●前回のおさらい●
木根さんの努力を上手く褒める事の出来た倉津君。
だが、その努力の成果に実績が加わった時、何かご褒美が欲しいと言い出す木根さん。
その願いとは……「コミケにッ所に付いて来てほしい」と言う非常に可愛い物だった(笑)
勿論ややオタク寄りな倉津君は、即座にOKしたい所なのだが。
学校での不良と言う自身の立場上、少し『コミケがなんなのか解らないみたい』な素振りをする事にしてみた。
「コミケ?コミケって、なんだ?」
「あの、オタクの聖地で……同人誌を即売する所なの」
「へっ?どっ、同人誌?なんだそれ?そんな訳の解らない物を売ってる所に、俺に行けと?」
「あっ、あの、私も行った事がないから、倉津君と一緒だったら安心かなって思ったの」
ほぉ、木根は、コミケ参戦は、お初ですか?
お初=予備知識も無し。
ソイツは、中々危険極まりない話だな。
それで、あのオタク最前線であるコミケと言う名の激しい戦場に突入して行こうと言うのは『竹やりでB-29を落そう』に匹敵する無謀さだぞ。
ちょっと安易過ぎるぞ、木根。
良いか?まずにしてだな。
あの聖地に行くだけでも、結構、大変な作業が含まれてるんだぞ。
現にだな、お目当ての同人誌を買う為には、誰よりも早く入場しなきゃ成らない。
しかもそれが、サークル参加のチケットがあれば御の字だが。
これが無きゃあ、真夜中から数時間に渡って、糞長い行列に並ばなきゃいけねぇしだな。
本当の意味で、人気作家の同人誌を買おうと思ったら、会場内に入った後も、更に、長蛇の列にも並ばなきゃいけねぇ。
それにだな、数箇所の人気作家の本を買おうと思ったら、誰かと数人で徒党を組まなきゃ、全部を廻り切れないしだな。
後な、今度のコミケは年末だから、防寒具も、シッカリ着込んでこないと、待ち時間だけでも、風邪を引いちまうぞ。
ホンで後な、オマエ、今さっき『コスプレしたい』とか言ってたけど、衣装は自作か?
もし、自作じゃないんだったら『ネットで早目に注文する』か『コスプレの専門店に行って買って置いた』方が良いぞ。
お盆前や、年末前になったら、その時の旬なキャラの衣装が一気に品薄になるからな。
これは、コスプレイヤーとしての常識な。
序に後、コスプレする際の注意点なんだがな。
武器類や、人の邪魔になる様な大きな物の持込は、基本的に禁止だからな。
やるならやるで、そう言ったルールを守って、コスプレをするんだぞ。
あぁ後な『肌を、思いっ切り晒しちゃダメ』って決まりがあるから、露出の多い衣装の場合は、下に着る肌色の衣類も忘れるなよ。
後な……
後な……
後……
後……
(↑行く気満々な馬鹿)
……って、イカンイカン!!
コミケの解説なんぞを、心の中でしてる場合じゃねぇんだった!!
少しは冷静になれよ、俺!!
