●前回のおさらい●
キスの問題を奈緒さんに自白した所。
奈緒さんは怒る様すら見せずに、倉津君を許してしまう。
この行動に、倉津君は困惑するのみだった(笑)
「ちょ、奈緒さん!!ひょっとして、本当は怒っ……」
『怒ってないよ』
「うぅ……その様子じゃ、本当に怒ってないんッスね。でも、なんで?」
『こらこら、またそこに逆戻りする気?電話代だって無料じゃないんだから、もぅちょっと効率良く話したら?』
「いや、電話代なんか、どうでも良いッスよ。俺は、奈緒さんの事が、もっともっと知りたいッス。もっと話してたいッス」
『ふふっ、君は、本当に面白いね。もぉ君って奴は……世間で言う『萌キャラ』って奴なんだね』
『Σ(゚д゚lll)が~~~~~ん!!』
今の言葉は、ショックのあまり心肺が停止しそうになったぞ!!
だってよぉ。
俺って、誰もが先刻承知なんだが……
ヤクザの組長の息子で、喧嘩に明け暮れる毎日を送り。
様々な学校に殴り込んだりして、様々な恐れられる伝説を残してる様な、世間じゃ、結構、悪名高い不良なんだぞ。
それを、言うに事欠いて『萌キャラ』呼ばわりですか……
悲し過ぎますよ、奈緒さ~~~ん!!
「奈緒さ~~~ん。幾らなんでも、そりゃあないッスよ」
『だって、しょうがないじゃない。君は、私と出逢った時から、ズッと可愛いままなんだもん』
……酷いッス、残酷ッス!!
「けど、幾らなんでも『萌キャラ』はないッスよ。……第一ッスね。俺なんかをモチーフにしたって、誰も買わないッスよ」
『そぉかなぁ。結構、売れ線だと思うよ。……あぁ、でも、あれだよ。『誰も買わない』って言うんなら、私が全~~部、纏めて買ってあげるから心配しないで。それなら『萌キャラ』でも文句ないでしょ』
「・・・・・・」
これ……なんて答えたら良いんだ?
ってか、答え様が有るのか?
『ふふっ。困ってやんの』
うわっ!!この様子じゃあ、奈緒さん、俺を、からかう為だけに100%わざと言ってるな。
なんなんだろな。
このやられた感や、この口惜しさは?
少し腹が立つから、今度『奈緒さんのフィギュア』を手作りで作って持って行ってやる。
しかも、眼を覆いたくなる様なフリルをふんだんに使った様なデザインで『フリフリの衣装』の奴で作って、奈緒さんの部屋に飾っといてやる。
憶えとけよ。
・・・・・・
……って、イカンイカン!!
完全に、奈緒さんのペースに嵌められてるじゃないかよ!!
俺は、奈緒さんに謝罪しなきゃイケナイ身分の人間なのに、なに復讐とか誓ってんだよ!!
なに考えてんだよ俺?
厚かましいにも程があるわ!!
「奈緒さん、ホント、ごめんッス」
『ちぇ、もぉバレちゃったか』
やっぱりな。
奈緒さんって、ホント、こう言う人なんだよな。
結局、許す処か、いつも馬鹿な事をする俺に、こうやって上手く気遣いをしてくれる。
本当に優しい人なんだよな。
こう言うのって、真上さんの『それ』とソックリだな。
まぁ、真上さんの様にストレートな表現とは違って、奈緒さんのやり方は、少々意地の悪い部分が含まれるがな。
そこが奈緒さんの個性で有り、また最高なんだよな。
『ねぇねぇ、クラ』
「あぁ、はい、なっ、なっ、なんッスかね?」
『今から、ソッチ行って良い?』
「えっ?いや、俺は一向に構わないッスけど。……なんでまた急に?」
『話してたらね。無性に逢いたくなっちゃった。クラの顔が見たい♪』
はあぁぁぁ~~~~、このタイミングで、そんな事を言っちゃいますか?
