●前回のおさらい●
流石はインディーズでCDを出した経験がある男、総帥。
その実力は、倉津君をはじめ全員から満足を得れるような代物だった。
そんな総帥と、倉津君がヤフオクで買ったボロイギターでセッションをしようとする沙那ちゃんだが……大丈夫か?
「仲間に入れて!!仲間に入れて!!沙那も仲間に入れて!!」
「おぅ、なんでも来い」
「ホント?じゃあね」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……
うぉ!!GS(グループサウンズ)系の『TOP・GUN』だと!!
なんじゃそりゃあ?
「流石、ビルダーさんの娘。ギターの特性を、よく解ってるな」
「へへぇ~~~」
「でもな、沙那ちゃん。このギターだって捨てたもんじゃないぞ。太っとい良い音が鳴るんだぜ」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……
うわ~~~!!総帥のギター、マジで太い良い音を出しやがるな。
『TOP・GUN』なのに、テケテケサウンドって、なんなんだよこれ?
訳わからねぇよ。
訳解らねぇけど、なんだか楽しそうだから俺も乱入してぇ~~~!!
・・・・・・
……あぁけど、あれだな。
翌々考えたら、俺が沙那ちゃんの親父さんから買わせて貰ったベースは、まだ調整中で手元には無いから、此処では、どうやっても演奏には加われないな。
ベースが無いんじゃ弾き様が無い。
此処に来て傍観とは……なに、この虐め?
なんて思ってたらな。
またロクデモナイ事を言う人が居るんだよ。
「ねぇクラ。折角だから、この曲、君が歌いなよ」
奈緒さん……アホですか?
普段でも歌を唄わない俺が、そんな奇妙奇天烈な『TOP・GUN』を唄える訳ないじゃないですか!!
なにを考えて生きてるんですか、ア~~タは!!
大体にして、トップガンに歌詞なんてないでしょうに。
「そんなのムチャブリっすよ。こんなもん、どうやっても唄える訳ないでしょうに。奈緒さん、俺がベースの演奏を変わりますから。奈緒さんが唄って下さいよ」
「ヤダよ。こんな変な『TOP・GUN』唄える訳ないじゃない。だからクラが唄ってよ」
「奈緒さんが無理なものを、なんで俺が出来るって思えるんッスか!!無理ッス無理!!」
「やだ。やれ」
「やだ、やれじゃないですよ」
「ケチ」
「ケチじゃないんッス!!根本的に無理なんッス!!」
「嘘だぁ。クラなら出来るよ」
「出来るかぁ~~~!!」
もぉ、この人だけは……ホント言い出したら聞かないんだからぁ。
どうしろつぅんッスか?
そうやって俺が困っていると……
「しゃあないのぉ。ほんだら奈緒ちゃん、俺とドラム変わりぃな。ホンでマコは、奈緒ちゃんからベース受け取れや」
「へっ?いっ、良いけど。なにする気よカズ?あんまり、おかしな事は言っちゃダメだよ」
「なにがやねんな?マコも、奈緒ちゃんも唄うのを嫌がっとるからやな。此処は1つ、俺の美声を響かしたろうって言う話やんけな。なんも無茶な事あらへんがな」
「……死ねば音痴?」
「マジで死んでくれリアル・ジャイアン」
「そうなんか?」
「音痴♪音痴♪」
存外に楽しそうだな沙那ちゃん。
でもな。
それは見事なまでに正解だから、もっとキツク言って、ザックリと心にトドメを刺してあげなさい。
このド厚かましい男にだけは、容赦はいらないぞ。
「酷過ぎる。……沙那ちゃん、俺の華麗な歌声を知らんやんけな」
そう山中が言った瞬間。
沙那ちゃんだけが、ピタッとギターを弾くのをやめて。
真顔で、山中に向かって……
「音痴」
「がぁ!!そないに、真顔で言わんでも……」
……また、さようなら山中。
ドラムに抱かれながら。
その命の鼓動をとめて、永久の眠りに着くが良いぞ。
ありがとう山中……君の事は忘れない。
しかしまぁ、なんだな。
あれだけどんなリズムにでも対応してる山中を、瞬時に音痴と見抜くとは……矢張り沙那ちゃんは侮れないな(笑)
***
……っとまぁ、山中の事以外は、冗談みたいな事をしながら、この後、5曲程、みんなで合同演奏をしてみたんだが。
矢張り、何所をとっても、総帥の実力は本物。
5曲連続して、非の打ち所の無い演奏を続けてくれてた。
……んだけどな。
此処に来て、時間が既に0時少し前だと言う事に気付いた。
やっちまったよ。
楽しい時間は過ぎるのが早いとは言え、マジでやっちまったよ。
……って言うのもな。
沙那ちゃんが眠気からウトウトし始めたのが、気付いた切欠に成ったんだがな。
流石に、これ以上は総帥も、明日、仕事の有る筈だから、悪い事したなぁって話なんだよ。
だから、時間的にも限界だと感じ。
その時点で、総帥の実力お披露目会はお開きと相成った。
そんで、一応は、その場で解散と言う事に成り。
総帥と、山中は、今しがた自分達の家に帰って行くんだが。
それに反して、奈緒さんと、沙那ちゃんは、ウチの家にお泊り決定。
2人で、沙那ちゃんを連れて、俺の自室に行き。
布団に寝かし付けてから、部屋で、少し飲みながら2人で寛いでいた。
すると……
『♪~~~~~!!』
……っと、携帯電話から『魔王』の劇中曲が流れ始めた。
……来たな。
とうとう沈黙を破って、奴からの電話が掛かってきたみたいだな。
しかしまぁ、なんだな。
此処まで見事なまでにジャスト・タイミングで電話が掛かってくると言う事は、アイツの事だから、総帥や、山中に迷惑が掛かっちゃいけないと思い、2人が帰るのを、外でズッと待っていたんだろうな。
全く、呆れ返る位、律儀な男だよ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
総帥の実力も解り。
沙那ちゃんの汎用性が向上している事も解り。
そして最後に山中君が、みんなの認める音痴っと言うオチが最後に付いた訳なのですが。
そんな音合わせの解散後。
とうとう奴が長い沈黙を破り、電話を掛けてきましたね。
さぁ、次回は、どうなるのでしょう?
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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