最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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056 不良さん 余計な事を言って仕返しされる(笑)

公開日時: 2021年4月2日(金) 23:07
更新日時: 2022年11月9日(水) 20:34
文字数:2,484

●前回のおさらい●


 超変人の崇秀は、小さい頃からロクな事をしない人間だった。

『20万の商品の値札を、巧妙な手口で細工し2万円で買ったり』

『買ったギターを、誰にも習わずに、独学で弾ける様になったり』

っと、次々と呆気に取られる様な事実を、何も悪びれる事なく白日の下に晒していく。


そんな崇秀に興味が尽きない山中君は、次の質問をぶつけようとしていた。

「そやけどオマエ……」

「いや、山中よ」

「なんや?」

「オマエさぁ、どんだけ俺に興味あんだよ。ちょっと気持ち悪いぞ」

「あっ、あの、でも、山中君の気持ち解りますよ」


奈緒さんも、山中の意見に賛同なのかして同調してきた。



「なんで?」

「だって、仲居間さんの話……ギターの入手経路にしても、ギターの弾き方にしても、かなり普通じゃないですよ」

「そう……か?」

「だって……やっぱり変ですよ」

「そっか?じゃあ、変なんだろうな」


しかし奴は、特に反論する事もなくアッサリと自分が変だと認めやがったよ。


ひょっとして、これはあれか?

崇秀のアホンダラァも、奇跡的に自分が変人だと言う事の自覚が芽生えたか?



「それで良いんですか?」

「いや、昔から『変わった子』だって良く言われてたしね」

「そうなんですか?」

「そそ。それに俺は、モノを解読するのや、自分でアイディアを考えて実行に移すのが好きだから、他人にそう思われても、おかしくはないからなぁ」

「まぁ確かに、昔からオマエは変わった奴ではあったな」


うん、間違いなくオマエは、昔から変人だ。



「いや、オマエが言うな」

「イヤイヤ、俺は、お前ほど変人じゃない」

「なんで、そんな断言出来んだよ」

「俺には、れっきとした証拠が有るからな」

「ほぉ、証拠ねぇ……じゃあ、その証拠とやらを言ってみろよ」


罠に掛かった。

まさか、こんな単純な罠に、コイツが引っ掛るとは思いもしなかった。


良し!!じゃあ、あの小学校の入学式の逸話を、今から、面白おかしく脚色して話してやる。



「まぁ証拠って程のもんじゃねぇんだけどな……」

「なんだよ?」

「コイツ……小学校の入学式の後、教室でホームルームしてる時に、俺が、ちょっと声を掛けたら、イキナリぶん殴ってきたんですよ」

「はぁ?」

「……ヒドイ」

「いや、ちょっと待ってくれ。あれは確か……」


確かに俺は『金貸してくれ』とオマエには言ったが。

それも、ちょっと声を掛けたとなんら変わらねぇと思うぞ。


だから、俺は、なにも嘘は言ってない。


話って言うのは、相手がどう捉えるかが問題だ。


今の所、成功を収めてるな。



「入学式の直後ですよ。普通、親連中が教室に居る前で、同級生を殴りますか?」

「小学校入学と同時に、なんちゅうロカビリーなやっちゃ……その話がホンマや言うんやったら、さっきのギターの話も頷けるわ。えげつない悪ガキやな」

「オイオイ、ちょっと待てよ。ちょっとは俺の話も聞けよ」

「クラ、可哀想」

「まぁ聞いてた範囲じゃ、ヒドイのレベルが、人間のするレベルやないわな」

「あぁっそ。オマエ等、そうやって人の話も聞かずに、そこまで一方的な言い分を垂れやがるんだな……そこまで言うんなら、オマエ等も、それ相応の覚悟は出来てるんだろうな?どうやらオマエ等の見解じゃ、俺は人間のするレベルじゃない、えげつない事をする人間らしいからな」


あれ?なんか怒ってるぞ。

これはひょっとして、やり過ぎたか?


いや、良く見ると怒ってるどころか、笑ってやがる。


っと言う事は……こりゃあ、100%ロクでもない事を思い付いた証拠だな。


もしそうなら、非常にヤバイ。



「まぁ落ち着けって、冗談じゃねぇか冗談」

「冗談?……いや、俺は確かに、入学式当日にオマエを殴ったぞ。それは、今でも鮮明に覚えてる」

「まぁ殴ったな。じゃあ、この話は終わりって方向で」

「あぁ良いぞ。その代わり、オマエ等全員、俺の話を一切聞かなかったから『遊戯王バリの闇の罰ゲーム』な……当然だよな」

「へっ?ちょ!!待てや秀!!俺、なんも関係ないやんけな。マコが勝手に言い出した話やろ」

「あぁ気にするな……オマエはただの『巻き添え』だ」

「あっ、あの……ひょっとして、私もですか?」

「当然」

「なんでぇ?」

「気にしな~い、気にしな~い。一括り一括り」


オイオイ、嫌な一休さんだな。

多分、そんな性質の悪い一休さんは、この世には、絶対、存在しないぞ。


まぁ、一休禅師の本性は『滅茶苦茶破天荒な僧侶』だったらしいけどな。


ってか、オマエ、んな事よりよぉ。

山中に罰ゲームをさせるのは良いとしても、奈緒さんは可哀想だからヤメロつぅの。


マジで、奈緒さんは関係ないじゃんかよ!!



「あぁ、もぅ俺が悪かったよ。だから、奈緒さんだけは勘弁してやれよ」

「そんなもん嫌に決まってるだろ」

「オマエねぇ……」

「なぁ~に、そんな酷い事はしねぇから心配すんなっての」

「いや、ちょ、待てって。心配すんな以前の問題として、オマエ、ホンマに何をさせるつもりやねん?」

「なぁ~にね。今夜のライブに、オマエ等全員の名前を登録しておくだけのこった……オマエ等3人の名前をな」

「ちょ!!オイオイ、あんま無茶言うなよ。俺、まだまともにベースを弾けねぇんだぞ」


俺にステージに上がって『運指運動をしろ』って言うのか?


そんなもん正気の沙汰じゃねぇぞ!!

ガチの罰ゲームじゃねぇか!!



「あぁそうか。それは、ちょっと問題だな……なら、夜までに向井さんに習えば良いんじゃねぇか」

「だからよぉ」

「心配すんなって、ギリギリ出来る範囲の曲にしてやるからさぁ……それまで精々足掻いて練習しろ」

「オイ!!」

「じゃあな、頑張れよ」


そう言って奴は、1枚のスコアーを置いて立ち去っていく。

勿論、俺が声を掛けても止まる筈もない。


これって……もぉやるしか選択肢がないのか?


決してアイツは、こう言う時には冗談を言わない奴だ。

だから、どんな手を使ってでも俺等3人を追い詰めて、確実にステージに上げさせてくる筈だからな。


手段を選ばないのは、さっきのギターの話が良い例だ。


だが、そんな俺の不安を他所に。

他の2人が心配になって、そちらを見てみると……意外にもスコアーを見ながら落ち着いていた。



「クラ……これなら、夜までには、何とかなるかもしれないよ」

「あぁ、流石、秀やな。時間一杯使って練習したら、弾けるか、弾けへんかの、微妙なラインのえぇ曲書きよるわ」


俺の心配を他所に、なんだか2人は大丈夫な感じだな。


けど……俺が弾けねぇ現状だけは、何も変わってなくね?


こんなんで、マジ大丈夫なんか?


なにこれ?

余計な事を言うんじゃなかったよ(´;ω;`)ブワッ


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>

これにて、第十話は終了でございます(笑)


倉津君、崇秀に余計な事を言って、まだロクにベースを弾けないのにステージに上がる事に成っちゃいましたね。

どうやら彼は、余計な事を言う癖は、なにも治っていない様です(笑)


さて、そんな状況の中、次回からは。

『夜のライブに向けての猛特訓が始まります』


倉津君は、何処まで弾けるようになるんでしょうね?


そこは次回の講釈。

また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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