最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

228 不良さん、悪夢の様な満願成就を成し得る(笑)

公開日時: 2021年9月22日(水) 00:21
更新日時: 2022年12月8日(木) 14:26
文字数:3,418

●前回のおさらい●


 奈緒さん、素直ちゃん、ステラさん、椿さんに続き。

美樹さん、真美さん、元香さん、理子さんが追加されました(笑)


男女比1:8。


だが、その程度では、まだ終わらんよ倉津君。

君の浜辺で優越感に浸りたいと言う願いは、キッチリと叶えてあげるよ(ΦωΦ)フフフ…

 海の家に行って、飲み物と食べ物、果ては、お菓子までを大量に買う。

序に、それらの荷物を入れる為に、クーラーボックスを近くの釣具屋で2つ程購入した。


ステラや、美樹さん達の飲み物は勿論の事。

海で遊んでいる奈緒さんや、素直、椿さんの分を購入したら、両手を使っても持ち切れる量じゃなくなったからだ。


片一方には飲み物と氷、もう片一方には食べ物類。

それだけで2つのクーラーボックスは、アッサリ満タンになる。

それを担いで、糞暑い中、エッチラホッチラ浜辺を歩いて、元居たテントを目指す。



そんな折……



「あの、そう言うの困ります。私、友達が待ってるから、早く行かないと……」

「良いじゃん、良いじゃん、ちょっとだけ付き合ってよ。飯喰いに行くだけだしさぁ。そんな嫌がんなくても良いじゃん」


なんて……小学生でも出来そうな糞ナンパが、俺が買い物をしていた海の家の近くで行われていた。

更に、そのナンパ男は、強引に女の子の手を引っ張って海の家に連れて行こうとする。


だが女の子の方は、その男が気に入らないのか激しく拒絶。

そんな状態にも拘らず、男は、彼女の手を離す気配はない。


はぁ~~~~、よくやるよ。

普通、ナンパするなら、女の子が嫌がった時点で、直ぐに諦めて、次の女の子に行くもんだろ。


コイツ、そんな常識も知らないのか?

そんなんじゃ、女の子は必死過ぎて引くぞ。


それにな、オマエみたいな下品で常識のない奴が『湘南』の品位を下げてるんだぞ。


ちょっとは、そう言う所を自覚してくれな。


しかもオマエ……よく見たら、30歳は優に超してるオッサンじゃねぇか。

それが金髪に、サングラスにアロハって……その上、なにが『~じゃん』だ。


オッサン、少しは歳考えろ、歳をよぉ。

いつまでも若くねぇんだから、そろそろ、そう言う性欲に任せた行為、引退したらどうだ?


いい大人が、子供相手にミットモナイにも程があるぞ。


しかしまぁ、古今東西どこに居ても、ナンパ男って言うのは、無駄に出没するもんなんだな。



「おぅ、待たせて悪かったな」

「えっ?」


俺は、オッサンの行為が無性に虚しく見えて、女の子を助ける事にした。


勿論、ナンパされてる女の子は、この俺の行為に激しく動揺したんだが。

俺は、彼女にウィンクを送って『助ける』事を合図する。


あの……これは、お節介でしょうか?



「なにが『えっ?』だよ。……オマエ、俺がわざわざ買い物に行ってやってるのに、なに、こんなオッサンにナンパなんかされてんだよ。マジでムカツクな」

「ごめんね、マコ君。この人、超しつこいの」


うん?……マコ君とな?

なんでこの子が、山中専用の俺の渾名を知ってるんだ?


ライブとかで、俺の事を知ってくれてる子か?


なら、尚更、助けてやらないといけないな。

バンドのファンは、なにがあっても大切にしなきゃイケネェ存在だからな。



「チッ……おい、オッサン。テメェいい度胸だな。なに、俺が留守にしてる間に、人の女に手ぇ出してやがるんだ?オイ、此処でブチのめされるか、大人しく慰謝料払うか、ハッキリしろや」

「いや、おっ、俺は、そんなつもりじゃあ」


俺の見た目が怖いのか、オッサンの足はガタガタ震えている。


またしても、本職と間違われる悲しい俺。


けど、運が無いなオッサン。

俺のバンドを応援してくれてる子に手を出したのが、運の尽きだったな。



「あぁ?人の女の手を思いっ切り握っておいて『そんなつもりじゃあなかった』じゃ、普通は済まされねぇよな。……オイ、オッサン、此処は20万で手打ちにしてやるから、さっさとその金を置いてドッカに行けや」

「そんな大金……」

「あぁ?じゃあ、どう落とし前つけてくれんだよ?一片、臓器でも売って、金に替えてみっか?」

「いや……それは、ちょっと」

「金は払わねぇ。体は売れねぇ。……テメェ、一体、なにが出来んだ?」

「もぉ、ゆるしてあげてよ、マコ君」

「チッ、面白くもねぇ……さっさと失せろ」

「はっ、はい」


男は、コチラにペコペコしながら、スタコラサッサと立ち去って行った。


その姿は、あまりにも哀愁漂うものだった。



「ホントに助けてくれたね、マコ君」


へっ?


……って、誰かと思ったら!!



「えっ?えっ?えぇぇぇえぇ~~~ッ!!誰かと思えば、咲さんじゃないッスか」

「えっ?その様子だと、私って気付かれないまま助けらちゃった訳なんだ……なぁんだ、残念」

「いやいやいやいや、確かに、助けたのは偶々ですけど……あぁヤッパ偶々ッスね」

「クスッ、そうなんだ。相変わらずだね、マコ君」

「そうッスかね?」


いやいや、世の中には不思議な事って一杯あるもんなんだな。

まさか、こんな所で咲さんに逢って、彼女を助ける事になるとはな。


なんかのドラマみたいだな。


しかも、これで以前にした約束も、一応、守れたってオマケ付きでな。



「あれ?そう言えば、今日は1人なんッスか?」

「あのねぇマコ君。人の事を友達の居ない寂しい女みたいに言わないでくれる。千尋と一緒だよ」

「!!」


い・や・だ~~~!!

樫田のアホは、今、絶対逢いたくねぇ。

アイツが絡んだら、ホント、碌な事が無いからな。


それに、今のこの現状に樫田のアホが加わったら……


有野素直 :クラスメイト・バンド仲間

上条椿  :嶋田さんの彼女

清水咲  :奈緒さんの友達

瀬川真美 :バンドのファン

塚本美樹 :バンドのファン

長谷川元香:バンドのファン

藤代理子 :バンドのファン

向井奈緒 :天才・女神!!尊敬!!崇拝!!大好き!!

ステラ  :バンド仲間

(50音順)

……んで、オマケのアホの樫田千尋:奈緒さんの一応、友達&電波。

此処最近知り合って、仲良くして貰った女の子が、この浜辺に全員集合しちまう!!

(島田千夜は、雛鳥だしババァだから却下。でも椿さんは、綺麗な人だからセーフ)


そりゃあ確かに俺は『優越感に浸りたい』なんて厚かましい願いを神様にはしたが……幾ら、なんでも、これはやり過ぎの域だ!!


第一こんな大人数、俺1人じゃ、どうやったって捌き切れないぞ。



「あぁ……じゃあ、ご機嫌よぉ、咲さん」

「ちょ、ちょっとぉ、どこ行くの?御礼もまだしてないんだから、勝手にどっか行っちゃダメ」

「いやいやいや、咲さん。樫田のアホが居るんでしょ。今、開放してくれるのが、一番のお礼ッスよ」

「私の事……そんなに嫌い?」

「あぁ、そう言うんじゃないんッスよ。今日ッスね、奈緒さんと一緒に来てるから、出来れば、樫田には絡まれたくないだけなんッスよ」

「カイちゃん来てるんだ」

「そうなんッスよ。だから出来れば……」

「それは無理だよ、ダーリン」

「げっ!!千尋」


最悪なパターンは、アッサリ成立。

樫田は『胸に付いた無駄な脂肪』を俺に押し当てて、腕を組んでくる。



「ダーリン、冷たいじゃない。そんなに奈緒が良いの?」

「ったりめぇだ!!つぅか!!誰がダーリンだ!!」

「そう言えば千尋は、以前からマコ君の事を、そんな風に言ってたね。付き合ってるの?」

「嫌ッスよ。こんな電波女」

「ダーリン、意地悪言っちゃ、いや~ん」


以前、教えた事を曲解してやがるな。

それは『意外性』じゃなく『ただの馬鹿』だ。



「死ね!!死ね!!死ね!!オマエだけは、さっさと枕元に死神に立たれちまえ」

「あっそ。そんな事を言うんだ。確か奈緒、此処に来てるんだっけ?アンタの秘密第3弾でも、奈緒に打ち明けようかなぁ」

「いや、待て、それは良くない」

「じゃあ、交換条件として、奈緒の所に連れて行きなさいよ。全部、黙っててあげるから」

「いや、それも良くない」

「あっそ。じゃあ勝手に探す。その代わり奈緒を見つけた時は、アンタの秘密を全部バラすからね。アンタもそのつもりでね」


くそ~~~~!!

なんで、ナンパの魔の手から咲さんを助けた俺が、こんな酷い目に逢わなきゃいけねぇんだよ。


不条理だ!!


それと樫田……悪いんだが、即、死んでくれ。

死んで、その俺の秘密とやらを、墓場の中まで持って行って、2度と棺桶を開けられるな(土葬)。



「あぁもぉ、わぁったよ。連れて行きゃ良いんだろ、連れて行きゃ」

「最初から、そう言えば。精神的な傷口も浅かったのにね」

「うるせぇ電波!!」

「あの~~~、私も一緒に行って良いかな?」

「勿論、咲さんは大歓迎ッスよ」

「……何?この扱いの違い?ムカつくんだけど」


俺は樫田を無視して、咲さんを連れて、大量の女の子が待つテントに戻って行った。


女10人。

男、俺だけ……どうすんだよ、これ?



ヤッパ、自分の器を越えた、厚かましい願いはするもんじゃないな。


……こりゃあ100%天罰だな天罰。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

これにて第三十九話『海に来ました……災難です』は終了です。


それにしても願いが叶ってよかったですね。

男女比1:10。

倉津君の『美人を連れて浜辺で優越感に浸りたい』って言う願いは、これ以上ないって形で夢を叶えてあげましたよ♪


さて、そんな中、倉津君の心境は如何なるものなのか?

彼は、この状況下にあっても、優越感に浸る事が出来るのでしょうか?


それはまた、次回から始まる第四十話『女の子と言う生き物』で明かされる事になります♪


なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート