最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

1495 矢張り、本職はスゲェな

公開日時: 2025年3月9日(日) 00:21
文字数:3,037

●前回のおさらい●


 廃材とは言え、比較的綺麗なリフォームの材料を調達して来てくれた大将。

しかも、リフォームの手伝いまで申し出てくれたので……


 ……ってな訳でだ。

此処は有り難くも本職である大将の力を貸して貰える事に成ったので、早速リフォームを再開する事に成ったんだが。


またしても、早いな。

なにをするにもプロってのは、手際良くて、早いもんだな。


―――なにが早いって?


俺が、各部屋の薄汚れて使い物に成らない畳を、ヨッコラショ、ドッコラショっと、外に運搬クエストをしてる間にだな。


大将と、山中は荒っぽく店舗内に有ったボロイショーケース(?)なんかを、ポイポイポイッと表に放り出し。

そんで次に見た瞬間には、剥き出しに成った店舗の床を軽く掃除した上で、罅の入った部分を黙々と修復していたんだよな。


一回、畳を外に運搬してただけなのにだぞ!!


これを手早いと言わずに、なにを手早いって言うんだよ。


兎に角、この2人はだな。

先刻も言った通り1つ1つの作業動作が手早いから、なにをするにもアッと言う間に業務をこなして行くんだよな。


んで『これは負けてられない』っと思った、リフォームを頼んだ当事者の俺は。

その間に、大将が持って来てくれた、ちょっと使用感のある畳を、これまた、ヨイコラショと各部屋に運ぶんだが……


結局はな。

そんな風に俺が畳を運んでる間にも、大将は床の幅を計りながら、持って来たフローリング材の大きさを整えて、さっさと張り始めるてるし。

その頃、山中は、天井の大きさに合ったパネルを、釘を打ち出す道具でドンドンと貼り付けていき。

その序に、電気系統のチェックまでしてる始末。


もぉな。

此処まで行ったら『手際が良い』とかって言う、生易しいレベルじゃないんだよな。


鬼だぞ鬼。

コイツ等、絶対に仕事の鬼だぞ!!


だってよぉ。

オィちゃんがモタモタモタモタしてる間に、ただの店舗部分が、ボロイ和風家屋から、洋風のショップに変って行くんだもんよぉ。


全く持って、有り得ねぇ光景だったよ。


これ、何所の『劇的ビフォアーアフター』やねん?


***


 ……ってな感じで、またしても約3時間程が経過。

店舗の壁も、まだコンクリートが渇いておらず。

まだ手を入れられない状態だから、コンクリ特有の鼠色剥き出しのままなんだが、それ以外の店舗部分は、殆どリフォームが完成。


でもな。

その剥き出しのコンクリートが、店舗としては微妙に格好良い造りに成ってやがるんだから、どうしようもない。


まぁ今はまだコンクリートを整える為の木枠が残ってるから、これは想像でしかないんだが

想像上でも『ひょっとして、これ、このままでも十分店っぽいんじゃねぇか?』って思える程だ。


まぁ……そうは言っても。

店舗の扉部分が、昔ながらの和風の横スライド式の木戸だから。

リフォーム済みの洋風の店舗内とのギャップが、笑える位、凄い事に成ってるけどな。


***


 まぁ、そんなこんなが有りながらも。

一応、一時間オーバーにはなったが、またしても此処で休憩タイムを入れる事に成ったんだが。


なんか俺だけ、なんも出来てなくて申し訳ねぇな。


……(;´д`)トホホ。



「あぁ、疲れた。これだったら、普通に仕事してる方が楽な位だな」


……っと、大将が、タバコを吹かしながら、そんな愚痴を零している。


すんまそん。


ホンマ、すんまそん。



「そやな。そやけど、家屋が木造なだけに釘の入りがえぇから、まだ楽ッちゃ楽やで」

「それもそうだな。……にしても、ニィちゃん良い腕してるな」

「そうか?まぁ、大将には、全然敵わへんけどな」

「よく言うぜ。その若さで、あれだけ手際良く出来りゃあ大したもんだ」

「そら、おおきにな」


あれ?

なんか、いつの間にか仲が良い感じが漂っていて、ド素人の俺だけ、そこには入ってイケネェ様な雰囲気だな。


これって、アレか?

俗に言う、職人同士の共感って奴か?


