●前回のおさらい●
アリーナに来た理由は、奈緒さんのライブのヘルプをする事だと知らされ。
『無理』を連発する眞子に対して呆れ顔の崇秀は、ある言葉を発した。
その言葉に、眞子は、なにやら奈緒さんの意図に気付いたようだが……
奈緒さんと、崇秀が考える共通の本質は……常に、そこにあったんだ。
結局は、2人して『私が生き易く』なる為の工夫を凝らしてくれてたんだね。
……なに勘違いしてたんだろ。
「ちょ、ちょっと……」
「じゃあな。……オマエの質問には、全部答えてやったから、もぉ俺にも用はねぇだろ。あ・ば・よ。アリーナの背景にでも埋もれてろ、この糞モブ女」
「ちょ!!ちょっと待って!!お願いだから待って崇秀!!もう一回だけ、もぅ一回だけ、私の話を聞いて……お願いだから……お願い……」
ダメダメダメダメダ~~~メ!!
此処は、なにがあっても、2人の気持ちに応える為に、絶対にライブでベースを弾かなきゃダメなの!!
どんなに『馬鹿』だって言っても良いし『モブ女』って扱いをしても良いから、お願いだから、今だけは待って!!
「ぷっ……漸く、ヤル気になったか?だったら、開演が19時だから、もぉ2時間弱しか余裕がねぇ。サッサと行くぞ。チキンな眞子ちゃ~~~~ん」
「えっ?……」
えっ……なにこれ?
なになに?どういう事なの、これ?
目の前で、なにが起こってるの?
なんで?なんで崇秀は、私を見て、そんなに笑ってるの?
・・・・・・
あぁぁあぁぁぁぁあぁ~~~~!!
まただ。
また見事なまでに、だ・ま・さ・れ・た。
……この人、最悪だよ。
崇秀は、此処に来る前から100%この展開を想定してたんだ。
そんで、私を散々挑発すれば、必ず乗って来ると踏んでたんだ。
もぉヤダ……コイツ、本当に嫌い!!
「ほれほれ、行くぞ眞子。……いや、オマエみたいな単純な生き物なんぞ、人の名前で呼ぶのも烏滸がましい。オマエなんぞ『モブ子』で十分だ。なぁモブ子」
「あの、それだけは、本当に辞めて貰って良いですか。……非常に悲しいんで」
そんな渾名はイヤァァ~~~!!
折角、こんなに可愛いのに『モブ子』なんて渾名は嫌だよ!!
悔い改めるから、せめて、もぉちょっとマシなのにして……
「あっそ。……じゃあ、その渾名を辞めて欲しいなら、ステージで実力を示すしかねぇな。それで、自分が背景に埋もれる様な『モブじゃねぇ』って事を証明出来りゃ。これからも、ちゃんと『眞子』って呼んでやるよ。まぁ、精々頑張るこったな。モ・ブ・子さんよぉ」
「あのねぇ。ドンだけ、上から目線なのよ崇秀って……」
「果てしなく。……寧ろ、神に匹敵する上から目線だな」
「だったら、果てしなく嫌な神様過ぎるね……」
「まぁまぁ『天才』や『神』なんて、基本的にそんなもんだ。見下してなんぼってな」
「マジで嫌過ぎる……」
……っとか言いながら。
結局、崇秀に導いて貰ってる時点で、私って、ヤッパリ『モブ子』の称号がピッタリの悲しい女なの?
はぁ~~~っ『モブ子』ですかぁ……
・・・・・・
うんうん、違う違う。
そうじゃない、そうじゃない!!
これから、もっと頑張れば、大丈夫、大丈夫!!
単純馬鹿な私にも、まだ『可愛い』って特性があるんだから、絶対に『モブ』に成り下がる事だけはないよね。
『可愛さ』が有るだけで、挽回出来るチャンスは、まだまだ無限にある筈だもんね♪
頑張れば、ナントカなる!!
うんうん、なるなる!!
……多分。
……きっと。
……恐らくは。
……自信ないけど……
***
なにやら、そんな訳の解らない自己完結をした後。
崇秀に連れられて、アリーナ内を歩き『奈緒さんの楽屋』の方に移動した。
勿論、扉の前には『関係者以外立ち入り禁止』って張り紙がされてる。
でも私は奈緒さんとは恋人同士なので、なにも気にせずに中に入るつもりなんだけど……
何故か崇秀は、楽屋の中に一向に入る気配がない。
それ処か、私にサッサと入れと言わんばかりに背中を妙に押してくる。
なにこれ?
なんの意図があって、崇秀は、こんな意味のない事をするんだろう?
訳が解らないんだけど……
まぁこんな所で、考えてても埒が開かないので、取り敢えず、奈緒さんの楽屋の扉を開いて中に入る事にした。
『ガチャ』
「おはようございます。サポートに来ましたぁ」
「へっ?眞子?……なんで、眞子がベースサポートなの?」
「えっ?だって……」
あっ、あれ?なんか崇秀に聞いてる話と、喰い違いが発生してるよ。
さっき『奈緒さんの指名』だって、そうハッキリ言ってたと思うんだけど……
あれ?
「ぷっぷっぷっ……流石、モブ子。こんなトラップに引っ掛るとは、単純馬鹿過ぎる」
あぁ~~~~~!!
私ってば、また懲りずに、崇秀に、だ・ま・さ・れ・た・の・ね。
「ちょ、ちょっと仲居間さん。これ、どういう事ですか?」
「んあ?いや、さっき、向井さんに電話を貰った時な。実は、眞子とカラオケ行ってたんだよ。そんで向井さんが『お助けシステム』で俺を指名するから、序に、一緒に居た眞子を連れて来た。……それだけ」
そうか!!
結局の所、私も、奈緒さんも、この『世界一嫌な魔神様』の掌の上で踊ってただけなんだ!!
この男だけは……
あっ!!でも今『モブ子』って呼ばなかったね。
「ちょっと、崇秀!!話が違うじゃない!!」
「なにがぁ?」
「えっ?……だって……いやいや『なにがぁ?』じゃないわよ!!私、別に『奈緒さんに指名』されてないじゃない!!」
「あっ、じゃあ、私、眞子を指名するから。眞子、一緒にライブやって」
「えぇ~~~っ、奈緒さん、今、それ言っちゃうんだぁ~。……新手の虐めなの、これ?」
あ~~~ん!!また始っちゃったよぉ~~!!
機転の効いた、奈緒さん最大最悪の悪癖『悪乗り』がぁ……
こんな事なら、余計な事を言わずに大人しくしてればよかったよぉ~~~。
ってか!!笑うにゃあ~崇秀!!
「ぷぷぷっ……はい、決定な。これで100%決まりな」
「うん、逃げ道なしの、完全に決・ま・り♪」
この意地悪姉弟だけは……もぉ。
意気揚々と楽しそうに……阿吽の呼吸で、ドンだけ息がピッタリなのよ?
これじゃあ、私が疑ってた『本当の血縁説』が、余計リアルになっていくじゃない!!
……って言うか、この人達って、本当に遺伝子レベルの仕組みが、全く一緒なんじゃないの?
いつも思うんだけど、なんなの、この異常なまでの『意地悪シンクロ率』?
もし、この2人が、エヴァンゲリオンの登場人物だったら、あの碇ゲンドウでさえ驚いて、目を白黒させる程の究極のシンクロ率だよ。
もぉ2人して、エヴァに吸収されちゃえ!!
「あの……一応、お聞きしますけど『拒否権』は?」
「『有る』とでも思うのか?」
「思わないわよね、普通」
わ~~~い♪またしても、奈緒さんと、崇秀の息がピッタリでしたね♪
凄いです♪凄いです♪
そんなシンクロ率の高い、お2人方には。
なんと!!私から『惣流(式波)・アスカ・ラングレー』と『碇シンジ』の称号をあげます。
だから、エヴァの初号機と、二号機に乗って、2人でシンクロしないと倒せない『第七使徒イスラフェル』でも倒して来て下さいな。
確かあれって『音楽』を象徴する使徒だったから、お2人が倒すのにはピッタリですよ♪
あぁ因みにですね。
2台のエヴァ本体について『プラモ』で買ってあげますから、2人で一生懸命組み上げて……それで補って下さい。
ラッカーや、スプレーは自腹ですから、自分で買って下さいね。
って言うかね。
……もぉ、なんなの、この人達?
「はい、そうですね。普通、思いませんよね。……思っちゃいけないんですよね」
「ふふ~ん、よく解ってるじゃない、眞子。偉い偉い」
「賢くなったもんだ」
チュボ~~~ン!!
『第★★人型使徒・倉津眞子撃破!!ミッション・コンプリート』
もぉダメだ、この人達。
この人等に、なにを言っても聞きそうにないし。
もぉ好きにして……
ちね~~!!
『ガチャ』
そんなライブとは関係ないシンクロ率に関して考察していると。
なんの断りも無しに、楽屋の扉が、突然開いた。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
崇秀の口車に乗せられて、見事に掌の上で踊るモンキーと化した眞子(笑)
それに引き換え奈緒さんは、一瞬、意外性を感じた物の冷静に対応したようです。
この差こそが……ねっ(笑)
さてさて、そんな状況の中。
また控室の扉を開き、誰かがやって来たようですが……一体、誰がやって来たのか?
次回は、その人物との攻防を描きたいと思いますので。
また良かったら、お気軽な感じで遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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