最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

464 そういう問題じゃねぇんだよな

公開日時: 2022年5月16日(月) 00:21
更新日時: 2023年9月10日(日) 13:15
文字数:2,412

●前回のおさらい●


 学生達の文化祭が終了し、後は、大人達の企画による打ち上げ花火が撃ち上れば全て終了する中。

倉津君は「ダリィ」っと疲れながらも、教室の片づけをしていた。


そこにカジ君がやって来て(笑)

「あぁ、まじダリィ」


おっと、コイツはイケネェな。

心の中で心底思っていた本音が、無意識の内にポロッと口から零れ出ちまったよ。


俺って、なんて正直な生き物なんだろうな。



「ハハッ、なんだよ、なんだよ、クラッさん。此処に来てダルイとか、本音を言うかねぇ」


優勝して、ご機嫌なカジの馬鹿が。

そんな俺の言葉を聞き逃さずに、掃除を中断してやって来た。


面倒臭ぇ……



「あぁ、なんだカジかよ」

「うわっ、なにその粗悪な扱い?……にしてもなんだか、豪く、お疲れのご様子だな。流石に、今回の文化祭は堪えたか?」

「まぁなぁ、この文化祭には、準備期間から散々振り回されっ放しだったからな。そりゃあ、無駄に疲れもするわな」

「そうだったな。喫茶店も、コンテストの件も、全部ひっくるめて倉津は1人で立ち回っていたからな。確かに、ご苦労様だったな」


今度は、グチまで来やがった。


面倒臭ぇ……



「まぁまぁ、言う程、そんな大層なこっちゃねぇよ。所詮、俺なんてよ。クラスの出し物と、コンテストを、ナントカカントカ強引にこなしただけのこったからな。別段、大したこっちゃねぇんだけどな」

「なんでだよ?それで十分じゃんよ」

「バカタレ。これが仮に崇秀の馬鹿だったら、俺みたいにドン臭い真似をせず。もっと効率良くモノを動かすだろうし。それになにより、アイツだったら大人が介入しようが、なにしようが、この文化祭自体を、完全に掌握していただろうからな。……そこ等辺からして考えりゃ、俺なんて、まさに雑魚の域。全然、大した事ねぇんだよな」


……多分な。

これは予想の範疇は超えねぇんだがな。

アイツから見りゃ、こんな程度の事、朝飯前だったろうし。

鼻糞でも穿りながら、足で企画書を書いて、片手間でやっちまそうなんだよなぁ、アイツの場合は……


そんな程度の事を必死にやってたんだから、俺としては満足するには程遠い結果でしかないんだよな。



「オイオイ、そんな事は無いぞ。倉津が必至にやってくれたからこそ、クラスの出し物は見事なまでに成功を納めたんだろうし。俺達のバンドも宣言通り、コンテストで優勝も出来た。十分、完成度の高い出来だと思うぞ」

「そうだぜ、クラッさん。クラッさんが中心になってくれたからこそ、此処まで上手く出来たんじゃねぇの?これは、誰がどう言おうと、紛れもない事実だぞ。……それによぉ。比べる相手を間違ってるから、そう思うだけなんじゃねぇの?」

「まぁなぁ……そりゃよぉ。俺だって、そんなに出来が悪かったとは思っちゃ居ねぇよ。けどよぉ、アイツを対称にしたら、100点の出来栄えじゃねぇのも事実だからなぁ。解答としては、微妙って処だな」

「そうか?俺は100点満点の出来だと思うが」

「まぁ、言いたい事は、わかんだけどな。俺にとっちゃあ、なんか物足りねぇんだよなぁ」

「貪欲なんだな」


貪欲つぅかな。

この程度は、貪欲に生きねぇと、あの馬鹿には一瞬で置いて行かれちまうんだよ。

アイツは、ブレーキの壊れた超特急に匹敵するスピードで、人生を駆け抜け様とする馬鹿だからなぁ。

その上、そんなスピードにも拘らず、事故をする気配すらない。


こんなものを見せ付けられ続けてるだけに、俺も、下手に足踏みしながら止まってられねぇんだよ。

アイツとは腐れ縁なだけに、そこだけは、どうしても否めねぇ話なんだよなぁ。


……さて、そんな俺の馬鹿話は、何所かに置いといてだな。

そろそろ話が、どうでもいい話に向って行きそうなので、この辺で方向転換だな。


折角、この2人も揃ってる事だし、序に1つだけ問題になってる本題でも話すとするか。



「あぁそうだ、そうだ。んなツマンネェ事よりよぉ。例の優勝賞金200万どうするよ?」

「おぉ、そう言えば、そう言うもんもあったな。んじゃま、此処は遺恨が残らない様に、四の五の考えず、5人で山分けっとく?」

「オイオイ、待て待て、カジ。なにからなにまで世話になった俺が、賞金まで均等に受け取る訳にはいかないだろ。取り敢えず、俺の分は良いから、オマエ等2人+ステラさんと龍斗とか言う子供とで、綺麗に折半にしてくれ」


あら、無欲。

200万の1/5である40万もの大金を、不意にするって言うのか?


おぬし、中々の豪儀じゃのぉ。



「けどよぉ。こんな事をグチに言うのもなんなんだけどよぉ。グチの家って、今、結構、大変な状態なんだろ。なら、変に気遣わずによぉ。みんなで折半すりゃ良いじゃんか」

「しかしだな。それだと、オマエ等の割が合わないだろ」


遠慮するグチに、熱く語るカジ。

いつものパターンなんだが、ホント、仲良いよなコイツ等って……


けどな、この案件は、実は、そう言う問題じゃねぇんだよな。

もっと誰もが考えない様な、驚くべき事実が隠されてるんだよな。



「いや、そうじゃなくてよぉ。実は、その件なんだがな。クソガキと、ステラは、賞金を辞退してやがんだよ。だからこそ、オマエ等に、この件を相談したんだがな」

「はぁ?『辞退』……って、マジかよ!!あれだけ手伝ってくれたのに、なにも受け取らないって言うのかよ?それ、どんな神経だよ?」

「まぁ、事その辺に関しては、常識の範疇で図れる様な奴等じゃねぇからな。なにを考えてんだか、俺にも良くわかんねぇよ」

「けどよぉ。辞退するにしたって、なんか、それ相応の理由があんだろ?他になんか言ってなかったのかよ?」

「いやな。なんでもアイツ等が言うにはな。楽しかったから、それで良いんだとさ」

「はぁ?マジで訳わかんねぇな」

「なにが解らないんですか、カジ?」

「げっ!!ステラ!!」

「金髪ねぇちゃん!!」


さすが『ギター界の這い寄る混沌』と呼ばれる存在だ。

マジで音も立てずに、3人の誰にも気配すら感じさせないまま、いつの間にか、俺達の背後にピッタリ付いて居やがった。


まさにH・P・ラブクラフトが書き記した通りの恐ろしい存在だ。


そして、この困った這いよる混沌の登場が、また新たなる波乱の幕開けだった。


ホント、コイツだけは……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


さてさて、この文化祭最終局面に来て、何故、ステラさんの登場が、混乱を巻き起こす様な事態に陥るんでしょうね?


そんな妙な状態のまま、次回その辺について語って行こうとは思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


……ステラさんが、何を言い出す事やら(笑)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート