●前回のおさらい●
フリマでの商品を完売した真上さんと出店を回っていると……岡田君と言う真上さんの同級生らしき人物と遭遇した。
そして……
「久しぶりだな真上。元気にしてたか?」
「あっ、はい、お陰様で」
「そうか、そうか、そりゃあ良かった。けど、元気にしてるんだったら。気が向いた時だけでも良いから、偶には学校にも顔を出せよ」
「そっ、そうですね。機会が有りましたら、また……」
あれ?
なんだこれ?
なんかコイツの言うセリフには、妙な言葉が混じってるな。
ってか『フリースクール』に通ってる筈の真上さんが、なんで、コイツに久しぶりに逢うなんて事になるんだ?
この爽やか野郎の言い分だと、まるで『学校には全然通っていない』みたいな言い方をしてるじゃねぇかよ。
それって……コイツが、最近、どこかに転校でもしてきた、って事なのか?
もし、そうじゃないんなら、真上さんの通ってる『フリースクール』ってなんなんだろうな?
以前から、この『フリースクール』って物自体が、俺にとっちゃあ、全くもって不確定なものだから、どうにも話が見えない。
よく解らない現状だな。
「その様子じゃ。まだ、あの事を気にしてるんだな」
「あっ……」
「あれは、元々、真上の責任じゃないんだし、俺にも責任は有った。だから、もうそろそろ、気にしなくて良いんじゃないか?」
「ですが。……幾ら不測の事態だったとは言え。岡田君の身に起こった事は、なにも偶然ではないんです。結局、私がハッキリしなかったのが原因ですから……」
「そんなに自分を追い込むなよ。ほらほら、俺の刺された傷も綺麗に治ったし。本当に、もう良いんじゃないか?」
「あっ……はい」
真上さんは、納得出来無い表情のまま、完全に俯いてしまった。
それにしても『刺し傷』ってなんだ?
・・・・・・
あっ!!ひょっとしてコイツって、山中の言っていた『中学生同士の刃傷事件』の被害者なんじゃないのか?
だったら、この話自体の辻褄が合うな。
あんな事件があったから、お互いが、学校で顔を合わし難くくなる。
そうすりゃあ、自然に『久しぶり』って言葉が出るからな。
……けど、そうなると、なんで『偶には学校に来いよ』なんて言葉が出るんだ?
矢張り『フリースクール』が話の鍵か。
「それにオマエ、学校での勉強も遅れてるんじゃないのか?」
「あぁっと、それは、一応ですが大丈夫なんです。フリースクールで、解らない所は、勉強してますので」
「ちょ!!なんでオマエが、そんな引き篭もり共の逃げ場所に行ってるんだよ。そんな所になんか行かず。ちゃんと学校に来いよ。俺が守ってやるからさぁ」
そうか!!
フリースクールってのは、そう言う場所だったんだな!!
『フリースクール』ってのは、色々な諸事情があって、学校に行けなくなった人間が集う場所か。
なるほどなぁ。
これで、全ての辻褄が合ったな。
真上さんは、幾つかの事件に巻き込まれて、学校に行ける状態じゃなくなった。
それで仕方なく『フリースクール』に通って、勉強だけは遅れない様にしていたって事か。
この人、俺が思っていたよりも、心にズッと深い傷を負ってたんだな。
「いえ、これ以上、岡田君にご迷惑は掛けられませんよ。それに私には、そんな資格は有りませんので」
「資格とか関係ないだろ。俺は真上に、もう1度学校に来て欲しい。だから……」
「ですが……」
「なぁ、アンタ。無理強いは良くねぇぞ」
「誰だ、オマエ?」
いや、話してるこの二人の話に入る気は微塵もなかったんだがな。
この岡田って奴。
見るからに、かなり頭に血が登り始めて、少々ムキになっている様に見えるんだよな。
その証拠に、最初の爽やかな感じが、真上さんと話してる内に段々感じなくなって来たからな。
多分、真上さんを想っての事なんだろうが、既に、干渉の域を超えているとしか思えない。
みんなが言う、真上さんの『魔性』に掛かって『独占欲』を全開に出してる状態だ。
故にだ。
悪いとは思ったが、真上さんの身を案じて、話に入ったって訳だ。
「あぁ、俺か?俺は、真上さんの『ただの友達』だ」
「『ただの友達』だと?本当にそうなのか?本当は真上の彼氏なんじゃないのか?」
「あのなぁ。ちょっとは冷静になれよ、岡田君とやら。俺みたいな与太公が、真上さんの彼氏な訳ねぇだろ。……それによぉ。俺には、ちゃんと彼女が居るんだよ」
「そっ、そうか。……早計な事を言って、すまなかったな」
俺が彼女が居る事を知って、少しはクールダウンしたみたいだな。
けど、この話を続けるのは良くねぇな。
真上さんが、また全てを自分のせいにして、完全に塞ぎこんじまってるからな。
上手くフォローしてあげないとな。
「あぁ、良い良い。そんな事よりよぉ。真上さんの事は、もぅ放って置いてやったらどうだ?そうやって、オマエが親切にすればする程、彼女は傷付くだけだぞ」
「なんでだ?」
「ハァ~~~、良いか?自分で納得出来てない事を、他人にとやかく言われても、実際は迷惑なだけなんだよ。こう言う事はな。自分で納得出来る解答を出してこそ解決するんだよ」
「だが、それでは真上は、いつまで経っても……」
「だから、そうじゃないんだって。それにな。真上さんは、オマエが思ってるより強い人間だよ。だから、本当に真上さんの事を心配するなら『信じて待ってやれ』よ。いつか納得出来る日が来る筈だからよ」
「・・・・・・」
ふぅ、仲居間流・裏奥義『信じて待ってやれ』
男なら、この言葉を聞かされて納得出来無い奴は居ない。
それにコイツも、お節介を焼き過ぎてる自分に気付いてる筈だからな。
まぁ、今の段階で、この爽やか君に言える事は『何事も、行き過ぎはダメだ』って事だな。
(↑仲居間流を使ったからギリギリセーフなのに偉そうな俺)
「ほらよ。変な所で黙ってねぇで、真上さんになんか1言いってやれよ」
「あぁ、そっ、そうだな……真上……」
「あっ、はい」
「急に色々無理な事を言って、ごめんな。けどな、早く学校に戻って来て欲しいってのは、俺の本心だから。真上も頑張ってみてくれな」
「あっ、はい。私も、ご期待に沿える様に、出来る限り努力してみます」
「そうだな。じっくりでも良いから、前を向いてくれ。……あぁっと、じゃ、じゃあ、俺、そろそろ行くな。またな」
「はい……また」
「アンタも、またな。しっかり、真上のサポートしてやってくれな」
「あっ、あぁ」
うん、岡田って奴、随分、物分りが良いじゃないか。
中々見所のある奴だし、真上さんに狂ってなかったらきっと良い奴だな。
悪くない。
「あれ?そこに居るのって真上じゃない」
「青山さん……」
なんだ?
爽やか君が去ったと思ったら、今度は真上さんと同じ中学校の女子か?
まぁまぁ、今、話し掛けて来た子を筆頭に、女子達は2人程居るんだが。
女子なら、さっきの岡田みたいな事にはならないだろうから、少しは安心だな。
なんせ、真上さんの魅力ってのは、男子に大きく影響を及ぼすものだからな。
それに、こんなに気軽に話し掛けるなら、友達の可能性が高い。
なら、由佳や、伊藤同様『嫉妬する』線も薄いだろう。
ただ1点だけ気になる事が有るとすればだな。
女子達が、何故か、矢鱈と俺の方をチラチラ見てる事なんだよな。
それってひょっとして……俺の人相が余りにも悪いから、真上さんって言う人物とのギャップが有り過ぎてチラチラ見られてるのかな?
もしそうなら……リアル過ぎて悲しいです(´;ω;`)ブワッ
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
今回のお話って、実は結構、酷い話でしてね。
何の罪もない真上さんが、学校中から非難を浴びる事に成り。
まるで加害所の様に扱われ、学校に行きにくくなって、フリースクールに通う事に成ったんですよね。
人間って、真実が解っていても、捻じ曲げたくなる生き物。
その中でも恐らく、男子受けの良い真上さんを嫌ってる『女子は多い』はず。
この意味をご理解頂ければ、後の展開が少し見えて来るかもしれませんよ。
さてさて、そんな中。
真上さんと同じ学校の女子生徒に逢った倉津君達。
一体、この後、どうなって行くんでしょうね?
それはまた次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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