●前回のおさらい●
どこまでも優しい態度で接してくれる倉津君。
そんな倉津君の優しさを、目一杯伝えたい奈緒さんは、そこをアピールしてくるのだが……
「そんな事ないよ。クラは、誰にでも優しいって」
「へっ?いやいや、そんな事ないッスよ。ホント、奈緒さん限定ッスよ」
「どこがよ?この子にしたってそうだし、眞子にだって優しいじゃない。それに素直にだって優しいし、ステラにだって優しい。それにもっと言えば、カジ君や、グチ君も放って置けないみたいだし。クラは、男女問わず、みんなに優しいよ」
いや……それは既に『優しい』ってカテゴリーには入らないと思いますよ。
そう言うのって、ただ単にッスね。
みんなで楽しく、仲良くやって行きたいだけの話なんッスから。
要するに、そんなものは『特別な何か』って訳じゃないんッスよ。
奈緒さん以外は。
「あぁ、それ、違うッスよ、奈緒さん。勘違いッスよ」
「えっ?なにが違うって言うの?」
「いや、なにが違う?って言うか……それ、奈緒さんが言ってた『4人で仲良くやって行こう』って話の延長線上にあるだけの話じゃないッスか?それをただ単に、4人から、みんなに成ってるだけの話ッスよ。こんなもん、特別な事でもなんでもないッス。……まぁ、奈緒さんだけは、何所まで行っても、特別ッスけどね」
「えっ?それ、クラ、よく言うけど。それって、まさか本気で言ってたの?」
えぇ……
なんで、そんなアホを見る様な、素っ頓狂な顔するんッスか?
これでも、いつだって大真面目に言ってきたつもりなんッスけどね。
なんか俺、変な事を言ってたッスか?
・・・・・・
あぁ……ひょっとして、あれかぁ。
これも、世間と、俺のズレって奴か。
……けど、変だなぁ。
これって、みんなが、そう思ってる事の筈だから。
人の精神的な面で言えば、みんなが持ってるデフォルトの筈なんだけどなぁ。
……おかしいなぁ?
「あぁ、いや、本気って言うか。普通、みんなそう思ってません?」
「いや、まぁ、そりゃあ、そうは思ってるけど。人の好き嫌いってあるでしょ」
「いや、別にないッスけど」
「……嘘」
だ・か・ら、なんで?
なんで、そんな事を言うんッスか?
嘘なんか何1つ言ってないッスよ。
そりゃあまぁ、あれッスけどね。
嫌いな奴がいないとは言いましたが。
『ウザイなコイツ』って言うのは崇秀を筆頭に沢山居ますよ。
だからと言って、別にそいつ等が嫌いな訳じゃないッスよ。
付き合ってみれば、みんな、結構、良い奴が多いッスからね。
……崇秀と、山中と、ゼン以外は。
(↑俺の中のクズトップ3のクズ3人衆)
「いや、嘘じゃないッスよ」
「えっ?本当に本当なの?1人も嫌いな人って居ないの?」
「いや、まぁ、そりゃあ、眞子なんかは、最初、噂だけを聞いた時は『なにその嫌味の塊?』『そんな崇秀みたいな奴が世の中に存在するのか?』なんて思って毛嫌いしましたけど。逢ってみたら、アイツ、スゲェ良い奴で、全然嫌な奴じゃなかったんッスよ」
「ふんふん」
「……っで、その時に思ったんッスけどね。本当の相手の事を知らない内から、噂だけを聞いて毛嫌いするのなんて馬鹿馬鹿しいなぁって。だからなんッスけど、逢った事も無い奴も含めて、俺は嫌いな奴なんか居ないッスよ」
「聖人君主か君は……」
なにがッスか?
なんで、今の説明で、そういう解釈になるんッスか?