ダメっすよぉ、そんな事を言っちゃあ。
俺が、もっともっと『奈緒さんと言う深み』に嵌っちゃうだけじゃないッスか。
あぁ~~~あっ……ダメだダメだ。
やっぱ俺は、この人の掌で猿の様に踊り続けるか、座椅子の様に尻に敷かれるかしか、選択権が用意されてないらしい。
でも、それが心地良く感じるんだから、俺って、どうしようにも無い人間だよな。
俺……ある意味、人として終わちゃってるかも……
元から終わってたけど……
「あぁ、じゃあ、来て貰うのは悪いんで。俺が、今からソッチに向かいますよ」
『ヤダ……ってかね。もぉ上星川の駅に着いてたりして。嬉しい?』
「いや『嬉しい』じゃなくってッスね。自覚!!自覚!!」
『なんのよ?』
「芸能人としての自覚ッスよ。大体ッスね。未成年女の子が、こんな時間にウロウロするだけでも問題なのに、奈緒さん芸能人なんッスよ。もっと自覚持ちましょうよ」
『ヤダ。イラナイ。持たない』
「持って。お願い。頼むから」
『ぶぅ、君は、我儘小僧だなぁ』
これでも、俺だって心配してるんッスから。
……偶には言う事を聞いて、聞いて下さいよ。
頼みますから……
「あぁ、じゃあ、我儘小僧で良いんで、言う事を聞いて下さい」
『浮気したくせに、偉そうに我儘言うんだぁ。ホント、我儘だね君って』
「ぐっ!!」
グハッ!!
流石、奈緒さん、この辺りの言い回しは天下一品だ。
俺が、今触れられて、一番痛い所を見事に付いてくる。
その急所を突かれると、なにも反論出来無い事も承知の上でだ。
いやまぁ、今回は俺が原因で謝ってる話だから、元から我儘なんて言える立場じゃないけどな。
『ハイ……って事で、ダメエェェ』
「奈緒さ~~~ん」
『なによ?』
「なんで、今回に限って、そんな無理してまで、コッチに来たがるんッスか?」
『えっ?解らないの?そんなの決まってるじゃない』
「なっ、なんッスか?」
『君が、私を待ってる間、どんな顔をして待ってるのか見たいから』
「げっ!!」
サドか!!
……サドだな。
『ふふっ、嘘、嘘。冗談だよ』
「最悪ッスよ。一瞬、本気かと思いましたよ」
『ふ~ん。そうなんだ。君、私の事を、そう言う風に見てたんだ』
「見てないッス。見てないッス」
『虐めちゃうぞ』
あぁ……悪くないかも。
元々奈緒さんって、少々(?)そっちの気が有る人だから、上手くリードしてくれそうだし、俺自身、全く興味が無くもないんだよな。
……って、イカンイカン!!
流石に、これバッカリはイカンだろ。
翌々考えたら、俺には、まだ未知の領域過ぎて、この展開が、どう言う結末を迎えるのかすら想像出来ん。
それに……相手が奈緒さんだと、少し嵌りそうな気がしないでもないしな。
これはマズイ!!
イカンよ俺。
「あの、辞めて下さい……マジで」
『ちぇ、クラって、虐め甲斐が有りそうなのにな』
「虐めんで良いです」
『あっそ』
あっ、あれ?
なんか、こうもアッサリ引き下がられると、損した気分になるな。
いやいやいやいや、だから、そうじゃなくて!!
今、俺、奈緒さんと逢った時に、キッチリと謝罪しようとしてた事すら忘れてたぞ。
ダメだ、ダメだ、また知らぬ間に、奈緒さん特有のペースに引っ張られちまってるよ。
こんな単純に引っ張られてしまう自分の馬鹿さ加減には、ホトホト呆れる。
でも気付いた以上、早急に話を修正しないとな。
「あっ、あの、奈緒さん」
『うん?なに?』
「やっぱ、今から俺がソッチに行くんで、奈緒さんは家で待ってて下さいよ」
『無理。……だって、もぅ直ぐ横浜に着くんだも~ん』
ギャ!!なんて行動の早い人なんだ。
それに、なんで、そんなに電車運が良いですかアナタは?
時間が全然経ってないのに、もう横浜に着くとか有り得ないんッスけど……
ダメだ、この人は、素直とは真逆で『強運』の持ち主だ。
特に俺を庇おうとする時の奈緒さんの運はハンパじゃない。
この人には勝てねぇ……
俺の一生掛けても、まったく勝てる気すらしねぇ……
「ちょ!!」
『ピィ~ピィ~ピィ~……』
俺が、奈緒さんに反論しようとした瞬間、奈緒さんの携帯から一番聞きたくもない嫌な音が流れた。
オイオイ、これって……
まさか、この危機的な状態で……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
不良としての威厳は、どこへやら。
とうとう倉津君、奈緒さんの中では萌えキャラ扱いにされてしまいましたね。
まぁ、素の部分だけを見れば、確かに『ただの萌えキャラ』なんですけどね(笑)
そして、そんな訳の解らない会話の中。
奈緒さんの携帯電話から響き渡る『嫌な音』
次回、この嫌な音が、倉津君に更なる試練を与える事に!!
その内容が気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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