最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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737 奈緒さんが激昂した理由

公開日時: 2023年2月13日(月) 00:21
文字数:4,159

●前回のおさらい●


 崇秀と奈緒さんの男女としての行為が終わった後。

奈緒さんは突如変貌して、まるで眞子の存在が邪魔な様な口調で『眞子を切り捨てようとする』


一体、彼女の変貌にはどう言う理由があるのか?

「……微妙」

「なんで?私じゃ気に喰わないって言うの?」

「まさかね。奈緒は、俺が以前から眼を付けてた女だぞ。だから『気に喰わない』なんて言葉は何処からも出てこない。ただ、俺は約束を破るのが、どうしても嫌なの。一旦SEXはお仕舞い。服を着ろ」

「あぁ、そう言う事……なら、簡単♪」


奈緒さんは服を着ながら、こちらに向かってきた。


えっ?なに?



「んあ?奈緒、どういうこった?」

「こう言う事。……眞子、崇秀を諦めて」


奈緒さんは、無慈悲な目で私を睨み付けてる。


それはもぉ今まで以上に、2人の関係を邪魔するなと言わんばかりの眼でだ。



「崇秀を諦めろって……これ、そう言う問題じゃ」

「うん?なになに?眞子は、やけにおかしな事を言うのね。『女同士』の関係って、そう言う事なんじゃないの?私は、ちゃんと眞子を『女扱い』するって、さっき言った筈だけど……なにか私、間違ってる?」

「そんなぁ……それとこれとは……」


それは違いますよ……



「ふ~~ん。どうも眞子は、さっきの条件の事をなにもわかってないみたいね」

「えっ?」

「普通に考えても、女が女を甘やかす訳ないでしょ。眞子は、それをさっき『了承』したんだよね?だったら、なんで、そんな馬鹿みたいな事が言えるのかな?……妹だからって、いつまでも私に甘えないでくれない」


あぁ……


そんなぁ……



「それと序に言って置くけど。崇秀は、眞子にはあげないからね。……彼は私だけのものだから、もし手を出したら容赦しないよ」

「奈緒さん……」

「なに?まだ言いたい事があるなら聞いてあげるけど。もぉ女である君の我儘も、泣き言も、私は聞かないよ。金輪際、君は向井眞子で、私の妹でしかない。いい加減『本当の意味で自分が女である事を自覚』したら?序に言うけど、眞子が安易に考えてた女って生き物を舐めないでね。大変なのは男女とも、なにも変わらないんだからね」

「あの、奈緒さん……」

「もぉ1つ。眞子の選択は、なにがあっても絶対に覆らないからね。君は、もぉ一生そのままの姿で女として生きなさい」

「いっ、嫌です。……おっ、おっ、お願いですから、考え直すチャンスを、もぉ1度だけ下さい」

「もうダメ。1度決めた事は覆らないって、さっき言ったでしょ。……だからもぉ君は、一生女でしかないの。諦めなさい」


あぁあぁ~~~~!!私は、なんて安易な事を言っちゃったんだろ……


今まで皆さんが親切にしてくれたり、可愛がってくれるもんだから、女って言う性別を甘く考えていた。

こんな甘い事バッカリ考えてたから、全部が全部、裏目出てる。


自分勝手な事を言ったから、こう言う事になったの?



「奈緒さん……お願いです……」

「嫌だって、言ってるでしょ。いい加減、しつこいんだけど。もぉさっさと諦めたら?」

「私……気付きました……奈緒さんを、他の男に取られるのは嫌です」

「知らない。私は、都合の良い事バッカリ言う女は嫌いなの。一生そのままで、自分の吐いた言葉を悔いてなさい。……私の中で『倉津真琴』は死にました。ハイ、さようなら」


本気だ……今回ばかりは本気だ。

私の全ての意見が、冷静に『カット』されていく。


全く、私の意見を聞いてくれようともしない


これが奈緒さんの言っていた『本当の意味で女として生きる』って事なの?



