●前回のおさらい●
奈緒さんが去り、一人病室に取り残された眞子だったが。
検診で訪れた看護婦さんに会話をして貰い、少し気が楽に。
そしてその際に、眞子は『ミュージシャンであっても、特別、人に注目されたい訳ではない』という発言をしてしまい……
「えっ?『どうして?』って聞かれてもですね。有名になったからって得れるものなんて、お金と、私に対する世間の認識だけの問題だけですよね。だったら、そんなの、別にどうでも良くないですか?そう言うのに拘っても、身を滅ぼすだけですし」
だと思わない?
だってさぁ。
いつまでも若いままで居られる訳じゃないのにさぁ。
ロートルに成っても、その芸能界って場と、権力に拘りすぎて、ミットモナク、いつまでもその世界にしがみ付くのって、どぉよ?
それがまだ継続的に人気がある人なら良いけど。
以前は『アイドルとして全盛を迎えた事のある人』だったら、そんな姿を見せられたら悲しくない?
昔大人気だったアイドルが、コントや、ゲームで、若手のお笑い芸人の人に良い様に扱われて、見るも無惨な、お笑いのネタにされる。
そりゃあまぁ、生きて行く為には仕方がない事なのかも知れないけどね。
それを見た、昔ファンだった人達って、どう言う心境なんだろうね?
そんなものを見さされて、良い気分で居られるのかなぁ?
だから、私個人の意見としましては。
『アイドル辞めたんなら芸能界去れ』
『全盛期のアイドルやってる内に、調子に乗ってないで、他の事もやっとけ』
『それを怠って、TV画面で無様な姿を晒すな』
『アイドルなら、最後までファンに夢を売れ』
そう言う風に『芸能界は人を狂わせる』『慢心させる』『驕らせる』って言う物だと考えてるから、有名になる事自体に、あんまり興味が無く。
寧ろ、有名になりたいとすら思わない訳だね。
まぁそうは言っても。
以前は『他人に知って欲しい』なんて承認欲求が沢山あったから、今までの私だったら、その人達と同じ道を歩む所だったんだろうけどね。
でも……『本当の認識』って言うのは。
そうやって、他人に与えられたり、作られたりするものじゃなく。
『自然に湧いて来るもの』
それになにより、無差別に誰かに知って貰うより、自分に必要な人にだけ、深い認識を持って貰えれば、それで万事OK!!
ソッチの方が大事だよ……って話。
「へぇ~~~、色んな方が居られるものなんですね。……でも、向井さんって、まだ15歳ですよね。なんか年齢に見合わない、凄く大人びた感じの方なんですね」
「そうですかねぇ?知り合いには、よく子供っぽいって言われるんですけどね」
「えぇ~~~、そんな事ないですよ。私は、今年で23歳なんですが。私が15歳の時なんて、遊び呆けてばっかりいて、そこまで達観してなかったですよ」
『達観』……って。
まぁ多分、そう見えるんなら、他の人より、私の周りの人間が異常なんでしょうね。
これは、私に、その精神が感染した時の副作用みたいなもんですからねね。
ってか、私の周りの人達って、みんな全力疾走し過ぎなんですよね。
「あぁ、でも、看護師さんは、医療の時に冷静な判断をされてるので、それ以外は達観なんかしなくて良いと思いますよ。人生を謳歌しながら、楽しく生きるのが一番大切な事ですからね」
「はぁ……」
あっ、あれ?
この反応をされるって事は……年下のクセに生意気が過ぎましたかね?
立派に成人してる人が、パイナップル頭をしてる様な奴に、そんな偉そうな事を言われたくないよね。
これはまた失礼しました。
「あの、あの、突然、生意気な事を言って、すみません。子供の戯言なんで、気にしないで下さいね」
「あぁ、まぁ、はぁ……」
あぁヤバイ!!
崇秀や、奈緒ネェみたいな事を言っちゃったから、なんか感じちゃったかな?
「あの、あの、こんなのは、本当に大人の世界を知らないだけの生意気な子供の戯言なんで、ホント気にしないで下さいね。気にしたら損ですよ」
「はぁ……髪型だけ見たら子供っぽいですのに、本当にシッカリされてますよね」
ヤッパリなぁ。
髪形は、流石に笑われなかったけど、子供っぽいよね。
「あの……急に、変な事を、お聞きしますけど。この髪型って変ですよね?出来れば、正直に教えて貰って良いですか?」
「あっ、いいえ。可愛らしい髪型ですよ。よく似合ってらっしゃるし」
あっ、あれ?そうなの?
「あり?」
『だ・か・ら、それ、可愛くないから』
あっ、あれ?
なんか今、奈緒ネェの声が、突然聞こえた様な気がしたよ!!
……けど奈緒ネェ、そうやって心の中で勝手に突っ込みを入れないで下さい!!
『最低だな……俺の見てない所で、印象の悪い事すんな』
えっ?えっ?今度は崇秀の声まで?
