最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第一章・第三十七話 Mako's selection

719 B・B・C一番乗りする理由

公開日時: 2023年1月26日(木) 19:52
文字数:3,059

 第一章・第三十七話【Mako's selection】が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

 037【Mako's selection】


 『あの、どなたか、私を指名してくれませんか?全力で頑張りますんで、お願いします』


 あっ……あぁ、あの~~~。

今言った言葉は、単なるライブが始まる前の神様への祈り。


私の我欲に塗れた『願望』を現したものです。

別に大きな他意はないんですけども『そうあって欲しいなぁ』とか思ってる訳です。


ですので、実際の所は、まだライブ自体が始まるまで時間がたっぷりありますし、まだまだ、そんな風に焦る様な時間でもないんですよね。


こんな風に、無駄な、お祈りをしてる時間があるぐらいですから。


……って言いましても。

今の処、幾ら、各地各州で、色々可愛がって貰ったとは言え、このライブで指名を貰えるか、どうかの瀬戸際。

いや、それ処か、確定している指名すら1つとしてない状態でして……


故にですね。

余計な不安で心が一杯になって『心の逃避行』でもしてないと、全く落ち着かない訳なんですよ。


まるで、指名の取れない『キャバ嬢』の気分です。


そんで、意外と、自分の肝の小ささに驚きです。


まぁまぁ、そうは言いましても。

実際の所、ライブでの指名を貰える確率なんて『相当低い』んですよね。


多分……ほぼ0に等しい。


前回の最後に言った通り、このライブ自体が、以前に横浜の『Live-oN』で崇秀がやった『人身売買ライブ』(第一部9話~20話)のバージョンアップ版。

しかも、此処に集まって来られる、大半のGUILDメンバーの皆さんは、既に、何処かのバンドに所属されている、若しくは、そのバンドのリーダーの方ばかり。

なので、この様な『音楽関係者』が多く集まり『メジャーへの道が開ける』可能性が高いこのライブで、私を指名する意味は、余りにも稀薄。


真剣に音楽に取り組んでおられる方ばかりだからこそ、そんな馬鹿げた遊び心を持ってる方なんて……早々居ないと思うんだよね。


だからね。

事実だけを突き詰めれば、ライブステージに上がれる権利を得られる『抽選』に当たるしかないのよ。

若しくは、ベースが居ないバンドの方が、なにかの気まぐれを起こして、私を指名してくれる以外、今日のステージに上がれる道はなさそうな感じなのですよ。


……なんとも険しい道のり。


気が遠くなりそうだ……


***


 まぁ、そんな中でですねぇ。

まだ会場には、誰も来ていない状態なんで、1人ぼっちで『ポツン』っとライブハウスに居る訳なんですが。


今更ながら『あの【B・B・C】で演奏出来るチャンスが巡って来るなんて、夢に思わなかったなぁ』なんて感慨に浸ってたりします。


だって私ね。

正直言えば、基本的な部分では『奈緒さんと演奏する事だけ』を、常に目標に掲げていたでしょ。

だから、こう言う有名スポットの事は知ってても、あまり日本から出てまで演奏をする気にはなれかったのよね。

それになにより、崇秀の様に、世界中のどこで演奏しても恥ずかしく無い様な『演奏技術』も持っていない。


こんな風に、なにも持たない私だからこそ、いつも我武者羅に、ただ必至に演奏してきただけに過ぎ無い。


そんな私が、アメリカで、こんなチャンスに恵まれ。

全米ツアー最後の最後で『B・B・C』で演奏出来る可能性が有るとは、ホント……私って幸せ者だね♪


そんな風に『B・B・C』のカウンターで、生のオレンジジュースを飲みながら、少し感慨に耽っていると……


誰かが、漸く、このライブハウスを訪れて来た様だ。



「よぉ……やけに早いな、眞子」


やっぱりな。


こんなに早い時間から来るのは、崇秀だと思ったよ。



「あっ、あはよう、崇秀。今日も早いね」

「バカタレ。主催者の俺がアメリカに居るのに、一番乗りしなくて、どうするよ?」

「ふふっ、でも、今日は二番乗りだけどね」

「まぁな。折角一番乗りで気分良く居ようと思ったのによ。遅刻が多かったオマエが一番乗りとはね。……ホントまいったね」


……ざまあみろ。


それに崇秀なら、早い時間に来る事が解ってたからこそ、実は早く来たんだけどね。


本音を言えばさぁ。

ホテルの中に居ても、一秒でも早く崇秀に逢いたくて、居ても、立っても、居られなかったんだよね。


ふふっ……なにやってんだろ。

こんな気持ち、絶対、崇秀にはバレたくないんだけどね。


その反面、気付いて欲しくもあったりする。


もぉ……なんだかなぁ。



「ふふ~ん。崇秀」

「なんだよ?」

「言って置くけどね。私、アメリカでのライブでは、大体ライブハウスには一番乗りしてたんだよ。……なめて貰っちゃ困るな」

「ほぉ……それはそれは、どう言う心境の変化だ?」

「うん?うんとね。ライブハウスに早く来るとね。なんか『ドキドキ』してられる時間が多く感じてられるから。それを少しでも多く、人より堪能したかったんだよね」


……っとか言いながら。

今日はいつもより、かなり早い時間に来たんだけどね。


早過ぎて、誰も居なかったってオチなんだけどね。



「なるほどねぇ。そいつは良いや。それに、今日は、やけに綺麗じゃねぇか。気合入ってんな」

「まぁね。折角の全米ツアーのラスト・ライブなんだから、みんなには綺麗に見て貰いたいしね。それになにより、今まで一緒にやって貰った皆さんに逢えるのが、凄く楽しみでね。……滅茶苦茶早起きして、気合入れちゃったんだぁ」

「そっか。……眞子は、本当に人間的に成長したな」

「ははっ……そうかなぁ?」


そっか……崇秀から見ても、私も少しは成長してるみたい。


そっか、そっか。


なんか、いつもの事だけど、面と向かって言われのは、凄く照れるね。



「よぉ、眞子。んな事よりよぉ。……今ならステージには誰も居ないぜ。スッカラカンに開いてるぜ。どうするよ?」

「ふふっ、言うと思ったよ。私なら、いつでも準備万端だよ。……って言うかね。その言葉を、ずっと待ってたんだけどね」

「ほぉ……言ってくれるねぇ。それって、アメリカツアーをこなして来た自信か?」

「うぅん、そんなんじゃない。全然違うよ」

「じゃあ、なんなんだ?俺と弾きたかったのか?」

「よく解ってらっしゃる。私ね、どうしても崇秀とだけは一緒に演奏して置きたかったんだぁ。だから、この時間から待ってたんだよね」

「ふ~~ん。そっか。……けどよぉ、そんなに期待されても、俺はあれから、そんなに変わってねぇぞ」


またぁ……


常に進化する生き物の崇秀に限ってだけは、そんな訳ないじゃん。

どうせ、研究の合間を縫って、新しいギターテクも色々と開発してたんでしょ。


……って言うか、この期に及んで『新技』とか有ったりしてね。



「嘘吐き。……どうせ、毎日のギターの練習は欠かしてないんだろうし、新しい技も出来てるんでしょ」

「ほぉ、中々良い読みでいらっしゃる。大したもんだな」


ヤッパリあるんだ……


前回の奈緒さんのライブの時みたいな、酷い目に合う奴じゃない事を、心から祈るよ。


あれは……キツイからね。



「まぁまぁ、崇秀とはさ、本当に付き合いが長いんなんだからさ。それぐらい気付いてあげられないと『親友』って言って貰うには恥ずかしいでしょ」

「そっか、そっか。……んじゃま、此処で話をしててもしょうがねぇな。2人で先に、GUILDツアーのラストライブを始めちゃうか?」

「うんうん。そうだね♪やろやろ♪」


これで、今回のツアーで遣り残した事は、本当の意味で無くなるのかもね。


勿論、ライブ本番でもステージに上がって、少しでも崇秀に『恩返し』をしたいとは思ってるんだけど。

ナンダカンダ言っても、私……多分、崇秀と一緒に、ステージで演奏したかっただけなのかも知れない。


ははっ……


偉そうな事を言ってたのに……なんだかなぁ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


全米45箇所ライブもいよいよ最終日。

そんな中、崇秀と眞子は、ライブの開催時間を無視して2人だけで演奏を始めたみたいですね(笑)


まぁ、この辺に関しては崇秀が、眞子の心理状況を読んでいたからこそ、こんな風に開始する事に成った訳なのですが。

一体、どんなコンセプトの元で、この演奏放されて行くのでしょうか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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