●前回のおさらい●
奈緒さん、素直ちゃん、ステラさん、椿さんに続き。
美樹さん、真美さん、元香さん、理子さんが追加されました(笑)
男女比1:8。
だが、その程度では、まだ終わらんよ倉津君。
君の浜辺で優越感に浸りたいと言う願いは、キッチリと叶えてあげるよ(ΦωΦ)フフフ…
海の家に行って、飲み物と食べ物、果ては、お菓子までを大量に買う。
序に、それらの荷物を入れる為に、クーラーボックスを近くの釣具屋で2つ程購入した。
ステラや、美樹さん達の飲み物は勿論の事。
海で遊んでいる奈緒さんや、素直、椿さんの分を購入したら、両手を使っても持ち切れる量じゃなくなったからだ。
片一方には飲み物と氷、もう片一方には食べ物類。
それだけで2つのクーラーボックスは、アッサリ満タンになる。
それを担いで、糞暑い中、エッチラホッチラ浜辺を歩いて、元居たテントを目指す。
そんな折……
「あの、そう言うの困ります。私、友達が待ってるから、早く行かないと……」
「良いじゃん、良いじゃん、ちょっとだけ付き合ってよ。飯喰いに行くだけだしさぁ。そんな嫌がんなくても良いじゃん」
なんて……小学生でも出来そうな糞ナンパが、俺が買い物をしていた海の家の近くで行われていた。
更に、そのナンパ男は、強引に女の子の手を引っ張って海の家に連れて行こうとする。
だが女の子の方は、その男が気に入らないのか激しく拒絶。
そんな状態にも拘らず、男は、彼女の手を離す気配はない。
はぁ~~~~、よくやるよ。
普通、ナンパするなら、女の子が嫌がった時点で、直ぐに諦めて、次の女の子に行くもんだろ。
コイツ、そんな常識も知らないのか?
そんなんじゃ、女の子は必死過ぎて引くぞ。
それにな、オマエみたいな下品で常識のない奴が『湘南』の品位を下げてるんだぞ。
ちょっとは、そう言う所を自覚してくれな。
しかもオマエ……よく見たら、30歳は優に超してるオッサンじゃねぇか。
それが金髪に、サングラスにアロハって……その上、なにが『~じゃん』だ。
オッサン、少しは歳考えろ、歳をよぉ。
いつまでも若くねぇんだから、そろそろ、そう言う性欲に任せた行為、引退したらどうだ?
いい大人が、子供相手にミットモナイにも程があるぞ。
しかしまぁ、古今東西どこに居ても、ナンパ男って言うのは、無駄に出没するもんなんだな。
「おぅ、待たせて悪かったな」
「えっ?」
俺は、オッサンの行為が無性に虚しく見えて、女の子を助ける事にした。
勿論、ナンパされてる女の子は、この俺の行為に激しく動揺したんだが。
俺は、彼女にウィンクを送って『助ける』事を合図する。
あの……これは、お節介でしょうか?
「なにが『えっ?』だよ。……オマエ、俺がわざわざ買い物に行ってやってるのに、なに、こんなオッサンにナンパなんかされてんだよ。マジでムカツクな」
「ごめんね、マコ君。この人、超しつこいの」
うん?……マコ君とな?
なんでこの子が、山中専用の俺の渾名を知ってるんだ?
ライブとかで、俺の事を知ってくれてる子か?
なら、尚更、助けてやらないといけないな。
バンドのファンは、なにがあっても大切にしなきゃイケネェ存在だからな。
「チッ……おい、オッサン。テメェいい度胸だな。なに、俺が留守にしてる間に、人の女に手ぇ出してやがるんだ?オイ、此処でブチのめされるか、大人しく慰謝料払うか、ハッキリしろや」
「いや、おっ、俺は、そんなつもりじゃあ」
俺の見た目が怖いのか、オッサンの足はガタガタ震えている。
またしても、本職と間違われる悲しい俺。
けど、運が無いなオッサン。
俺のバンドを応援してくれてる子に手を出したのが、運の尽きだったな。
「あぁ?人の女の手を思いっ切り握っておいて『そんなつもりじゃあなかった』じゃ、普通は済まされねぇよな。……オイ、オッサン、此処は20万で手打ちにしてやるから、さっさとその金を置いてドッカに行けや」
「そんな大金……」
「あぁ?じゃあ、どう落とし前つけてくれんだよ?一片、臓器でも売って、金に替えてみっか?」
「いや……それは、ちょっと」
「金は払わねぇ。体は売れねぇ。……テメェ、一体、なにが出来んだ?」
「もぉ、ゆるしてあげてよ、マコ君」
「チッ、面白くもねぇ……さっさと失せろ」
「はっ、はい」
男は、コチラにペコペコしながら、スタコラサッサと立ち去って行った。
その姿は、あまりにも哀愁漂うものだった。
「ホントに助けてくれたね、マコ君」
へっ?
……って、誰かと思ったら!!
