●前回のおさらい●
倉津君自身も色んな思惑がある中。
とうとう、ヒナちゃんの実力が明らかになる時が訪れ……
「……ってか、はよ弾け」
「あぁそぉ、そう言う事を言っちゃうんだ。だったら、もう良いわよ。容赦なく行かせて貰うからね。アンタ、覚悟しなさいよ!!」
やっちまったか?
これは煽り過ぎたか?
だったら、この後、本気に成ったヒナに、俺は殺人音楽で殺される感じか?
それとも、洗脳音楽で洗脳される感じに成っちまう運命なのか?
どっちだ?どっちが来る!!
まぁドチラが来るにしても、俺の死亡フラグだけは確定してるんだろうけどな。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……
ギャアアアァアァ~~~~!!
こっ……これは……!!
・・・・・・
……って、へっ?
あれ?なんだこれ?
普通に上手いのは否めない演奏ではあるんだが、本当に普通に上手いだけだとしか認識出来ない様な演奏の仕方だな。
それになにより、特別、特殊な音を出してる気配すら全く感じない。
しかも、その上、メッチャ必死に演奏してる様な演技までしてきやがる。
あれ?本当になんだこれは?
この少々拍子抜けな展開は、一体、なんなんだ?
むむむ……
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!
あぁ!!この野郎、解ったぞ!!
さては、この期に及んで、まだ俺をからかおうとして手ぇ抜いた演奏をしてやがるんだな。
だから、この程度の演奏に留まってる。
コイツだけは……ホントしょうがねぇ奴だなぁ。
「オイオイ、ヒナ。そんなに遠慮しないで良いから、もっと真面目に演奏しろよ。オマエの実力は、そんなもんじゃないだろうに?」
「えっ?」
『えっ?』じゃねぇつぅの。
そんなワザとらしい演技なんぞまでしなくて宜しい。
オィちゃんにも思惑ってもんがあるんだから、そろそろ真面目にやりなさい、真面目に。
「だから、そうやって俺をからかうのも結構だがな。もぉそう言うのは程々で良いから、真面目にやれって言ってんだよ」
「えっ?だから真面目に……」
「はいはい。ホントもう良いから、早く崇秀みたいにガツ~~~ンって来てくれよ。ガツ~~~ンっとよ」
「うっくっ!!……解ったわよ!!真面目に弾けば良いんでしょ!!真面目に!!」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪……
オイオイ、なにをそんなに怒ってんだよオマエさんは?
つぅか、オマエねぇ。
先に俺をからかおうとしたのはソッチなんだから、それを怒るのはお門違いってもんじゃありませんかい?
それは所謂、俺がよくやる『自爆』って奴だぞ。
それによぉ。
そう言った割には、まだ全然真面目に演奏してねぇじゃんかよ。
それじゃあ、ただ単に感情に任せてギターを弾いてるだけに過ぎねぇんじゃねぇの?
いやまぁ、俺個人としては、そういう激しい演奏の仕方ってのは嫌いじゃないんだけどな。
それじゃあ結局は、なんの変化もしてねぇ様な気がするんだが。
なんなんだ、この妙な違和感は?
・・・・・・
( ゚д゚)ハッ!
……って、オイオイオイオイオイ!!
まっ、まさかとは思うが。
此処まで煽っても、まだ必要以上に普通に上手い演奏しかして来ないって事はだな。
こっ、これが……コイツの本気の実力だとか言うんじゃねぇだろうな!!
嘘だろ?
