、この機会を作ってくれた飯綱ちゃん……本当に、ありがとう。


・・・・・・


……うん?あれれ?

そう言えば、そうやって皆さんを話してる隙に、その張本人である飯綱ちゃんが居ない?


何処行っちゃったの??

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


飯綱ちゃん……豪快に傲慢でしたね(笑)

この辺については、流石、崇秀の最古参の幼馴染と言った所でしょうか(笑)


まぁ、そうは言っても、この飯綱ちゃんの行為で眞子が救われたのも事実。

結局の処、どこか融通が利かずドン臭い眞子を見て、崇秀同様に放って置けなかったんでしょうね。


早い話『お節介』なんですよ、この子も♪

まぁただ、飯綱ちゃんの場合は、自分が気に入った子以外は助けませんけどね(笑)


さてさて、そんな中。

そんな飯綱ちゃんにお礼をしようと思ったら、既に教室には姿はなく、何処かに行ってしまった様なのですが。

一体、どこに行ってしまったのでしょうか?


それともう1つ……


……ってな感じの話を、次回は書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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