そう言う事は、これが解決してから、親切・丁寧に、それでいてゆっくりと、木根に教えてやれば良いじゃねぇかよ。
馬鹿だな俺って……
(↑本物の馬鹿)
「なぁ、木根。それってよぉ。……どうしても、俺じゃなきゃダメなのか?」
ダメだよな。
うんうん、ダメだダメだ。
此処に関してだけは、絶対に俺じゃなきゃダメに決まってるよな。
学校内じゃ、俺程、コミケに精通した人間なんて居る筈がないしな。
「琴美ね。そう言う所に、一緒に行ってくれるお友達が居ないもの。それに琴美は、どうしても、倉津君に、お願いしたいもの」
だよな。
解る解る。
「ちっ、しゃあねぇなぁ。……わぁったよ。そのコミケとやらに付き合ってやるよ」
うむ……本心は別としてもだな。
此処まで必死に熱意を込めて頼まれたら、断るのは少々気が引けるな。
しょうがねぇ奴だな、もぉ。
仮に優勝出来なくてもだな。
今回のオマエの頑張りに免じて、ご褒美として、俺が解り易く解説をしながら付き合ってやろうじゃないか。
コミケ初心者のオマエが、他人に迷惑を掛けないか心配だし、初心者に1人で行かすのは危険だからな。
全く、木根はしょうがない奴だな。
(↑顔がニヤけてる俺……だって奈緒さん、絶対、行ってくれそうにねぇもん)
「本当なのかなぁ!!倉津君、一緒に行ってくれるのかなぁ!!」
「あぁ、なにかは知らねぇがよぉ。此処まで必死に頼まれたら、断れねぇだろによ。但し、優勝出来たらだぞ」
「琴美!!頑張るかも!!初デートは、絶対に倉津君としたいもの!!」
「デート?」
「なっ……なんでもないかも」
呈良くコミケに行けると言う言葉に、喜んだのも束の間。
なんか最後の最後になって、恐ろしく不安な言葉が、木根の口から聞こえた様な気がするが……気のせいだよな。
あぁけど、翌々考えたら大丈夫だよな。
オタクの女子ってのは、総じてオタク野郎を嫌うものだからな。
この方程式が有る以上、大丈夫だよな……安心だよな。
流石に此処に来て、女難はいらんからな。
(↑自分がオタクだと言う事を隠してるのすら忘れてる俺)
「まぁ、約束はどうあれ。そろそろステージの時間になるぞ。早く行かねぇと、嶋田さんに怒られるぞ」
「ホントだぁ!!急いで行かなきゃだもの!!」
「なら、はよ行け」
「うん!!頑張ってくるかも!!約束を忘れないで欲しいかも!!」
「あいよぉ~~~」
そう言って、意外とオタク度の高い木根は、走って、真っ直ぐステージに向って行く。
俺は、そんな木根の姿を目で追いながらも、無人になって静まり返った教室に鍵を掛け。
第二音楽室から、今朝置いておいた愛用のFenderのベースを持って、ゆっくりとステージに向って行った。
さぁ~~~てと、文化祭の遊び気分で居る時間も、これぐらいにして……此処からは、バンドマンとして、楽器の方の本気モードを全開にして行きますかねぇ。
特に今回の件は、自らが好んでハードルを上げてるだけに、そこで優勝出来なきゃ格好がつかないだろうしな。
もし失敗なんかした日にゃあ、それこそ大恥処の騒ぎじゃ済まないからな。
なので此処からは、大マジの超本気モードで、他を寄せ付けずに優勝を攫ってやるよ。
まぁそれ以前に……絶対に俺達が優勝を逃がさない為にも、最終兵器にも似た『秘策』も用意周到に、ちゃ~~~んと準備してるからな。
これさえあれば優勝は必至!!
幾ら相手側に芸能人の素直が居ても、そう簡単には優勝なんてさせてやらねぇよ。
サッカー日本代表みたいに『絶対に譲れねぇ戦いが、此処にある』訳だからな。
素人バンドの底力ってもんを見せ付けてやるぜ!!
ゲ~ゲスゲスゲス……
ゲ~~ゲスゲスゲス……
ゲ~~~ゲスゲスゲス……
『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』
おっと、電話だ。
最後の最後にだりだ?
「オッ、オマエは……」
それは……全く予想もしなかった相手からの電話だった。
そしてそれが、本当の波乱への幕開けでもあった。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて『表裏文化祭【困】』はおしまいに成るのですが、如何だったでしょうか?
まぁまぁ、みんなから怒られる事に始まったのですが。
最後には、自身が立てていた企画が、結構上手く行っている、っと言う『表裏』を現した回だったのですが。
此処からが倉津君にとっても、3Bの女子達にとっても本番である歌謡コンクールが開催されます♪
さぁ、その栄冠は一体、誰に手に!!
そして最後に掛かって来た電話の主の正体は!!
それらは次回から始まります『表裏文化祭【突】』にてお話していきたいと思います。
なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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