●前回のおさらい●
崇秀の持って来てくれた漢方の効果があったのか、生理痛もやや治まり。
更に、崇秀が近くに居てくれる事で安心しきってる倉津君は、ついついそのまま爆睡してしまう。
そして目覚めた時には……(笑)
……気付けば、崇秀の居る事で安心しきっていたのか、3時間程熟睡していた。
だが、そんな風に俺が眠ってる間にも、崇秀は例の奇妙な勉強方法で黙々と研究で手の付けられなかった勉強。
若しくは雑学を、自分のノートパソコンで淡々と処理してたみたいだ。
その姿は、最初に勉強し始めた頃同様、話し掛けるのさえもコチラが気遣って出来無い様な状態だ。
まぁ、そうだと解っていながらも、パソコンに向って勉強中の崇秀をチラ見してみると、奴の表情は、矢張り、真剣そのもの。
しかもな、俺が起きた事にすら全く気付いてない位、鬼気として集中してるんだよな。
まさに勉強の鬼だ。
けどな。
今俺は、奴の事を勉強の鬼だとか言ったけど、コイツ……俺が起きた時に、直ぐに何か食べれる様に、飯まで用意してくれてたみたいなんだよな。
現にコタツの上には、センス良く盛り付けられた見栄えの良い料理がラップされて乗せられている。
そんで、一番俺が感心した事はな。
それだけ勉強や、料理をして大変な状態なのに。
コタツで寝てしまっていた間抜けな俺の為に、体が冷えない様にと考慮してくれたのか、ちゃんと毛布を掛けてくれてんだよな。
そんな些細な気遣いさえ忘れていない。
でもな。
なんか、これって……全体的に見ても、崇秀の勉強の邪魔をした上に、余計な気遣いばっかりさせちまってるだけなんじゃねぇのか?
俺の我儘に付き合って貰って、なんか悪い事したな。
コイツの方が、俺なんかより、数十倍ボロボロなのによぉ……
「よっしゃ。取り敢えず、最低限度の3日分は終了っと……おっ、なんだよ、倉津。起きてたのかよ」
「あっ、あぁ」
「どうだ?体の調子は、少しはマッシか?痛みは和らいだままか?」
あぁ、そう言えば、まだ痛みは残ってるものの、最初に体験した地獄に叩き落された様な痛みは、もうないな。
それに、少しの時間だが熟睡したから、体調も頗る良くなってる。
色々気遣って貰って、ありがたや仲居間様。
「あぁ、お陰様で、体調の方は良くなったみたいだな」
「そっか。それだったら、そこに飯を作って置いてやったから、勝手に飯でも喰っとけ。今日は、精神的にも、肉体的にも疲れ切ってる筈だからな。栄養とって、ゆっくりしとけ」
「おう……。なぁなぁ、だったら、一緒に飯喰おうぜ」
「アホたれ。俺は、まだまだやる事が山積みに残ってんだよ。呑気に飯なんぞを喰ってる暇なんかねぇの」
「なんだよ?飯喰う時間ぐらい良いじゃんかよ」
「遠慮する。……1人で喰ってろ」
そんなに嫌がんなくても良いじゃんかよ……
ちょっとぐらい飯に付き合ったからって、そんなに変るもんじゃねぇだろうに。
……って事は、今の俺と飯を食うのが、相当、嫌なんかな?
モブって言い続けてるぐらいだから、女としても価値がないんだろうか?
なんか、それって……凹むよな。
「オマエ……建前では、俺に対して普通に振舞ってるけど。実は、今の俺の形を気持ち悪いとか思ってんだろ。だから、そこまで嫌がってるんだろ」
「はぁ?なんで、そうなるんだよ?おかしな事を言うな。なんの根拠だ?」
「いや、だってよぉ。去年の4月ぐらいまでは、普通に遊んでたのによぉ。此処数カ月で、オマエだけ急に忙しく成っちまって、前みたいに全然遊んでねぇじゃん。その上よぉ、俺がこんな形に成っちまったからって、そんなに粗悪に扱わなくても良いじゃんかよ。……なんだよ。俺、今オマエしか、男友達として喋れねぇのによぉ。ちょっとぐらい付き合ってくれたって良いじゃねぇかよ」
飯喰うだけなんだからよぉ。
あぁでも、俺……また我儘言ってるなぁ。
こんな事を言うつもりは微塵もなかったんだけどなぁ。
でも……口が止まってくれない。
なんでだ?
