最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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247 不良さん、崇秀のハードな日々に触れる

公開日時: 2021年10月11日(月) 00:43
更新日時: 2022年12月11日(日) 12:36
文字数:2,031

●前回のおさらい●


 制作されたCDのジャケットを描かされて、ヘロヘロの倉津君。


だが、その程度では許して貰えず、更なる用事を押し付けられる(笑)

 高速を飛ばし、深夜になったぐらいには崇秀に指定された渋谷に到着。

学生達が夏休みとあって、この時間になっても、渋谷には暇な若者が街に溢れ返っている。


……が、俺には、そんな馬鹿共に関心を持ってる暇はない。

そんな奴等は無視して(本当は遊びたい俺)崇秀の指示通り、道玄坂を少し行った所にある、少し古めのショップの前に車を停める。


勿論、こんな時間だから、店のシャッターは完全に下りているんだが、崇秀は、それの対応策として、徐に携帯電話を取り出す。

恐らくは、此処の店主に電話を掛けているんだろう。


すると、直後にシャッターが上がる。


そんで中からは、それっぽいチャライにぃちゃんが出てくる。



『おぉ、秀ちゃん。お疲れさん』

『ウッス、ウッス……っで、雅やん、頼んでおいた物、用意出来た?』

『ったく、似た様な衣装で、デザイン違いを10着って……相変わらず、秀ちゃんは、急に無茶注文をしてくれるよな。せめて、前々日には発注して欲しいもんだよ』

『なに言っちゃってんの。雅やんだからこそ、こんな無茶な注文を頼めるんじゃないかよ。……っで?どうなん?』

『一応、サイズの指定通りには作ったが、デザインは保障しねぇぞ』

『OKOK。雅やんが、デザインオーダーしてくれたんなら、なんも問題ねぇよ……んじゃま、これ、報酬って事で』


そこで封筒が手渡される。


明らかに金だな、コリャ。


店主であろう雅やんって言う奴は、封筒を開ける。

右手の人差し指と、親指を舐めた後、中に入っている紙を数え始める。


ヤッパリ、金だった。


そんで札束を数え終えた雅やんは、崇秀に一言。



『あれ?秀ちゃん、やけに金額多いぞ』

『あっ?あぁ、じゃあ、それで、雅やん処のスタッフさんと飯でも喰って来てくれよ。雅やんにも、スタッフさんにも、今回は、かなり迷惑掛けたからな』

『毎度毎度、気の利く事で』

『んな訳ねぇだろ。偶にはサービスしとかなきゃ、次の時、我儘を聞いて貰えねぇからな……んじゃま、そう言う事で、時間がねぇから、早速、品物を貰って行くな』

『なんだなんだ?茶も飲んでいかねぇのか?』

『悪ぃ悪ぃ。今回はマジで時間がねぇからさ。それは、また今度ご馳走になるよ』

『相も変わらず、忙しい中学生だな』

『まぁね。『貧乏暇なし』『貧乏肥満なし』って奴だよ。このスリムな体型を維持する為にも、タップリ仕事しねぇとな』

『言ってろ』


これで一旦は、話が終了して、早速、手際良く段ボール箱を数個、バンのケツに詰め込んでいく。


けど、そんなに多い数ではないので、商品は、直ぐに積み終わる。



『おっしゃ、んじゃま行くか……っと、いけねぇ、いけねぇ、雅やん』

『うん?なんだよ?』

『明日よぉ。悪ぃんだけど、夕方ぐらいから2時間ほど時間をとってくれよ。久しぶりに、俺、ギター弾くから、雅やんにも、是非見に来て欲しいんだよな』

『ほぉ、秀ちゃんがギター弾くなんて珍しい事もあったもんだな。……OKOK。誰かさんのお陰で、今日1日で明日分の売り上げぐらいは上がった事だし。店閉めるか、スタッフに任せてでも行くわ』

『おぉサンキュー、サンキュー。ソイツは有り難いな。あぁ後さぁ、雅やん、このチケット、一応、渡しとくけど。それで入れねぇ様だったら、携帯に電話してくれな。速攻迎えに行くからさ』

『あいよ』

『んじゃま、そう言う事で、お疲れさんっと』

『おぅ、気を付けて行けよ』

『う~~~ッス』


此処での所要時間、たった15分。


これで店を後にする。


***


 車を走らせて、渋谷駅が見えたぐらいで、崇秀がナビシートから、突然、話し掛けてきた。



「オイ、倉津。ちょっと運転代われ」

「うん?なんでだ?」

「いや、俺、まだこれから寄らなきゃ行けねぇ所が2・3箇所有るからよ。起きてて、待って貰うのも悪ぃから、俺が運転してる間、オマエは仮眠でもしとけ」

「なんだ?こんな時間に、何所に行こうってんだ?」

「ライブハウスだよ。……今日、知り合いがオールでライブをやってんだよ。頼まれで、ちょっと顔出さなねぇとイケネェんだわ」

「おいおい、オマエ、無茶すんのも大概にしろよ」

「はぁ?なに言ってんだオマエ?こんなもん無茶の内にも入らねぇよ。序の口だ序の口」

「おいおい……マジかよ?」


どうやらこの馬鹿は『時間』の他にも『自分の体力』も操れるらしい。

どう考えても、俺なんかの3倍以上の仕事をこなしてるのに、疲れている様子が一向に見受けられない。

それどころか、まだまだ元気が有り余ってる状態だ。


コイツにとって、1日や2日の徹夜なんざ日常茶飯事なんだろう。


化物め!!


***


 まぁそんな感じでだな。

崇秀は、本気で3軒ライブハウスを廻って、ホテルに帰ってきたのはAM5:00。


漸く、俺は、そこから軽い睡眠に入った。


けど……その間も、あの馬鹿、まだやり足りないのか、満足して無いのかは知らないが、まだ、あれから、なんかゴチャゴチャとやってやがったみたいだな。


もぉマジで、コイツだけは本物のキチガイだ!!


マジで、一体、どうなってんだよ、コイツは?


最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

これにて第四十二話『下準備』はお仕舞なのですが。


ハーレム状態から一転。

崇秀に頼みごとをした時点から、なにやらバタバタしてる一日を送った倉津君なのですが。

この後も、今以上にバタバタした日は続いていきます。


そんな中で、どんな成長を倉津君が出来るかが、今回の肝な部分。


ならばもぉ、それを目標に頑張るしかないですね♪


そんな訳で次回からは、第四十三話【覚悟の程】をお送りいたしますが。

次は、どんな覚悟が必要なのかを良かったら見に来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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