●前回のおさらい●
総帥の実力を測る為にやって来た実家のカラオケルーム。
そこでの準備も整ったので!!
一曲目『Spring is nearly here』(春がいっぱい)
この曲は、特別ややこしいフレーズを弾く訳ではなく。
クリアなトーンと、正確なピッキングで構成されてる曲。
本当にシンプルな曲で、最近の曲みたいに、ごちゃごちゃとギターで曲を弾き回す感じではない。
けどな。
それだけに、キッチリと表現力がないと、とんでもなくスカみたいな曲になっちゃうんだよな。
この曲はシンプルなだけに、そんな風に難しい曲だ。
でも、総帥は、その辺を良く理解して演奏しているのか。
単純なフレーズの中に、この曲独特の、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。
ハッキリ言えば、上手い!!
……っで、この後も。
2曲目『Apache』
3曲目『Nivram』
4曲目『The Savage』
……っと言う感じに、シャドウズのナンバーを連続で演奏していくんだが、どれもこれも文句の付け様が無いぐらい上手い。
こりゃあ、沙那ちゃんが絶賛するのも頷けるな。
けど、曲が作られたのが古いだけに、ちょっとノスタルジックな感じは否めないな。
「……っと、まぁ大体、こんな感じが、俺の実力なんだが。全体的に、ちょっと古臭い感じだろ」
サトラレ技能発動!!
早速、俺の思ってる事を、寸分狂わずモロに言われたよ。
でもまぁ、総帥も、俺も古臭いとは言ったが、実は、その古臭さが、逆に良いって噂もあるんだけどな。
「いえいえ、凄く良い感じでしたよ。……でも、ちょっと今の時代には通じ難い曲調ですかね」
「だろ。俺も、その辺は十分に承知してるんだけどな。まぁ好きなものは、誰になんと言われ様と好きなんだから、これは、しょうがないってもんだな」
「ですよね。音楽なんて『好きこそ物の上手なれ』の法則ですもんね。私も、そう言う感覚でモノを考えるの好きですよ」
「上手い事言うねぇ。お世辞でも嬉しいもんだな」
「まさか。お世辞なんて言ってませんよ。……あぁでも、他のジャンルは、全然ダメなんですか?」
NOooooooo~~~~!!
奈緒さんに、俺が総帥に言いたい事や、聞きたい事を、寸分違わず、丸々全部持ったかれちまったよ。
これじゃ俺の存在感が……俺、なんの為に居るんじゃ?
「いや、一応程度で良いなら、一通りのジャンルも弾けるぞ。好きとは言え、そこまでシャドウズに固執してる訳じゃないからな」
「じゃあ、こう言うのは、どうですか?」
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あぁ……奈緒さん。
今度は、此処に置いてあった俺のFenderのジャズベを手に取って、曲を弾き始めちまったよ。
しかも、曲が『TOP・GUN』とはな。
別ジャンルの総帥の腕を、調べ様って腹か。
「いや、奈緒ちゃん。……そういうのって、俺の得意分野だから」
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-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……
上手い!!
得意分野だと言うだけ有って、総帥のギターの音は、奈緒さんの、それを圧倒している。
でもな。
そんな事よりも恐ろしいのが。
総帥の音は、ただ奈緒さんの音を圧倒するだけじゃなく、なにかしろの『協調性』を齎してるんだよな。
これは、今までに1度も聞いた事の無いパターンの音だな。
「ほな、総帥。こう言うリズムに変えたら、どんな風に演奏する?」
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あっ!!コラッ!!
山中の野郎!!
こちら側への移籍を思案中のクセに、ウチの刺客に成り得る総帥と、曲を一緒に奏でるんじゃねぇよ!!
勝手に、なにしとんじゃオマエは!!
……でも、ボサノバのリズムって、また面白い事するな。
「どうもこうも、そんなのタダのアレンジだろ。なんて事ねぇよ」
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-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--……
オイオイ総帥……アンタ、マジで何者だよ?
即興で奏でられたリズムなのに、そんなに簡単に『協調性』を滲み出させるか?
まぁ、これ自体はな。
俺等が、みんなで良くやってる事なんだけどな。
総帥のは、ちょっと一味違うんだよな。
ヤッパリ、この総帥の音が齎す『協調性』ってのが凄いんだよ。
急遽、変更を余儀なくされた奈緒さんのベース音を、意とも簡単に、ギターの音だけでボサノバの曲調に導き。
まるで、最初から、その演奏をしてた様な錯覚にさえ陥らさせる。
ハートも、技術も、かなり高水準だ。
「うぅ。なんか楽しそう。沙那もやりたい」
「おぉ、だったら入れて貰え、入れて貰え」
俺も、やりたくてウズウズしてるんだが、沙那ちゃんが、お先にどうぞ。
「うん!!……あれ?でも、据え置きギターが『Teisco WG-4L』しかないや。……しょぼい」
あれ?そうなんか?
なんか格好良い感じのギターだったから、15000円でヤフオクで落札したんだが、ダメか?
ヤッパ、Teiscoはダメか?
「それじゃあ、ダメか?」
「うぅん。ダメって訳じゃないけど。あんまり良い音はしないね。手入れもしてないみたいだし」
「そっか、スカか」
「あぁ、でも、ギターなんて音が出れば大丈夫。なんとか成るよ」
沙那ちゃんは、慌てて俺に向って、そう言ってくれたんだが……
とうとう、子供の沙那ちゃんにまでフォローされちゃったよ俺。
最悪だよ。
まぁでも、あれだな。
俺には、ギターの良し悪しが解らないから、これはしょうがないな。
ベースなら、ちょっとぐらい解るんだけどな。
プレシジョンベースとか、コロナド・ベースとか、ミュージックマスターベースとか。
(↑しかもFender製しか見た事の無い俺)
「なんか、ごめんな」
「うぅん、大丈夫。このダメギターでも、これに合った音さえ出せば、それ也に聞こえる筈だから。……見ててね、おにぃちゃん」
「おっ、おぅ」
なにをする気だ、この子は?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
音質のレベルを上げるのであれば、崇秀や真子なんかも、よくやってる事なんですが。
総帥の場合は、そんな風に音質を上げるのではなく、相手の持ち味を自身の音で包み込み。
極自然に、曲の利き心地を良くすると言う物なので、実は崇秀や眞子とは、似て非なるものだったりします。
要するに『今現在の相手の実力をフルに生かす事が出来る』っと言う代物ですね♪
なので、今まだ発展途上にある倉津君やカジ&グチ君には、まさに相性のいい演奏の仕方だとも思われますです。
さてさて、そんな中。
次に沙那ちゃんが、この演奏に参入する訳なのですが。
倉津君が形だけを見て購入し、手入れもしていないボロギターで、何処までの実力を示す事が出来るのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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