ってか、死に掛けてるくせに!!心の突っ込みに出てくんな!!
もぉ……最悪だよ!!
そんな事してる暇が有るんだったら、早く帰って来てよ!!
待ってるんだから!!
……って、これは、早くこう成って欲しいと言う私の心の幻聴ですね。
やっぱ、こうやって看護婦さんと話してても、心の中じゃあ2人が居ない事が寂しいんだろうね。
お恥ずかしい(/ω\)
***
……っと、まぁこの後。
看護師さんと、ちょっとの間、話しに付き合って貰って、彼女は仕事に戻って行ったんだけど。
その間に、ほんの少しだけとは言え、その看護師さんとの会話の中で、自分が成長をしている事を気付かせて貰えた。
……っで、なんとなくでも上手く行ってるなら、此処で『凹んでる場合じゃないな』って思い。
明日からリハビリを開始したいから、早々に寝た。
……でも、当然の様に、崇秀の事が頭から離れないので。
寝てる間も、ズッと悪夢の様なものに魘されて、何度も何度も目が覚める。
でもね。
此処で必死に思い込んだんだけど。
口惜しいけど崇秀の件は、どう足掻こうが、今の私には、なにも出来無い。
ホント、待つしかないって、何度も心に念じて、目が覚める度に、無理矢理、何度も眠りに付いた。
***
……そんな訳でして。
あの衝撃の日から、2週間の入院生活が経過。
昏睡状態から戻った次の日からは、無茶を承知で先生に頼み込んで、リハビリを強制的に開始して貰ったんだけどね。
この日を境に、思い通りに動かない地獄の様な日々を味わう。
……の筈だったんだけどもぉ。
でも『真実は小説よりも奇なり』なんて言う言葉が有る様に、実際は、地獄の様なリハビリ生活なんかなく。
担当のお医者さんが驚く程のリカバリー力で、私のリハビリは順調を極め。
たった一週間で、完全に元通りなぐらい、手足が自由に動く様な有様だったんだよね。
その時は流石に、自分の体の馬鹿げた回復力にドン引いた。
本気で、真上さん同様の『DG細胞』が、体内に内蔵されてるんじゃないかとさえ疑った程。
兎に角、それ程、順調を極めた。
……っとまぁ、そんなこんなの、日常の様な、非日常の様な、訳の解らない毎日を2週間送り。
本日10月4日の日曜日をもちまして、1ヵ月半もお世話になった病院を、めでたく退院いたしました。
……っで、まぁ退院の際に。
ちょっと期待してたんだけど、流石に、崇秀が来てくれる事はなく。
奈緒ネェが仕事の合間を縫って病院に迎えに来てくれて……その足で、イキナリ退院直後だと言うのに、シアトルの空港まで連れて行かれ。
反論する暇もなく、飛行機に押し込まれ『日本に強制送還』されました。
その上、飛行機に乗る間際には『明日からは休まずに学校に行け』っと言う、人の言葉とは思えない様な、鬼の様な言葉で釘まで差された始末。
いや……ハッキリ言えば鬼ですね。
鬼ババァですね。
でもまぁ、そうは言っても、それぐらいやっても当たり前と言えば、当たり前の事なんだよね。
、いつまでも学校をサボってたって、なんの意味もないし。
早々に崇秀を迎える準備をしなきゃいけないんだから、自分の気を張る為にも、ここは甘えちゃイケナイ。
付け加えて、昏睡してた1ヵ月分の勉強も、早々に取り戻さなきゃイケナイからね。
だから、遊んでる暇なんか微塵もない。
まぁ、そんな訳で、一生懸命頑張るから、崇秀も早く元気な姿を見せてね♪
なにも疑わずに待ってるよ♪
こう言う【崇秀を迎える準備】や【彼を疑わない】事こそが、今の私が掲げた『新しい目標』なんだから。
***
―――次回予告。
……奴が帰って来る。
なんの前触れもなく、奴が帰って来る。
突然の再会に、私は、自分の動揺を隠せないまま、ただ……彼を見詰るしかなかった。
そして、初めてこの目で、彼の姿を確かめて、ただ驚くばかりだった……
……次回。
『The man who came back』
「帰って来た男」
……そう言う風にきますか。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて第一章・第四十八話【A certain woman's consciousness(ある女の決断)】はお仕舞なのですが、如何だったでしょうか?
この決意と共に、眞子はこれからの一生を女性と生きて行く訳なのですが。
それで全ての問題が解決した訳ではありませんので、これからも色々な難問に立ち向かって行かなければなりません。
そぉ、その中でも特に大きな問題として……ずっと、その存在が不在に成っている人物の大問題が残っていますからね。
って事で、次回から始まる。
第一章・第四十九話『The man who came back(帰って来た男)』では、とうとう、その問題児の話に取り組んでいきたいと思います。
果たして彼の不在は、如何なる影響があったのか?
そこを気にして頂けましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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