最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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196 不良さん、懸念していた引き金を引かれる

公開日時: 2021年8月21日(土) 00:21
更新日時: 2022年12月4日(日) 14:48
文字数:4,497

●前回までのあらすじ●


 2バンドの方向性が徐々に決まり、スケジュールをほぼ管理される事が決定した倉津君。

少々トホホな気分に成りながらも3人の話を聞いていたが、何故か不穏な空気が流れる話に成って行く。


女性3人を相手に、この悪い流れを断ち切れるか!!

「じゃあ、辞めちゃうアリス?」

「辞める?うぅん、辞めませんよ。僕は、これでも本気なんですよ。『真琴君が好き』って気持ちに嘘付いたら、絶対、後悔しちゃいますからね。僕は、なにが有っても辞めませんよ」

「そっ。ヤッパリ、君も怖い子だね」

「僕、そんなに怖いですか?それって、ストーカーっぽいって意味で、怖いって言ってるんですか?」

「違う違う。こんな可愛い子をストーカーなんて言う奴なんていないよ。ストーカーって言うのはね。もっとこぉ、気持ち悪い奴だけに当て嵌める言葉なの。心配しなくても、君は、それには当て嵌まらないよ」

「……それ、違いますよ、向井さん。もし、誰か1人でも、僕の事を気持ち悪いと思ったら、それはもぉ立派なストーカーなんですよ」

「うん?誰かに、そんな事を言われたの?」

「いえ、誰にも言われてませんが……僕、真琴君にとったら鬱陶しい存在なのかなって思って」


そう言って、素直を俺の方をチラッと見た。

そして奈緒さんも、これを察して、俺の方を向く。


これは明らかに、2人が、俺に解答を求めている様子だ。


しかし、これは、かなりデリケートな問題だな。

下手な事を言ってしまえば、また余計な問題が発生する可能性がある。


本当に微妙な質問だ。


だが、逆に言えば……これは、バンド内の歪な関係をハッキリさせる、チャンスとも取れなくはない。


だから俺は……



「正直に言って良いか?」

「あっ、はい」

「ちょクラ」

「俺は、オマエに感謝する事は多々有っても、1度たりとも鬱陶しいなんて思った事はねぇぞ」

「本当……ですか?真琴君、本当に、僕の事を嫌ってないですか?」

「嫌う訳ないだろ。第一オマエを嫌う理由なんて何所にあんだよ?顔も可愛いし、一緒に居て楽しいしよ」

「良かったぁ。僕、ズッと嫌われてるのかと思ってたから……」


喜んでくれるは良いんだが……そうなると、此処からは、少し話し難いな。


けど『正直に言う』って決めた以上、そうもイカネェか。



「……けど、勘違いするなよ。俺は、オマエを『友達』としか見ていない現状は、なにも変わらない。それは、ステラに関しても同じだ。絶対に『友達』の域を越える事は無い。此処だけはハッキリさせて置くからな」

「・・・・・・」

「やけに、ハッキリ言ってくれますね」

「悪いなステラ。以前、これとよく似たケースで、奈緒さんには散々嫌な想いをさせたからな。もぉそう言うの懲り懲りなんだよ。だからハッキリ言う『浮ついた気持ち』にはならない……それと奈緒さん……いや、奈緒。オマエに、少しだけ言っておきたい事がある」

「えっ?はっ、はい、なっ、なに?」


奈緒さんは、突然『さん付け』を辞めた俺に驚いて、キョトンとしている。


まぁ、あれだけ俺が拒絶してた呼び捨てを、急にされたんじゃ驚くわな。


それと奈緒さん、驚いてる所に悪いんだけど、ちょっと泥被って貰いますよ。

さっきも言ったけど、バンド内でのゴタゴタは、もぉホント懲り懲りなんでね。


そろそろ、その辺をキッチリと精算すべきだと思うんですが……如何ッスか?



