●前回のおさらい●
人の良いネットさんに対して、恩義を感じ始めている倉津君。
そんなネットさんの恩義に報いる為にも、彼の同人誌の完売を目指す事にしたんだが……
何もしない内から、早くも1人のお客さんが!!
「さっきは、どぉもぉ~~」
あぁ……ヤッパリそうだ。
誰が、此処のブースにやって来たのかと思えば。
さっき俺が、オッサンの宣伝しながら同人誌の回収に廻ってた有名なサークルの奴か……
確かコイツ、片倉とか言う名前だったな。
……って事はだな。
こうやって有名サークルの作家が来てくれてるんだから、罷り也にも、俺の宣伝効果は有ったって証拠にも成るよな。
・・・・・・
そっか、そっか、良し!!
ならオマエには『栄光ある!!眞子の1人目の生贄』になる栄誉を与えてやるぞ。
だから、余計な事は何も言わずに、オッサンの同人誌を買え。
即買うのだ!!
「あっ、片倉さん。先程は、お世話様でした。あの、良かったら、見て行って下さいね」
「勿論、勿論、そのつもりで此処まで来たんだからさ」
「あっ、そうなんですか?わざわざご足労頂いて、ありがとうございます♪」
「なんの、なんの」
チャラ……この片倉って奴、なんかチャラ臭い匂いが消えない奴だな。
故にオマエには、チャラ繋がりで『量産型カジ』の称号を授与してやるから、ありがたく拝命しろ。
……なんて馬鹿な事を心の中で考えながらも、表面上では笑顔で、この量産型カジをチラッと見てみるとだな。
意外や意外、オッサンの同人誌を手に取ってからは、思ってた以上に真面目な表情で読みいってやがるんだよな。
あっ、あれ?予想外にも真面目な方向なんッスかね?
「……うん。これ、良いね。かなり良い」
「えっ?」
「ちょっと絵柄は古臭い感じだけど、内容自体はスゲェ良い感じ。これってさぁ、倉津さんが描いたの?」
「いえいえ、とんでもない。これは、ネットさんって方が描かれた作品なんですよ」
「へぇ~~~っ、そうなんだ」
あれ?さっきの好反応と比べたら、此処での反応はイマイチな感じなんだな。
ひょっとして『俺が描いてない』って言ったから、スカしたか?
なら此処からは、正式にオッサンの同人誌を売り込む方向で行ってみるか。
「あっ、あの、正直言いますと、私も、ネットさんの絵柄は少し古い感じがするとは思うんですけど。内容は、かなり面白いと思うんですが。……如何ですか?」
「あぁ、うん、そうだよね。俺、お世辞抜きで、こう言う個性的な作品が大好きなんだよね。なんて言うか、最近の同人誌ってさぁ。誰が、どの作品を書いてるかわかんない様な状態でしょ。だから、こう言う個性的な作品って希少価値があって良いと思うよ」
あらま、此処でも意外や意外。
俺がオッサンの事を宣伝するまでもなく、シッカリした見解をお持ちの様でゲスねぇ。
そう言うセンスは、実に良いセンスだと思いやすぜ。
……確かに、この量産型カジ事、片倉伸宏の意見は正しい。
昨今の売れている作家の絵には、どれを見ても大きな違いがなく。
その作品の内容も似たり寄ったりの物ばかりで、全くと言って良い程、個性がない。
特に書店に並んでいるものなどは、本当に何所の誰が描いてるのかさえ見分けが付かない様な絵や内容のものばかりだ。
これじゃあ、ただ単に、他人の作風を真似して『作家モドキが、自身が作品を作った気に成ってるだけ』に過ぎないし。
そうなると『本来の作品を作る』っと言う意味さえ失われてしまっているのと同然だ。
片倉が、そこを指摘して来たって事は……
ふむふむ、この量産型カジ。
売れっ子作家だけに、その辺の事は良く理解してやがるな。
って事で、俺が、そこを認めてやったんだから、オマエは、このオッサンの同人誌を買って良いぞ。
いや……つぅか、マジで買え。
「あの、じゃあ」
「モチモチ、これは即買いレベルだよ。これ、ウチの奴等が描いてる漫画なんかより、内容が有って数倍面白いじゃん」
「良かったぁ。漫画もそうなんですけど。ネットさんって、人柄も、凄く良い人なんですよ」
「へぇ~~~、そうなんだぁ。幾つぐらいの人なの?」
「えぇっと、確か50前だったかと……」
「へぇ!!へぇ!!やっぱ、同人業界にも、上手いオッサンとかってのが居るもんなんだね。……ってか、このキャラとか、無地のTシャツとかにハッ付けただけでも良い感じになりそうだよね」
おぉ……これはまた、思った以上の好感触だな。
つぅか、昔のキャラって。
此処最近、結構Tシャツ化されてる物も多いから、意外とその辺には需要が有るのかも知れないな。
なら俺も、今度、古い絵を練習してみるのも悪くねぇかも。
「ですね。じゃあ、今度、試しに作ちゃいましょうか?」
「あぁ、それ、良いね。じゃあ俺、早速、予約の方向で」
「あっ、はい。わかりました。片倉さんには、試作品が出来次第、お送りする様にして置きますね」
「ありがとう、ありがとう。……処で倉津さん、それは良いんだけどさ」
