最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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560 法の番人は、汚職に身を落とす

公開日時: 2022年8月20日(土) 00:21
更新日時: 2023年1月12日(木) 21:04
文字数:2,518

●前回のおさらい●


 奈緒さんとチヒロンだけで、ビールを飲み始めた事に不満な倉津君。


ですが、それは仕方がない事。

今の可愛く女体化してしまった倉津君には、お酒を飲むイメージなどないのだから(笑)


……なんて思っていたら。

「あっ、あの、向井さん、樫田さん。未成年の飲酒は法律で禁じられてますよ」


そんな風に奈緒さんと千尋に心の中で文句を言っていたら、突然、素直が、こんな発言をして来た。


どうした?


……いや、そうじゃない。


此処は寧ろ……そうだ!!そうだ!!その通りだ!!

素直の言う通り、未成年が飲酒をするなんて、国家反逆罪で逮捕されますぞ!!

しかも、有名人が下手にそんな事したら、新聞に載って活動停止にもなるんだぞ!!


黙ってて欲しかったら、共犯にするしかないんだぞ!!


って事で、頼むから、いい加減……飲ましちくり。



「硬い事を言わないの。私だって、仕事でストレスが溜まってるんだから。偶には、こうやって千尋と息を抜かないと破裂しちゃうのよ」

「そうですけど、お酒は、ちょっと……」


頑張れ素直!!

今のオマエは、法律の番人として、違法者を、なにがあっても検挙すべき立場の人間だ。

そこに居る極悪人2人だけは、どうやってでも完全に取り締まるべきだ。


悪の詭弁に屈するな!!

それは正義が死ぬのと同じだぞ!!

2人だけで酒を楽しむ様な悪党には、絶対に負けるなよ!!


俺は、断然、正義の味方である素直を応援するぞ!!



「じゃあ、素直も一回飲んでみたら良いじゃん。この感覚が解らないから、そう言う御託が並べられるんだよ。試しに飲んでみなよ」

「えっ?」

「あぁ、千尋。そうやって薦めるのは良いけど、素直は、まだ子供だよ。理屈が解らないんだから、あんまり無茶な注文をしたら可哀想でしょ」

「えっ?」

「あぁ、そっか。お子ちゃまじゃ無理かぁ。じゃあ、しょうがないよね」


オイ、素直!!

それは悪党共が考え付いた、オマエを陥れるだけの巧みな罠だぞ!!


引っ掛るな!!

それは、オマエを共犯にする為の完全な誘い水なんだぞ!!


悪の勧誘に乗っちゃダメだぁ~~~!!



「ちょっと待って下さい。僕、別に子供じゃないですよ。僕だって、お2人同様に、ちゃんとお仕事もしてるし、ストレスも溜まってます」

「ふ~~~ん」

「『ムカ』……じゃあ下さい!!僕も飲みます!!」


にゃあぁぁぁ~~~。

素直が、法の番人から、汚職警官に身を落としちまったぁ……


ってか、俺だけ1人置いてかないで素直……


オィちゃんも飲みたいじょ。



「ホントに大丈夫ぅ~?そんなに背伸びしてまで、無理にビールなんて飲むもんでもないんだよ」


千尋の奴、此処で追い討ちかけて、素直が引っ込みが付かなくしやがった。


コイツ……純粋な子供を相手に、どこまで卑怯な手を使うんだ!!


イカンな、これは……これじゃあ素直が、あまりにも可哀想だ。


……良し!!しょうがないな。

此処は1つ、オィちゃんが素直に代わって、泣く泣くビールを飲んでやろうじゃないか!!


さぁさぁ遠慮せずに、グラスにビールを注いで満タンするが良いぞ!!


さぁ、どうぞ!!



「大丈夫です。それに美味しくなかったら、騙されたと思って、もぉ二度と飲みませんから」

「ほほぉ~~~、言いますねぇ。じゃあ、一杯どうぞ」


あぁ……おぃちゃんの役が……


そんな俺を尻目に、千尋は悪魔っぽく素直を見て笑い。

決死の覚悟で持った素直のグラスに、ビールを満タンに注いでいった。


しかも……泡と、ビールが、7:3の黄金比率で入ってやがる。


見るからに美味そうだ。


……そして、その2人の光景を見ている奈緒さんは、俺の横で、顔を隠しながらクスクスと笑いを零している。


コッチはコッチで、なにを企んでいるのやら……



「さぁ、入ったよ、素直。……じゃあ、いってみようか」

「じゃ、じゃあ、戴きま……飲みます!!ごきゅ、ごきゅ」


あぁ、飲んじゃった。

悪魔達の策略に見事なまでに嵌って、素直が犯罪者に身を落しちまったよ。


しかも、素直の奴、あの調子だったら、勢い良く一気に飲み干すつもりなんじゃないのか?


オイオイ……幾ら子供扱いされて腹が立ったって言っても、あんま無茶すんなよ。

飲酒の初心者がそんな飲み方したら、急性アルコール中毒で、ぶっ倒れちまうぞ。



「んん……ぷはぁ~~~~~~~!!」

「どぉ?中々、イケるでしょ」

「……美味しい……うん。これ、スッ~~~ゴック、美味しいです♪」


うそ~~~~ん!!


なんでそうなった!!


あぁ~~~るぅえぇ~~~???



「あっ、あれ?」

「向井さんの言う通りですね。なにか知らないですけど、疲れが吹き飛んで行っちゃった気がします」

「でしょ。ぷぷぷ……」


あっ、あれ?

この様子だと、奈緒さんは、素直が飲める事を想定済みだったのか?


でもなんでだ?

素直に酒飲みのイメージなんて、俺には、これっぽっちもねぇのに……



「あっ、あれ?奈緒、アンタ、素直が飲めるの知ってたの?」

「うぅん、知らないよ。今、初めて見たもん」

「じゃあ、なんで、そんなに冷静なのよ?」

「だって素直は、家でケーキとか作ってるから、お酒の『味だけ』は知ってる筈だもん。どれだけアルコールを飛ばしてても、お酒って、その風味だけは残るもんなんだよね」

「あっ!!そう言う事か!!ブランデーとかをケーキに入れるから、知らず知らずの内に、お酒の味だけにも慣れてるんだ」

「そそ、そう言う事」


……って事はなにか?

あの時の奈緒さんの笑みは、ビールを飲もうとしてた素直の動向を見てた訳じゃなく、千尋の驚く姿に向けられてたって事か。


だとしたら……スゲェ洞察力だな。



「あぁ、でも、素直。味に慣れてるとは言え。初めてなんだから、さっきみたいに、あんまりガバガバ飲んじゃダメだよ」

「そっ、そうですね。わっ、わかりました。……あっ、あの、でも、もぅ一杯だけ頂いても良いですか?後、一杯だけ……」

「良いよ。でも次は、さっきみたいに慌てず、ゆっくり飲むんだよ」

「あっ、はい」


うわ~~~~~ん。

何故かオィちゃんだけを残して、3人で晩酌を始めちゃったよ。


けどなんで、そんな風にオィちゃんだけ仲間外れにしてビールを飲ませてくれないの!!


この光景は、明らかにおかしいだろ!!


オィちゃんも欲しい!!

オィちゃんもビールが欲しいじょおぉぉ~~~!!


誰か、オィちゃんにも薦めておくれよぉおぉぉ~~~~!!



……って思った瞬間、ある女神が、そっと俺に微笑んでくれた。


これって、ひょっとして……


ヤタァ~~~!!

ついに、念願だったオィちゃんの出番がキタァ~~~!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


( ´,_ゝ`)プッ

素直ちゃん、飲めましたね(笑)


此処は本編でも説明させて頂いた様に、素直ちゃんはよくケーキなどを焼くので、お酒の味には意外な程に成れており、実は何の抵抗もなく飲めたりするんですよね(笑)


まぁ、それが良いか悪いかは別として。


さてさて、そんな中。

3人で晩酌を始めてしまい、一人虚しく取り残された『哀れな美少女』の倉津君なのですが。


そんな彼女に救いの手を差し伸べる者が!!


それは、一体、誰なのか?


それは次回の講釈。

少しでも気になって下さいましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

(あっ、これは、ちょっとした心理ゲームみたいなものなので、良かったら推理してみて下さい(笑))

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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