最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

742 崇秀推薦の店

公開日時: 2023年2月18日(土) 00:21
文字数:2,543

●前回のおさらい●


 まだ日本に帰らず、奈緒さんのツアーに同行している眞子なのだが。

自身はツアーメンバーから外されているので、ライブの鑑賞は楽しめても、イマイチ退屈な状態。


そんな折、ホランドさんと遭遇した眞子は、彼にドライブに連れて行って貰う事に成ったのだが。


さてさて、その行き先とは?

「あの~~~、ホランドさん」

「うん?なんだ?」

「あのですね。突然なんですが、今、行きたい所が思い付いたのですけど、良かったら、そこに連れて行って貰えますか?」

「あぁ、眞子が行きたい所なら、何所でも構わないが。それで君は、何所に行きたいんだ?」

「あぁ、はい。住所は此処なんですけど。これだけで場所は解りますか?」


崇秀に貰ったメモを渡すと。

ホランドさんは少しだけ悩んだ表情を浮かべて、こう言って来た。



「あぁ、少し遠いみたいだな。……まぁ良い。この程度の距離、車で行くなら、さして問題はないだろうから、取り敢えずは行ってみよう。だが眞子、その住所には、一体、なにがあるんだ?」


あっ、言ってないや。



「あぁ、あの、その場所には、どうやら『崇秀お薦めの楽器屋さん』が在るらしいんですよ。それでですね。そこの職人さんの腕が凄く良いので、1度『79 Sting -rayちゃんを調整して貰え』って言われてるんですよ」

「なに?仲居間さんが、お薦めの店だと?……そうか。それは中々興味深いな。では、どうせなら私もギターを持って行くとするか」

「あぁ、そうですね。崇秀がお薦めするなら相当な腕前だと思いますしね。基本的に崇秀は、自分のギターを、他人に触られる事を異常に嫌がりますからね」

「なら、尚更、私も持って行くべきだな。丁度、1度調整して貰おうと思っていた『秘蔵の1本』があるからな」


うわっ!!なんか凄い話になってきたね。

ホランドさん程の人が所持してる『秘蔵一本』っとも成ると相当なものだとは思うんですが。

それを持って行くと言う事は、かなり入れ込んでる感じが見受けられる。


……それにしても、ホランドさん秘蔵の一本って、どんなギターなんだろうね?

まぁまぁ、此処では敢えて聞かずに、店に到着してからのお楽しみにして置いた方が良さそうなので、今は聞かないで置こう。


秘蔵の一品の正体が解らない方が、無駄にドキドキするしね。



「じゃあ、早速ですけど行ってみましょうか」

「そうだな。もし信用の置けるビルダーの方なら、私も、是非、常連に成りたいものだからな」

「そうですね。……なら、一旦、部屋に戻って、お互い楽器を持って、此処で集合しましょう。……あぁでも、ホランドさん、疲れてないですか?」


あぁイケナイ、イケナイ!!

危うく、またやらかす所だった。


ホランドさんは、暇を持て余してるだけの私と違って、前日のライブで、結構、疲れてるんだよね。


無理して貰うのは悪いから、疲れてる様だったら……寂しく1人で行って来よ。


本当は寂しいけどね。



「今更、異な事を言う。此処まで魅力的な話を聞かせて置いて、それはないだろう。余計に眠れなくなるじゃないか」

「あぁ、ごめんなさい。色々気が利かないもので」

「いや、そうじゃない。眞子が、この話をしてくれなければ。ひょっとすると私は、人生に於ける、大きな損失を被る所だったかも知れないからね。寧ろ、眞子の提案には感謝してるよ」