「だったら奈緒さん。1つだけ、1つだけお願いです。崇秀と付き合うのだけはヤメテ下さい。今、奈緒さんと、崇秀がHしてる姿を見て、気が変になりそうになったんです」

「『ギリッ!!』……なんで私が、眞子の意見を聞かなきゃいけないのよ?君が自分の口で私達が『ベストカップル』だって言ったんじゃなかったっけ?……君、それを言われた私の気持ち解ってる?それも散々クラを馬鹿にした様な言い方をして……いい加減、そんな自分勝手な意見が通るなんて思ってんじゃないわよ!!ふざけんな!!」

「えっ?だって、それは……」


そうですけど……それは、そう言う意味で言ったんじゃないんですよ。

あの場面では、真琴ちゃんを貶さないと、奈緒さんが幸せになれないと思ったからなんですよ。


……誤解ですよ。



「眞子。私はねぇ。最初、君が『女であろう』と『男であろう』と関係ないと思って、君の全てを飲み込もうと思ってた。でも、君の言った『あのベストカップル』って言う言葉だけは、余りにもないんじゃない?……私は、君にとってなんだったの?クラや、眞子が大好きな私はなんなの?……だから、その時に思ったのよ。私は、もぉ眞子には必要のない存在なんだって……だったら『もぉどうでも良いや』って……だから私は、君が男に戻る事は、なにがあっても絶対に許さない。女の身で生きて、たっぷり女の嫌な事を体験しなさい。……それが私の、最初で最後の君に対する復讐だから」


私……



「……ごめんなさい」

「今更謝ったって無駄よ。さようなら、私の愛した倉津真琴。……あぁ、それと仲居間さん、ご迷惑お掛けしました。こんなツマラナイ事に付き合わせちゃって」


えっ?



「あぁいや、それは、あの時の真剣な眼差で向井さんの意志を強く感じたから、そこは向井さんの意志に付き合っただけだから良いんだけどよぉ。……あのよぉ、ちょっとだけ待ってやってくれねぇか」


崇秀は、奈緒さんのこの意志に気付いてた?

だからこそ、奈緒さんの思うが儘の展開を演じていただけって事?


もしそうなら私の不用意な言葉で、崇秀にも迷惑を……



「ごめんなさい。それは、幾ら仲居間さんの頼みとは言え、もぉ無理な相談ですね。さっきの眞子のセリフで、私の中の、なにかが壊れたみたいなんで……私は、もぉこの子を『一生、女としか見れません』……気遣って頂いてるのに、本当にごめんなさい」

「あぁまぁ、向井さんの言いたい事は解るが。さっきのあの言葉にしても、コイツも悪気が有った訳じゃないんだ。向井さんに幸せになって欲しいと思ったからこそ、そんなセリフが出たんだと思うんだよ。だから、そこだけで良いからさぁ。ちょっとだけ聞いてやってくれねぇか?」

「……さっきも言いましたけど、それはもぉ無理ですね。あのセリフを良い様に解釈する為には、これから眞子のには、クラの事をあまり知らない、姉想いな大切な妹として生きて貰うしかないんです。そう考えないと、この子の事を嫌いになっちゃいますし。それになにより、頭が変になりそうなんです。とてもとても、正気を保てる状態じゃないんです。……あんな事を言われるとは、夢にも想いませんでしたからね」


奈緒さん……


私が、あんなひどい事を言っちゃったのに……まだ私を見捨てる事だけはしないんだね。


だったら私は、奈緒さんのご要望通り妹として……女として生きていきます。

悪気はなかったとは言え、不用意な言葉で奈緒さんの心を傷付けてしまったのだから、これは当然の罰。


私は自分の言葉に責任を持たなきゃいけない。



「あぁっと、その辺の事情も解ってるつもりなんだがな。……あぁじゃあ仮に、こう言うのはどぉだ?『今の、この記憶が無い倉津真琴』なら、男として受け入れられないか?」

「それ……どういう意味ですか?」

「あぁっとだな。なんて言うか。以前に、倉津の脳から記憶のデータを取った話は聞いてると思うんだがな。……それをだな、本人は嫌がるかも知れないが、脳に上書きすれば、眞子じゃなかった真琴に戻る訳なんだ。……だから、そう言うのだったら有りか?」


崇秀……



「……ごめんなさい。それもお断りします。この子の体は一生戻さないで下さい。……申し訳ありませんが、どうしても許せません」

「待ってくれ。本当に向井さんの気持ちは解る。けどな。こうなったのも、元を正せば俺が悪いんだ。俺が余計な事をしなきゃよぉ。こんな事態にもならなかった訳だろ。……だから、これは、コイツが悪い訳じゃないんだ。……頼む、解ってやってくれ。この通りだ」


崇秀ヤメテ……


なんで崇秀が土下座なんてしてるの?


悪いのは全部私だけだよ……



「……仲居間さん……なんでそこまで……」

「いや、本当に俺が悪いんだよ。だからどうか、今回の件だけは許してやってくれ。……いや、許してやって下さい。どうか、お願いします。この通りです。眞子は、馬鹿で、どうしようもない奴だけど、これでも俺の大切な親友なんです。だから、それも含めて、倉津真琴って存在を捨てないでやって下さい!!思い出になんかしないで下さい。コイツは、こうやって生きてるんです。お願いします!!」

「仲居間さん……」


崇秀もぉヤメテ……


ホントにヤメテ……



「崇秀……もぉ良いよ……ヤメテよ……自分の責任は自分で取るから、崇秀が頭なんか下げないでよ」

「うるせぇ!!テメェは黙ってろ!!俺は、向井さんとだけ喋ってるんだ!!それにオマエもなぁ。言葉足らずだった自分が悪いって解ってるなら、そんな所で突っ立ってねぇで、床に頭をこすり付けてでも謝罪しろ、この馬鹿!!この期に及んで、糞の役にも立たねぇクダラネェプライドなんか持ってじゃねぇよ!!このままじゃ、テメェと、向井さんの関係が終わっちまうだろがぁ!!テメェは、そんな事も解んねぇのかよ!!」

「きゃあ!!」

「ちょ!!」


『ガンッ!!』


崇秀は、容赦なく私の頭を持って、思い切り床にブチ当て。

その上から、絶対に頭を上げられない様な強い力で『グイグイ』押さえつける。


でも、的を得た崇秀の言葉には何も言えず。

私は、ただただ奈緒さんに向って『土下座』して、謝罪を繰り返すだけだった。



「ごめんなさい……ごめんなさい……奈緒さん、本当にごめんなさい……傷付けてごめんなさい」

「向井さん……頼みます。どうか、この1度きりの俺の我儘を聞いて下さい!!もぉ1回だけ、もぅ1回だけで良いから、この馬鹿にチャンスをやってくれませんか!!お願いします!!どうか、この通りです!!」

「仲居間さん……どうして……そこまで眞子を庇うんですか?」


そうだよ。

幾ら謝っても、きっと奈緒さんは、もぉ許してはくれない。


それに私なんか馬鹿で……人様に迷惑ばっかり掛けて……自分の事バッカリ考えて……人の気持ちなんか全然考えない様な……どうしようもない様なクズ人間なんだから、崇秀が、そこまでする必要なんて、どこにもないよ。


そんな価値なんて、どこにもないよ……



なのに、どうして、いつもそこまでしてくれるの?


なんで?


最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今回の奈緒さんの変貌についての理由が、他人から見たら、ほんの些細な事でヒステリックに成ってる様にしか見えないかも知れませんが、私自身は、この『自分より、別の男の方がベストカップル』っと言う言葉は、奈緒さんにとっては滅茶苦茶キツイ言葉だと思います。


何故なら、彼女は倉津君と付き合い始めてから。

徹底的に自分の甘い考えを捨て、自分に都合の良い考えも捨て、倉津君の為だけに努力をし続けてきました。


ですが、その対象に成った本人から『自分とではベストカップルではない』っと言われれば、誰だってヒステリックに成ると言うものですよ。


ある意味、今までの努力を全否定された訳ですからね。


ただまぁ今回の場合は、奈緒さんの誤解もありますので、ついつい、そんな言葉を発してしまった倉津君だけが悪い訳ではないのですが。

『不用意な言葉は、相手がどうとるか解らないし、傷付ける事もあるから気を付けなきゃいけない』って言う事を、お伝えしたかったんですね。


さてさて、そんな中。

崇秀が必死に成って、奈緒さんの説得をしてくれてる訳なのですが。

その熱意は、奈緒さんに届くのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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