最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

213 不良さん、お互いに納得する

公開日時: 2021年9月7日(火) 00:21
更新日時: 2023年9月6日(水) 13:52
文字数:3,585

●前回のおさらい●


 奈緒さんの起こした奇行には、矢張り理由があった。


そして、その真相を知る為に倉津君は……

「っで、結局、どういう経緯なんッスか?」

「うぅ、それは言わない。言ったらクラ、絶対、自分でなんとかしようとするもん。そんな迷惑は、君にはかけれないもん」

「俺には迷惑掛けても良いんです。それに迷惑じゃないです」

「だって……」

「あのねぇ、奈緒さん」

「なに?」

「自分は、散々俺には『迷惑じゃない』って言うくせに、俺が言ったら『迷惑掛かる』って、どういう事ッスか?アンタ、実は、俺の事を馬鹿にしてるんッスか?」

「してないよ?なんで?」


もぉ……無自覚者は、これだから面倒なんだよな。

他人の事は良く見えてるくせに、自分の事になると、一気に全然見えなくなるんだもんな。


呆れるよ。



「あのねぇ、奈緒さん。俺はね、奈緒さんの為だったら、出来る限りの事はなんでもしてあげます。けど、奈緒さんが正直に言ってくれなかったら、俺は、何もする事が出来無い。そんな俺に、なんの価値があるんッスか?だから、正直に言って良いんですよ」

「やだ」

「『やだ』じゃないでしょう」

「ぶぅ」

「そんな頬っぺた膨らまして『ぶぅ』じゃないですよ、ホント」

「だってぇ」

「『だって』でもないです」

「もぉ、我儘だなぁ君は」


我儘は、アンタッスよアンタ。


まぁ、そんな可愛い奈緒さんも好きなんッスけどね。



「良いよ、良いよ、もぉわかったよぉ。じゃあ全部教えてあげるよ。けど、その代わりクラも、此処でオナニーしてよ。それでオアイコだもん。じゃなきゃ教えない」

「うぇ、それマジで言ってんッスか?」

「良いじゃない、それ位してくれたって……減るもんじゃなし」

「けど、此処、野外ッスよ」

「あっそ。君は、私の事が嫌いなんだね。良いよ、良いよもぉ。チンコ、パンパンに腫らしてるくせに」


この人だけは……



「あぁもう、わかったッスよ、やりゃあ良いんしょ、やりゃあ。あぁやってやりますよ。奈緒さんをオカズにして、思いっきり、この辺一帯にブチマケテやりますよ」


そう言って奈緒さんの前で、ズボンとパンツを下ろした。


もぉヤケクソだな。


って言うかな。

本音を言えば、俺は男だから、別に、こんな事位どうって事ないんだよな。


まぁそれにな。

奈緒さんは女の子なのに、俺の為に、あんな恥ずかしい事までしてくれたんだから、コッチとしても、それ以上の恥をかかなきゃ対等じゃないだろ。



「でかっ」


また、そうやって余計な事を言う。


標準ッス標準!!



「うるさいッス。オカズは、そこで大人しくしてろッス」

「オカズとか言われたし」

「うるさいッス。男のオナニーは、集中力が大事なんッスから」

「そう……なんだ。ごめん」

「見てろッス。俺の生き様を……奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん・奈緒さん……」

「ねぇねぇクラ、今触ったら、どうなるの?」


全然、話を聞いてねぇし……



「やめい」

「やだ」

「うっ!!」

「早っ!!」


・・・・・・


言って置くが、俺は、決して早くないぞ!!

奈緒さんが触ったから、早くなっただけだからな。


そこは、絶対勘違いしちゃいけないよ。



「うるさいッス。そんな事よりも、早く事情って奴を説明して下さい。俺、ちゃんと約束守りましたよ」

「はぁ~~~、もぉ、ホントにやるかなぁ……しょうがないか。約束守られたんじゃ降参だよ」

「っで、どういう事なんッスか?」

「うんとね。この間の仲居間さん主催のライブがあったでしょ」

「あの、俺がブッ倒れた時のライブッスよね」

「そぉ、あの時のライブの後にね。私、実は、スカウトマンから個人的なオファーが来たのよ。勿論、私は、今のバンドが好きだし、君が血だらけに成って転がってたから、その話はロクに聞かずキッパリ断ったんだけど。そのスカウトってのがね、甚く私を気に入ったらしくて、実家の方までスカウトしに行ったのよ。……そしたら契約金に目が眩んだウチの馬鹿親が、私に一言の相談もなしに即契約。お陰で私は、バンドを辞めなきゃいけなくなったって始末なのよ」

「えぇっと……バンド辞めちゃうんですか?」


金かぁ……コリャまた、かなり深刻な問題だな。


その契約金ってのが、俺が、なんとか出来る範囲の金額なら良いがな……



「しょうがないじゃない。身内のしでかした過ちなんだから、身内で償うしかないじゃない。それに、さっきも言ったけど、あんな煮ても焼いても喰えない馬鹿親でも、私の親だからね」

「あの……一応、お聞きしますが、それって、幾らぐらいの契約金だったんですか?」

「それがねぇ。そこが最大の問題なんだよ。支払われた金額は、破格の100万ドル。だから、もぅ正直、どうしようにもないのよ」

「ひゃ100万ドルッスか……」


1997年の貨幣価値で100万ドルは、現在で言う約2億円……

幾ら俺が、他の奴より、少し金を持ってるとは言え、流石に、この金額は無理だな。


けど、嫌だが親父に相談したら……



「でね。契約を破棄する場合は、違約金として倍のお金を払わなきゃいけないのよ……だから、そんなお金、貧乏なウチが逆立ちしても払える訳ないじゃん。しかもね、ウチの馬鹿親、借金返済に、速攻で、その契約金を全部使っちゃったから、もぉお手上げ。信じられないでしょ」


があぁっ……違約金込みで4・4・4・4億か。

流石に、そんな金、親父に幾ら頼み込んでも、絶対、貸してくれねぇ金額だろうな。


けど、そんな事は言ってられない。

なんらかのダークな方法を使ってでも、なんとかその金を工面しなきゃな……


どうやら奈緒さん家には、もぉその金は1円たりとも残ってないみたいだし。



「ぜっ、0円って事ッスか……うぅ~~~」

「ほらぁ、君がそうなるから、この話するのは嫌だったんだよ」

「けど、奈緒さん、別に彼氏が居たって良いんじゃないんッスか?」

「それがね。そうもいかないのよ。契約上では『男禁止』なんだってさ。それすら違約金が発生するらしいのよ。だからね。なんとしても、君と別れなきゃいけなくなったのよ。まぁそんな訳で、君が本気だったと思えばこそ、あんな真似をした訳。……あれぐらいしないと、君は、簡単に諦めないでしょ」

「あぁああぁぁ~~~っ、もう八方塞だぁ。……いやいやいやいや、そんな弱音吐いてる場合じゃねぇつぅのな!!4億ッスね4億。高々4億程度で、奈緒さんの自由を奪われて堪るかよ」

「クラ……君、本気なの?4億だよ4億。私に、そんな価値なんてないって」

「有るんッス。俺にとっちゃあ、4億なんかより、よっぽど奈緒さんの方が価値があるッス。だから、金なんかの問題じゃないッスよ」

「もぉ、君嫌い……なんで、そんなに本気になってくれるのよ。私の気持ちがブレるじゃない」


いやいやいや、出来なくても、なんとかするしかないッス。


俺は、奈緒さんしかイラナイんッスから……それ以外の事なんざ知ったこっちゃねぇ。



「ってかね、クラ。そう言うの、ホントに辞め欲しいんだぁ」

「なんでッスか?なんで、そんな事を言うんッスか?このままじゃ奈緒さんが……」

「君の気持ちは嬉しいよ。けど、君が4億なんてお金払っちゃいけないんだよ。これは向井家の問題なんだから。それに私ね、実際この話は、そんなに悪い話じゃないとも思ってるのよ」

「へっ?」

「そりゃあさぁ、今まで通り、みんなと一緒にバンドが出来るなら、それに越した事は無いよ。クラとも一杯遊びたいしね。けどね。これって、所謂チャンスだと思わない?上手くさえ行けば、私が所属していたってだけでバンドには箔が付くし、そこに便乗したら売れるラインも作りやすい。結構、そう考えたら、良い事ずくめなんじゃない?」

「なんでッスか?そこに奈緒さんが居なきゃ、俺がバンドを続ける意味なんて、もうなんもないじゃないッスか」

「また、そう言う事を言う。……良いクラ?何事もモノは考え様だよ。今のバンドで君が頑張って、私の所まで追い駆けて来てくれたら良いじゃない。その方が、お互いの為ってもんじゃない?」


目に見えて無理してるよな。


けど……女の奈緒さんが、此処まで言ってるのに、男の俺が、いつまでもグジグジ言うのも変な話だ。


じゃあ、良いですよ。

アナタが、それを望むなら、俺も、その話に乗ります。



「わかりました。じゃあアナタの希望通り、一旦、奈緒さんとは別れます。けど、それは表面上だけでの話ですよ。奈緒さんは、一生、俺のもんなんッスから、勝手は許しませんよ」

「わかってくれたのクラ……ありがと」

「それと、今から奈緒さん家に行って、アナタを抱きます。契約日までに、奈緒さんと逢えない分のHを、全て埋めさせて貰います。良いですか?……勿論、拒否しても良いですよ」

「嫌な訳ないじゃん。君を忘れられなくなるぐらい、私を抱いて。それで私に君が愛した証を一杯頂戴」

「ははっ、精一杯努力します」

「うん。大好きだよクラ。やっぱり、君が一番好き♪」




こうして、俺と奈緒さんの最後の1週間が始まった。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

これにて第三十七話【告白】は終了となります。


さてさて、それにしてもトンデモナイ展開に成ってきましたね。


2人に残された時間は、後たったの一週間。

この時間をどう過ごして行くのか……次回からは、此処をお楽しみください♪


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート