●前回のおさらい●
賞金を受け取らない代わりに、ステラさんが『ポンコツ(倉津君)のバンドに入れなさい』と言って来た。
この言葉には、倉津君は勿論の事、カジ君グチ君もビックリ!!
そりゃあ当然、ステラさんは既に有名人なのだから。
それとは別に、もう一点、倉津君には気に成る事があった……
「おいおい、ステラ。オマエの気持ちも、多少なら解るけどよぉ。自分が気に入らないからって、今のバンド仲間を、アッサリ見限っても良いもんでもないだろうに」
「知りませんね。そんなものは仲居間さんが、私に、勝手に押し付けてきただけの事であって、私には、なにも関係もありません。ですから私は、彼等の事を『仲間だ』なんて思った事はありませんし、私が自由に行動するのにも、なんの支障もありませんよ」
「いや、仮にそうだとしてもだな。オマエが抜けたら、今のバンドのメンバーが困るんじゃねぇのか?」
「それこそ知った事じゃ有りませんね。それに、その点については、懸念するにも値しない問題ですよ。恐らく、なにも問題は起きないでしょう」
「なんの確証が有って、そんな事を言ってんだよ?メンバーの脱退は、バンドのとっちゃあ重大問題だぞ。それにオマエ程の腕の持ち主なら、尚更、大問題だろ」
この『脱退』って言葉な。
バンドにとっちゃあ、リアルで困り事なんだよな。
特に、メインで演奏してる奴に抜けられるのは、相当手痛い。
俺もこの件で、以前散々揉めたからな。
それ故に、その辺だけは人一倍理解してるつもりなんだがな。
「どこがですか?こんなもの、話すのも無駄なぐらい単純な話ですよ」
「どこがだよ?重要問題だろうに」
「馬鹿馬鹿しい。私が抜けて居なくなったら、仲居間さんが勝手に新しいギタリストを補填するに決まってるじゃないですか。そんな事も解らないなんて、低能が過ぎますよ」
「ぐっ!!」
そっ……そうか。
普通のバンドを基準に考えたら、俺の意見の方が正しいんだろうが、崇秀が作ったバンドとなれば、これは別だ。
アイツの場合は、常識では考えられない程の『人材を確保』しているからな。
確かにステラの言う通り、馬鹿げた話だ。
「それに、私が居なくなる程度の事で崩壊する様な柔なバンドなら、早期に解散した方が身の為と言うものです。ですから、なに1つ問題はありませんよ」
コイツ……自信満々に話してやがるが、そこだけは間違ってるぞ。
あれだけ自意識過剰に自分の事を語るくせに、意外と自分の価値がわかってねぇのか?
以前でさえ『音にブーストを掛ける』なんて奇妙奇天烈な得意技があったのに。
今回のライブで見せた腕前じゃ、更に『仲居間流・音映像』の妙技を使う片鱗すら見せ始めている。
その上、オマエは、誰からも注目される様な綺麗で可愛らしい見た目をしてるんだぞ。
そんな奴……世界中探しても、早々居ねぇんだけどな。
これでも、今のバンドが困らないって言い切れるのか?
「なぁステラよぉ」
「なんですか?」
「ホントに、そんな安易な考えで大丈夫なのかよ?」
「はい。断言して問題ありませんね」
「じゃあよぉ。序にもう一点聞くけどよぉ。今のバンド云々を無視しても。なんで俺等のバンドに拘る必要があるんだよ?オマエの実力なら、どこのメジャーバンドに行っても、普通にやっていけるだろうに」
「では逆に、私も真琴にお聞きしますが。何故、真琴程の腕が有って、このド素人コンビの2人とバンドを組もうと思ったのですか?これも、少し変な話では有りませんか?」
「偶々?縁?」
「では、私も偶々です」
出たよ。
素早い、鸚鵡返し。
頭の良い奴って、自分の意見を相手に解り易くする為に、相手の意見を取り入れて、直ぐに、これをするだろ。
嫌な感じだよな。
「あのなぁ、ステラ。九官鳥か、オマエは……」
「見た通り、人ですが。アナタは、そんな事すらわからない程、頭が劣化してるのですか?どれだけ、脳の故障箇所を発現すれば、気が済むんですか?全体的な話で言えば、正直ウンザリですね」
「うっさいわ!!どこも故障なんかしてねぇつぅの!!俺は至って、正常だ正常!!」
「それで『正常』なんですか?……終わってますね」
終わってねぇし!!
俺だってなぁ。
極稀には、ちゃんと脳が活動する時だって有るんだぞ!!
だから、なんも壊れてねぇもんよ!!
「じゃあよぉ。俺と同じ発想をするオマエだって、相当、ポンコツって事を証明してるんじゃねぇのかよ」
「なるほど、今度はそうきますか。……ですが、真琴の偶々は、急場凌ぎで思い付いた偶々。私のは理由在り気の偶々。話の根底からして、全然レベルが違いますよ」
「あっそ。じゃあ、そのオマエの言う大層な理由とやらを聞かせてくれよ」
「本当に解らないんですか?ウンザリも、呆れるも通り越して、見捨てたくなる心境ですね」
「はいは~~い。低脳な俺には、じぇんじぇんわかりましぇん。教えてステラ先生」
「無様ですね。それに開き直った低脳が、これ程みすぼらしい者だとは知りませんでしたよ。凄いですね。良いデータが取れました」
「あっそ。それはよござんしたね。っで、その大層な理由ってなんなんだよ?」
「答える前に真琴、これだけは1つ言って置きますね」
「なんだよ?」
「低脳でも結構ですが、もぅ少し謙虚に生きる事を学ぶべきですよ、ポンコツ。それでは、あまりにも惨め過ぎますよ」
「イチイチやかましいわ!!オマエに『謙虚』なんて言葉、死んでも言われたくないわ!!」
世の中には言って良い事と、悪い事が有るよな。
ステラは『謙虚』なんて言葉だけは、絶対に言っちゃイカンんのだぞ。
自己否定する事になるからな。
肝に免じておけ。
「今しがた言われましたが。それさえも気付きませんでしたか?お可哀想に……」
「ぐっ!!オマエって……本当に腹の立つ女だな」
イカンイカン。
またステラのペースに嵌って、話が脱線転覆する処だった。
此処は、自らの気持ちをグッと抑えて、早く精神面を修正しよ。
ホンで、主題で反撃するぞ。
「っで、ステラちゃんの想う処ってのは、何なんだ?」
あっ!!今、それを言おうとしたら、カジに先を越された。
ったく、いつもこれだよ……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君の心配を他所に、結局はステラさんにボロカス言われただけでしたね。
まぁ、この2人は、いつもこんな感じなので、これはこれで楽しんでるのかもしれませんがね。
さてさて、そんな倉津君の『M度が上がってる話』は、さて置き。
次回は、ステラさんが、日本に戻って来た『本当の理由』が明らかにされて行きます。
なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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