●前回のおさらい●
奈緒さんとチヒロンだけで、ビールを飲み始めた事に不満な倉津君。
ですが、それは仕方がない事。
今の可愛く女体化してしまった倉津君には、お酒を飲むイメージなどないのだから(笑)
……なんて思っていたら。
「あっ、あの、向井さん、樫田さん。未成年の飲酒は法律で禁じられてますよ」
そんな風に奈緒さんと千尋に心の中で文句を言っていたら、突然、素直が、こんな発言をして来た。
どうした?
……いや、そうじゃない。
此処は寧ろ……そうだ!!そうだ!!その通りだ!!
素直の言う通り、未成年が飲酒をするなんて、国家反逆罪で逮捕されますぞ!!
しかも、有名人が下手にそんな事したら、新聞に載って活動停止にもなるんだぞ!!
黙ってて欲しかったら、共犯にするしかないんだぞ!!
って事で、頼むから、いい加減……飲ましちくり。
「硬い事を言わないの。私だって、仕事でストレスが溜まってるんだから。偶には、こうやって千尋と息を抜かないと破裂しちゃうのよ」
「そうですけど、お酒は、ちょっと……」
頑張れ素直!!
今のオマエは、法律の番人として、違法者を、なにがあっても検挙すべき立場の人間だ。
そこに居る極悪人2人だけは、どうやってでも完全に取り締まるべきだ。
悪の詭弁に屈するな!!
それは正義が死ぬのと同じだぞ!!
2人だけで酒を楽しむ様な悪党には、絶対に負けるなよ!!
俺は、断然、正義の味方である素直を応援するぞ!!
「じゃあ、素直も一回飲んでみたら良いじゃん。この感覚が解らないから、そう言う御託が並べられるんだよ。試しに飲んでみなよ」
「えっ?」
「あぁ、千尋。そうやって薦めるのは良いけど、素直は、まだ子供だよ。理屈が解らないんだから、あんまり無茶な注文をしたら可哀想でしょ」
「えっ?」
「あぁ、そっか。お子ちゃまじゃ無理かぁ。じゃあ、しょうがないよね」
オイ、素直!!
それは悪党共が考え付いた、オマエを陥れるだけの巧みな罠だぞ!!
引っ掛るな!!
それは、オマエを共犯にする為の完全な誘い水なんだぞ!!
悪の勧誘に乗っちゃダメだぁ~~~!!
「ちょっと待って下さい。僕、別に子供じゃないですよ。僕だって、お2人同様に、ちゃんとお仕事もしてるし、ストレスも溜まってます」
「ふ~~~ん」
「『ムカ』……じゃあ下さい!!僕も飲みます!!」
にゃあぁぁぁ~~~。
素直が、法の番人から、汚職警官に身を落としちまったぁ……
ってか、俺だけ1人置いてかないで素直……
オィちゃんも飲みたいじょ。
「ホントに大丈夫ぅ~?そんなに背伸びしてまで、無理にビールなんて飲むもんでもないんだよ」
千尋の奴、此処で追い討ちかけて、素直が引っ込みが付かなくしやがった。
コイツ……純粋な子供を相手に、どこまで卑怯な手を使うんだ!!
イカンな、これは……これじゃあ素直が、あまりにも可哀想だ。
……良し!!しょうがないな。
此処は1つ、オィちゃんが素直に代わって、泣く泣くビールを飲んでやろうじゃないか!!
さぁさぁ遠慮せずに、グラスにビールを注いで満タンするが良いぞ!!
さぁ、どうぞ!!
「大丈夫です。それに美味しくなかったら、騙されたと思って、もぉ二度と飲みませんから」
「ほほぉ~~~、言いますねぇ。じゃあ、一杯どうぞ」
あぁ……おぃちゃんの役が……
そんな俺を尻目に、千尋は悪魔っぽく素直を見て笑い。
決死の覚悟で持った素直のグラスに、ビールを満タンに注いでいった。
しかも……泡と、ビールが、7:3の黄金比率で入ってやがる。
見るからに美味そうだ。
……そして、その2人の光景を見ている奈緒さんは、俺の横で、顔を隠しながらクスクスと笑いを零している。
コッチはコッチで、なにを企んでいるのやら……
「さぁ、入ったよ、素直。……じゃあ、いってみようか」
「じゃ、じゃあ、戴きま……飲みます!!ごきゅ、ごきゅ」
あぁ、飲んじゃった。
悪魔達の策略に見事なまでに嵌って、素直が犯罪者に身を落しちまったよ。
しかも、素直の奴、あの調子だったら、勢い良く一気に飲み干すつもりなんじゃないのか?
オイオイ……幾ら子供扱いされて腹が立ったって言っても、あんま無茶すんなよ。
飲酒の初心者がそんな飲み方したら、急性アルコール中毒で、ぶっ倒れちまうぞ。
「んん……ぷはぁ~~~~~~~!!」
「どぉ?中々、イケるでしょ」
「……美味しい……うん。これ、スッ~~~ゴック、美味しいです♪」
うそ~~~~ん!!
なんでそうなった!!
あぁ~~~るぅえぇ~~~???
「あっ、あれ?」
「向井さんの言う通りですね。なにか知らないですけど、疲れが吹き飛んで行っちゃった気がします」
「でしょ。ぷぷぷ……」
あっ、あれ?
この様子だと、奈緒さんは、素直が飲める事を想定済みだったのか?
でもなんでだ?
素直に酒飲みのイメージなんて、俺には、これっぽっちもねぇのに……
「あっ、あれ?奈緒、アンタ、素直が飲めるの知ってたの?」
「うぅん、知らないよ。今、初めて見たもん」
「じゃあ、なんで、そんなに冷静なのよ?」
「だって素直は、家でケーキとか作ってるから、お酒の『味だけ』は知ってる筈だもん。どれだけアルコールを飛ばしてても、お酒って、その風味だけは残るもんなんだよね」
「あっ!!そう言う事か!!ブランデーとかをケーキに入れるから、知らず知らずの内に、お酒の味だけにも慣れてるんだ」
「そそ、そう言う事」
……って事はなにか?
あの時の奈緒さんの笑みは、ビールを飲もうとしてた素直の動向を見てた訳じゃなく、千尋の驚く姿に向けられてたって事か。
だとしたら……スゲェ洞察力だな。
「あぁ、でも、素直。味に慣れてるとは言え。初めてなんだから、さっきみたいに、あんまりガバガバ飲んじゃダメだよ」
「そっ、そうですね。わっ、わかりました。……あっ、あの、でも、もぅ一杯だけ頂いても良いですか?後、一杯だけ……」
「良いよ。でも次は、さっきみたいに慌てず、ゆっくり飲むんだよ」
「あっ、はい」
うわ~~~~~ん。
何故かオィちゃんだけを残して、3人で晩酌を始めちゃったよ。
けどなんで、そんな風にオィちゃんだけ仲間外れにしてビールを飲ませてくれないの!!
この光景は、明らかにおかしいだろ!!
オィちゃんも欲しい!!
オィちゃんもビールが欲しいじょおぉぉ~~~!!
誰か、オィちゃんにも薦めておくれよぉおぉぉ~~~~!!
……って思った瞬間、ある女神が、そっと俺に微笑んでくれた。
これって、ひょっとして……
ヤタァ~~~!!
ついに、念願だったオィちゃんの出番がキタァ~~~!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
( ´,_ゝ`)プッ
素直ちゃん、飲めましたね(笑)
此処は本編でも説明させて頂いた様に、素直ちゃんはよくケーキなどを焼くので、お酒の味には意外な程に成れており、実は何の抵抗もなく飲めたりするんですよね(笑)
まぁ、それが良いか悪いかは別として。
さてさて、そんな中。
3人で晩酌を始めてしまい、一人虚しく取り残された『哀れな美少女』の倉津君なのですが。
そんな彼女に救いの手を差し伸べる者が!!
それは、一体、誰なのか?
それは次回の講釈。
少しでも気になって下さいましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
(あっ、これは、ちょっとした心理ゲームみたいなものなので、良かったら推理してみて下さい(笑))
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