けど、もしそうだとしたらヤバイ事を言っちまったなぁ。
まだ崇秀だって先入観が残っちまってたみたいで、俺は、基本的にヒナをトンデモナイ演奏をしてくる超絶ギタリストだと思い込んじまってたらしい。
さっきあれだけ『崇秀じゃない』って口酸っぱくヒナに言われた所なのによぉ。
それでも尚、まだ変に期待しちまってたか。
あぁでも、それだったら、これは非常にマズイ展開になっちまったもんだな。
ヒナみたいに負けん気の強い性格の奴には、此処で変に褒めても、嘘を吐いてる事を即座に悟られ。
余計に機嫌を損ねるだけだしな。
だったら此処は一発、違う方向で再評価してみるかぁ。
こういうのは、あんま俺のキャラじゃねぇんだけどな。
「あぁ、もう良い、もう良い。辞めろ、辞めろ。オマエの実力は、もうよく解ったから、それ以上、耳障りな雑音出してんじゃねぇよ」
「・・・・・・」
あっ……俯いて黙っちまったか。
こりゃあ少々可哀想な事を言っちまったかな。
けど、言ってしまった以上、もう後には引けないのも事実。
此処で変にテンションを変えた喋り方をしても、余計におかしな事に成りそうだしな。
「今聞いた範囲じゃあ、オマエの演奏レベルは中の下が良い所だな」
「うぅ……」
「しかしまぁ、そんな程度の演奏しか出来ねぇくせに、よくもまぁ俺の音を批判出来たもんだな。大したもんだよ」
「クッ!!……なっ、何よ。そんな言い方しなくても良いじゃない。私だって……私だってねぇ!!眞子みたいに自由にライブで演奏出来る時間が、もっとたくさんあったら……」
そこは本当に可哀想だと思う。
まぁこれに関しては、俺の予想にしか過ぎないんだが。
今までヒナに聞いてきた話から想像するに、崇秀との生活環境の違いが明白に出てしまっている部分だろうからな。
特にコイツの場合は、親を大切に思ってる筈だから、静流さんの命令は絶対。
それ故に、滅多に夜遊びなんか出来たもんじゃないだろうから、そんなそんなライブにも参加で来てねぇ筈。
それに引き換え。
今、ヒナが例で上げようとした眞子は、俺と良く似た性格で、自由奔放を主として考える女。
親に、なにを言われても言う事なんか聞きゃしねぇと思われる。
だから、こうやって眞子に差を付けられるのも、あまりライブが出来ていないヒナ自身にも大きな葛藤が有ったと思う。
正直言えば、これは環境の問題なだけに、本当に可哀想だ。
……けどな。
そんな話を差し置いても、現時点で解っている事があってだな。
今聞いた演奏だけでも、コイツには、崇秀同様のとんでもないポテンシャルが潜んでいるのを感じ取れるんだよ。
いやまぁ、今さっき、散々ヒナの演奏を扱き下ろして置いてなんなんだがな。
これだけ制限されてる中で、中の下までとは言え、自分自身の力だけで此処まで持って行ってたりしてるんだから、秘めてるポテンシャルは、かなり高いと思うんだよ。
だからこそ、此処で可哀想だからと言って、下手にヒナを甘やかす様な発言は出来ねぇんだよな。
それは、コイツの可能性を潰す事にも成り兼ねないからな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
環境がそうさせてしまったのか。
ヒナちゃんの演奏レベルは、そこまで高くはないみたいですね。
まぁでも、此処ばかりは、そうなっても仕方がないんですよね。
環境の違いがあるとは言え。
まずにして崇秀の演奏と言うのは、理論を突き詰めた上で、ライブで牙を研ぎ続けてきた超実践派な演奏なので。
理論だけを突き詰めてただけヒナちゃんじゃあ、この辺が妥当な実力と言った所に成ってしまう訳ですからね。
ですが、秘めたポテンシャルは、矢張り崇秀と同様。
なので此処があるだけに、今後の倉津君の行動如何では、爆発的に伸びる可能性があるのですが……
この辺を倉津君は、どうするつもりなんでしょうね?
……ってな感じの話を、次回は書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
あぁ、それはそうとあれですね。
今のヒナちゃんの状態って、序章で最初にライブをやった時の倉津君の環境によく似てるかもしれませんね(笑)
読み終わったら、ポイントを付けましょう!