最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1547 奈緒さんの謝罪の理由

公開日時: 2025年4月30日(水) 00:21
文字数:2,148

●前回のおさらい●


 昨晩の崇秀との一件は、説明するまでもなく理解していた奈緒さん。

故に、少し時間が出来ただけに、まったりと話でもしようとしたら……


何故か奈緒さんが謝罪して来て、倉津君『?』な状態に。



「えっ?えっ?えっ?なんッスか急に?なんで急に謝ってるんッスか?」

「いや、ホントごめん。あの、あのね。実はね。急で悪いんだけど、今日アメリカに戻らなきゃダメなのよ」

「へっ?」

「マネージャーに無理言って、今日までは日本に残らせて貰ってたんだけど。時間が……もぉそろそろ限界なのよ」


あぁもぉ、この人だけは……

なにかと思えば、それで謝ってたんッスね。


けど、それならそうと謝らなくても良いし、早くそう言ってくれれば良いのに。


なんで言わないかなぁ?



「もぉ奈緒さん。なんで、それを早く言わないんッスか」

「えぇ~~~っ、だって、ギリギリまで待ってでも、帰る前にクラの顔が見たかったし。昨日は、そんな事を言える状態じゃなかったじゃない」

「あぁまぁ、確かに、そうッスね。……じゃあ、まぁ良いッス、まぁ良いッス。兎に角、空港まで車で送りますんで、取り敢えず、帰る準備をして下さい」


親父さんとの約束がある手前。

今此処で、奈緒さんを空港まで送って行く発言をするのも、本当はどうかとも思うんだけどな。

俺の場合、なにを差し置いてでも、優先順位が『奈緒さん』に成っちまうから、これは仕方がない事だと思うんだよ。


だから此処は、忙しい親父さんには悪いが。

少しだけ空港に行くまでの時間を貰う為にも『少し遅れる』っと言う電話を入れさせて貰おうと思ってる。


いやほんと、これに関しては、非常に申し訳ないんだけどな。



「ごめん、クラ。それも遠慮するよ」

「へっ?なんでッスか?」

「……君と一緒に居ると、アメリカに帰るのが嫌になっちゃうから、見送りは、此処で良いよ」

「えぇ~~~っ、そりゃあないッスよ」


いやいやいやいや、せめて空港までは送らせて下さいよ。


此処でお別れなんて、切な過ぎますよ。



「もぉ、そんな顔したら、余計に帰り難くなるでしょ」

「すんません」

「……って言うかさ。また直ぐに帰って来るし。なんだったら『今度のレコーディングは、日本じゃないとやらない』とか、仲居間さんに我儘言ってでも、直ぐに帰って来るからさ」

「そうなんッスか?けど、帰るのが、余りにも突然過ぎッスよ」

「だから、そこはゴメンって。……でもさぁ、来年の2月には『眞子争奪戦』が有るから、確実に日本に帰って来れる訳じゃない。だったら、それまでのちょっとの間、お互い辛抱しよ」

「なんッスか?じゃあ、それって『逢えない時間が愛を育てる』って奴ッスか?」

「えっ?あぁっと、まぁ、なんて言うか、そんな感じかな。……凄い臭いセリフだけど。後、序に、凄い酒臭いね、君」


また、そう言う事を言って誤魔化そうとするぅ。


まぁでも、奈緒さんも辛いって本心を言ってくれてるのに。

男の俺が、此処でグダグダグダグダ文句を言って、我慢しないなんて余りにもミットモネェよな。


それに俺は、今日、奈緒さんがアメリカに帰っても。

その後のとあるイベントでは、ちょっとした『サプライズ』を考えてるからな。


そのイベントを盛り上げる為にも、この場は我慢して、ちゃんと見送ってあげないとな。



まぁ、そうは言っても、それはそれ。

この件(俺の渾身のセリフに難癖付けた)に関するお仕置きは、キッチリするけどな。



「はぁ~~~~~~」

「うわっ!!もぉなにするのよ?最悪だよ、クラ。普通、人に向って息吹きかける?もぉ酒臭~~い!!」


それが奈緒さんの言うセリフの臭さと、酒の臭さをブレンドしたもんッス。


俺は、そんな凶悪なモルボル・グレートっすから

その臭い息を喰らって『毒』『麻痺』『睡眠』『沈黙』『混乱』『ミニマム』『トード』の状態異常でも喰らってなさい!!


……って言うか。

そんな意地の悪い事バッカリ言うから、そう言う嫌な目に合うんッスよ。


いや、あの、先に言っとくけどな。


これが、そのイベントサプライズじゃないからな。



「俺の会心のセリフに難癖付けるからッスよ。自業自得ッス」

「ホント最悪。……もぉ帰る」

「あぁじゃあ、せめて、せめて門まで、門までは送らせて下さいよ」

「うぅん。それも良い。さっきも此処で良いって言ったでしょ。……そんな事より」


奈緒さんは振り返って、目を閉じている。


それで、自分の唇を、指でチョンチョンと指している。


……そうッスね。

お別れには、それは必要ッスね


それに、門まで送った所で未練がましいだけッスよね。


だったら、そのお別れの挨拶で、お別れした方が良いッスね。



「いってらっしゃい、奈緒さん」

「うん。いってきます、クラ……んっ、ん~~~」


そう言って、沙那ちゃんに気付かれない様に、キスをしたのは言うまでも無い。


あぁ、所で知ってたか?

此処最近、奈緒さんとのキスは、なにかとディープキスなんだよな。


……自慢だ。

そして惚気だ。


だから、聞け。


出来れば、目一杯聞いてくれ。



「ふぅ……ごちそうさま。じゃあね、クラ。またね」

「ウッス。コチラこそ、なんのお構い出来ませんで」

「うぅん。今回は色々と迷惑掛けて、ごめんね」

「それはもう終わった事ッス。だから兎に角、そんな事はもぉ忘れて、また頑張って下さい」

「うん。……あぁっと、沙那ちゃんも、じゃあね」

「えっ?」


……っと、何気に奈緒さんは、そう言ったんだが。

沙那ちゃんは、突然、ギターを弾くのを辞め。

血相を変え、テポテポとコチラに向かって一生懸命走ってくる。


今度は、なんだ?


なにが起こったんだ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


奈緒さんの謝罪の理由は、こんな感じだったのですが。


これ、アメリカに帰らなきゃいけないのは本当にしても、実はフェイクなんですよ(笑)


まぁ言うて。

既にもう、此処にはお気付きの方もおられるとは思うのですがね。

この奈緒さんの一連の行動って言うのは。

実は倉津君が、この後、沙那ちゃんの親父さんとの約束がある事を知っているからこそ、彼女はこう言っただけだったりするんですよね。


要するに奈緒さんは、倉津君に気を使って、こんな事を言い出した訳ですよ。


まぁ、倉津君本人は、そんな奈緒さんの気遣いには全然気付いてない様子ですがね(笑)


さてさて、そんな中。

倉津君と奈緒さんの話し合いを、ギターを弾いて待っていてくれた沙那ちゃんが。

何故か此処で、突然、慌てだした様子なのですが……一体、何があったのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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