最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1514 楽しい時間と言う物は

公開日時: 2025年3月28日(金) 00:21
更新日時: 2025年4月8日(火) 15:23
文字数:2,141

●前回のおさらい●


 流石はインディーズでCDを出した経験がある男、総帥。

その実力は、倉津君をはじめ全員から満足を得れるような代物だった。


そんな総帥と、倉津君がヤフオクで買ったボロイギターでセッションをしようとする沙那ちゃんだが……大丈夫か?


「仲間に入れて!!仲間に入れて!!沙那も仲間に入れて!!」

「おぅ、なんでも来い」

「ホント?じゃあね」


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……


うぉ!!GS(グループサウンズ)系の『TOP・GUN』だと!!


なんじゃそりゃあ?



「流石、ビルダーさんの娘。ギターの特性を、よく解ってるな」

「へへぇ~~~」

「でもな、沙那ちゃん。このギターだって捨てたもんじゃないぞ。太っとい良い音が鳴るんだぜ」


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……


うわ~~~!!総帥のギター、マジで太い良い音を出しやがるな。

『TOP・GUN』なのに、テケテケサウンドって、なんなんだよこれ?


訳わからねぇよ。


訳解らねぇけど、なんだか楽しそうだから俺も乱入してぇ~~~!!


・・・・・・


……あぁけど、あれだな。

翌々考えたら、俺が沙那ちゃんの親父さんから買わせて貰ったベースは、まだ調整中で手元には無いから、此処では、どうやっても演奏には加われないな。


ベースが無いんじゃ弾き様が無い。


此処に来て傍観とは……なに、この虐め?


なんて思ってたらな。

またロクデモナイ事を言う人が居るんだよ。



「ねぇクラ。折角だから、この曲、君が歌いなよ」


奈緒さん……アホですか?


普段でも歌を唄わない俺が、そんな奇妙奇天烈な『TOP・GUN』を唄える訳ないじゃないですか!!


なにを考えて生きてるんですか、ア~~タは!!


大体にして、トップガンに歌詞なんてないでしょうに。



「そんなのムチャブリっすよ。こんなもん、どうやっても唄える訳ないでしょうに。奈緒さん、俺がベースの演奏を変わりますから。奈緒さんが唄って下さいよ」

「ヤダよ。こんな変な『TOP・GUN』唄える訳ないじゃない。だからクラが唄ってよ」

「奈緒さんが無理なものを、なんで俺が出来るって思えるんッスか!!無理ッス無理!!」

「やだ。やれ」

「やだ、やれじゃないですよ」

「ケチ」

「ケチじゃないんッス!!根本的に無理なんッス!!」

「嘘だぁ。クラなら出来るよ」

「出来るかぁ~~~!!」


もぉ、この人だけは……ホント言い出したら聞かないんだからぁ。


どうしろつぅんッスか?


そうやって俺が困っていると……



「しゃあないのぉ。ほんだら奈緒ちゃん、俺とドラム変わりぃな。ホンでマコは、奈緒ちゃんからベース受け取れや」

「へっ?いっ、良いけど。なにする気よカズ?あんまり、おかしな事は言っちゃダメだよ」

「なにがやねんな?マコも、奈緒ちゃんも唄うのを嫌がっとるからやな。此処は1つ、俺の美声を響かしたろうって言う話やんけな。なんも無茶な事あらへんがな」

「……死ねば音痴?」

「マジで死んでくれリアル・ジャイアン」

「そうなんか?」

「音痴♪音痴♪」


存外に楽しそうだな沙那ちゃん。


でもな。

それは見事なまでに正解だから、もっとキツク言って、ザックリと心にトドメを刺してあげなさい。


このド厚かましい男にだけは、容赦はいらないぞ。



「酷過ぎる。……沙那ちゃん、俺の華麗な歌声を知らんやんけな」


そう山中が言った瞬間。

沙那ちゃんだけが、ピタッとギターを弾くのをやめて。


真顔で、山中に向かって……



「音痴」

「がぁ!!そないに、真顔で言わんでも……」


……また、さようなら山中。


ドラムに抱かれながら。

その命の鼓動をとめて、永久の眠りに着くが良いぞ。


ありがとう山中……君の事は忘れない。


しかしまぁ、なんだな。

あれだけどんなリズムにでも対応してる山中を、瞬時に音痴と見抜くとは……矢張り沙那ちゃんは侮れないな(笑)


***


 ……っとまぁ、山中の事以外は、冗談みたいな事をしながら、この後、5曲程、みんなで合同演奏をしてみたんだが。

矢張り、何所をとっても、総帥の実力は本物。


5曲連続して、非の打ち所の無い演奏を続けてくれてた。


……んだけどな。

此処に来て、時間が既に0時少し前だと言う事に気付いた。


やっちまったよ。

楽しい時間は過ぎるのが早いとは言え、マジでやっちまったよ。


……って言うのもな。

沙那ちゃんが眠気からウトウトし始めたのが、気付いた切欠に成ったんだがな。

流石に、これ以上は総帥も、明日、仕事の有る筈だから、悪い事したなぁって話なんだよ。


だから、時間的にも限界だと感じ。

その時点で、総帥の実力お披露目会はお開きと相成った。


そんで、一応は、その場で解散と言う事に成り。

総帥と、山中は、今しがた自分達の家に帰って行くんだが。

それに反して、奈緒さんと、沙那ちゃんは、ウチの家にお泊り決定。


2人で、沙那ちゃんを連れて、俺の自室に行き。

布団に寝かし付けてから、部屋で、少し飲みながら2人で寛いでいた。


すると……



『♪~~~~~!!』

……っと、携帯電話から『魔王』の劇中曲が流れ始めた。


……来たな。

とうとう沈黙を破って、奴からの電話が掛かってきたみたいだな。


しかしまぁ、なんだな。

此処まで見事なまでにジャスト・タイミングで電話が掛かってくると言う事は、アイツの事だから、総帥や、山中に迷惑が掛かっちゃいけないと思い、2人が帰るのを、外でズッと待っていたんだろうな。


全く、呆れ返る位、律儀な男だよ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


総帥の実力も解り。

沙那ちゃんの汎用性が向上している事も解り。

そして最後に山中君が、みんなの認める音痴っと言うオチが最後に付いた訳なのですが。


そんな音合わせの解散後。

とうとう奴が長い沈黙を破り、電話を掛けてきましたね。


さぁ、次回は、どうなるのでしょう?

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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