第一章・第三十七話【Mako's selection】が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
037【Mako's selection】
『あの、どなたか、私を指名してくれませんか?全力で頑張りますんで、お願いします』
あっ……あぁ、あの~~~。
今言った言葉は、単なるライブが始まる前の神様への祈り。
私の我欲に塗れた『願望』を現したものです。
別に大きな他意はないんですけども『そうあって欲しいなぁ』とか思ってる訳です。
ですので、実際の所は、まだライブ自体が始まるまで時間がたっぷりありますし、まだまだ、そんな風に焦る様な時間でもないんですよね。
こんな風に、無駄な、お祈りをしてる時間があるぐらいですから。
……って言いましても。
今の処、幾ら、各地各州で、色々可愛がって貰ったとは言え、このライブで指名を貰えるか、どうかの瀬戸際。
いや、それ処か、確定している指名すら1つとしてない状態でして……
故にですね。
余計な不安で心が一杯になって『心の逃避行』でもしてないと、全く落ち着かない訳なんですよ。
まるで、指名の取れない『キャバ嬢』の気分です。
そんで、意外と、自分の肝の小ささに驚きです。
まぁまぁ、そうは言いましても。
実際の所、ライブでの指名を貰える確率なんて『相当低い』んですよね。
多分……ほぼ0に等しい。
前回の最後に言った通り、このライブ自体が、以前に横浜の『Live-oN』で崇秀がやった『人身売買ライブ』(第一部9話~20話)のバージョンアップ版。
しかも、此処に集まって来られる、大半のGUILDメンバーの皆さんは、既に、何処かのバンドに所属されている、若しくは、そのバンドのリーダーの方ばかり。
なので、この様な『音楽関係者』が多く集まり『メジャーへの道が開ける』可能性が高いこのライブで、私を指名する意味は、余りにも稀薄。
真剣に音楽に取り組んでおられる方ばかりだからこそ、そんな馬鹿げた遊び心を持ってる方なんて……早々居ないと思うんだよね。
だからね。
事実だけを突き詰めれば、ライブステージに上がれる権利を得られる『抽選』に当たるしかないのよ。
若しくは、ベースが居ないバンドの方が、なにかの気まぐれを起こして、私を指名してくれる以外、今日のステージに上がれる道はなさそうな感じなのですよ。
……なんとも険しい道のり。
気が遠くなりそうだ……
***
まぁ、そんな中でですねぇ。
まだ会場には、誰も来ていない状態なんで、1人ぼっちで『ポツン』っとライブハウスに居る訳なんですが。
今更ながら『あの【B・B・C】で演奏出来るチャンスが巡って来るなんて、夢に思わなかったなぁ』なんて感慨に浸ってたりします。
だって私ね。
正直言えば、基本的な部分では『奈緒さんと演奏する事だけ』を、常に目標に掲げていたでしょ。
だから、こう言う有名スポットの事は知ってても、あまり日本から出てまで演奏をする気にはなれかったのよね。
それになにより、崇秀の様に、世界中のどこで演奏しても恥ずかしく無い様な『演奏技術』も持っていない。
こんな風に、なにも持たない私だからこそ、いつも我武者羅に、ただ必至に演奏してきただけに過ぎ無い。
そんな私が、アメリカで、こんなチャンスに恵まれ。
全米ツアー最後の最後で『B・B・C』で演奏出来る可能性が有るとは、ホント……私って幸せ者だね♪
そんな風に『B・B・C』のカウンターで、生のオレンジジュースを飲みながら、少し感慨に耽っていると……
誰かが、漸く、このライブハウスを訪れて来た様だ。
「よぉ……やけに早いな、眞子」
やっぱりな。
こんなに早い時間から来るのは、崇秀だと思ったよ。
「あっ、あはよう、崇秀。今日も早いね」
「バカタレ。主催者の俺がアメリカに居るのに、一番乗りしなくて、どうするよ?」
「ふふっ、でも、今日は二番乗りだけどね」
「まぁな。折角一番乗りで気分良く居ようと思ったのによ。遅刻が多かったオマエが一番乗りとはね。……ホントまいったね」
……ざまあみろ。
それに崇秀なら、早い時間に来る事が解ってたからこそ、実は早く来たんだけどね。
本音を言えばさぁ。
