●前回のおさらい●
美樹さんを踏まえて、エディさんと会話する中。
矢鱈と美樹さんにべた褒めされた倉津君は、照れて謙遜をしまくっているのだが……
「へぇ~~~、じゃあ、ヤッパ凄いんだ」
「いや、だからな。頼むから人の話を聞けな。俺は、全然、全く、なに1つ凄くねぇからな。俺なんぞ、眞子の足元にも及ばねぇヘッポコ野郎だからな」
「鞍馬?……あぁ、あの子は特別でしょ。比べる事自体が大きな間違いだよ。あの子は、ちょっと異常だからね」
おっ、なんか眞子の話を織り交ぜたら、俺が謙遜してる話から逸れたみたいだな。
けどまぁ、少し、その言動には気に成る部分がある。
確かに、このでかいアンちゃんの言う通り、眞子は少し異常な演奏をするかも知れねぇけどな。
認識として、それはちょっと違うんじゃないか?
「イヤイヤイヤイヤ、ちょっと待ってくれ。眞子は異常なんかじゃねぇよ。アイツの実力はな。本人が必至に努力して得た結果なんだからよぉ。だから、なんも異常じゃねぇぞ」
「うん?君の鞍馬に対する見解は、そう言う見解なのかい?」
「あぁ。俺が考える眞子の実力ってのは、そう言う認識だな。アイツは並外れた努力家だから、あれ程までの強烈な実力を短期間で得れた。ただそれだけのこった。これは、なんも間違ってねぇと思うぞ」
違うか?
だってよぉ。
現に、たった1年で、あれ程の強烈な実力を身に付ける為には、並大抵の努力じゃなかったと筈だからな。
そりゃあまぁな……アイツの本当の状況ってのを知らない奴にしたら『ただの天才』にしか見えないかも知れないけど。
実際は、そんな単純な話でもないと思うぞ。
「そうなのかい?僕はテッキリ、鞍馬は、仲居間さんと同じ天才肌なのかと思ってたよ」
「いや、それは違うぞ。酷い勘違いだ。その証拠にアイツはな。ベースを触り始めて、実際は、まだ1年も経っちゃイネェ。まぁ、それを天才って言うなら、実際は天才なのかも知れないけどな。アイツは、それに対する努力を1日たりとも怠っちゃいない。だから、天才なんて簡単な言葉で、アイツの努力を簡単に片付けちまうのは、ちょっと安易過ぎるんじゃねぇか」
それに+αあの尋常じゃない数のライブ数。
あれだけハードなスケジュールを1年でこなしてりゃあ、嫌でも上手くもなるって話でもあるな。
「なるほどねぇ。鞍馬の実力は、努力の賜物と言う訳か」
「まぁまぁ、そうは言っても、俺も、そんなにアイツのライブを見た訳じゃねぇから、正確な事は言えねぇんだけどな。それでも、ただの天才ではないと思うぞ」
「ふ~~~ん。兄貴君って、眞子の事を豪く買ってるんだね」
「まぁ、そうッスね。アイツは、俺にとって兄弟みたいなもんッスから。天才なんて簡単な言葉で、アイツの努力を片付けて欲しくないんッスよ」
いやいや、本当にそうッスよ。
眞子は、崇秀同様、何事に対しても努力の塊なんッスよ。
だからって訳じゃないんッスけど、そこも、ちゃんと見て評価してやって欲しいッス。
「そっか」
「まぁ、そうッスな」
「しかしまぁ、まさかベースを弾き始めて、まだ、たった1年だったとは……」
「あぁ、まぁそうッスね。たった1年で、アイツの実力が、あそこまで上り詰めてるのは、ちょっと異常なのかも知れないッスね。けど、努力以外にも、裏打ちするものもあるッスよ」
「えっ?そりゃあなんだい?」
「崇秀ッスよ。あの馬鹿が、眞子の裏で糸を引いてるからッスよ」
それが多分、眞子の音楽的感性を一番鍛え上げた理由。
その証拠に眞子は物凄く貪欲にものを考える奴等だから、崇秀同様、誰彼構わず人の技術を盗んで、自分のモノにする。
中でも、あの馬鹿から得た技術が、一番アイツの中で大きく影響してるのは言うまでも無い筈だから、恐らくは、アイツの存在無くして、今現在の眞子は語れないだろうしな。
此処だけは確実だな。
「あぁ、そうかぁ。眞子は、仲居間さんの彼女だもんね。強い影響を受けても、おかしくはないかぁ。そこに奈緒も絡めば、更に、とんでもない化物に成ってもおかしくはない。確かに、正当な意見だね」
「そうだね。奈緒も、大概吹き飛んでるもんなぁ」
・・・・・・
『奈緒さんは、普通』……って言いたいんだけどだな。
そう言うのも有り得るな。
演奏の技術も去る事ながら、眞子は天然のクセに、変に意地が悪い部分があるからな。
此処は奈緒さんと、崇秀の精神的な悪影響を受けてるとも言えなくもないか。
でも、なんか奈緒さん絡みになると微妙な心境になっちまうな。
奈緒さんは変人扱いすると怒るから、此処は『普通だ』と嘘でも注意しとこ。
「あのよぉ、でかいアンちゃん。人の彼女を、なんだと思ってやがるんだ?」
「うん?君は、奈緒と付き合ってるのかい?」
ゲッ!!
同じバンドの仲間のクセに、そんな世界的に常識な事も知らなかったのかよ!!
OH!!MY GOD!!
これはまた余計な事を言っちまったかな?
「えっ?なに?知らなかったのエド?奈緒は兄貴君の彼女で、あの子、兄貴君にベタ惚れなんだよ」
そうでもなさそうだな。
それにしても、俺に奈緒さんがベタ惚れ?って、なんッスかね、美樹さん?
その神の野郎でも大手を振って喜びそうな、有り難い言葉は……
奈緒さんが、俺にベタ惚れ……って。
もっと言って欲しいッス!!
「へぇ~~~、あの、奈緒がねぇ」
「あぁ、イヤイヤ、もう一回ちょっと待ってくれ。奈緒さんが、俺にベタ惚れなんじゃなくてだな。俺が、奈緒さんにベタ惚れだからな」
「うん?なになに、なんか盛り上がってるねぇ。なんの話?」
ゲッ!!奈緒さん!!
また、この人だけは、一番タイミングの悪い時に現れたよ。
さっきまでアチラコチラとチョロチョロしてたのに、こう言う話をした瞬間、此処に現れるなんて……
毎度毎度、狙ってるんッスか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
話題の変化には『流れ』っと言うものがあります。
なので本来は、それを制御出来る人間が、常に話題の中心に立てる訳なのですが。
今回の倉津君の場合は、それが制御出来てるのではなく、相手が倉津君に興味を持っているから会話の中心に成ってる感じですね。
実際、倉津君が変化させ続けた話題は、話をする度に、相手の興味をそそらせる様な内容でしたしね。
まぁその会話は、間違いなく狙ったものではなく、ただの天然なんですけどね(笑)
さてさて、そんな中。
奈緒さんの登場により、話題の方向性が、倉津君単品から、奈緒さんと倉津君の恋愛事情に移行していきそうな所なのですが。
その内容は如何なるものになるのか?
奈緒さんが居るだけに、その不安は拭えないのですが、
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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