最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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414 あそこか?それともあっちか?

公開日時: 2022年3月27日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月29日(木) 21:17
文字数:2,024

●前回のおさらい●


 自身の口で浮気の自白をしては見たものの、奈緒さんは一切怒る気配はない。

そんな彼女の心境が解らずに混乱する中、奈緒さんの声以外の奇妙な音が電話口から聞こえて来た。


それは、話し途中で、彼女の携帯のバッテリが切れる音。


その音に、異常な程焦る倉津君だったが。

そんな倉津君に奈緒さんは『今から、君との思い出の場所で待ってるから、私に対する愛情があるなら見付けてごらん』っと言う言葉と共に、携帯の通話が切れる。


その言葉を聞いて、慌てて横浜に向かった倉津君だった。

 ……っで。

俺が、まず最初に目を付けたのは、ライブ・ハウスの『Live-oN』だ。

奈緒さんと一緒に同じステージに上がって、楽器を演奏した楽しい思い出が沢山詰まった場所だ。


だから、此処の可能性は高いと考えられる。


けど、不幸な事に今日は休みの前日。

店内では、当然の如く、どこかのバンドのライブが行なわれており、人でごった返している。

しかも、ステージで演奏してるのがバンドが結構な人気バンドなのかして、店内を一見しただけで、この中から一人一人の人間を確認して奈緒さんを探すなんて無理難題。


アッサリ、そう判断出来る程の混雑した状況だった。


故に、一旦、ライブステージ側から退き、出入り口まで戻る。

そこで、ドア係をしている知り合いのスタッフのにぃちゃんに話を聞いてみる事にした。


この辺は効率的にいかねぇとな。



「オッ~~~ス」

「よぉ。誰かと思ったら、久しぶりだな。なんだなんだ?今日は珍しく観客で来たのか?」

「いやいや、実は、そうじゃねぇんだよ。今日はな、ちょっと人探しをしてる方向なんだよ」

「人探しなぁ。誰を探してるんだ?俺の知ってる奴か?」

「奈緒さん」

「ぶっ!!アホか!!来てねぇよ」

「絶対だな。マジだな。ホントだな」

「あぁ、絶対に間違いないな。つぅか、大体にして俺が、奈緒ちゃんを見間違うかよ。ドンだけ付き合い長いと思ってんだよ」

「あぁ、だよなぁ~~~。そうだよなぁ~~」


ハイ……『スカ』


気を取り直して、次、行ってみよう!!


***


 次に、足早に向ったのは……ライブハウスから10分程歩いた所にある、お馴染みの『練習スタジオ』

下手したら奈緒さんと俺が、外出先で一番長い時間を過ごした場所かも知れない場所だ。


故にだ、さっきのライブハウスより、此処の方が、可能性としては数段上だ!!


俺は店に中に入るなり、挨拶もなしに、これまた顔馴染みの店員に声を掛けた。



「悪ぃ。奈緒さん来てるか?」

「いきなり来てなんだよ?奈緒ちゃんなら、当然、来てねぇよ!!来てる訳ねぇだろ」

「だよな」

「あぁ、けど、今日じゃねぇけど。この間なら、ひょこっと顔出してたぞ」

「誰とぉ?」

「いや、見た感じ。俺は1度も見た事の無い面の男だったなぁ」


なんだ?


誰だ?


・・・・・・


いやいや、今の時点で、そんな関係のない奴の事を深く詮索してる場合じゃないな。

そんな事より、まずは奈緒さんを見付けだして、彼女の身柄を確保するのが最優先事項だ。


それにある意味、奈緒さんさえ見付かってしまえば、その時の話は、後でも、ゆっくり聞く事も出来るからな。


まずは発見する事が、一番大事だ。



「あぁそうか。まぁまぁ取り敢えず、その件は良いや。それと、急に変な事を聞いて悪かったな。またコッチに来たら、2人で顔出すわ」

「おぅ。デートばっかしてないで、偶には2人で演奏しに来いよな」

「おぅともよ。その辺は奈緒さんに交渉しとくわ」

「おっ、じゃあなぁ」


話が少しだが弾んで、機嫌良く、店の外に出ては来たものの。


此処も結局はハズレだったかぁ……

結構、此処が最有望株だと思っただけに少々ダメージがデカイ。


まぁ良い、まぁ良い。

今はそんな余計な事をゴチャゴチャ考えずに、こうやったら次だ次!!


***


 この後。

『感じの良い店員が居る楽器屋』 :(閉店済み。次回のご来店をお持ちしてます状態)

『アホ高校生不良に絡まれたモス』:(ラスト・オーダータイム。店内を見回すが居らず)

『練習前に行く寄っていたMac』:(2・3階を見回したが、奈緒さんは発見出来ず)

この3店を急ぎ足で廻ってみたのだが、見ての通り、どこにも奈緒さんの姿は無く、無駄な時間だけを経過させる羽目になった。

後、序に、この時点で『国見のオッサン』にも連絡したが……当然の如く『来てない』との事だった。


しかし、まいったなぁ。

此処まで不発ばっかり食らうとは、夢にも思わなかった。


奈緒さんと一緒に行った事の有る場所なんて、横浜じゃ、結構、限定されてるんだけどなぁ。


これ以外となると、一体どこが残ってるって言うんだ?


ホント、奈緒さんはどこに行ったんだ?


・・・・・・


……うん!!( ゚д゚)ハッ!


いやいや、ちょっと待てよ。

奈緒さんが電話を切る際に、矢鱈と『とある思い出の場所』って言うのと『待ってる』って言うのを、無駄なまでに強調してた様な気がしないでもないな。


……って事は、なにか?


その2つの条件に見合う場所と言えば……


『!!』


アッ!!あぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ~~~!!あっ、あの人、まさか!!

あんな人通りの多い、一番目立つ所で堂々と俺を待ってんじゃねぇだろうな!!


いやいや、普通の芸能人なら絶対に有り得ない待ち合わせ場所なんだが……待ってるのが奈緒さんなだけに、有り得なくもないな。


ヤッ、ヤバイ!!

もし俺の勘が的中してるなら、トンデモナイ事に成っちまってるかも知れねぇ!!


こっ、これは、とっ、兎に角、行くだけでも行ってみよ。


今はもぅ、そこしか、俺には思いつかねぇし……


これが奈緒さんを探す上で最後の希望だ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


奈緒さん……見付かりませんね(笑)


いやまぁ、ある程度考えたら解る様な答えなのですが。

行く当てが無くなって、漸く、なにか思い付いたようですが、本当にそこであっているのか?


それは次回の講釈。

良かったらまた遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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