最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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148 不良さん 息をするのも面倒になる

公開日時: 2021年7月4日(日) 00:21
更新日時: 2022年11月26日(土) 21:54
文字数:2,946

●前回までのあらすじ●


 奈緒さんからの課題であった『アレンジ』も出来。

スタジオで朝まで練習をしていた倉津君達は、皆それぞれの学校や職場に向かう。

 学校には、特に何事もなく到着する。


時間としては、かなりギリギリになったが、遅刻するまでには至らなかった。



「よっしゃ!!セーフ、セーフ……危ない、危ない。危うく皆勤賞を逃す所やったわ」


そうなんだよなぁ。

この馬鹿な。

喧嘩ばっかりするロクデモナイ不良の癖に、変な所が不良っぽくないんだよな。


毎日休まず学校に来て『皆勤賞を狙ってる不良』って、どうよ?


そんな目で山中を見ながら、校庭を横断して、教室に入っていく。


***


 教室に入ると、先公が、まだ来ておらず。

教室内は、毎度の事ながら無意味にザワついている。


学園ドラマなんかである、普通のよくある早朝の光景だ。


だが、既に予鈴が鳴っていたので、休み時間の様に、まばらな場所で喋ってるのではなく。

殆どの奴等は、自分の席近くでペチャクチャと喋っている。


けどなぁ、席に向かいながら、その話の内容に耳を傾けてたら解る事なんだがな。

その内容って言うのが、結構、悲惨なものでな。

『昨日のドラマ見た?』とか『○○滅茶苦茶面白いよな』とか、なんとも幼稚臭い、ガキみてぇなツマンネェ話ばかりしてやがるんだよな。


もぉな、余りにも聞くに堪えない内容だったので。

俺は、それらを無視して、一番後ろの窓側の自分の席にある机の上に足を『ドカッ!!』っと置いて、『ドカッ』っと音を立てて座る。


この行為に、教室内が一瞬凍りついた様に静まり返った。


俺が、いつもこんな調子なもんだから、相も変らず、誰も俺の所には話し掛けては来ない。


……素直を除いては。



「おはよう、真琴君」

「うっす」

「今日は豪く遅かったんですね。スタジオから、学校に、そのまま来たんですか?」

「あぁ、そうだな。今さっき練習が終わった所だから、今日も、昨日に引き続き、ヒデェ目に遭ったよ」

「あの後、どうかしたの?」

「いや、特に、コレと言って代わり映えは無いんだけどな。必死に弾き過ぎて、性も根も使い果てしちまって、もうクタクタな訳だ。……本来なら、学校も休みたいぐらいの勢いだな」

「そうなんですか。昨日も、みんな、大変だったんですね」

「まぁよ」


こうやって、素直は心配そうにしてくれているが。

この行為に対して俺は、以前の様に変な感情を素直には抱いたりはしない。

もぉ奈緒さんを悲しませるのも嫌だし、これ以上、バンドのみんなに迷惑を掛けるのもゴメンだからな。


故に此処6日間、素直に対しては、いつもこんな調子だ。

まぁ素直の方も、崇秀に言われた事が、相当堪えたのか、あまり積極的な行動はしなくなったしな。


彼女も、普通に接してくれている。


実に有り難いこった。



「あっ、そう言えば真琴君、昨日の期末テ……」

「はい、先生がもう来てますよ。有野さんも自分の席に戻ってぇ」

「あっ、はい。すみません」


地獄の副担任『島田千夜』の奴が、いつの間にか教室内に入って来てやがった。

コレにより、ザワザワしていた教室が、一応、朝のホームルームを始める体勢に入る。


それにしても素直の奴、自分の席に戻る前に、一体、俺になにを言い掛けてたんだろうな?


なんか言いたそうだったんだけどな。

まぁ良いか……別にバンドに支障の有る様な事じゃねぇだろうしな。


だが、これが間違いの始まりだった。


***


 島田の雛鳥は、黙々とホームルームをこなして行く。

いつもながらコイツの話は、全然面白くもないし、淡々として事務的だ。


ただなぁ、淡々と事務的に話をしてる割には、毎度毎度、的を得ない話し方をするんだよなぁ。

話がアッチへ行ったり、コッチへ行ったり、結局、何が言いたいのか、全く持って、なにも伝わって来ない。


……ったくもぉ、なにが言いてぇんだ、この女だけわ?

