●前回のおさらい●
例え同一人物であっても、男女の体の構造の違いだけで思考は変わるもの。
知らず知らずの内に、そんな女性の思考に飲み込まれつつある倉津君は、崇秀に我儘を言いたい放題。
自身の意に反する言葉を使ってまで、崇秀と一緒に食事をする事を強要してしまう。
……崇秀と2人で食事をする事、約1時間。
あれ程、乗り気じゃなかった崇秀が、何故か呑気な態度を取りながら、ゆっくりと食事をしている。
食べ始めた当初は、この崇秀の奇妙な行動に一抹の不安と、強い違和感を感じては居たんだが……そんなものは、コイツの作った料理を食べた瞬間、全て払拭される羽目に成った。
コイツ……料理の腕もハンパじゃねぇんだよ。
確かに崇秀は、ガキの頃から、自分で自分のご飯を作っていたのは知っていた。
これは、母親である静流さんに少しでも負担を掛けない様にする為に、自らが小学校の入学と同時に始めた親孝行が元なんだが。
それにしても凄いんだよ。
調理法、ソースの味、盛り付け……全てに置いて完璧!!
腕前だけなら、奈緒さんをも凌駕する様な腕前を持ってやがるんだ。
もぉな、ハンパ無く美味過ぎて、頬っぺたが落ちてクセになりそうな感じなんだよな♪
兎に角、崇秀の料理は麻薬的にヤバイ!!
そんで……美味い物を頂いた俺は、口が軽やかに成っちまい。
この10日間にあった出来事を、包み隠さずベラベラと喋り倒す始末。
しかも『奈緒さんにオッパイ揉まれた事』や『コスプレしてライブした事』っと言う、言わなくて良い余計な事まで喋っちまったんだよな。
けどな、此処で崇秀は、これ等の話を笑う事も無く、やけに肯定的な意見を吐く。
こんな感じ(↓)
「んあ?そんなもん、別に、なにもおかしかねぇだろ」
「へっ?」
「大体にして向井さんは、オマエの彼女なんだし、オマエは、今、女なんだから、女のコスプレしてライブしても別段変な事でもねぇだろうに」
って言うんだよ。
もっとなんか言われるかなぁっと思っていた俺としては、少し拍子抜け感じだ。
……っで、そんな感じで、継続的に話を続けるんだよな。
「けっ、けどよぉ。自分の彼女にオッパイ揉まれて、男の心のままの俺が、それを感じてるのって、どうよ?」
「そこはしょうがねぇんじゃねぇの。どう足掻いた所で、今の体は女の感覚なんだしよ」
「あぁ、まぁ確かにな」
「つぅかよ。向井さんって、本当にやる事成す事、全て深いな (そうかぁ。向井さん、マジでやるなぁ)」
「えっ?えっ?なんで?なんで、そうなるんだ?」
「オイオイ、マジか?オマエ、こんな事すらわかんねぇのかよ?」
「へっ?」
「……そっか、そっか。オマエってホント残念な女だな」
「えぇ~~~!!いや、ちょっと待ってくれ!!なんでそうなるんだよ?つぅか、あれに、なんか深い意味でも有るのか?」
「まぁなぁ。……誰が聞いても、明らかに有るわなぁ」
えっ?なにそれ?
あのオッパイ揉みって、奈緒さんが、ただ単に俺をからかって遊んでるだけじゃなかったって言うのか?
あの破廉恥行為にも、奈緒さんなりの、ちゃんとした考えがあるって事か?
「明らかにって……なんだよ、それ?」
「んあ?あぁ、まずは女の体に、オマエを、いち早く慣れさせるのが、彼女の趣旨だろうな」
「えぇっと、それって、戻れない時の為の保険か?」
「違ぇよ。前にも言ったがな。女の肌と、男の肌じゃ、感度が基本的に違うんだよ。その辺に関しては、オマエ自身も体験で解んだろ?」
「おっ、おぅ」
「それはな。生まれてから、ズッと女で育って来た場合は、なにも問題はねぇが。オマエの様に突然変異を起した場合は、この敏感肌には、どうにも慣れない筈。だから向井さんは、一番敏感な部分を刺激する事によって、オマエに、女の肌の感度を直接的に教えてんだよ。……普通、これぐらいわかんだろうが?」
そんな事すら、わかりませんでした。
お恥ずかしい限りでございます。
「そうなのか?」
「多分な。そこまで執拗にやってるなら、この考えで、ほぼ間違い無いと思うぞ。……それに彼女は、自分の立場を良く弁えてる」
「えぇっと、今度のそれは、どういう事ッスかね?」
また例によって、小難しい話になってきたな。
こう言う精神的な話って、オィちゃん、凄い苦手な類なんだよなぁ。
けど、奈緒さんに、そんな思惑があったなんて夢にも思わなかった。
なんか、そう聞かされると『あれ』をされてるのも、妙に嬉しいもんだな。
……にしても、崇秀の言う『奈緒さんの立場』ってなんだ?
