最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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052 不良さん 意味もなく不当な扱いをされる(笑)

公開日時: 2021年3月29日(月) 22:55
更新日時: 2022年11月9日(水) 19:48
文字数:1,833

●前回のあらすじ●


 崇秀が路上ライブをする羽目になって、それを見ていた倉津君。

何曲か演奏した後、最後の曲を奏でようとした時、謎の少女が出現。


その少女と崇秀は,無料の路上ライブなのにも拘らず、全力でライブを行う。


その反応は……

「・・・・・・」


……って、オイオイ!!

高々路上ライブで、此処まで凝った演出をする必要が有るのか?

今、オマエ等のやってる事は、ボランティアにも似た行動なんだぞ!!


それを、こんなに力一杯やりやがって……


なんなんだよ、コイツ等は……


ヤベェ!!凄過ぎるぞ!!

気付けば、俺の周りにまで人だかりが大きく膨らんでおり、道路を挟んだ向こう側の道からも聞いてる奴まで居る始末。


それら全員が各々の感性で、この曲を聞き入っていた。


少し時間を置いて、ギャラリーから一気に拍手の渦が巻き起こる。


中々感動のフィナーレだ。



「痛って、痛ってぇぇ。調子に乗りすぎて馬鹿やったら、地面で頭打った」


そんな感動の中。

後頭部を抑えながら崇秀はムクッと起き上がり、なんとも間抜けな一言を発する。


さっきまでの、少し静かで幽玄な雰囲気はぶち壊し。

ただ只管に、崇秀の『頭打った』って言葉だけ頭に残る。


正に、究極の台無しだ。


当然、ギャラリーは呆気にとられて、今、何が起こっているのかさえ理解出来ないで居る。

ただ、崇秀の次の行動を見守っているだけだ。



「んじゃまっ、アバヨ」


コイツ……信じられねぇ。

この後に及んで、なにをしでかすのかと思えば、イキナリ、この場から逃亡しやがった!!


つぅか、今のボケは、その逃げる為の口実だったのか?


もしそうなら、ある意味ナイスな逃げ方では有るが、それでは聞いてくれた皆さんに対して、あんまりじゃねぇか?


だが奴は、そんな事は、お構いなし。

少女の手を引いて、素早く逃げて行き。

あっと言う間に人を掻き分けて、奴の姿はライブ・ハウスに消えていった。


なっ、なんちゅう速さだ。


まぁ、そうやって張本人が消えた訳だから。

ギャラリーも諦めて、パラパラと帰り始めているみたいではあるんだが。

中には、相当奴等の事が気になったのか、奴が逃げ込んだライブハウスの中まで、奴等の正体を聞きに行った奴まで居るみたいだ。


俺は、そんな奴等を余所目に、セブンスターを咥えて一服する事にした。



「なんかもぉマジで疲れたな……つぅか、俺、此処に、なにしに来たんだよ?」


セッタを吹かしながら、つい、愚痴が口から零れ出してしまう。


まぁ、なんと言うか。

俺としては、アイツを追い掛けて来ただけなのに関わらず、こんな訳の解らない事態に陥ってる始末。


そりゃあ、愚痴の1つも言いたくも成るってもんだ。



「オマエ、なに言うとんねん?あんな凄いもんを、最初から見腐ってたくせに」

「山中?」

「クラ……酷くない?」

「奈緒さん」

「秀がギターをプレイしとんねやったら、直ぐにでも呼んでくれや……普通、此処は呼ぶところやろ」

「ホントだよね。……クラが、こんな薄情な奴だとは思わなかったよ。こんな奴、此処に置いて行こ、山中君」

「ホンマや。人として信じられへんレベルやわ……行きましょ、向井さん。此処に居ったら、薄情もんの薄情が感染るわ」


ヒデェ。


アイツが勝手にやり始めただけのライブなのに。

なんで俺が、こんな謂れのない誹謗中傷を受けなきゃいけないんだよ?


オマエ等の言ってる事は、明らかにおかしいだろ。


また無駄に濡れ衣を着せられる俺。


流石に今回ばかりは、俺に非は無いと思うんだがな。

それにそんなに、濡れ衣ばっかり着せられたんじゃ、風邪引いちまうわ。


でも、自分の大事な彼女(仮)だから、奈緒さんには謝る。



「ちょ……奈緒さん」

「気安く呼ばないでくれないかなぁ。……薄情もん」

「だからぁ~~~っ、違うんッスよ」

「クスッ……冗談よ、クラ。解ってるよ。そんな事位」

「奈緒さ~ん」


クルッと振り返った奈緒さんは、いつもの様にクスクス笑う。


なっ、なんだ冗談だったのか、良かった、良かった。


だよな、だよな。

こんな小さな事ぐらいで、奈緒さんが目くじら立てて怒るなんて、なんか変だと思ったんだよなぁ。

そんな風に思うなんて、俺自身が、どうかしてるよな。


奈緒さんは、ちょっぴり悪戯好きだけど、基本的にはスゲェ優しい人だからな。

イヤイヤ、本気でビックリした。



「嘘……マジでクタバレ」

「えぇぇええぇえぇぇぇええぇえぇ~~~ッ!!」


笑顔から一転して、目が尋常じゃなく怒ってる。

それもハンパない、その殺意に満ちた眼光は、俺を睨み殺す勢いで向けられている。


なんッスか、その眼?

奈緒さん、それ、完全に殺人者の眼ですよ。


この後、山中と、奈緒さんは、完全に俺を無視した形で、ライブ・ハウスに戻って行った。

そして俺は、そんな2人の後を追うしか選択肢が残されてはいなかった。


つぅか、マジでなにこれ?(。´・ω・)?


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


( ´,_ゝ`)プッ

倉津君、完全に謂れのない誹謗中傷を浴びせられましたね。

実は、こう言うのが、彼の生まれ持った宿命なのかもしれません(笑)

(完全に作者の悪意(笑))


さて、そんな中、次回は。

この無意味に怒られてる状況を、彼は一体どうやって抜け出すのでしょうね?


それは次回の講釈。

またお会いしましょう(*'ω'*)ノ

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