「えっ?えっ?えぇぇぇえぇ~~~ッ!!誰かと思えば、咲さんじゃないッスか」
「えっ?その様子だと、私って気付かれないまま助けらちゃった訳なんだ……なぁんだ、残念」
「いやいやいやいや、確かに、助けたのは偶々ですけど……あぁヤッパ偶々ッスね」
「クスッ、そうなんだ。相変わらずだね、マコ君」
「そうッスかね?」
いやいや、世の中には不思議な事って一杯あるもんなんだな。
まさか、こんな所で咲さんに逢って、彼女を助ける事になるとはな。
なんかのドラマみたいだな。
しかも、これで以前にした約束も、一応、守れたってオマケ付きでな。
「あれ?そう言えば、今日は1人なんッスか?」
「あのねぇマコ君。人の事を友達の居ない寂しい女みたいに言わないでくれる。千尋と一緒だよ」
「!!」
い・や・だ~~~!!
樫田のアホは、今、絶対逢いたくねぇ。
アイツが絡んだら、ホント、碌な事が無いからな。
それに、今のこの現状に樫田のアホが加わったら……
有野素直 :クラスメイト・バンド仲間
上条椿 :嶋田さんの彼女
清水咲 :奈緒さんの友達
瀬川真美 :バンドのファン
塚本美樹 :バンドのファン
長谷川元香:バンドのファン
藤代理子 :バンドのファン
向井奈緒 :天才・女神!!尊敬!!崇拝!!大好き!!
ステラ :バンド仲間
(50音順)
……んで、オマケのアホの樫田千尋:奈緒さんの一応、友達&電波。
此処最近知り合って、仲良くして貰った女の子が、この浜辺に全員集合しちまう!!
(島田千夜は、雛鳥だしババァだから却下。でも椿さんは、綺麗な人だからセーフ)
そりゃあ確かに俺は『優越感に浸りたい』なんて厚かましい願いを神様にはしたが……幾ら、なんでも、これはやり過ぎの域だ!!
第一こんな大人数、俺1人じゃ、どうやったって捌き切れないぞ。
「あぁ……じゃあ、ご機嫌よぉ、咲さん」
「ちょ、ちょっとぉ、どこ行くの?御礼もまだしてないんだから、勝手にどっか行っちゃダメ」
「いやいやいや、咲さん。樫田のアホが居るんでしょ。今、開放してくれるのが、一番のお礼ッスよ」
「私の事……そんなに嫌い?」
「あぁ、そう言うんじゃないんッスよ。今日ッスね、奈緒さんと一緒に来てるから、出来れば、樫田には絡まれたくないだけなんッスよ」
「カイちゃん来てるんだ」
「そうなんッスよ。だから出来れば……」
「それは無理だよ、ダーリン」
「げっ!!千尋」
最悪なパターンは、アッサリ成立。
樫田は『胸に付いた無駄な脂肪』を俺に押し当てて、腕を組んでくる。
「ダーリン、冷たいじゃない。そんなに奈緒が良いの?」
「ったりめぇだ!!つぅか!!誰がダーリンだ!!」
「そう言えば千尋は、以前からマコ君の事を、そんな風に言ってたね。付き合ってるの?」
「嫌ッスよ。こんな電波女」
「ダーリン、意地悪言っちゃ、いや~ん」
以前、教えた事を曲解してやがるな。
それは『意外性』じゃなく『ただの馬鹿』だ。
「死ね!!死ね!!死ね!!オマエだけは、さっさと枕元に死神に立たれちまえ」
「あっそ。そんな事を言うんだ。確か奈緒、此処に来てるんだっけ?アンタの秘密第3弾でも、奈緒に打ち明けようかなぁ」
「いや、待て、それは良くない」
「じゃあ、交換条件として、奈緒の所に連れて行きなさいよ。全部、黙っててあげるから」
「いや、それも良くない」
「あっそ。じゃあ勝手に探す。その代わり奈緒を見つけた時は、アンタの秘密を全部バラすからね。アンタもそのつもりでね」
くそ~~~~!!
なんで、ナンパの魔の手から咲さんを助けた俺が、こんな酷い目に逢わなきゃいけねぇんだよ。
不条理だ!!
それと樫田……悪いんだが、即、死んでくれ。
死んで、その俺の秘密とやらを、墓場の中まで持って行って、2度と棺桶を開けられるな(土葬)。
「あぁもぉ、わぁったよ。連れて行きゃ良いんだろ、連れて行きゃ」
「最初から、そう言えば。精神的な傷口も浅かったのにね」
「うるせぇ電波!!」
「あの~~~、私も一緒に行って良いかな?」
「勿論、咲さんは大歓迎ッスよ」
「……何?この扱いの違い?ムカつくんだけど」
俺は樫田を無視して、咲さんを連れて、大量の女の子が待つテントに戻って行った。
女10人。
男、俺だけ……どうすんだよ、これ?
ヤッパ、自分の器を越えた、厚かましい願いはするもんじゃないな。
……こりゃあ100%天罰だな天罰。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて第三十九話『海に来ました……災難です』は終了です。
それにしても願いが叶ってよかったですね。
男女比1:10。
倉津君の『美人を連れて浜辺で優越感に浸りたい』って言う願いは、これ以上ないって形で夢を叶えてあげましたよ♪
さて、そんな中、倉津君の心境は如何なるものなのか?
彼は、この状況下にあっても、優越感に浸る事が出来るのでしょうか?
それはまた、次回から始まる第四十話『女の子と言う生き物』で明かされる事になります♪
なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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