ホテルの中に居ても、一秒でも早く崇秀に逢いたくて、居ても、立っても、居られなかったんだよね。
ふふっ……なにやってんだろ。
こんな気持ち、絶対、崇秀にはバレたくないんだけどね。
その反面、気付いて欲しくもあったりする。
もぉ……なんだかなぁ。
「ふふ~ん。崇秀」
「なんだよ?」
「言って置くけどね。私、アメリカでのライブでは、大体ライブハウスには一番乗りしてたんだよ。……なめて貰っちゃ困るな」
「ほぉ……それはそれは、どう言う心境の変化だ?」
「うん?うんとね。ライブハウスに早く来るとね。なんか『ドキドキ』してられる時間が多く感じてられるから。それを少しでも多く、人より堪能したかったんだよね」
……っとか言いながら。
今日はいつもより、かなり早い時間に来たんだけどね。
早過ぎて、誰も居なかったってオチなんだけどね。
「なるほどねぇ。そいつは良いや。それに、今日は、やけに綺麗じゃねぇか。気合入ってんな」
「まぁね。折角の全米ツアーのラスト・ライブなんだから、みんなには綺麗に見て貰いたいしね。それになにより、今まで一緒にやって貰った皆さんに逢えるのが、凄く楽しみでね。……滅茶苦茶早起きして、気合入れちゃったんだぁ」
「そっか。……眞子は、本当に人間的に成長したな」
「ははっ……そうかなぁ?」
そっか……崇秀から見ても、私も少しは成長してるみたい。
そっか、そっか。
なんか、いつもの事だけど、面と向かって言われのは、凄く照れるね。
「よぉ、眞子。んな事よりよぉ。……今ならステージには誰も居ないぜ。スッカラカンに開いてるぜ。どうするよ?」
「ふふっ、言うと思ったよ。私なら、いつでも準備万端だよ。……って言うかね。その言葉を、ずっと待ってたんだけどね」
「ほぉ……言ってくれるねぇ。それって、アメリカツアーをこなして来た自信か?」
「うぅん、そんなんじゃない。全然違うよ」
「じゃあ、なんなんだ?俺と弾きたかったのか?」
「よく解ってらっしゃる。私ね、どうしても崇秀とだけは一緒に演奏して置きたかったんだぁ。だから、この時間から待ってたんだよね」
「ふ~~ん。そっか。……けどよぉ、そんなに期待されても、俺はあれから、そんなに変わってねぇぞ」
またぁ……
常に進化する生き物の崇秀に限ってだけは、そんな訳ないじゃん。
どうせ、研究の合間を縫って、新しいギターテクも色々と開発してたんでしょ。
……って言うか、この期に及んで『新技』とか有ったりしてね。
「嘘吐き。……どうせ、毎日のギターの練習は欠かしてないんだろうし、新しい技も出来てるんでしょ」
「ほぉ、中々良い読みでいらっしゃる。大したもんだな」
ヤッパリあるんだ……
前回の奈緒さんのライブの時みたいな、酷い目に合う奴じゃない事を、心から祈るよ。
あれは……キツイからね。
「まぁまぁ、崇秀とはさ、本当に付き合いが長いんなんだからさ。それぐらい気付いてあげられないと『親友』って言って貰うには恥ずかしいでしょ」
「そっか、そっか。……んじゃま、此処で話をしててもしょうがねぇな。2人で先に、GUILDツアーのラストライブを始めちゃうか?」
「うんうん。そうだね♪やろやろ♪」
これで、今回のツアーで遣り残した事は、本当の意味で無くなるのかもね。
勿論、ライブ本番でもステージに上がって、少しでも崇秀に『恩返し』をしたいとは思ってるんだけど。
ナンダカンダ言っても、私……多分、崇秀と一緒に、ステージで演奏したかっただけなのかも知れない。
ははっ……
偉そうな事を言ってたのに……なんだかなぁ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
全米45箇所ライブもいよいよ最終日。
そんな中、崇秀と眞子は、ライブの開催時間を無視して2人だけで演奏を始めたみたいですね(笑)
まぁ、この辺に関しては崇秀が、眞子の心理状況を読んでいたからこそ、こんな風に開始する事に成った訳なのですが。
一体、どんなコンセプトの元で、この演奏放されて行くのでしょうか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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