最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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643 忘れられていたメンバー紹介(笑)

公開日時: 2022年11月11日(金) 00:21
更新日時: 2023年9月12日(火) 12:36
文字数:2,856

●前回のおさらい●


 15分の休憩を経て。

本番最後の新曲を奏でる為に、ステージに戻る覚悟を決めた眞子。


この調子で、最後までライブを乗り切れるか!!

 ……そんな思考をしながら、ステージに戻る階段を上り。


私は……15分の休憩を経て。

憤死する覚悟を持ちながら、再びステージに足を踏み入れ。


かの地獄ライブの現場に、私は戻って来る事が出来た。


先程の⑩⑪で盛り上げた観客達の異常なまでの熱気や期待感が、ステージに渦巻いているが……私は、それらを見ても、妙に冷静な気分で居る。

いや、寧ろ、この中で倒れる程の演奏が出来る事に心地良くすら感じている。


後は、ライブの最後まで突っ走るだけだから……



そんな私のステージ帰還を確認した奈緒さんが、本番最後のMCが始めた。



「みんな、ありがとうねぇ~♪」

「「「「「奈緒様ぁ~~、今夜も最高ぉ~~~!!」」」」」

「にゃはは、ありがとう。でも、時間が経つのは、凄く早いもので、みんなと過ごす楽しい時間も、そろそろお仕舞いの時間が近付いて来ちゃったね。私も、実際は、まだまだお名残惜しいんだけど。とうとう、次の曲で最後になっちゃいました」

「「「「「えぇえぇ~~~!!奈緒様ぁ~~~!!もっと歌を恵んでぇ~~!!」」」」」

「あのねぇ、私を殺す気か!!これ以上このメンバーで続けたら、私が軽く死んじゃうって……」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」


なんかね。

奈緒さんがMCを入れただけで、さっきまでの異様なまでの緊迫感がほぐれ。

ちょっとだけ会場全体の雰囲気が和らいだ気がする。


恐らく奈緒さんは、故意的に、これをやってるのだろう。

若しくは、次の難易度の高い新曲に向って、少しでも『体力の回復』をする為の『時間稼ぎ』を、奈緒さんもしているのかも知れない。



「あぁ、そう言えばさぁ。今まで『思い切り!!ツッ走っちゃってたもんだから』さぁ。今日のメンバーを、全然紹介してなかったよね。最後になっちゃったけど。此処で、ちょっとだけ、軽くメンバー紹介をやってみようか」

「「「「「奈緒様ぁ、ドン臭い~~~!!」」」」」

「うるさいよ!!初アリーナだから、最初からテンション高かったの」

「「「「「ヤッパ可愛い!!」」」」」

「ははっ……ってな訳で、簡単にメンバーを紹介するね。まずは、ドラムの『Mrウンコ垂れ』」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」


-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-…


「「「「「おぉぉぉおおぉぉ~~~!!凄い、ウンコ垂れ君~~~!!」」」」」」

「どやどや、ウンコ垂れでも、中々えぇ音鳴らすやろ。……って!!誰がウンコ垂れやねん!!ってか!!えぇ加減、その渾名で世間に認識させんのヤメぃ!!このネタ、ドンだけ引っ張ったら気が済むねん!!」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」

「じゃあ、次ねぇ」

「うぅ~~~わっ、またやりよった。……毎度毎度、当たり前の様に無視すな!!偶には、じっくり愛撫するみたいに弄繰り回して、構ったらんかい!!」

「ヤダ……じゃあ次ね。また今度、憶えてたら弄ってあげるから、今日は我慢ね」

「なんやねん、その巧みな焦らしプレイは……マジで、偶には構ってえぇなぁ。ホンマ殺生やで」

「「「「「あはははっははっはは……」」」」」


此処は、いつも通りかぁ……哀れな子。



「さてさて、馬鹿は放って置いといて……じゃあ次ね次。次は、私の可愛い妹分。ベースを弾いてくれた倉津眞子♪……はい、いっぱい拍手ぅ~~~♪」


『パチパチパチパチパチ……』

「「「「「眞子ちゃ~~~ん!!」」」」」


わっわっわっ……今、体力が殆どないんで、面白い事を言えないよぉ。


本当に、そんな余裕ないですよ。



「あっ、あぁっと……」


うわうわっ!!ヤバイヤバイ!!どうしようどうしよう?


なにも出てこないや!!



「はいはい、眞子は、ちょっと内気な子なんで、私から紹介するね」

「「「「「奈緒様、宜しくぅ~~~!!」」」」」

「はいはい、お任せ。えぇっとねぇ、眞子は、私と同じ『仲居間一門』でベースを学んだ、本当の意味での私の『妹分』なの。それで、ちょっと今は事情が有って、私の家で預かってる子なんだよね。だから、みんな、眞子とは仲良くしてあげてね」

「「「「「眞子ちゃん!!仲良くして~~~~~」」」」」

「うんうん、じゃあ眞子。頑張って、ちょっとだけでも、みんなに挨拶してみよっか」

「あっ、はい、あの、倉津眞子です。……えぇっと、あの、えぇっと、あの、頑張りますので、仲良くして下さいね」

「「「「「奈緒様、眞子ちゃん持って帰って良い~~~!!」」」」」

「はい、それは、絶対ダメです。この子は、私だけのものです」

「「「「「ぶぅ!!ぶぅ!!ちぇえぇ~~~!!」」」」」」


はぁ~~~、またお持ち帰りネタですか……



「んじゃあ、最後は、私のベースの師匠でもある……せぇ~~~のぉ~~~!!」

「「「「「仲居間さ~~~ん!!」」」」」


キュイ~~ン!!キャキャキャ-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪-♪……



「あいよ。おひさ」


格好良くギターを鳴らした。

……までは良かったんだけど。

後は、適当にそれだけを言って、素知らぬ顔してギターポジションに戻るって……酷い対応だぁ。


そんな崇秀に、奈緒さんは慌てて追い駆け、マイクを差し出す。



「ちょ!!仲居間さん、仲居間さん、ちゃんと挨拶して下さいよ」

「挨拶?……面倒臭いからヤダね。だから断る」

「「「「「仲居間さん、滅茶苦茶、感じ悪いぞぉ~~!!」」」」」

「おぉ、確かにそうだな。感じ悪いよな俺って……ほんじゃま、挨拶もこれぐらいにして……」

「「「「「挨拶してねぇし!!」」」」」

「じゃまぁ、そう言う訳なんで……」

「「「「「聞いてねぇし!!」」」」」」

「向井さん、眞子……それに……えぇっと、あぁっと、だれだっけなぁ?あぁ、まぁ良いや。そこのドラムの人。ラスト一曲だから、全開に飛ばして行こうぜ!!向井さん、新曲のコール宜しくぅ~~!!」

「うわ~~~っ、超自分勝手な人だぁ。……まぁ良っか。最後の最後だから、出し惜しみなしで行くよ!!『Epitaph』(墓碑)!!……最後まで、張り切って行ってみよう!!」


「「「「「わぁあぁぁぁ~~~!!」」」」」



「結局、俺の名前、誰も1言も言うてくれへんやんけ。これ、全然、美味しないからな……1・2……」


盛り上がってくれる観客の皆さんとは別に。

私達は、またより一層の『緊迫感』と『覚悟』が必要になっていた。


此処では必ず、魔王の手によって、また6曲目の様な悪夢がず再現される筈だからね。


もぉ……生半可な気持ちじゃいられない。


私は『決死の覚悟』を持って、崇秀が、さっき入れた『ミニスィッチ』をONにした。


それを確認した崇秀は『凄く納得して』満面の笑みを浮かべる。


うん!!もぉやるしかないよね!!



「ククッ……んじゃま行くぞ。『Lever10Energy-drain』……最後は観客と共に、全員ぶっ倒れろ」


-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪……



……えっ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さんのメンバ-紹介を経て。

とうとう、本当の意味での地獄ライブの窯の蓋が……今開く。


さてさて、これから起こる地獄の光景とは、一体如何なるものなのか?

そして、崇秀が口にした『Lever10Energy-drain』とは、一体、如何なる技なのか?


その辺の恐怖体験を次回は書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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