だったら、オィちゃんは寂しく1人で聞き耳立てながら、タバコ吹かしてよぉ~~と。


邪魔しちゃ悪いしな。



「けど、見た所、仕事してる風でもないし。ニィちゃん学生さんか?」

「まぁ、学生は学生やな。そやけど、一応これでも仕事はしとんねんで」

「ほぉ、そりゃあ感心だな。ヤッパ、リフォーム関係か?」

「まぁ、実家はそうやねんけど、俺自身は【無名】言うバンドで、飯喰わさせて貰ってますわ」

「【無名】だと?……あぁ!!ドッカで見た事のある顔だと思ったら、ニィちゃん【無名】のドラムか?」

「まぁ、そんな感じで、やらしてもろとりますわ」


あぁそうか。

大将は、山中の事を詳しくは知らないんだったな。


確かに、今年の文化祭では、大将の姿を、何所にも見掛けなかったし。

去年の文化祭は【無名】としてじゃなく、山中はバックバンドとしてドラムを叩いてただけだったもんな。


それじゃあ、流石に知り様がねぇか。


それにリフォームの手伝いをしてるのが、まさか【無名】のメンバーだとは夢にも思わないわな。



「へぇ~~~っ。けど、あれだな。その若さで芸能界入りするなんざ、大したもんだな」

「いやいや、俺の実力なんか、全然大した事あらへんで。俺がこうして、バンドやってられんのは、そこに居るマコのお陰やからな」


はい?なんで俺?



「なるほど、倉津絡みか。それなら、なんとなく納得の行く話だな」


なんで?なんで納得が行くん?

本人が納得してないのに、なんで大将まで納得出来る訳だ?


意味が解んねぇし。



「そやろ。あそこで呑気にタバコ咥えとるアホは、ホンマ、人のツテを作るのが上手いやっちゃからなぁ。アイツのお陰で、色んな人に知り合わせもろとりますわ。ホンで、偶々、そのアイツのツテでバンドに入れて貰たら、いつの間にか、この有様ですわ」

「あぁ、そう言う経路な。……でも、確かに倉津は、面白い人間を惹き付けるよな」

「ホンマですわ。今日にしたって、大将に出逢えたんは、アイツの縁ですからね。ホンマ、あのアホだけは、一緒に居ったら退屈しませんわ」

「そら言えたな」


そうなんか?


豪く評価高いな俺。


まぁけど、あれだな。

『人の縁』については、散々みんなに言われてるから、もぉ此処は否定しないぞ。


寧ろ肯定出来るしな。

そこの運だけは、人一倍強いらしいからな!!


……それに伴う、実力はねぇけどな。


……ショボボボボ。



「あぁ、それはそうと大将」

「なんだ?」

「大将は、ドッカの会社に入ってはるんですか?」

「なんだ?急過ぎて、話が見えない感じだな」

「あぁ、いや、ちゃいますねん。もし、フリーで仕事をしてはるんやったら、ウチの実家の仕事も依頼したいと思たんですわ」

「あぁ、そう言う事な。だったら、いつでも言ってくれよ。一応、会社には務めてるが、手が空いてる時なら手伝うぜ」

「ホンマですか?そりゃあ助かりますわ」


なんか今度は、妙にリアルな仕事の話に成ったな。


なんじゃこりゃあ?


あぁけど、山中の実家が、それで助かるなら、大将と出逢って良かったじゃねぇかよ。

このニィちゃん、仕事の面は勿論の事、プライベートでもマジで面白いから、付き合ってて損はないぞ。


強烈なフェチだしな。


……っとまぁ、また、なにやら良い人間関係が成立した所で、休憩は終了。


けどな。

俺、休憩中、誰とも一言も喋ってねぇ様な気がするんだが……気のせいか?



あぁっと、1つ此処で報告なんだが。

この休憩中に、沙那ちゃんの親父さんから電話が有ってな。

親父さん、急遽仕事が入ったらしく、今日は来れないらしい。


そんで、その旨を沙那ちゃんに伝えたら『そうなの』って言われた。

どうやら、この様子からして、言われた本人は余り気にしていないらしい。


相変わらずだな、この親子は(笑)



……にしても。

これで一日、リフォームの余裕が出来たな。


ありがたや、ありがたや。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


本職の職人さんって、ホント仕事が早いんですよね。

私も現場で、その光景を見た事があるのですが、仕事に淀みがないからアレヨアレヨと言う間に仕事を終わらせていくんですよ。


……っとは言え。

この大将と山中君の手際の良さは、物語上、誇張してる部分があるので、流石に此処までは早くはないんですけどね。

なにより、どれだけ手際が良い職人さんであっても、必ず会社のスケジュールに合わせて行動をしますしね(笑)


さてさて、そんな感じでリフォームは進んでいくのですが。

内装はそれで良いとしても、リフォームをする以上、外観も整えなきゃいけません。


なので次回は、その外観を整えてくれる職人さんが来るのですが……一体、どんな人物が来るのでしょうか?


今回は新キャラですので、予想する余地は無いのですが。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート