●前回のおさらい●
奈緒さんの起こした奇行には、矢張り理由があった。
そして、その真相を知る為に倉津君は……
「っで、結局、どういう経緯なんッスか?」
「うぅ、それは言わない。言ったらクラ、絶対、自分でなんとかしようとするもん。そんな迷惑は、君にはかけれないもん」
「俺には迷惑掛けても良いんです。それに迷惑じゃないです」
「だって……」
「あのねぇ、奈緒さん」
「なに?」
「自分は、散々俺には『迷惑じゃない』って言うくせに、俺が言ったら『迷惑掛かる』って、どういう事ッスか?アンタ、実は、俺の事を馬鹿にしてるんッスか?」
「してないよ?なんで?」
もぉ……無自覚者は、これだから面倒なんだよな。
他人の事は良く見えてるくせに、自分の事になると、一気に全然見えなくなるんだもんな。
呆れるよ。
「あのねぇ、奈緒さん。俺はね、奈緒さんの為だったら、出来る限りの事はなんでもしてあげます。けど、奈緒さんが正直に言ってくれなかったら、俺は、何もする事が出来無い。そんな俺に、なんの価値があるんッスか?だから、正直に言って良いんですよ」
「やだ」
「『やだ』じゃないでしょう」
「ぶぅ」
「そんな頬っぺた膨らまして『ぶぅ』じゃないですよ、ホント」
「だってぇ」
「『だって』でもないです」
「もぉ、我儘だなぁ君は」
我儘は、アンタッスよアンタ。
まぁ、そんな可愛い奈緒さんも好きなんッスけどね。
「良いよ、良いよ、もぉわかったよぉ。じゃあ全部教えてあげるよ。けど、その代わりクラも、此処でオナニーしてよ。それでオアイコだもん。じゃなきゃ教えない」
「うぇ、それマジで言ってんッスか?」
「良いじゃない、それ位してくれたって……減るもんじゃなし」
「けど、此処、野外ッスよ」
「あっそ。君は、私の事が嫌いなんだね。良いよ、良いよもぉ。チンコ、パンパンに腫らしてるくせに」
この人だけは……
「あぁもう、わかったッスよ、やりゃあ良いんしょ、やりゃあ。あぁやってやりますよ。奈緒さんをオカズにして、思いっきり、この辺一帯にブチマケテやりますよ」
そう言って奈緒さんの前で、ズボンとパンツを下ろした。
もぉヤケクソだな。
って言うかな。
本音を言えば、俺は男だから、別に、こんな事位どうって事ないんだよな。
まぁそれにな。
奈緒さんは女の子なのに、俺の為に、あんな恥ずかしい事までしてくれたんだから、コッチとしても、それ以上の恥をかかなきゃ対等じゃないだろ。
「でかっ」
また、そうやって余計な事を言う。
標準ッス標準!!
「うるさいッス。オカズは、そこで大人しくしてろッス」
「オカズとか言われたし」
「うるさいッス。男のオナニーは、集中力が大事なんッスから」
「そう……なんだ。ごめん」
「見てろッス。俺の生き様を……奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん……」
「ねぇねぇクラ、今触ったら、どうなるの?」
全然、話を聞いてねぇし……
「やめい」
「やだ」
「うっ!!」
「早っ!!」
・・・・・・
言って置くが、俺は、決して早くないぞ!!
奈緒さんが触ったから、早くなっただけだからな。
そこは、絶対勘違いしちゃいけないよ。
「うるさいッス。そんな事よりも、早く事情って奴を説明して下さい。俺、ちゃんと約束守りましたよ」
「はぁ~~~、もぉ、ホントにやるかなぁ……しょうがないか。約束守られたんじゃ降参だよ」
「っで、どういう事なんッスか?」
「うんとね。この間の仲居間さん主催のライブがあったでしょ」
「あの、俺がブッ倒れた時のライブッスよね」
「そぉ、あの時のライブの後にね。私、実は、スカウトマンから個人的なオファーが来たのよ。勿論、私は、今のバンドが好きだし、君が血だらけに成って転がってたから、その話はロクに聞かずキッパリ断ったんだけど。そのスカウトってのがね、甚く私を気に入ったらしくて、実家の方までスカウトしに行ったのよ。……そしたら契約金に目が眩んだウチの馬鹿親が、私に一言の相談もなしに即契約。お陰で私は、バンドを辞めなきゃいけなくなったって始末なのよ」
「えぇっと……バンド辞めちゃうんですか?」
金かぁ……コリャまた、かなり深刻な問題だな。
その契約金ってのが、俺が、なんとか出来る範囲の金額なら良いがな……
「しょうがないじゃない。身内のしでかした過ちなんだから、身内で償うしかないじゃない。それに、さっきも言ったけど、あんな煮ても焼いても喰えない馬鹿親でも、私の親だからね」
「あの……一応、お聞きしますが、それって、幾らぐらいの契約金だったんですか?」
「それがねぇ。そこが最大の問題なんだよ。支払われた金額は、破格の100万ドル。だから、もぅ正直、どうしようにもないのよ」
「ひゃ100万ドルッスか……」
