最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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629 ダンシング・モンキー眞子(笑)

公開日時: 2022年10月28日(金) 00:21
更新日時: 2023年1月17日(火) 15:38
文字数:3,121

●前回のおさらい●


 アリーナに来た理由は、奈緒さんのライブのヘルプをする事だと知らされ。

『無理』を連発する眞子に対して呆れ顔の崇秀は、ある言葉を発した。


その言葉に、眞子は、なにやら奈緒さんの意図に気付いたようだが……

 奈緒さんと、崇秀が考える共通の本質は……常に、そこにあったんだ。

結局は、2人して『私が生き易く』なる為の工夫を凝らしてくれてたんだね。


……なに勘違いしてたんだろ。



「ちょ、ちょっと……」

「じゃあな。……オマエの質問には、全部答えてやったから、もぉ俺にも用はねぇだろ。あ・ば・よ。アリーナの背景にでも埋もれてろ、この糞モブ女」

「ちょ!!ちょっと待って!!お願いだから待って崇秀!!もう一回だけ、もぅ一回だけ、私の話を聞いて……お願いだから……お願い……」


ダメダメダメダメダ~~~メ!!

此処は、なにがあっても、2人の気持ちに応える為に、絶対にライブでベースを弾かなきゃダメなの!!


どんなに『馬鹿』だって言っても良いし『モブ女』って扱いをしても良いから、お願いだから、今だけは待って!!



「ぷっ……漸く、ヤル気になったか?だったら、開演が19時だから、もぉ2時間弱しか余裕がねぇ。サッサと行くぞ。チキンな眞子ちゃ~~~~ん」

「えっ?……」


えっ……なにこれ?

なになに?どういう事なの、これ?


目の前で、なにが起こってるの?


なんで?なんで崇秀は、私を見て、そんなに笑ってるの?


・・・・・・


あぁぁあぁぁぁぁあぁ~~~~!!


まただ。

また見事なまでに、だ・ま・さ・れ・た。


……この人、最悪だよ。


崇秀は、此処に来る前から100%この展開を想定してたんだ。

そんで、私を散々挑発すれば、必ず乗って来ると踏んでたんだ。


もぉヤダ……コイツ、本当に嫌い!!



「ほれほれ、行くぞ眞子。……いや、オマエみたいな単純な生き物なんぞ、人の名前で呼ぶのも烏滸がましい。オマエなんぞ『モブ子』で十分だ。なぁモブ子」

「あの、それだけは、本当に辞めて貰って良いですか。……非常に悲しいんで」


そんな渾名はイヤァァ~~~!!

折角、こんなに可愛いのに『モブ子』なんて渾名は嫌だよ!!


悔い改めるから、せめて、もぉちょっとマシなのにして……



「あっそ。……じゃあ、その渾名を辞めて欲しいなら、ステージで実力を示すしかねぇな。それで、自分が背景に埋もれる様な『モブじゃねぇ』って事を証明出来りゃ。これからも、ちゃんと『眞子』って呼んでやるよ。まぁ、精々頑張るこったな。モ・ブ・子さんよぉ」

「あのねぇ。ドンだけ、上から目線なのよ崇秀って……」

「果てしなく。……寧ろ、神に匹敵する上から目線だな」

「だったら、果てしなく嫌な神様過ぎるね……」

「まぁまぁ『天才』や『神』なんて、基本的にそんなもんだ。見下してなんぼってな」

「マジで嫌過ぎる……」


……っとか言いながら。

結局、崇秀に導いて貰ってる時点で、私って、ヤッパリ『モブ子』の称号がピッタリの悲しい女なの?


はぁ~~~っ『モブ子』ですかぁ……


・・・・・・


うんうん、違う違う。

そうじゃない、そうじゃない!!

これから、もっと頑張れば、大丈夫、大丈夫!!

単純馬鹿な私にも、まだ『可愛い』って特性があるんだから、絶対に『モブ』に成り下がる事だけはないよね。


『可愛さ』が有るだけで、挽回出来るチャンスは、まだまだ無限にある筈だもんね♪


頑張れば、ナントカなる!!


うんうん、なるなる!!


……多分。

……きっと。

……恐らくは。


……自信ないけど……


***


 なにやら、そんな訳の解らない自己完結をした後。

崇秀に連れられて、アリーナ内を歩き『奈緒さんの楽屋』の方に移動した。


勿論、扉の前には『関係者以外立ち入り禁止』って張り紙がされてる。


でも私は奈緒さんとは恋人同士なので、なにも気にせずに中に入るつもりなんだけど……


何故か崇秀は、楽屋の中に一向に入る気配がない。

それ処か、私にサッサと入れと言わんばかりに背中を妙に押してくる。


なにこれ?

なんの意図があって、崇秀は、こんな意味のない事をするんだろう?


訳が解らないんだけど……


まぁこんな所で、考えてても埒が開かないので、取り敢えず、奈緒さんの楽屋の扉を開いて中に入る事にした。


『ガチャ』



「おはようございます。サポートに来ましたぁ」

「へっ?眞子?……なんで、眞子がベースサポートなの?」

「えっ?だって……」


あっ、あれ?なんか崇秀に聞いてる話と、喰い違いが発生してるよ。

さっき『奈緒さんの指名』だって、そうハッキリ言ってたと思うんだけど……


あれ?



「ぷっぷっぷっ……流石、モブ子。こんなトラップに引っ掛るとは、単純馬鹿過ぎる」


あぁ~~~~~!!


私ってば、また懲りずに、崇秀に、だ・ま・さ・れ・た・の・ね。



「ちょ、ちょっと仲居間さん。これ、どういう事ですか?」

「んあ?いや、さっき、向井さんに電話を貰った時な。実は、眞子とカラオケ行ってたんだよ。そんで向井さんが『お助けシステム』で俺を指名するから、序に、一緒に居た眞子を連れて来た。……それだけ」


そうか!!

結局の所、私も、奈緒さんも、この『世界一嫌な魔神様』の掌の上で踊ってただけなんだ!!


この男だけは……


あっ!!でも今『モブ子』って呼ばなかったね。



「ちょっと、崇秀!!話が違うじゃない!!」

「なにがぁ?」

「えっ?……だって……いやいや『なにがぁ?』じゃないわよ!!私、別に『奈緒さんに指名』されてないじゃない!!」

「あっ、じゃあ、私、眞子を指名するから。眞子、一緒にライブやって」

「えぇ~~~っ、奈緒さん、今、それ言っちゃうんだぁ~。……新手の虐めなの、これ?」


あ~~~ん!!また始っちゃったよぉ~~!!

機転の効いた、奈緒さん最大最悪の悪癖『悪乗り』がぁ……


こんな事なら、余計な事を言わずに大人しくしてればよかったよぉ~~~。


ってか!!笑うにゃあ~崇秀!!



「ぷぷぷっ……はい、決定な。これで100%決まりな」

「うん、逃げ道なしの、完全に決・ま・り♪」


この意地悪姉弟だけは……もぉ。


意気揚々と楽しそうに……阿吽の呼吸で、ドンだけ息がピッタリなのよ?

これじゃあ、私が疑ってた『本当の血縁説』が、余計リアルになっていくじゃない!!


……って言うか、この人達って、本当に遺伝子レベルの仕組みが、全く一緒なんじゃないの?


いつも思うんだけど、なんなの、この異常なまでの『意地悪シンクロ率』?

もし、この2人が、エヴァンゲリオンの登場人物だったら、あの碇ゲンドウでさえ驚いて、目を白黒させる程の究極のシンクロ率だよ。


もぉ2人して、エヴァに吸収されちゃえ!!



「あの……一応、お聞きしますけど『拒否権』は?」

「『有る』とでも思うのか?」

「思わないわよね、普通」


わ~~~い♪またしても、奈緒さんと、崇秀の息がピッタリでしたね♪


凄いです♪凄いです♪


そんなシンクロ率の高い、お2人方には。

なんと!!私から『惣流(式波)・アスカ・ラングレー』と『碇シンジ』の称号をあげます。


だから、エヴァの初号機と、二号機に乗って、2人でシンクロしないと倒せない『第七使徒イスラフェル』でも倒して来て下さいな。


確かあれって『音楽』を象徴する使徒だったから、お2人が倒すのにはピッタリですよ♪


あぁ因みにですね。

2台のエヴァ本体について『プラモ』で買ってあげますから、2人で一生懸命組み上げて……それで補って下さい。


ラッカーや、スプレーは自腹ですから、自分で買って下さいね。


って言うかね。


……もぉ、なんなの、この人達?



「はい、そうですね。普通、思いませんよね。……思っちゃいけないんですよね」

「ふふ~ん、よく解ってるじゃない、眞子。偉い偉い」

「賢くなったもんだ」


チュボ~~~ン!!

『第★★人型使徒・倉津眞子撃破!!ミッション・コンプリート』


もぉダメだ、この人達。

この人等に、なにを言っても聞きそうにないし。


もぉ好きにして……


ちね~~!!



『ガチャ』


そんなライブとは関係ないシンクロ率に関して考察していると。

なんの断りも無しに、楽屋の扉が、突然開いた。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀の口車に乗せられて、見事に掌の上で踊るモンキーと化した眞子(笑)

それに引き換え奈緒さんは、一瞬、意外性を感じた物の冷静に対応したようです。


この差こそが……ねっ(笑)


さてさて、そんな状況の中。

また控室の扉を開き、誰かがやって来たようですが……一体、誰がやって来たのか?


次回は、その人物との攻防を描きたいと思いますので。

また良かったら、お気軽な感じで遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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