最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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164 不良さん、自分の金銭的な事情を語る

公開日時: 2021年7月20日(火) 00:21
更新日時: 2022年11月29日(火) 20:54
文字数:1,833

●前回までのあらすじ●


 追試を終えた2人は、タクシーを使って駅に行き。

そこから横浜にあるライブハウスに向かう為に、電車に乗り込んでいった。

 さて、電車の乗り込み、席に着いた事により。

漸く、此処で、一旦は落ち着く事が出来た訳なんだがな。


テストの疲労がない訳じゃないから、本来なら、少しでも此処で寝ておきたい所。


けどなぁ。

今、少しでも睡眠したら、起きる自信が無い。

恐らく、それは山中も同じだろう。


現に奴は、眠らない為に、既に、なにかを俺と喋る準備をして、今にも口が開きそうだ。


所詮、考える事は同じか……



「しっかし、オマエって豪儀なやっちゃのぉ」

「なにがだよ?」

「さっきのタクシーの話やんけ。一銭も釣り貰わんかったな」


なんの話をするのかと思えば、そこな。


けど、そうしたのにも、ちゃんと理由はあるんだぞ。



「オマエはアホか?休憩中のオッサンに無理を言ってまで乗せて貰ったんだぞ。社会的にも、あれぐらいはしても、罰は当たらねぇだろうに」

「ほぉ。俗に言うチップ言う奴か?金持ちは凄いのぉ~。格好良ぇのぉ~」

「オマエさぁ。それ、俺に対する嫌味か?」

「いやいや、違うで、僻みや僻み。俺の金持ちに対する僻みや」


そこで僻むな!!

僻んでもどうしようもないし、虚しいだけだろうに。


それにコイツ、俺の事を少々誤解してやがる部分があるな。

まぁ家が金持ってると、自ずと、そう言う風に見えるのはわかるんだが、俺にも、金銭面には色々事情ってもんが有るんだぞ。


まぁ、普通は解らねぇ様な事情なんだがな……


一応、そこを軽くだけでも説明しておくか。



「まぁそう言うなって。俺だってなぁ、自分で稼いだ身銭を切るのは、かなり痛てぇんだからよ」

「うん?なんや、おかしな事を言うんやな?オマエがタクシーの運ちゃんに払った金って、親から貰った小遣いやないんか?」


ヤッパリだ。


ヤッパリ、そう思われてたか。

山中は良くも悪くも、こう言う事に関しては、一般的な感性の持ち主だな。



「アホか……ウチの糞親父は、生まれてこの方、俺に小遣いなんぞくれた事は一回もねぇわ。『金が欲しけりゃ、自分で稼げ』とか抜かしやがって、ガキの頃から『借金の取立て』とか、嫌な仕事をシコタマやらされてんだよ、俺は」

「ほぉ。そないな事しとったんかいな。マコも俺が思ってた以上に、金では苦労してるちゅう事か?」

「いやいや、さほど苦労はしてねぇぞ。なんせヤクザの仕事は、一般的な仕事より『報酬』が良いからな」

「左様か……そやけどまぁ、ちょっと吃驚したわ。金持ちは息子は、小遣いが良ぇもんやと、相場は決まっとる思とったからな」


まぁ、普通の金持ちなら、きっと、そうなんだろうな。

欲しい物は、親に少し頼み込めば、何でも直ぐに買って貰える……とか、あんだろうけどな。


けどよぉ、オマエ、翌々考えてもみろよ。

確かに、ウチの家って金持ちだけどよぉ……『ヤクザの本家』だぞ。


そんな一般的な金持ちの常識が、罷り間違っても、罷り通る訳ねぇだろ。

汚い金は、汚い運用をされっから、そう言う金は、早々ガキには回って来ねぇの。



「まぁそんなもんだな。けど、まぁあれだな。取立てに行くのが面倒臭ぇ時は、そこら辺で『カツアゲ』とか『親父狩り』とかも、よくやったもんだけどな」

「オマエ、ひょっとして、ソッチの方が頻繁なんちゃうか?」

「確かに頻繁だな」

「最悪やコイツ」

「全然、最悪じゃねぇし。俺のカツアゲはな、迅速かつ、丁寧がもっとうなんだ。別に、ゴタゴタ言って変に抵抗しなきゃ、暴力は振るわねぇ。実にジェントリーなカツアゲなんだよ」


この間(1話参照)は、思いっ切り暇だったから、思いっ切り暴力振るったけどな。

序に言えば、あの時は、かなりムシャクシャもしてたな。


まぁアイツは、運が悪かったって事で。


それにしてもなんだな。

自分で言って置いてなんなんだが『ジェントリー(紳士的な)・カツアゲ』って、なんなんだろうな?


『英国風カツアゲ』とかと同義語だったりしてな。


んな訳ねぇか。



「そりゃあ、良ぇこっちゃ。何事にもモラルは必要やからな」

「だろ」


『カツアゲ』や『親父狩り』にモラルなんて存在するのか?


モラルのある犯罪なんざ聞いた事もねぇよ。


けど、コイツ、此処で俺に同意するって事は、コイツも昔、大阪で、そう言う事をやってたって事だな。


ヤクザの息子と同じ行為をしてるなんざ、オマエ、最悪だぞ。


・・・・・・


……あぁそういやぁ。

普段、コイツって、馬鹿バッカしてるけど、大阪に居る時ってのは、どんな奴だったんだろうな?

俺が聞かねぇのも有るけど、コイツ、そう言うのを、全然喋らねぇもんな。


まぁ今は時間が有るし、丁度良い機会だから、ちょっとその辺を聞いてみるか。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君、カツアゲとかばかりしてるのかと思いきや。

実は実家の仕事の手伝いとかをして、ちゃんとお金を稼いでいたんですね。


まぁ、この辺は以前にも書いた事なのですが。

どうしても金持ちの息子と言うのは、そう言う誤解をされ易いので、再度書いておきました。


さて、そんな中。

次回は山中君の過去話を聞いていく様ですが……どんな過去が飛び出してくるのか?


それはまた次回の講釈。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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