最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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204 不良さん、残された女子達との攻防(笑)

公開日時: 2021年8月29日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月5日(月) 22:23
文字数:3,976

●前回までのあらすじ●


 ゼンちゃんを、なんとか追い返した倉津君。


さて、戦利品として残された女の子達をどうするのか?

 さぁてと……まぁこれで、一応はゼンに頼まれた喧嘩の件は一件落着した訳だから、後は、事後処理でもするか。


女の子達をこのまま放置する訳にもいかねぇしな。



「おい、アンタ等、長い時間、正座させて悪かったな。もぅ帰って良いぞ」

「えっ?あれって、本気だったの?本気で、私達に何もしないつもりだったの?あれって、今の男を去らして、自分だけが楽しむつもりなんじゃなかったの?」

「いや、あのなぁ。俺は、そんなセコイ真似しねぇつぅの。それになぁ、アンタ等に何もしないってのも、至って本気だ。……それともなにか?アンタ等は、あの馬鹿にHされたいインフォマニア(淫乱)なのか?」

「そんな訳……」


だよな。

普通、そうだよな。


ゼンは嫌だよな、ゼンは……


ならよぉ、此処は、変に疑問を持つ必要性なんてないんじゃないのか?



「うん?だったら、それで良いんじゃねぇか」

「あのさぁ、君ってさぁ、私達が可愛くないから、そんな事を言ってるの?」

「いや、別に、そんな事は微塵も思ってないぞ。みんな、十分可愛いじゃねぇか。おかしな事を聞くんだな」


まぁ……あんな雑魚共が連れてる女だから、全然、大した事ないと高を括ってた部分は有ったんだが。

女の子達の顔を良く見ると、予想に反してレベルが高いんだな……これが。


かと言ってだな。

俺には、コイツ等以上に可愛い奈緒さんが居る訳だから、そんな事は別に大した問題にはならない。


まぁそんな話だな。



「だったら、どうして手を出さないの?男の子って、色んな女の子と、やりたいもんじゃないの?」


今度は、他の女が質問してきた。


なんなんだろうな?



「あぁ、そう言う事な……けどなぁ、俺は、そこら辺の馬鹿みたいに、色んな女とやりたいなんて思っちゃイネェんだよな……これが」

「でもさぁ。今って、Hするチャンスな訳じゃない。そう言うの興味がないの?」

「い~や、興味がない訳じゃねぇけどよ。賭けとか、勝負とかで勝ったからって、女を好きに出来るなんて、おかしな話だろ……物じゃねぇんだからよ」

「きっ、君って、不良なのに良い人なんだね」

「いやいや、そんな事ねぇって。自慢じゃねぇが、俺なんか、超が付く程の屑だぞ。ただよぉ、屑にも屑なりのモラルってもんが有るんだよ。女を粗悪に扱う様じゃ、屑以下の生ゴミだ」

「……あっ、あの、お名前は聞いても良いですか?」


あっ、あれ?

なんだ?また違う女が質問してきやがったぞ?


なんだこれ?


こう言う場面って、相手の気が変わらない内に、早々に立ち去るもんじゃないのか?



「はぁ?いや、倉津真琴って言うけど、なんで、そんな事を聞くんだ?」

「だって真琴君、超格好良いんだもん」

「へっ?……いや、俺、別に格好良くねぇし」

「格好良いよ。格好良いよ。真琴君、全然格好良いよ。真琴君は、他の男なんかとは比べ物にならないぐらい格好良いよ」

「そっ、そっかぁ?まっ、まぁそう言ってくれるんだったら、それで良いけどよぉ。俺なんか褒めても、なんも出ねぇぞ」

「そんなの全然いらないって。なんか一緒に居るだけで幸せになりそうだもん」

「あぁ、それ、なんか凄くわかる。さっきから話を聞いてたら、倉津君って、凄い優しいもんね」

「だよね、だよね。ホント、なんか好きになりそう。もぉコッチから抱いてって感じだよね」


いや……それは困る。


俺、元々そう言った事に関しては意思薄弱だし、女性に対する経験値も低い。

だから、直ぐにボロが出るケースが多い。


それになにより、強がっちゃいるが。

これでも結構、我慢してる部分だって多々有る訳で……あんまり、そんな事を言われると、調子に乗り兼ねない自分が居るんだよな。


まっ……まぁ、俺の心の中には、いつも奈緒さんが居るから大丈夫なんだけどな。

(↑こんな言葉が出る時点で、既にヤバイ俺)



