●前回のおさらい●
学生達の文化祭が終了し、後は、大人達の企画による打ち上げ花火が撃ち上れば全て終了する中。
倉津君は「ダリィ」っと疲れながらも、教室の片づけをしていた。
そこにカジ君がやって来て(笑)
「あぁ、まじダリィ」
おっと、コイツはイケネェな。
心の中で心底思っていた本音が、無意識の内にポロッと口から零れ出ちまったよ。
俺って、なんて正直な生き物なんだろうな。
「ハハッ、なんだよ、なんだよ、クラッさん。此処に来てダルイとか、本音を言うかねぇ」
優勝して、ご機嫌なカジの馬鹿が。
そんな俺の言葉を聞き逃さずに、掃除を中断してやって来た。
面倒臭ぇ……
「あぁ、なんだカジかよ」
「うわっ、なにその粗悪な扱い?……にしてもなんだか、豪く、お疲れのご様子だな。流石に、今回の文化祭は堪えたか?」
「まぁなぁ、この文化祭には、準備期間から散々振り回されっ放しだったからな。そりゃあ、無駄に疲れもするわな」
「そうだったな。喫茶店も、コンテストの件も、全部ひっくるめて倉津は1人で立ち回っていたからな。確かに、ご苦労様だったな」
今度は、グチまで来やがった。
面倒臭ぇ……
「まぁまぁ、言う程、そんな大層なこっちゃねぇよ。所詮、俺なんてよ。クラスの出し物と、コンテストを、ナントカカントカ強引にこなしただけのこったからな。別段、大したこっちゃねぇんだけどな」
「なんでだよ?それで十分じゃんよ」
「バカタレ。これが仮に崇秀の馬鹿だったら、俺みたいにドン臭い真似をせず。もっと効率良くモノを動かすだろうし。それになにより、アイツだったら大人が介入しようが、なにしようが、この文化祭自体を、完全に掌握していただろうからな。……そこ等辺からして考えりゃ、俺なんて、まさに雑魚の域。全然、大した事ねぇんだよな」
……多分な。
これは予想の範疇は超えねぇんだがな。
アイツから見りゃ、こんな程度の事、朝飯前だったろうし。
鼻糞でも穿りながら、足で企画書を書いて、片手間でやっちまそうなんだよなぁ、アイツの場合は……
そんな程度の事を必死にやってたんだから、俺としては満足するには程遠い結果でしかないんだよな。
「オイオイ、そんな事は無いぞ。倉津が必至にやってくれたからこそ、クラスの出し物は見事なまでに成功を納めたんだろうし。俺達のバンドも宣言通り、コンテストで優勝も出来た。十分、完成度の高い出来だと思うぞ」
「そうだぜ、クラッさん。クラッさんが中心になってくれたからこそ、此処まで上手く出来たんじゃねぇの?これは、誰がどう言おうと、紛れもない事実だぞ。……それによぉ。比べる相手を間違ってるから、そう思うだけなんじゃねぇの?」
「まぁなぁ……そりゃよぉ。俺だって、そんなに出来が悪かったとは思っちゃ居ねぇよ。けどよぉ、アイツを対称にしたら、100点の出来栄えじゃねぇのも事実だからなぁ。解答としては、微妙って処だな」
「そうか?俺は100点満点の出来だと思うが」
「まぁ、言いたい事は、わかんだけどな。俺にとっちゃあ、なんか物足りねぇんだよなぁ」
「貪欲なんだな」
貪欲つぅかな。
この程度は、貪欲に生きねぇと、あの馬鹿には一瞬で置いて行かれちまうんだよ。
アイツは、ブレーキの壊れた超特急に匹敵するスピードで、人生を駆け抜け様とする馬鹿だからなぁ。
その上、そんなスピードにも拘らず、事故をする気配すらない。
こんなものを見せ付けられ続けてるだけに、俺も、下手に足踏みしながら止まってられねぇんだよ。
アイツとは腐れ縁なだけに、そこだけは、どうしても否めねぇ話なんだよなぁ。
……さて、そんな俺の馬鹿話は、何所かに置いといてだな。
そろそろ話が、どうでもいい話に向って行きそうなので、この辺で方向転換だな。
折角、この2人も揃ってる事だし、序に1つだけ問題になってる本題でも話すとするか。
「あぁそうだ、そうだ。んなツマンネェ事よりよぉ。例の優勝賞金200万どうするよ?」
「おぉ、そう言えば、そう言うもんもあったな。んじゃま、此処は遺恨が残らない様に、四の五の考えず、5人で山分けっとく?」
「オイオイ、待て待て、カジ。なにからなにまで世話になった俺が、賞金まで均等に受け取る訳にはいかないだろ。取り敢えず、俺の分は良いから、オマエ等2人+ステラさんと龍斗とか言う子供とで、綺麗に折半にしてくれ」
あら、無欲。
200万の1/5である40万もの大金を、不意にするって言うのか?
おぬし、中々の豪儀じゃのぉ。
「けどよぉ。こんな事をグチに言うのもなんなんだけどよぉ。グチの家って、今、結構、大変な状態なんだろ。なら、変に気遣わずによぉ。みんなで折半すりゃ良いじゃんか」
「しかしだな。それだと、オマエ等の割が合わないだろ」
遠慮するグチに、熱く語るカジ。
いつものパターンなんだが、ホント、仲良いよなコイツ等って……
けどな、この案件は、実は、そう言う問題じゃねぇんだよな。
もっと誰もが考えない様な、驚くべき事実が隠されてるんだよな。
「いや、そうじゃなくてよぉ。実は、その件なんだがな。クソガキと、ステラは、賞金を辞退してやがんだよ。だからこそ、オマエ等に、この件を相談したんだがな」
「はぁ?『辞退』……って、マジかよ!!あれだけ手伝ってくれたのに、なにも受け取らないって言うのかよ?それ、どんな神経だよ?」
「まぁ、事その辺に関しては、常識の範疇で図れる様な奴等じゃねぇからな。なにを考えてんだか、俺にも良くわかんねぇよ」
「けどよぉ。辞退するにしたって、なんか、それ相応の理由があんだろ?他になんか言ってなかったのかよ?」
「いやな。なんでもアイツ等が言うにはな。楽しかったから、それで良いんだとさ」
「はぁ?マジで訳わかんねぇな」
「なにが解らないんですか、カジ?」
「げっ!!ステラ!!」
「金髪ねぇちゃん!!」
さすが『ギター界の這い寄る混沌』と呼ばれる存在だ。
マジで音も立てずに、3人の誰にも気配すら感じさせないまま、いつの間にか、俺達の背後にピッタリ付いて居やがった。
まさにH・P・ラブクラフトが書き記した通りの恐ろしい存在だ。
そして、この困った這いよる混沌の登場が、また新たなる波乱の幕開けだった。
ホント、コイツだけは……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
さてさて、この文化祭最終局面に来て、何故、ステラさんの登場が、混乱を巻き起こす様な事態に陥るんでしょうね?
そんな妙な状態のまま、次回その辺について語って行こうとは思いますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
……ステラさんが、何を言い出す事やら(笑)
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