1997年の貨幣価値で100万ドルは、現在で言う約2億円……
幾ら俺が、他の奴より、少し金を持ってるとは言え、流石に、この金額は無理だな。
けど、嫌だが親父に相談したら……
「でね。契約を破棄する場合は、違約金として倍のお金を払わなきゃいけないのよ……だから、そんなお金、貧乏なウチが逆立ちしても払える訳ないじゃん。しかもね、ウチの馬鹿親、借金返済に、速攻で、その契約金を全部使っちゃったから、もぉお手上げ。信じられないでしょ」
があぁっ……違約金込みで4・4・4・4億か。
流石に、そんな金、親父に幾ら頼み込んでも、絶対、貸してくれねぇ金額だろうな。
けど、そんな事は言ってられない。
なんらかのダークな方法を使ってでも、なんとかその金を工面しなきゃな……
どうやら奈緒さん家には、もぉその金は1円たりとも残ってないみたいだし。
「ぜっ、0円って事ッスか……うぅ~~~」
「ほらぁ、君がそうなるから、この話するのは嫌だったんだよ」
「けど、奈緒さん、別に彼氏が居たって良いんじゃないんッスか?」
「それがね。そうもいかないのよ。契約上では『男禁止』なんだってさ。それすら違約金が発生するらしいのよ。だからね。なんとしても、君と別れなきゃいけなくなったのよ。まぁそんな訳で、君が本気だったと思えばこそ、あんな真似をした訳。……あれぐらいしないと、君は、簡単に諦めないでしょ」
「あぁああぁぁ~~~っ、もう八方塞だぁ。……いやいやいやいや、そんな弱音吐いてる場合じゃねぇつぅのな!!4億ッスね4億。高々4億程度で、奈緒さんの自由を奪われて堪るかよ」
「クラ……君、本気なの?4億だよ4億。私に、そんな価値なんてないって」
「有るんッス。俺にとっちゃあ、4億なんかより、よっぽど奈緒さんの方が価値があるッス。だから、金なんかの問題じゃないッスよ」
「もぉ、君嫌い……なんで、そんなに本気になってくれるのよ。私の気持ちがブレるじゃない」
いやいやいや、出来なくても、なんとかするしかないッス。
俺は、奈緒さんしかイラナイんッスから……それ以外の事なんざ知ったこっちゃねぇ。
「ってかね、クラ。そう言うの、ホントに辞め欲しいんだぁ」
「なんでッスか?なんで、そんな事を言うんッスか?このままじゃ奈緒さんが……」
「君の気持ちは嬉しいよ。けど、君が4億なんてお金払っちゃいけないんだよ。これは向井家の問題なんだから。それに私ね、実際この話は、そんなに悪い話じゃないとも思ってるのよ」
「へっ?」
「そりゃあさぁ、今まで通り、みんなと一緒にバンドが出来るなら、それに越した事は無いよ。クラとも一杯遊びたいしね。けどね。これって、所謂チャンスだと思わない?上手くさえ行けば、私が所属していたってだけでバンドには箔が付くし、そこに便乗したら売れるラインも作りやすい。結構、そう考えたら、良い事ずくめなんじゃない?」
「なんでッスか?そこに奈緒さんが居なきゃ、俺がバンドを続ける意味なんて、もうなんもないじゃないッスか」
「また、そう言う事を言う。……良いクラ?何事もモノは考え様だよ。今のバンドで君が頑張って、私の所まで追い駆けて来てくれたら良いじゃない。その方が、お互いの為ってもんじゃない?」
目に見えて無理してるよな。
けど……女の奈緒さんが、此処まで言ってるのに、男の俺が、いつまでもグジグジ言うのも変な話だ。
じゃあ、良いですよ。
アナタが、それを望むなら、俺も、その話に乗ります。
「わかりました。じゃあアナタの希望通り、一旦、奈緒さんとは別れます。けど、それは表面上だけでの話ですよ。奈緒さんは、一生、俺のもんなんッスから、勝手は許しませんよ」
「わかってくれたのクラ……ありがと」
「それと、今から奈緒さん家に行って、アナタを抱きます。契約日までに、奈緒さんと逢えない分のHを、全て埋めさせて貰います。良いですか?……勿論、拒否しても良いですよ」
「嫌な訳ないじゃん。君を忘れられなくなるぐらい、私を抱いて。それで私に君が愛した証を一杯頂戴」
「ははっ、精一杯努力します」
「うん。大好きだよクラ。やっぱり、君が一番好き♪」
こうして、俺と奈緒さんの最後の1週間が始まった。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて第三十七話【告白】は終了となります。
さてさて、それにしてもトンデモナイ展開に成ってきましたね。
2人に残された時間は、後たったの一週間。
この時間をどう過ごして行くのか……次回からは、此処をお楽しみください♪
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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