「奈緒……オマエ、調子に乗るのも大概にしろよ」

「えっ?えっ?クラ?」

「『クラ?』じゃねぇだろ。俺が、幾らオマエにしか向かないからって、他人を無駄なぐらい煽ってんじゃねぇぞ。それとなぁ、前からズッと気に入らなかったんだけどなぁ。なんだよ、その『俺を賭けたゲーム』みたいな奴。フザケてんのか?幾ら、俺がオマエのモノだからって、勝手が過ぎんだろ。気分悪いんだよ。そう言うの」

「わっ、私……そう言うつもりじゃ」


あぁ、大丈夫ッスよ。

俺だって、奈緒さんの本心ぐらい十分承知してるッスよ。


けど、あれなんッスよ。

その考えだと、いつまで経っても素直が幸せになれないんッスよ。


だから、もう少しだけ泥を被って下さい。


必ず、後で、このご恩には報いますから……


ごめんな奈緒さん、いつも、損な役回りばっかりさせて……



「なにが『そう言うつもりじゃ』だ。素直にも、ステラにも、そんなチャンスなんか微塵も無いのが解ってるくせに、如何にも有る様な事を言ってんじゃねぇぞ。テメェは、そんなに優越感に浸りたいのか?」

「違ッ……えっ、だって」

「『だって』も、へったくれねぇんだよ。オマエのやってる行為は、そう言う事なんだよ。大体、それ以前に、俺は『オマエ以外は、絶対に好きにならない』って散々言ってんじゃねぇか。バンドを想って色々やるのは大いに結構だがな。これだけは、どうしても気にイラネェ。だから、二度とやんな!!良いな奈緒、二度とだぞ!!」

「クラ……ごめん。嫌な想いさせて、ごめんなさい」

「わかってくれたッスか?……じゃあ、もぉ終わった事ッスから、良いッスよ奈緒さん」

「えっ?あっ、うん」


この一言で、奈緒さんは、俺の真意に気付いた筈だ。


勘が良いと言うより、奈緒さんの場合は、俺の心理を読むのが上手いからな。

多分、これで全て解ってくれてる筈だ。


さて、そうなると、ネクスト・ターゲットは素直だ。



「っで、素直。……これが、なにも隠さない俺の本心な訳だが。オマエは、これを聞いて、どうするつもりなんだ?」

「真琴君……1つ聞いて良いですか?」

「なんだよ?」

「金輪際、絶対に、僕の事を好きになる事は無いんですか?」

「フラフラするのは嫌だからな。敢えて断言する……悪いが、その気は微塵も無い」

「僕が、バンド辞めるって言ってもですか?」


そっか……それを引き合いに出しちまうか。


そらそうだよな。


どうやら、この様子から言って、素直の本気って言うのは、奈緒さんや、俺が考えるものよりズッと真面目で真摯なものだった様だ。


他人の感覚を理解するのは、難しいと思わざるを得ないな。


しかし、まいったな。

俺にとっちゃあ、これは、全くの予想外の展開だ。


そんな風に、少し脳味噌が思考の迷宮を彷徨うが、直ぐ様持ち直した。

黙ってても埒が明かないのも明白だからだ。


だから俺は、再び、素直に向って言葉を投げ掛ける。



「悪いが無いな」

「じゃあ、真琴君は、僕のなにが気に入らないんですか?『顔』ですか?『性格』ですか?……真琴君の気に入らない部分を、全部治しても、僕じゃダメですか?」

「直す必要なんかねぇよ。オマエは、誰が見ても『顔』も『性格』も良い。だから、変な事を考えずに、オマエは、オマエで有り続けりゃ良いんだよ」

「どうして、そんな事を言うんですか?一番好きな人が、この顔も、性格も気に入らなかったら、そんなの全部、なんの意味も無いじゃないですか。僕は、真琴君に好きになって欲しいのに。今になって、そんな言い方……ズルイ」

