最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第三十四話 悪夢を運ぶ者

183 不良さん、病院でボケ~~~っと考える

公開日時: 2021年8月8日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月3日(土) 20:59
文字数:2,067

第三十四話『悪夢を運ぶ者』が始めるよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 034【悪夢を運ぶ者】


 ふと……目覚めた俺は、そこが何所なのかすら、全くわからなかった。


なんとな~~~くだが、唯一解る事があるとすれば。

そんなぼんやりとした頭で、ベッドの上で寝転がっている事ぐらいだ。


そんな俺は、意味も無く、視界に入ってくる真っ白な天井を眺めていた。


特に何かをする気には成らない。


あぁ、どうにも、こりゃあイカンな……血が多く抜け出し過ぎたらしくて、頭も、体もハッキリしないらしい。


なにもかもが倦怠感に包まれてて、ボケ~~~っとしてままだ。


そんなぼやけた頭を、軽く左右に振りながら。

自分の置かれた現状を把握する為に、まずは自分が何所に居るのか確認し始める。


だが、視界に入って来るものと言えば、どれもこれもボヤケタ景色ばかり。


この状況から判る事と言えば。

まだ自分の中の血が上手く体に巡り切っていない事と、ライブ中に倒れて病院に運ばれたって事ぐらいだ。


それを思わせる要因が、俺の左腕に『とある』物がシッカリとブッ刺さっている。


その違和感の主とは……恐らく、医者の指示で打たれた『輸血用の点滴』か『栄養剤の点滴』


きっと血が抜け過ぎた為に、応急処置で点滴が刺されたのだろう。

そして、これが刺さっているだけで、此処が病院だと言う事だけはハッキリとわかる。


……にしても、情けねぇ姿を晒したもんだな。

高々ライブ中に刺されたナイフを抜いただけで、この体たらくとは。

思わず、自分の余りにも情けないこの状況に、天井を見ながら苦笑いを浮かべた。


その上、俺がこの様子だと、相当な量の血液が、あのステージにバラ撒かれたんだろうな。

突き刺さったナイフを引き抜いて、そのまま演奏するなんて、かなり無茶な事をしたから、ステージは血だらけ。


ライブのスタッフ……掃除、大変だったろうな。


そう考えると、俺って、本当に迷惑この上ないベーシストだよな。


ただ、そう思う反面、俺は、いつも通り、ライブ中の記憶が殆どない。

特にナイフを抜き去って以降の演奏は、完全に頭が真っ白。


血の抜け過ぎで、意識の混濁なんかもあっただろうし。

それ以前に俺は、演奏に集中し過ぎると前後不覚になる。


これだけの要因が重なったんじゃ、どうにも思い出し様が無い。


まぁ微かに残っている記憶を辿って、言える事が有るとすれば……

あの後、俺は出血しているにも拘らず、ステージ内を縦横無尽に暴れまくり、何度も客席に向ってダイブも敢行した……様な気がしないでもない。


矢張り、記憶は、どこまでいっても曖昧だがな。


ただなぁ、もしこの記憶が真実なら、俺は、相当な馬鹿だな。

ライブを盛り上げる為とは言え、血達磨に成りながら客席に向かってダイブするなんぞ、正気の沙汰じゃねぇよな。


無茶苦茶するにも程がある。

テンション上がり過ぎだつぅ~の!!


少しは自重しろよな……俺!!


まぁやっちまったもんを、今更、取り繕えるもんじゃないがな。


さてさて、今の俺の現状も、大体、頭の整理はついたし、ぼやけていた視界も、漸く広がり始めた。


まだ、体を動かすのは億劫だが、そろそろ行動に移すか。


こんな所でボサッとしてても埒が明かねぇからな。



回復力に定評のある俺は、ゆっくりと体を起こして、もう1度周りを見渡す事にした。


予想通り、此処は、まぁどこにでも有る病院の一室だな。

特に変わった様子は、どこにも見受けられない、至って普通の病室だ。


ただ、敢えて違いを言うとしたら、大人数が居る大部屋じゃなくて『個室』って事ぐらいだな。


何所の誰が、此処に入れたのかは知らないが、また無駄な金を使ったもんだ。

俺なんかだったら、それこそ『ガレージ』に何日間か放って置いても死にゃしないのにな。


そんな自分に、再び、苦笑いをした。



『ガチャ』


そんな折、扉が開いた。


どうやら誰かが、見舞いにやって来てくれたみたいだ。



普通に考えれば、親か、バンドのメンバーなんだろうが……親の線は薄い。

何故なら、我が愛すべき糞親父の仕事は、一般人が思う以上にバタバタしていて忙しい。

ヤクザ稼業って奴は『取立て』『財形』『融資』『回収』等の仕事を個人業として承ってるから、普段からやる事が満載で、結構、多忙を極めている筈だからな。

更に、組長クラスになれば、年がら年中『会合』だの『食事会』だので、家に居る暇さえも殆ど無い程だ。

どこかの『漫画』や『ドラマ』みたいに、呑気に組員が事務所に滞在してる組なんて、実際は有り得ない。


例え、居たとしても2~3人が良い所だ。

もしそれ以上居る様なヤクザの事務所なら、相当、時勢に取り残された間抜けな組か、不況を感じていないボンクラな組ぐらいのもんだ。


それ程、昨今のヤクザ稼業は忙しい。

ほぼ「、そこら辺の企業と、なんら変わらないぐらいだ。


だから、俺なんぞに構ってる暇は無い。


序に言えばな。

義母の友美さんも、いつも何かにつけて忙しそうにしているから、多分、此処には来ない。


……っと、まぁそんな訳でだ。

家の者じゃないと言う事は、ほぼバンドのメンバーの誰かって事だ。


勿論、俺としては、奈緒さん希望と言う事で……



「あっ……真琴君、気が付いたんですね?」


素直だった(笑)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


結局、ライブで血を流して、病院送りに成ったみたいですね。


アホですね。


そんな倉津君の元に訪ねて来た素直ちゃん。

果たして、彼女が悪夢を運ぶ者に成るのか?


それは次回の講釈。


また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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