「あっ、はい」
「これの会計を済ませたいんだけど、一冊、幾らかな?」
「えっ?あぁっと、すみません、すみません。……えぇっと、えぇっと、あれ?金額どこだったっけなぁ?何所に書いてあるんだろ?」
「ぷっ!!倉津さん、値段なら此処、此処」
量産型カジが笑いながら、机の前の部分を指でさして、この同人誌の値段を明らかにする。
……いや、前持って言って置くがな。
勿論、そこに金額が書いてある事なんぞ、ちゃんと承知の上なんだぞ。
大体にして、金額も知らずに店番する馬鹿なんぞは居ないからな。
けどな、敢えて此処では、片倉に対して、自分の『ドン臭さ』若しくは『天然さ』をアピールしてみたんだ。
だってよぉ、これって、本当の意味での眞子のスペックを知る良いチャンスじゃん。
此処で相手方がイライラする様じゃ、真子の魅力も大した事ないんだろうけど。
ソレさえも感じさせずに、親切な対応してくれるなら……眞子の価値は高いと考えて間違いない筈だからな。
まぁそうは言っても俺の場合、今はそんな風に、見た目重視で『女子の価値を捕らえてる訳ではない』んだがな。
昔は、誰彼構わず『ブスだブス』っとか言って、そう言う価値観を持って女子に接していた部分があったからこそ、これは言える話なんだよ。
まぁだから……取り敢えずではあるが。
その辺の一般的な男性の思考を踏まえた上で、今の量カジの状況をみたら、真子の価値の第一段階はクリアーだと言えよう。
クケケケケッケケ……やっぱ、なんだかんだ言っても、見た目が良いのは得だな。
「あぁっと、すみません。えっと、えっと……500円ですね。はい」
「ぷぷっ!!倉津さんって、面白い子だね」
「えぇ~~~、だって、あの、ネットさんがランチを摂りに行かれたので。私には、なにがなんだか良く解らなくて」
「ハハッ、ヤッパ、面白いね。……あぁじゃあ、これ、代金ね」
「あっ、はい。ありがと…う……えっ?あっ、あれ?えぇっと……なんで15,000円なんですか?」
「いや、これ、全部頂戴。ウチの馬鹿スタッフの教材に使うから」
あれまぁ、これはまた豪儀な事を……
けど、そんな風にお金使った程度で、真子が落ちると思われちゃあ困るな。
大体にして、そんな程度の金額に目が眩んで簡単に落ちるのは、その辺に転がってる様な馬鹿女だけですぞ。
申し訳ないんだが、その程度の金額では、真子は、なにも動じないのです。
「あっ、ありがとうございます。片倉さんのお陰で、お1人目のお客さんで全部売れちゃいましたね」
「人、これを買占め、若しくは大人買いと言う」
「くすっ、くすっ、なんですか、それ?……可笑しい」
おぉおぉ。
口に指をあてながら、ちょっとクスクス笑ってるだけなのに。
量カジの奴、コチラをジッと見とる、ジッと見とる。
まぁ、男ってのはな。
こうやってクスクス笑う女の子の表情ってのが、基本的に大好物な生き物だからな。
特に眞子クラスの美少女ともなれば、その価値は計り知れない。
でも、これってあれだな。
女性目線で見ると、結構、滑稽な光景にしか見えないもんだな。
なんか、目線が必至過ぎて正直引くわ。
「あの、倉津さん」
「くすっ、くすっ。あっ、ごめんなさい、どうかされましたか?」
此処で更に『くすくす』笑い続けるのもポイントが高いんだぞ。
女の子の程良い『笑い上戸』ってのは、更に男性に好印象を持って貰える筈だからな。
実際、俺も、これを散々奈緒さんにやられたから、此処も既に、体験立証済みなデータなんだよな。
あぁ因みにだがな。
『可愛い子』が『可愛い仕草』をすれば、男ってのは、必ず、そこに眼が行くのがデフォルト。
っで、それに対して相手側が照れた場合は、今の片倉の様に顔を赤らめながらソッポを向いちゃうもんなんだよ。
なので多分、この技の効果はデカイ筈だ。
……って俺!!この期に及んで、どんどん女性化が進んでないか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
今回のお話で、倉津君の性格が悪くなっている様に見えたかもしれませんが。
男性の目線で見えるものと、女性の目線で見えてる光景って、結構違う物なので。
今現在、真子として存在している倉津君の目線を通して、そこの違いを表現してみましたぁ(笑)
特に彼の場合は、両性別の目線で見る事が可能ですから。
まぁ、普通の女性目線より、少々性格が悪く見えてしまった可能性はあったかもしれませんがね。
さてさて、そんな中。
やや女性目線で、人と接し過ぎてるせいか、地味に女性化の方も進んでる倉津君なのですが。
次回も、その危険性を踏まえた上で、物語を構成して行きたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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