最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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第六話 不良と向井さん

028 不良さん、あれから2週間過ごす

公開日時: 2021年3月5日(金) 20:34
更新日時: 2022年11月5日(土) 22:31
文字数:2,050

はい、とうとう6話を開始する事が出来ました(*'ω'*)


ここだけの話、此処からが【不良さんの更生話】の本編だったりします(笑)

 一般的に言っても、2週間と言う期間は短くも有り、また長くも感じさせる事がある。

特に学生であれば、楽しい時間と、苦しい時間の共有量が多いから、こう言う時間の長さは、まばらに感じるもんだ。


……っで、だな。

そんな俺が、今なにが言いたいかと言うとだな。


今回過ごした、この二週間と言う時間が、なんとも微妙な長さを感じる期間だったんだよ。


って言うのもな。

そんな風に感じる原因となったのは、崇秀から手渡された、俺用の封筒が原因。


あのゴチャゴチャした一日の帰り間際に、何気に渡された、あの例の封筒。

これを開けてビックリしたん。

あの中には……『運指運動2~4』なる練習法が数枚に渡って、ビッシリ書き込まれていたんだよな。


内容を簡単に書くと、こんな感じだ。


―PartⅡ


向井さんに教えてもらった『運指運動』の逆バージョン。

人差し指から始めるのではなく、小指から順に人差し指までフレットを抑えていく練習。


―PartⅢ


PartⅠとPartⅡの複合。

①最初に1フレットから人差し指・中指・薬指・小指っと言う風に順を追ってフレットを抑えていき。

②今度は5フレットから小指・薬指・中指・人差し指っと言う風に逆に抑えていく。

これを交互に繰り返し、最終フレットまで持っていく。


―PartⅣ


PartⅢに縦を加えたバージョン。

①を1弦目(1~4フレット)

②を2弦目(5~2フレット)

①を3弦目(3~6フレット)

②を4弦目(7~4フレット)

っと言う具合に弦を下にしながら、フレットをドンドン下げていく。


これを再び、この二週間、繰り返し反復練習する訳なんだが……


崇秀の課題は中々にして難しい。


勿論、難しいとは言っても。

今まで向井さんに教えて貰ったベースの基本動作を、時間のある限り練習してきていたのでPartⅡ・PartⅢまでは、そこまで難しい物ではなく。

これ自体は、そこそこ早く完成に至る事は可能だったんだがな。


そこからが問題。

問題なのはPartⅣの弦移動。

これが俺をかなり苦しめる事に成る、かなり厄介な課題だったんだよ。


基本が出来てる割に、最初から上手く行かず、全く関係ない弦を押さえまくり。

それに伴う様に、押さえるフレットすら狂いだす始末。


これには混乱を極めた。


大体、これが『出来た』ってレベルになるまで、既に1週間を要していた(自己判断)。


んでだな。

少しは上達したと思い込んだ俺は、ここで漸く重い腰を上げ。

向井さんに、ライブのお誘いの連絡しようと思った訳なんだが。


……そうは上手く行かない。


そんな矢先、突然、崇秀が、何かを嗅ぎ付けた様に我が家に来訪して来やがって。

それで俺の部屋にズカズカ入り込んで来たと思ったら、なんの前触れも無く、奴は、こんな事を言って来やがったんだよ。



「オマエさぁ。自分の音って、録音して聞いた事有るか?」


……って言いやがるんだよな。


勿論、この意味の解らない俺にとっては、非常に奇妙奇天烈な問い掛けだったんだが。

取り敢えず、そんな事は一切気にせず『ない』っと断言。


そうしたら、いつもの、あの嫌らしい笑みを浮かべたと思ったら、更に、こんな事を言ってきやがった。



「そっか……じゃあ、試しに一回だけでも良いから録音して自分の音を聞いてみ。それだけでレベルが上がるぞ」


……っと。

なにやらレベル・アップを仄めかす甘い言葉を言い残すと。

俺のベースをチューニングした後、用事が有るとか抜かしやがって、奴は俺の実家からアッサリ去って行く。


そうやって、簡単に奴の甘い言葉に乗った俺は、早速、言われた通り『録音』を開始してみる。


するとだ……するとなんだよ。

今まで、自分では、そこそこに上手く出来ていると思っていた運指運動の正体が、此処で明らかになった。


それが何かって言うとだな。

ただ只管耳障りな、途轍もなく酷い音が、スピーカーから流れ出して来やがったんだよ。


これには、流石の俺もビックリだ。

思っていた以上に、酷い出来……心底情けなくなったが、俺の心は、そう簡単には折れない。

向井さんに練習の成果を見て貰うと決心したんだから、こんな程度の事で心が折れてる場合じゃないからな。


なので此処で、再び、懲りずに練習を再開する。

何度もベースを鳴らしながら音を録音し、確認でその音を聞き、嫌と言う程この行為を何度も繰り返す。


この時点で、上手く音が出ない事に、少々ノイローゼになり気味になり。

この日以来、殆ど眠れれない日が続いた。


こうなったら、もう病気だ。


だが、体に鞭打ってまでした練習のは無駄ではなかった。

3日間、ほぼ不眠不休で行った練習は、自分の中でも何とかギリギリ……ほんとギリギリ・セーフのレベルにはなってくれいた。

(↑矢張り、自己判断)


『これで、やっと向井さんに顔向け出来る……やっと逢える』っと思ったのも束の間。

なんとも間抜けな事に、此処で俺は、彼女の連絡先を知らない事に気付く。


慌ててみたものの【良い策は1つ】しか出てこなかった。

(山中や崇秀や樫田に相談するのは無しだ。確実にからかわれるからな)



故に俺は、今、それを実行している。


はい、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました<(_ _)>


漸く6話から、彼の更生話が始まる訳なのですが……

じゃあ今までの5話までは、なんだったのか?っと疑問に思われる方も居られると思うのですが。


実は5話までは、此処に至るまでの【彼の普段の生活を知ってもらう為】に描いてたに過ぎないんですよね(笑)


まぁなんと言いますか。

比較的真面目に生きてこられた皆様には『本当の不良って、どういう心境でいるのか解りにくいかも知れないなぁ』なんて思いまして、こんな長々と27日も掛けて、彼の人となりを書いてしまった訳なんですよ(笑)


なので、トンデモナク【人に受けない作品】に成ってるとは思いますが。

今後も、このロクデモナイ不良さんの更生日誌にお付き合い頂けると、ありがたく思います。


どうぞ、よろしくお願いします<(_ _)>


【オマケ話】

第一話で、最悪なカツアゲをした不良さんですが。

その悪事の報いはキッチリと受ける事に成りますので、その辺もお楽しみにして下さると嬉しいです(笑)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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