「けど、仕方ないだろ。オマエは、どうやっても奈緒さんにはなれない。素直は素直だろ」

「だったら!!どうして最初から、もっと突き放してくれなかったの?なんで変に期待なんか持たせるの?真琴君も、向井さんも最低だよ!!本当にズルイよ!!」


・・・・・・


なにも言葉が出ないな。

素直の言葉通り、俺は無意識の内に、彼女に変な期待を与えていたらしい。


悪意とかは勿論無かったが。

知らぬ間に、そう思わせてしまったのだから、これは良い悪いの問題じゃ無く、そう捉えられた以上、答えはそうでしかない。

幾ら言い訳しても、そんなものは、なんの意味も持たないしな。


俺は、正直、どうして良いか解らなかった。


そんな中、奈緒さんが口を開き始めた。

恐らく、さっきの事もあって、かなり責任を感じたのだろう。



「アリス……」

「向井さん……こんな時に、アリスって呼ばないで下さい。私は、有野素直であって、そんな架空の人物じゃないですから」

「ごっ、ごめんね、素直。これは、私が撒いた種……クラは、なにも悪くないんだよ」

「どうしてアナタが謝るんですか?向井さんが良かれと思った事に、私がまんまと引っ掛っただけなんですから。向井さんは、なにも悪くないじゃないですか」

「あっ……そうじゃなくて」

「……けど、騙すんなら騙すで、せめて最後まで上手く騙し通して下さい。私、向井さんの事も大好きだったのに……これでも本当は、こんな最後なんて望んでなかったんですよ。どこかで私は、真琴君には、向井さんが相応しいと納得したかった。……でも、もぉそんなの無理、2人共、卑怯だし大嫌い!!」

「じゃあ、どうすりゃ良いんだよ?オマエは、どうすりゃ納得するんだよ?」

「別れて……今まで、私を密かに笑って楽しんだ分、一杯苦しんでくれなきゃ、納得出来無いです」


無茶苦茶だ。



「それで君は納得が行くの?……だったら私、クラと別れても良いよ」

「えっ?」

「なっ、奈緒さん!!何を言うんッスか」


この発言で、事は、更にややこしいくなったな。

変に奈緒さんが、こう言ってしまった以上、素直も簡単には引けなくなってしまったからだ。


この後、絶対に、別れ話になっていくだろう。


だが、俺は、そんなのは、誰がなんと言おうとお断りだ。

幾ら俺が、素直を傷付けたからと言って、そこまでする義理は無い。


それに第一、奈緒さんの場合は、素直に対して悪意を持って、こんな事をした訳じゃない。


だから……俺は、こんな話じゃあ、一切合切納得出来無い。


出来る筈がない。



「私とクラが別れたら、素直が納得するって言うなら、この状況、別れるべきなんだろうね」


『パシッ~ン!!』


そう言った瞬間、奈緒さんの頬を平手が叩いた。



「えっ?」

「アナタ方の面白くも無い茶番は、いい加減見飽きました。もぉそろそろ辞めにしたらどうですか?なにが『私達が別れたら良い』ですか?そんなもの、なんの意味もないじゃないですか。向井さん、アナタ、そんな事も解らない程、低脳な方なんですか?自分に酔うのも程々にして下さいね」


奈緒さんを叩いたのは、意外にもステラだった。



「でも、それじゃあ、素直が納得……」

「アナタ……本当に救い様が無い低脳なんですね。他人がどうこう言ったら、直ぐに別れる程度にしか真琴の事を好きじゃないんですか?アナタのやってる事は支離滅裂なんですよ」

「けど、元を正せば、私が悪いんだから仕方がないじゃない。どんな事があっても、人を傷付ける様な真似はしちゃイケナイんだから」

「今更ですか?今更そんな偽善行為をやって納得なんですね。アナタは、なにも解ってない」

「なにが、わかってないって言うのよ?」

「まずにして、アナタにしか、このポンコツ真琴は操縦出来無い。こんなポンコツの産業廃棄物。誰にでも操縦出来る様な高性能なモノじゃないんですよ」

「けど、それじゃあ」

「わからない人ですね。真琴の事が本気で好きなんだったら、他人を排除してでも自分のモノにするべきじゃないんですか?仲良し子良しじゃ、欲しいモノは、なにも手に入りませんからよ。……それに大切なのは、それを手に入れた後。頑張って手に入れたモノを、そう簡単に手放しちゃイケナイ……そうじゃないんですか?」

「・・・・・・」


ステラは、奈緒さんの気持ちを考えた上での説教をして、彼女を宥めた。


コイツ、人に対して冷たい感じがあるが、意外と熱い。


そうやって奈緒さんに説教終えると、奈緒さんは一旦放置。

更に、今度は素直の方に行って……


『パシッ~ン!!』

っと、奈緒さん同様、素直の頬を叩く。


マジか……


最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


ややこしい話に転がりはしましたが、なんとかステラさんがフォローしてくれたみたいですね。


一見すれば、ただの口の悪い、冷血な女性に見えるのですが。

彼女がこういう態度を取り続けるのには、それ、相応の理由があったりします。


その辺も後々語っていきたいと思いますので、楽しみにしてください(*'ω'*)


さてそんな中、次回は。

そんなステラさんが、今度は素直ちゃんを宥める様ですね。


どうやって宥めるのかは、次回の講釈。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)

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