「あの……あんまり、そう言う風に言わないで下さいね。私、直ぐに調子に乗っちゃいますんで」

「眞子は、私に遠慮なんかしなくて良い。したい事があるなら、全部言いなさい」

「それは保護者的な話ですか?」

「いや、惚れた弱みと言う奴だよ。眞子、男と言うのはな。惚れた女には甘いものなんだよ。……知っていたか?」


いやまぁ、確かに私は、そう言う事を体験的に存じていますが。

あまりストレートに、そう言う事を言うもんじゃありませんよ。


ホント、この人だけは……ピュアなんだから。


そう言う事を言われると……

私は『調子に乗る』か『直ぐに甘えちゃう』と言う、兎に角、悪い癖が有るので、余りそう言う事は言わないで欲しいんですけどね。


でも、この人、こう言う人だからなぁ。


此処は、自らを戒めて『自重』しなきゃね。


……っと言う事なんで。

抑制力を効かせる為に……久しぶりに『真上さんスピリッツON!!』



「あっ、ありがとうございます、ホランドさん。いつもお世話掛けます」


此処でニコッと♪



「あっ、あぁ、あぁ、良い、良い。きっ、気にしなくて良いんだぞ。じゃ、じゃあ、また後でな」

「あっ、はい。お待ちしてますね」

「あっ……あぁ」


あっ……また、やっちゃったかな。

ホランドさん、茹でたタコみたいに、顔が真っ赤になっちゃったよ。


余計な事して、ごめんなさい。


危険な『真上さんモードはOFF』で……


***


 ……っと言う訳でですね。


一旦2人共、早急に部屋に戻って。

可愛い顔して、よく寝ている奈緒ネェを起さない様にしながら。

『抜き足』……『差し足』……『忍び足』で……

音も立てずに『79 Sting -rayちゃん』と『身嗜みセット』が入った自分の鞄を持ち出し。


後は、エレベータを使い、ロビーに戻り。

ホランドさんが、まだロビーに来ていない事を確認してから、トイレに行って『身嗜み』を簡単に整える。


そんで、折角の休みを返上してまで、お店に連れて行って貰うんだから。

ホテルの売店で2人分の飲み物を買って、少し『そわそわ』した感じを出しながらロビーで到着を待つ事にした。


お礼を兼ねて『デート気分』で行ってみよう♪



……その後。

10分程してからホランドさんは、いつもライブで使ってる『ESPのフルオーダー』のギターじゃなく。

宣言通り『秘蔵の1本』と言われるギターを凄く大事そうに持って来て、ロビーで合流した。


このホランドさんの様子からして……この人、なにやら、今から行く店に対して『過剰なまでに期待をしてる感じ』が滲み出ちゃってるね。


大丈夫かなぁ?


まぁまぁ、そんな無駄な心配をしていてもなにも始まらないので。

ホランドさんが『過剰に期待する例の店』に向って、車を出して貰った。


因みにですね。

店に到着するまでの車内では、2人で『奈緒ネェの話題』で盛り上がり。

私は、奈緒ネェの良さを、嫌と言う程アピールしておいた。


でも、ホランドさんは純粋な人なんで、全部鵜呑みにしてた。



まぁ……そんな風に楽しい時間を過ごしながら、店に向って行った訳ですね。


……でもさぁ。

これは本当に、どうでも良い余談なんだけどね。

『売店で飲み物を買って置いただけで、ホランドさんに凄く喜ばれたんだけど』

此処まで飲み物を買っただけで喜ばれると困るよね。


ほんと……どこまでもピュアマンなんだから。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀の渡したメモに書かれた『楽器店』に、なんとかホランドさんにも興味を持って貰い事に成功した様なのですが。

ホランドさん『崇秀推薦のお店』っと聞いて、かなり入れ込んでるみたいなのですが……大丈夫なんですかね?


なんと言っても、その店を勧めてるのが崇秀。

これ、絶対に一筋縄でいかないパターンとしか思えませんからね(笑)


さてさて、そんな事情がありながらも。

2人を乗せた車は出発していく訳なのですが……


次回、その2人が目指している店の正体が明らかに成ります!!


なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート