●前回のおさらい●
由佳ちゃんとの恋愛話も一段落……っと見せかけて!!
此処で間髪入れずに、ちょっと気不味くなっている真上さんからの連絡が入る(笑)
「あっ、はい、もしもし……」
「あっ、倉津さん。お世話になってます。王家です」
あっ、あれ?
予想していた声のトーンとは、全く違う声のトーンだな。
俺としては、もっと暗い声で電話をして来てるもんだと思っていたが……その予想に反して、思った以上に明るい声だ。
って事は、あれか。
前回の話に踏ん切りがついたから、連絡をくれたと……んで、追加注文の詳細を確認しようって事か。
ふむ、なら、特に問題無いか。
「あぁ、真上さんッスか。お疲れ様ッス。どうかしたんッスか?」
「あっ、はい。先日ご注文を頂いた商品が出来上がりましたので、コチラの校門までお届けさせて頂きました。この後は、倉津さんのクラスの方に、お持ちすれば宜しいですか?」
はい?
「へっ?」
「えっ?」
「いや、あの真上さん……今、なんか『出来た』って言葉が聞こえた様な気がするんですが……まっ、まさか、そっ、それって追加注文の衣装の話ッスか?」
「はい、そうですよ」
……この人、マジか?
崇秀同様の『時間の魔術師』だとしか思えないぐらい、時間の経過が変だぞ!!
だって仮によぉ。
布の仕入れを半日で終わらせたとしてもだ。
衣装作りの要である裁縫部分を、誰の手伝いもなく、たった1人で……しかも2日間で、5着全部作り終わったって、明らかにおかしいだろ。
……有り得ねぇ人だな。
けど、この人の場合、なにがあっても、絶対に嘘を付かない人だから、これは、まごう事無き現実なんだろうな。
なら、そう言う対応をしなきゃな。
……にしても有り得ねぇ~~~!!
「あっ、あぁ、そうなんッスか。だったら、今直ぐに、俺が校門まで取りに行きますから、絶対、そこを動いちゃダメですよ」
「どうして……でしょうか?」
「いや、真上さん衣装作りで疲れてるんだから、そんな重たい荷物なんか持っちゃダメっすよ。少しは体を労わって下さい」
「くすっ、お気遣いなく。今、そちらに向かっておりますので、少々お待ち下さいね」
「ちょ!!だから……」
「では、後ほど」
聞かない。
ヤッパリ、言う事を聞かない。
どうせ真上さんのこったから、前回俺が手伝ったのを懸念して……『電話を肩と耳で挟んで、移動しながら電話してるんじゃないかな』とは、正直、電話をしながら思ってたんだよな。
それが丸々正解とは……疲れてるって言うのに、どこまでストィックに行動する人なんだよ。
ったくもぉ。
「誰から?」
「あぁっと由佳、悪ぃ。事情は、後でちゃんと説明するからよ。ちょっと、さっきの話は待っててくれな」
「えっ?あっ、うん。別に良いけど。倉津君は……」
「真上さ~~~ん!!ダメっすよぉ~~~!!」
「えっ?へっ?あっ、あれ?くっ、倉津君?」
由佳の疑問系にも似た素っ頓狂な声が聞こえたが。
俺は、それを無視して廊下を走り抜け、階段を2つ飛ばしに降り、残り6段ぐらいでジャンプ。
その階段を降り終えると、手摺を使ってターン。
後は、これを繰り返し、校舎の出入り口付近までダッシュした。
『ハァハァ』っと、息を切らしながら周りを見廻すと、案の定、真上さんは、重そうな荷物をエッチラホッチラ運んで、此処までやって来ていた。
もぉ……早いッスよ!!
「ちょ、真上さん、待っててくれさえすれば、直ぐに、校門まで取りに行きましたのに」
「ご心配には及びませんよ。これぐらいヘッチャラですから」
「けど、疲れてるんでしょ」
「いえ、左程疲れてませんよ。寧ろ、今日は元気がありましたので、フリースクールにも顔を出してきましたしね」
あっ、ホントだ。
真上さんが、珍しく学校の制服を着てる。
ヤバイ……マジで可愛いな。
しかしまぁ、この人、以前からズッと思ってたんだが、なに着ても似合う人だよな。
デザイナーだから、服の着こなしが上手いんだろうか?
それとも、基本的に、なにを着ても似合う性質なんだろうか?
特に、この制服姿は堪らない。
違う学校の制服とは言え、此処の学校に居る誰よりも『郡を抜いて可愛い』
……ってか、イカンイカン、マジでジロジロと見蕩れてる場合じゃないな。
荷物、荷物。
ところで……真上さんの言った『フリースクール』ってなんだろうな?
直訳したら『無料学校』若しくは『自由学校』なんだがな。
なんなんだろうな、そりゃ?
此処は、まぁ良いか……
「いやいや、そう言う問題じゃなくてッスね。兎に角、此処まで来たんッスから、荷物ぐらい持ちますよ。じゃなきゃ、俺が必死に走ってきた意味がなくなりますからね」
「あぁっと、この場合って言うのは、ご好意を受けて良いものなのでしょうか?」
「勿論ッスよ。友達ですから、此処は甘えてOKです」
「友達……。そうですか。では、お言葉に甘えて」
そう言って真上さんは、やけに素直に、俺に荷物を渡すんだが……『ズシッ!!』とした、重さを感じる。
その重さは『荷物重ッ!!なにが入っとんじゃ、これ!!』って、山中バリのツッコミを入れたいぐらい手渡された荷物は重い。
……ってか、なんでこの人、こんな涼しげな顔で、こんなもんを持てるんだ?
「・・・・・・」
「あっ、あの、ひょっとして重いですか?重い様でしたら、私がお持ちますよ」
「いっ、いや、ぜっ、全然……こんな程度、全然軽いッスよ。ヘッチャラっすよ。ヘッチャラ」
「あの、本当に宜しいのでしょうか?宜しければ、私が、教室までお持ちしますが」
「なに言ってんッスか。こんなもん屁でも無いッスよ。……けど、これって、何が入ってるんッスかね?衣装だけの重さじゃないですよね」
「あぁっと、えぇっと『倉津さんのクラスの出し物で、なにか使えるものが有るかな』っと思いまして。ご迷惑だとは知りつつも、少し紅茶の器具を見繕ってまいりました」
なるほどなぁ。
どんな器具を用意してくれたのかまでは知りませんが、道理で重たい筈ですね。
けど、俺も男だ。
段ボール内に梱包してある内容がわかった以上、尚更、彼女には渡せねぇな。
それに壊したら申し訳が立たないから、大事に持って行こ。
「そうだったんッスか。すんませんね。わざわざ」
「あぁっと、お気に召して頂けるか、どうかまではわかりませんが……」
「いやいやいやいや、あんな美味しい紅茶を淹れる器具ですから、きっと真上さんのチョイスは完璧ッスよ。まぁ勿論、それを使って真上さんが淹れるから、紅茶の味が引き立つんですけどね」
「くすっ、そんなに褒めないで下さい。あれは、ただの趣味なんですから」
「いやいやいやいや、お世辞なんかじゃないッスよ。マジっすよマジ」
「そうですか。気に入って頂けて、光栄です」
『ピカァ~~~~!!』
にゃあぁあぁぁぁぁ~~~。
こう言っちゃなんなんだがな。
この人、ウチのクラスの女子達とは、明らかに女子力オーラが違い過ぎるな。
なんなんだよ、この眩し過ぎる笑顔は……
ってか、最近な。
この笑顔には『癒される』どころかな。
俺には、この人の笑顔の後ろに『後光』が見え隠れして来てんだよな。
マジでハンパねぇな!!
奈緒さんに引き続き『女子力マイスター』の称号を与えますよ。
(↑今思いついた『マイスター』だけど、奈緒さんが一番)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
真上さん……相変わらずのストイックさですね(笑)
まぁただ、少し彼女の言動から「不安に成る様な言葉」がチラホラ聞こえてきましたね。
さてさて、この辺りを踏まえて。
この後、何事もなく、教室まで出来上がった衣装を運び込む事が出来るのか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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