「あのなぁ。……俺だって忙しいんだから、遊んでばっかりはいられねぇだろ。今の俺には、結構な『責任が有る』んだぞ」
「だからよ。……今ぐらい良いじゃんかよ」
「あのなぁ。面倒臭ぇ事バッカリ言ってんじゃねぇぞ」
「面倒臭いとか言うなら、もぉ良いよ。……1人で喰うよ。1人で喰やぁ良いんだろ。1人でよ」
「面倒臭ぇ…… (ヤバイな。……コイツが、こんな事を言い出すなんて、思ってた以上に『心の女性化』が進んでやがるのか?こりゃあ、結構、深刻な問題だな)」
面倒臭いとか言うなよな。
そりゃあ、俺だって我儘言ってるの位は解ってるけどよぉ。
俺としては、ちょっと昔みたいに飯を喰いながら、馬鹿話がしたいだけなんだからよぉ。
男で居続けられるオマエには解んねぇかも知れねぇけどな。
男が、女として生きるのは、結構なストレスが溜まるもんなんだぞ。
「だから、面倒臭いなら、別に良いって言ってんじゃんかよ。……こんな形の俺と、喰うのは嫌なんだろ」
「あぁ、もぉ、わかったよ。飯喰えば良いんだろ、飯喰えば」
「別に無理しなくて良いぞ」
「あっそ。じゃあ、喰わねぇ。オマエが、自分でそう言ったんだから、言葉に責任持てよ」
結局、嫌なんじゃねぇかよ。
なんだよ。
「ナンダカンダ言ったクセに、ヤッパリ、嫌々じゃねぇかよ」
「あのなぁ。じゃあオマエは、俺に一体どうしろって言うんだよ?(今度は乙女脳みたいな現象かよ。……まぁ、しかしなんだな。女の体が、此処まで男の精神に影響を及ぼすとは、かなり驚きだな。つぅか、この現象自体も、コイツの基本的な部分での順応性の高さが仇になってるとも言えるか。……奥が深いな)」
「別に、どうしろとかじゃなくてよぉ。飯喰って、いつも通り、話をしてくれりゃあ良いだけだよ」
「あぁ、じゃあOKだ。但し、先に言って置くが『嫌々』じゃねぇからな。それに、どうせ飯を喰うなら『楽しく』喰う方が良いに決まってるからな (さて、この解答にはどう出る?)」
やっと解りやがったか。
飯なんざな。
早々ショボクレタ顔して、嫌々食っても、全く美味しくねぇんだよ。
それに、久しぶりに馬鹿話しながら、楽しく飯を食うのも悪くねぇだろ。
つぅか俺、見た目だけで言うなら、かなり可愛い部類なんだから、寧ろ光栄に思っても良いんだぞ。
「だろだろ。そう言う気持ちで飯を喰った方が数倍美味いじゃんかよ。それによぉ、折角、オマエが作ってくれたのに、1人で食べたら勿体無いじゃんか」
「まぁなぁ (そっか。こう来るか。なるほどなぁ。この意見からして、倉津本人の基本的単純さは、なにも変わってない様だな。寧ろ、コイツ自身が元々女っぽい所が有ったからなぁ。この反応は、わからなくもないな。……ただ『俺の作った飯』に反応する必要は無いよな。だったらこれも、肉体が及ぼす、無意識下の精神作用って認識すべきか。……まぁ病院じゃ、絶対取れない様な良いデータだな。……しかしまぁ、こうなるとだ。今の勉強よりも、コッチの方が俄然有用な感じになってきたな)」
「だろだろ。飯をよそってやるから、皿(洋食なので)をコッチに寄越せよ」
「おっ、悪ぃな (うん。こりゃあ1度、この期に、キッチリ『データ採集』すべきだな)」
何故か崇秀は、満面の笑みで、俺に皿を渡してきた。
あれ?その表情をするって事は、またなんかロクでもない事を企んでるのか?
それとも、ただ単に、本当に諦めたのか?
まぁまぁ、どちらにせよ、一人飯をしなくて済んだだけでも全然OKだよな。
山中じゃねぇけど、1人飯ほどツマンネェものはねぇもんな。
……にしても俺、本当に、崇秀には我儘言いたい放題だな。
それに、女に成ってからと言うものは、男ん時よりも世話になりっぱなしだもんな。
よし!!じゃあ、此処は1つ、なにか、ちょっとぐらいサービスしてやらねぇとな。
コイツでも、少しぐらい喜ぶかな?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
前回説明させて頂いた『月経症候群』及び『生理』が及ぼす精神的な作用が、完全に倉津君に出ている様ですね。
男性だった場合の倉津君なら、絶対に、こんな『自身の寂しさを表現する様な我儘』を言う事はありませんでしたしね。
……っで、結論、今回のお話で何が言いたかったかと申しますと。
生理の件も含め、倉津君の体が完全に『女体化が完成している』っと言う事を表現したかっただけなんですよ。
まぁ、この辺の『男女の体の違いが及ぼす精神的な影響力』については、かなりややこしい話なので、また追々話して行こうとは思うのですが、今現在の時点で言える事があるとすれば。『TS漫画や小説』で書かれているみたいに【快楽の溺れたから女性化する】なんて安易な話ではないんですよね。
ちゃんと『そうなるメカニズムと言うものが存在する』と言う事だけはお伝えして置きたいと思いますです♪
さてさて、そんな中。
倉津君の我儘の内容から、崇秀が何かを察して様なのですが。
此処で崇秀は、そんな風に女性化が進んでいる倉津君に対して、一体、どの様な行動に出るのでしょうか?
次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。
そこに何かしろの興味を持って頂けましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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