等と、いつも通り、島田嫌いの俺は、文句ばかり脳裏を過ぎる。



「……っと言う事です。何か質問は有りますか?」

『ねぇよ。つぅか、誰1人として内容が伝わってねぇから、質問のしようもねぇわ』


頭の中の文句は、止めどなく流れる。



「ないですね。じゃあ、ちょっと早いけど、ホームルームを終わります。……あっ、そうそう、山中君と、あっ、あの、倉津……君は、この後、少し先生の所に来て下さい」

「あぁ?」


なんだぁ?


俺は、オマエになんぞ用はないんだけどなぁ。

それとオマエさぁ、また俺を呼ぶ時だけ『倉津……君』って、間を開けやがったな。


オマエは一体、俺に対して、何をそんなにいつもビビッてんだよ?

学校の先公なんだから、もっとビシッと言え、ビシッと!!


ホント、まどろっこしい奴。

少しはふてぶてしくなる為に、一回、風呂(ソープ)にでも行って研修して来たら、どうだ?

そうやって、男と裸の付き合いでもしたら、少しは度胸も付くだろうし、金も貯まるだろうからよぉ。

もしそこでNo.1にでもなりゃ、その頃には、そのウザイ性格も、完全に治ってるんじゃねぇか?


だから教師なんぞツマンネェ職業は辞めて、さっさと風呂で人生やり直して来い。



「んだよ?用が有るなら此処で言えよ。なんで俺が、いちいちテメェん所になんぞ行かなきゃなんねぇんだ。面倒臭ぇ。……オラ、用が有るんなら、サッサと此処で言え」

「えっ?いや、此処では、ちょっと言……」

「聞こえねぇな。俺は、此処で言えっつってんだろ。俺は、職員室に行く気なんぞ更々ねぇんだから、はよ言え」

「でも……」


あぁこの野郎、また泣きそうに成ってやがる。


なんでオマエは、そぉポロポロ涙が出るんだ?


テメェは、涙製造工場の工場長か!!


それによぉ、オマエさぁ、大学出てる大人なんだろ?

大人なんだったら、子供みたいに、なにも考えずピィピィ直ぐに泣くな!!


雛鳥か、駄々っ子かテメェは?


鬱陶しい!!



「泣きな、泣きな。このウルサイのは、俺が職員室まで連れて行ったるさかい。もう泣きなや、千夜ちゃん」

「ほん……と、山中君?」

「ホンマやちゅうねん。ドンと任したらんかい」

「オイオイ、山中。先に言っとくが、俺は、絶対に職員室なんぞには行かねぇぞ」

「オマエはアホか?此処で千夜ちゃんが泣かした方が、職員室に行くより、もっと面倒な事に成るぞ。ホンマに面倒臭い思うんやったら、此処は大人しく折れろ」


うわぁぁあぁぁ~~~!!

その話、もぉ想像しただけで、本当に面倒臭そうだな。


・・・・・・


……もぉしゃあねぇなぁ。

これ以上、面倒になるのは御免だ。

今回だけは、山中の顔を立てて特別、職員室には行ってやるよ。


但し、今回だけだぞ。



「あぁ、もぉ面倒臭ぇなぁ……わぁかったよ、後で行ってやるからピィピィ泣くな」

「ほんと?」

「あぁ、嘘つかねぇから、さっさと職員室に帰れ。鬱陶しい」

「うん」


『うん』って、オマエねぇ……ホント幾つだよ?

そんなんだから、全校生徒に『千夜ちゃん』なんてナメた呼ばれ方すんだよ。


ガキになめられてんじゃねぇよ。


……ちょっとは自覚しろ。



「なんや知らんが、ほな行こか」

「あぁあぁぁぁ~~~、もぉ、死ぬほど面倒臭ぇ~~。アイツに係わると、息をするのも面倒臭くなる」


こうやって、渋々山中に連れられて職員室に向かう。


けどな、島田、これも先に言って置くぞ。

約束した以上、職員質に行くのは結構だがな。

俺は、昨日のオールでベースの練習をしてて疲れて眠い。


だから、あんまり睡眠時間(授業時間)を削ってくれるなよ。


……マジで頼むぞ。

夜にはまた、あの地獄の様な練習があるんだからな。


ホントに頼むぞ!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


素直ちゃんが言いかけた『期末テ……』っと言う言葉に呼応するが如く。

なにやら嶋田先生から『職員室に呼び出しをされる』と言う不穏な空気が流れて来ましたね。


これは一体、何を暗示するのか?

そして、一体、何が起ころうとしているのか?


いやまぁ、普通にあれなんですけどね(笑)


良かったら、その確認をしに来てくださいです。

次回、特大級の困り事が倉津君に投下されますので(*'ω'*)ノ

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