最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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412 クラ……君って萌えキャラなんじゃない?

公開日時: 2022年3月25日(金) 00:21
更新日時: 2022年12月29日(木) 20:59
文字数:3,006

●前回のおさらい●


 キスの問題を奈緒さんに自白した所。

奈緒さんは怒る様すら見せずに、倉津君を許してしまう。


この行動に、倉津君は困惑するのみだった(笑)

「ちょ、奈緒さん!!ひょっとして、本当は怒っ……」

『怒ってないよ』

「うぅ……その様子じゃ、本当に怒ってないんッスね。でも、なんで?」

『こらこら、またそこに逆戻りする気?電話代だって無料じゃないんだから、もぅちょっと効率良く話したら?』

「いや、電話代なんか、どうでも良いッスよ。俺は、奈緒さんの事が、もっともっと知りたいッス。もっと話してたいッス」

『ふふっ、君は、本当に面白いね。もぉ君って奴は……世間で言う『萌キャラ』って奴なんだね』


『Σ(゚д゚lll)が~~~~~ん!!』

今の言葉は、ショックのあまり心肺が停止しそうになったぞ!!


だってよぉ。

俺って、誰もが先刻承知なんだが……

ヤクザの組長の息子で、喧嘩に明け暮れる毎日を送り。

様々な学校に殴り込んだりして、様々な恐れられる伝説を残してる様な、世間じゃ、結構、悪名高い不良なんだぞ。


それを、言うに事欠いて『萌キャラ』呼ばわりですか……


悲し過ぎますよ、奈緒さ~~~ん!!



「奈緒さ~~~ん。幾らなんでも、そりゃあないッスよ」

『だって、しょうがないじゃない。君は、私と出逢った時から、ズッと可愛いままなんだもん』


……酷いッス、残酷ッス!!



「けど、幾らなんでも『萌キャラ』はないッスよ。……第一ッスね。俺なんかをモチーフにしたって、誰も買わないッスよ」

『そぉかなぁ。結構、売れ線だと思うよ。……あぁ、でも、あれだよ。『誰も買わない』って言うんなら、私が全~~部、纏めて買ってあげるから心配しないで。それなら『萌キャラ』でも文句ないでしょ』

「・・・・・・」


これ……なんて答えたら良いんだ?


ってか、答え様が有るのか?



『ふふっ。困ってやんの』


うわっ!!この様子じゃあ、奈緒さん、俺を、からかう為だけに100%わざと言ってるな。


なんなんだろな。

このやられた感や、この口惜しさは?


少し腹が立つから、今度『奈緒さんのフィギュア』を手作りで作って持って行ってやる。

しかも、眼を覆いたくなる様なフリルをふんだんに使った様なデザインで『フリフリの衣装』の奴で作って、奈緒さんの部屋に飾っといてやる。


憶えとけよ。


・・・・・・


……って、イカンイカン!!

完全に、奈緒さんのペースに嵌められてるじゃないかよ!!

俺は、奈緒さんに謝罪しなきゃイケナイ身分の人間なのに、なに復讐とか誓ってんだよ!!


なに考えてんだよ俺?


厚かましいにも程があるわ!!



「奈緒さん、ホント、ごめんッス」

『ちぇ、もぉバレちゃったか』


やっぱりな。

奈緒さんって、ホント、こう言う人なんだよな。


結局、許す処か、いつも馬鹿な事をする俺に、こうやって上手く気遣いをしてくれる。

本当に優しい人なんだよな。


こう言うのって、真上さんの『それ』とソックリだな。


まぁ、真上さんの様にストレートな表現とは違って、奈緒さんのやり方は、少々意地の悪い部分が含まれるがな。


そこが奈緒さんの個性で有り、また最高なんだよな。



『ねぇねぇ、クラ』

「あぁ、はい、なっ、なっ、なんッスかね?」

『今から、ソッチ行って良い?』

「えっ?いや、俺は一向に構わないッスけど。……なんでまた急に?」

『話してたらね。無性に逢いたくなっちゃった。クラの顔が見たい♪』


はあぁぁぁ~~~~、このタイミングで、そんな事を言っちゃいますか?


ダメっすよぉ、そんな事を言っちゃあ。

俺が、もっともっと『奈緒さんと言う深み』に嵌っちゃうだけじゃないッスか。


あぁ~~~あっ……ダメだダメだ。

やっぱ俺は、この人の掌で猿の様に踊り続けるか、座椅子の様に尻に敷かれるかしか、選択権が用意されてないらしい。


でも、それが心地良く感じるんだから、俺って、どうしようにも無い人間だよな。


俺……ある意味、人として終わちゃってるかも……


元から終わってたけど……



「あぁ、じゃあ、来て貰うのは悪いんで。俺が、今からソッチに向かいますよ」

『ヤダ……ってかね。もぉ上星川の駅に着いてたりして。嬉しい?』

「いや『嬉しい』じゃなくってッスね。自覚!!自覚!!」

『なんのよ?』

「芸能人としての自覚ッスよ。大体ッスね。未成年女の子が、こんな時間にウロウロするだけでも問題なのに、奈緒さん芸能人なんッスよ。もっと自覚持ちましょうよ」

『ヤダ。イラナイ。持たない』

「持って。お願い。頼むから」

『ぶぅ、君は、我儘小僧だなぁ』


これでも、俺だって心配してるんッスから。

……偶には言う事を聞いて、聞いて下さいよ。


頼みますから……



「あぁ、じゃあ、我儘小僧で良いんで、言う事を聞いて下さい」

『浮気したくせに、偉そうに我儘言うんだぁ。ホント、我儘だね君って』

「ぐっ!!」


グハッ!!

流石、奈緒さん、この辺りの言い回しは天下一品だ。


俺が、今触れられて、一番痛い所を見事に付いてくる。

その急所を突かれると、なにも反論出来無い事も承知の上でだ。


いやまぁ、今回は俺が原因で謝ってる話だから、元から我儘なんて言える立場じゃないけどな。



『ハイ……って事で、ダメエェェ』

「奈緒さ~~~ん」

『なによ?』

「なんで、今回に限って、そんな無理してまで、コッチに来たがるんッスか?」

『えっ?解らないの?そんなの決まってるじゃない』

「なっ、なんッスか?」

『君が、私を待ってる間、どんな顔をして待ってるのか見たいから』

「げっ!!」


サドか!!


……サドだな。



『ふふっ、嘘、嘘。冗談だよ』

「最悪ッスよ。一瞬、本気かと思いましたよ」

『ふ~ん。そうなんだ。君、私の事を、そう言う風に見てたんだ』

「見てないッス。見てないッス」

『虐めちゃうぞ』


あぁ……悪くないかも。

元々奈緒さんって、少々(?)そっちの気が有る人だから、上手くリードしてくれそうだし、俺自身、全く興味が無くもないんだよな。


……って、イカンイカン!!

流石に、これバッカリはイカンだろ。

翌々考えたら、俺には、まだ未知の領域過ぎて、この展開が、どう言う結末を迎えるのかすら想像出来ん。


それに……相手が奈緒さんだと、少し嵌りそうな気がしないでもないしな。


これはマズイ!!


イカンよ俺。



「あの、辞めて下さい……マジで」

『ちぇ、クラって、虐め甲斐が有りそうなのにな』

「虐めんで良いです」

『あっそ』


あっ、あれ?

なんか、こうもアッサリ引き下がられると、損した気分になるな。


いやいやいやいや、だから、そうじゃなくて!!

今、俺、奈緒さんと逢った時に、キッチリと謝罪しようとしてた事すら忘れてたぞ。


ダメだ、ダメだ、また知らぬ間に、奈緒さん特有のペースに引っ張られちまってるよ。

こんな単純に引っ張られてしまう自分の馬鹿さ加減には、ホトホト呆れる。


でも気付いた以上、早急に話を修正しないとな。



「あっ、あの、奈緒さん」

『うん?なに?』

「やっぱ、今から俺がソッチに行くんで、奈緒さんは家で待ってて下さいよ」

『無理。……だって、もぅ直ぐ横浜に着くんだも~ん』


ギャ!!なんて行動の早い人なんだ。

それに、なんで、そんなに電車運が良いですかアナタは?


時間が全然経ってないのに、もう横浜に着くとか有り得ないんッスけど……


ダメだ、この人は、素直とは真逆で『強運』の持ち主だ。

特に俺を庇おうとする時の奈緒さんの運はハンパじゃない。


この人には勝てねぇ……


俺の一生掛けても、まったく勝てる気すらしねぇ……



「ちょ!!」


『ピィ~ピィ~ピィ~……』


俺が、奈緒さんに反論しようとした瞬間、奈緒さんの携帯から一番聞きたくもない嫌な音が流れた。


オイオイ、これって……


まさか、この危機的な状態で……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


不良としての威厳は、どこへやら。

とうとう倉津君、奈緒さんの中では萌えキャラ扱いにされてしまいましたね。


まぁ、素の部分だけを見れば、確かに『ただの萌えキャラ』なんですけどね(笑)


そして、そんな訳の解らない会話の中。

奈緒さんの携帯電話から響き渡る『嫌な音』


次回、この嫌な音が、倉津君に更なる試練を与える事に!!


その内容が気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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