「簡単じゃねぇか。向井さんは、オマエの彼女。そう言う行為をしても、オマエは違和感を多くは感じない。だが、他の奴等が、そんな事をしたら、女としてのオマエは、それを受け入れられるか?」
「……無理」
「だろ。だから彼女は我慢してでも、それを行っている訳だ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!本気で、ちょっと待ってくれ!!」
「今度はなんだよ?」
「って事は、あの行為自体、奈緒さんにとって不本意だって言うのか?……嫌だったのか?」
「当たり前だろ、このトンチキだけは。……変な所だけ、男の感覚でモノを捉えるなよな」
「なんでぇ?」
あれ?おかしいなぁ?
仮にそうであっても、奈緒さん、結構、楽しそうに俺の体を弄繰り回してたんだけどなぁ。
本当に嫌だったんかなぁ?
現にだな。
部屋でも……
風呂場でも……
寝てても……
暇が有れば、結構、直ぐに、俺のオッパイを弄って来てた様に思えるんだけどなぁ。
あれって、本心じゃ嫌だったのか?
「あのなぁ。オマエ、ホモはOUTで、レズビアンならOKだとか馬鹿な事を、今だに思ってるんじゃねぇだろうな」
「えっ?いや……そう言う訳じゃねぇけど。レズの方が、ホモよりかは、かなりマッシなんじゃねぇの?」
「このバカタレ。それが男の思考だって言ってんだよ」
「なんでぇ?綺麗な人とか、可愛い子のレズって、なんとなく有りじゃね?」
「死ね、この糞ッタレ。……こんなんが彼氏だったら、なにをやってても向井さんが報われねぇな」
あれぇ~~~?なんでダメなんだ?
AVとかでも、レズ物って、結構あるじゃんかよ。
それによぉ、その手のDVDを一回見たけど、俺は、かなり有りな方向だったんだけどなぁ。
見てても、お互いが、男みたいに無駄毛が無いから、全体的に綺麗な画像だったし。
「あの~~~、どういう事ッスかね?」
「あのなぁ。じゃあオマエは、元の姿のままで山中と絡めるか?」
「はぁ?なに言ってやがんだよ!!そんなもん嫌に決まってるだろがぁ!!気持ち悪い!!」
「それと一緒だよ」
「へっ?」
「女子にとっちゃあ、同性である女子同士で絡み合いたいなんて思考は稀なんだよ。そう言う特殊な性癖を持ってなければ、普通は、女同士で絡みたいとは、思わないんじゃねぇのか?」
「うっ!!……確かに、そうだよな。少し考えてみりゃ解る事だよな」
奈緒さん……そこまで考えてくれた、あの行動をしてたのかよ。
あの人は、どこまで献身的に俺の事を想ってくれてんだよ……
「だろ。そう考えりゃあ、ヤッパ向井さんは、オマエにとっての一番の理解者だと考えるべきじゃねぇのか?」
「だよな。……けどよぉ、オマエだって、今の俺の事を色々理解してくれてんじゃん」
「まぁなぁ。けど、それって『ツレ』だったら当然なんじゃね?他人に出来無い様な悩みを真正面から受けて、断るほど、俺は酷い人間じゃねぇよ」
「そっか。……でも、至れり尽くせりじゃね?」
「それは単なる俺の主義だ。オマエに、とやかく言われる筋合いは無い(これは結構ヤバイ状態だな。コイツ自身が、男と『Hしたい』とかじゃねぇんだろうが。気を許してる相手だと、男を異性と判断してる部分が多く見受けられる。これは現段階では、非常にマズイ状態だな)」
あぁ、そっか。
コイツにとっちゃあ、人を助けるのは、至極当たり前の事なんだな。
なにも特別な事じゃなかったんだった。
けどよぉ、親切にして貰って悪い気はしねぇよな。
「まぁ、そりゃあそうだな」
「だろ。……ところで倉津よぉ。突然で悪いんだがな。今のオマエの心境について、ちょっと何点か聞いても良いか?」
「うん?なんだよ?なにを聞く気かは知れねぇが、別に構わねぇぞ」
「そっか。じゃあ聞くがな。オマエさぁ、現状で、男に戻りたい比率と、今の女のままで良いって思ってる比率って、どれぐらいのもんなんだ?」
なに?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
流石に倉津君との付き合いが長いだけの事はあって。
矢張り崇秀は、倉津君の心の動きを察知し、心の中にある物を見透かしてきましたね。
……っとは言え、これは、そんな難しい事ではなく。
倉津君の出自などを知っていたら、比較的見破り易い心境なので、特に凄い事でもないんですけどね(笑)
さてさて、そんな風に倉津君の心理を抉るような質問を、敢えてして来た崇秀なのですが。
この質問に対して、倉津君は、一体、どの様な回答を返して行くのか?
次回は、どの辺を書いて行こうと思いますので。
少しでも興味を持って頂けましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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