●前回のおさらい●
カジ君グチ君、それに山中君の言う様な危険性を、真上さんから感じない倉津君。
何故なら彼女は、男性の理想の様な女の子ではあるけれど。
キッチリ付き合ってみれば、極普通の感覚を持った女の子だとも理解出来たからだ。
その証拠に……自分の淹れた紅茶を褒めた倉津君に『自分も褒めてみて欲しいなぁ』っと言う可愛らしい願望をボソッと口にしているのだから(笑)
「あっ、あの、冗談ですよ。……1度、言ってみたかっただけなんです」
「あっ……あははっははっはっはっはっ!!なんッスか、それ?」
「そんなに笑わないで下さい。……笑われると哀しくなります」
「ごめんごめん。まさか真上さんから、そんな言葉が出るなんて思ってもみなかったッス」
「これでも私だって女の子なんですよ。1度ぐらい言ってみたかったんですよ」
「OKッス、OKッス。じゃあ、思う存分に言わせて貰って良いッスか?」
「もぅ良いです。……寧ろ、恥ずかしいですから、出来れば辞めて頂きたいです」
「そぅ、遠慮せずに」
真上さん可愛すぎッスよ!!
普段から大人しくて、常にニコニコしていて、真面目なアナタにも、密かに、そんな願望があったんッスね。
ホント、可愛い人だな、この人。
「あの、本当に、もぅ結構ですから、辞めて下さいね」
「無理ッスよ。真上さんが淹れたハーブティが美味しいのは、淹れたアナタ自身の優しい気持ちが篭っているからなんですよ。だから褒めずにはいられない。……ご馳走様ッス。本当に美味しかったッスよ」
「……ありがとうございます。お粗末さまでした」
わざわざ席を立ち上がって『ペコッ』っとお辞儀をする。
「コッ、コチラこそ、ごっ、ごっ、ご馳走様でした」
あぁ~あっ、此処に来て動揺してやんの俺。
ダッサッ!!
それも究極にダッサッ!!
そんな風に成りながらも、この後、少しの間、真上さんとケーキを食べながら談笑した。
***
「ところで真上さん。店の営業は何時までやってるんッスか?」
「えぇっと、一応ですね。普段日は20時まで営業させて貰ってますが、商品がなくなりましたら、明日の用意をして閉店させて頂いてますね」
「そうなんッスか。ッで、今日はどうなんッスか?」
「お陰様で、倉津さんが来られる少し前に完売させて頂きました」
「じゃあ、後は、明日の準備をして……」
「はい、閉店です」
って事はだな。
この場合、俺が此処に来て迷惑だったんじゃないのか?
だってよぉ、1人で切り盛りしてる以上、休憩時間は限られてくる。
それなのにだ。
商品が完売して『ほっ』っとしてたところに、俺が来て、お茶まで出して貰ってたんじゃ、手伝いじゃなくて、休憩の邪魔してただけじゃねぇかよ。
なら、こんな事は許される所業じゃねぇぞ!!
せめて、なんか手伝わないとな。
「だったら、明日の準備を手伝いますよ。真上さん疲れてるでしょ」
「ご心配には及びません。いつもの事ですから」
「けどッスね。お茶をご馳走になったのに、そのまま帰る訳にもいかないんッスよ」
「あぁ、でしたら。私も、ケーキをご馳走になりましたから、これでおあいこですね」
頑固だ。
ホント、奈緒さんタイプの女の子って、自分の信念を持ってるから、基本が頑固なんだよな。
言い出したら聞きゃしねぇ。
だが、俺の場合は、彼女の奈緒さんが、そのタイプの根源なので、この類の女の子の対処方法は良く心得ている。
「だったら俺は、真上さんに2杯も紅茶をご馳走になったッスよ。じゃあ、これで俺の1つ借りッスね」
「そう言う事を言わないで下さい。でしたら、私だって、倉津さんに頂いたケーキが、冷蔵庫に2つ入ってますから、私が1つ借りになります」
グッ!!手強いな、この人。
なら、こう言うのはどうッスか?