大体にして俺は、そんな万民を愛する様な、気持ちの悪い生き物には成れないッスよ。
俺は決して『万民を愛してる』訳じゃないんッスよ。
ただ単に『嫌いじゃない』だけッスから。
これは、似て非なるものですから、そこを履き違えて、勘違いしちゃダメっすよ。
中国のコピー商品位、類似品に注意ッス。
因みに、真の成人君主は真上さんだけです。
あの人だけは、俺みたいなパチモノとは次元が違うっスからね。
「いやいや、そんなんじゃないッスよ。さっき言った通り、みんなで仲良くやって行きたいだけなんッスから。俺は、そんな大層な生き物じゃないッスよ」
「でも……それって、同じなんじゃない?」
「いや、だから、違うッスよ。大体、嫌いじゃない奴は沢山いますけど。奈緒さん程、好きな人は居ないんで、この時点で、奈緒さんだけをエコ贔屓してるじゃないッスか。だから俺は、万民を愛せてる訳じゃないんッスから、聖人君主じゃないッス」
解り易く言うと、万民なんて愛せる筈も無く。
実際は、奈緒さんにだけに愛情が注がれてる訳ですな。
要するに。
『ロミオ&ジュリエット』に於ける、ロミオとジュリエット。
『北斗の拳』に於ける、ケンシロウとユリア。
『武装錬金』に於ける、カズキと斗貴子さん
etc……
……まぁ、そうやって例を挙げるとキリが無いんッスけど、俺は一点集中型の愛情しか注げない男なんッス。
後の奴等は『楽しくありたい』ってだけの対象でしか無いんッスよ。
だから、そんな奴には到底『聖人君主』を名乗る資格はないって事ッスね。
解りましたか?
……心の中でしか説明してねぇや。
解る訳ねぇ。
「聖人君主じゃないかぁ。……だったら、もっとクラを独占したいなぁ」
「目下、独走態勢中ですよ。他には目もくれない感じですな」
「そう言う意味じゃなくて……ん~~~~」
いや……奈緒さん、なんで眼を瞑ってらっしゃるのですか?
勿論『ちゅ~~』を、ご希望されてるのは、よく解っておりますが。
奈緒さんの膝の上では沙那ちゃんが寝ておりますよ。
流石に寝てるとは言え、子供の前で、そう言う事をするのは良くないですぞ。
「あの、奈緒さん……ダメっすよ」
「んっ!!んっ!!」
「いや、だから、ダメですって」
「ん~~~~~~!!」
もぉ、この人は……言い出したら聞かないんだから。
それにしても、一生懸命キスを強請る奈緒さん、最高に可愛いな。
「奈緒さん」
「うぅ……ねぇクラ、本当にダメなの?私みたいな穢れた女じゃダメ?」
「また、なんちゅ~事を言うんッスか。奈緒さんは、心身共に、何も穢れてなんかいないッスよ」
「本当?本当は『穢れててキスをするのも嫌だなぁ』とか思ってるんじゃないの」
気にしてたんだ。
ヤッパリまだ、さっきまで話してた件が引っ掛ってる上に。
心の何所かに蟠りを溜め込んでるから、こんな強引な事を望んでるんだろうな。
奈緒さん程の人でも、不安は完全に取り除けないものなんだな。
だったら……
「そんな訳ないッしょ。その証拠に……」
「んっ、ん~~。んっ、んっ、んっ~~~~」
ディープキッスした。
沙那ちゃんが、奈緒さんの膝枕で寝てると言うのに、ディープキッスしたった。
これが奈緒さんに対する、ワイの愛情表現や!!
これで、アンさんの不安が除けるんやったら、ワイは、なんでもしたるわい!!
……にしても、あれですな。
こういうシュチュエーションって、なんとも言えぬ罪悪感を感じるから、妙に興奮しますな。
両親が子供に隠れてHする気分が、なんとなく解った様な気がしますぞ。
「……うん?また雨?また雨漏り?」
へっ?雨?
・・・・・・
あっ!!あぁあぁぁあぁぁ~~~!!最悪だ!!
俺は、なんて事をしてしまったんだぁ~~~!!
ふっ、2人の唾液が垂れ落ちて、沙那ちゃんの顔に掛かっちまったよ。
涙ならまだしも、唾液って……
こんな純真無垢な子になんて真似を……
俺と、奈緒さん、マジで最低だな。
ごっ、ごめんな!!ホントごめんな、沙那ちゃん!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
雰囲気に吞まれ。
2人してやらかしてしまいましたぁ。
これは酷い(笑)
まぁ書き手としては完全に狙ってたネタなんですが。
奈緒さんが涙を流して、沙那ちゃんを起こしてしまったっと言うのは、この為の伏線だったりします。
(↑最悪なだけの伏線(笑))
まっ、まぁまぁ、そうは言いましても。
全然意味もなく、こんな伏線を張った訳ではありませんので。
良かったら、次回、それを確認してやってください(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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