「手伝いたいのに、断られるのは悲しいッス」
「もしかして、私の真似ですか?……辞めて下さいね。恥ずかしいです」
グッ!!ホント手強いな。
けど、手立ては、まだまだ幾らでも有るんッスよ。
(↑実は最後な俺)
「手伝いたいッス!!手伝いたいッス!!」
「駄々っ子ですか」
「だってよ。ちょっとぐらい、頼ってくれても良いじゃないッスか。いつも親切にしてくれてるお礼ぐらい、俺みたいなボンクラだってしたいんッスよ」
「……そうですよね」
「ボッ、ボンクラってところがッスか?」
「くすっ、そうじゃなくてですね。頑なにお断りするのも変だと思いまして」
「じゃあ……」
「はい、少し頼らせて頂いても宜しいでしょうか?」
やった!!
難攻不落と言われた王家城の攻略に成功したぞ!!
駄々っ子にまで身を落とした甲斐があった。
……おっと、イカンな。
それだけに浮かれてる場合じゃないな。
彼女の気持ちが変らない内に、早く返事しなきゃな。
「勿の論ッスよ。絶対に邪魔しませんから、少しでも手伝わせて欲しいッス」
「はい。では、お手数をお掛けしますが、宜しくお願いします」
真上さんは『いつもと違う笑顔』で微笑んだ。
……こりゃあ、確かに嵌るな。
但し、この話は『奈緒さんが居なければ』って言う前提だけは不変だ。
この真上さんの『笑顔』っと言う表現方法も、奈緒さんと過ごした中で、既に、彼女から学んだ事が含まれているからだ。
それが、なにかって言うとだな。
真上さんの『笑顔』=奈緒さんの『うん?なに?』に相当すると考えられる。
意味が解り難いかも知れないので、噛み砕いて言うとだな。
『彼女の心境の変化を表すパラメータ』なんだよな。
例えば真上さんで、例えるとだな。
『笑顔』=心境に変化なしor少しだけ嬉しい。
『癒される笑顔』=彼女の気遣いが見え隠れしている時。
『いつもと違う笑顔』=本気で嬉しい。
要するにだ、こう言う微妙な変化に気付ければ、彼女の『人が扱い切れん魅力』っと言うものの正体が明らかになるって話だ。
なら、山中達が恐れる『人が扱え切れん魅力』とは一体なにか?
……って話になるんだろうが、これに関しても、既に答えが出ている。
『人が扱え切れん魅力』=『彼女の笑顔の変化』とした場合。
男が、彼女の笑顔の変化を『自分にだけ向けられているもの』だと勘違いさせてしまうんだよな。
早い話、真上さんは知らず知らずの内に、相手に自分を意識させてしまい『ストーカー』を作ってしまう体質だって事だ。
彼女の『優しさ』『慈悲』『献身』と言った優しい気持ちの表れが、相手を誤解させ、完全に『裏目』に出ているって事でも有る。
まぁ、そうは言ってもだ。
気付いてしまえば、対処は出来るんだけどな。
だって俺……彼女と同タイプの奈緒さんと付き合ってるもん。
ってな訳でだ。
真上さんの『魔性』の正体が解ってた俺は、手伝いをしてても、一切、変な気持ちにはならなかったって事でもあるな。
だから、一生懸命になって、彼女の指示通りに商品をディスプレイして行くだけだ。
あっ!!けど、準備中、ズッと真上さんを視線で追ってるな俺。
これって、ヤッパ、ちょっとは嵌ってるのかも……なんてな(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
実は倉津君、真上さんに興味を持ってるのは間違いないのですが。
そこに恋愛感情と言う物は、かなり薄く。
結構、下心も無く、冷静な目で、彼女を見てたりするんですよね(笑)
なので、カジ君やグチ君、それに山中君の言葉が「うざったく」感じていたんですよ。
まぁ、実際、真上さんは凄く良い子なんですが。
それと同じぐらい奈緒さんの良い子なので、倉津君は『余り此処では揺らぐ事はありません』
寧ろ、神仏を崇拝する感覚に似ているのかも知れませんね。
さてさて、そんな心境のまま。
真上さんのお手伝いをする事に成った倉津君なのですが……この後また、更に衝撃的な物を見る事に成ります。
それが何かは、次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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