「所で真琴君って、なんか楽器やってるの?あそこに何か置いてるみたいだけど」

「あぁ、ありゃあベースだ」

「じゃあ、その年でバンドとかもやってるんだぁ。ホント、格好良いね」

「あぁまぁ、やってるつぅか、なんつぅか。鍛えて貰ってるって言うのが正確だな」

「凄い謙虚ぉ」

「いや、謙虚とかじゃなくてよ。マジで、そんな感じなんだよ」

「バンドに、ベースに、倉津?あっ、あれ……ひょっとして、君って『兄貴君』?」

「うん?」


今までズッと俯いていた、1人の女が、漸く口を利いた。


多分、ビビッてたんだろう。

若しくは、甘い言葉を吐く俺を信用していなかったかの、どちらかだ。


まぁ、警戒心の強い女だと言う事は確かだ。


しかしまぁ、そんな女が『兄貴君』なんて言葉を吐くとはな。



「兄貴君はステージの上からだから、あたしの事なんか憶えてないかも知れないけど?あっ、あたし、君のライブに行った事が有るんだよ。……憶えてないかな?」

「あっ!!なんだ。憶えてるも何も、毎回来てくれてりゃあ、忘れ様がないな。初めてのライブで、俺の汚いTシャツを貰ってくれた子だろ」

「そぉそぉ、兄貴君の汗ずくのTシャツを必死に取ってた女」

「けど、なんでアンタが、こんな瀬野とか言う屑雑魚とつるんでんだ?」

「あぁそれはね。学校が同じだからね。コイツにさぁ、面白いもん見せてやるとか言われて付いて来たのよ……って言うか、兄貴君の方こそ、なんで瀬野をのしてるの?」

「まぁ大した事情じゃないんだよな。言うなれば成り行きだな。連れに喧嘩の助っ人を頼まれてよ。此処に居る訳だ」

「そうなんだ」


なんて縁なんだろうな。

まさか、こんな所で知り合いに逢うとはな。


世の中、不思議な事があったもんだ。


まぁその分、ゼンの馬鹿を、先に帰らして置いて良かったとも思えるがな。

あの馬鹿の調子だと、俺の知り合いでも平気で喰いかねないからな。



「あの、美樹……アンタ、真琴君の知り合いなの?」

「知り合いって言うか。あたしが、今一番嵌ってるバンドのベースの人なのよ」

「美樹が嵌ってるバンドって事は、相当、上手いって事だよね」

「うん、そりゃあ上手いよぉ……ってかね。1度見たら解るんだけど。ライブの盛り上がりがハンパ無いのよ」

「そんなに凄いんだ」

「もぉね。1度見たら癖になるぐらいハンパないバンドなのよ」

「じゃあさぁ。今度、私も連れて行ってよ。私も、真琴君の応援したいし」

「うん。良いよ、良いよ。行こ行こ」


うぉ!!なんか勝手に盛り上がってくれてるぞ。


出来もしない『人助け』も、偶にはしてみるもんだな。



「あぁじゃあ、私も行く」

「ねぇねぇ、だったらさぁ。いっその事、私達で、倉津君のファンクラブとか作っちゃおうか?どぉどぉ?それ、超良くない?」

「良いね、良いね。じゃあ私は、ホームページとか立ち上げちゃおうかな」

「あぁズルイ。最初に兄貴君を見つけたの、あたしなのに」

「それだったら、美樹が会長すれば良いじゃん」

「あぁそうだね。そうしなよ」

「じゃあ、それで決まりねぇ♪友達とかにバンバン売り込んじゃおうね」


おいおいおいおい、それ、盛り上がり過ぎだから……



「いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待ってくれ。そうやって活動してくれるのは、ホントに有り難いんだがな。俺、全然、大した事ねぇから。そこまでして貰ったらよぉ。なんつぅか、噂が一人歩きし過ぎる様な気がするんだが……そう思わね?」

「謙遜謙遜」

「いや、謙遜とかじゃなくてよ」

「なんでなんで?この間のライブの時だって、観客がエキサイトして、兄貴君をナイフで刺したのを、兄貴君てば、平然と自分で引っこ抜いて、血だらけになりながら最後まで演奏してたじゃん。……あれ、もぉ気絶もんにマジヤバかったよ♪」

「なにそれ?超ヤバいんだけど。ってかさぁ、それ見れなかった私って不幸じゃない?」


いや、実際は、そこに行き着くまでには、バンド内で、結構、深い訳が有った訳で……


まぁよぉ。

盛り上がって、喜んで貰えたなら、それはそれで良いんだが……なんかなぁ。



「まぁまぁ、ちょっと落ち着こうぜ」

「うん?どうしたの?」

「いや、まぁなんつぅか。ホント、盛り上がってくれるのは嬉しいんだけどよぉ。俺さぁ、なんか、そこまでして貰える程、アンタ等になんかしたか?」

「へっ?……ちょ……マジで言ってるの?」

「いや、一応、これでも、マジで話してるつもりなんだが……」

「ヤバイ……マジで兄貴君、格好良いよ。そう言う無自覚なところが、惹かれるよね」

「なっ、なにがだよ?」


訳がわからん?

俺は、ただ自分のモットウに従ってるだけなんだが……

『女は大事にしてやらなきゃ、ウチのクソ親父みたいな生ゴミ人間になる』

そう思ってるからこそ、アンタ等を庇護しただけなんだぞ。


別に見返りが欲しくて、そんな事を言ってる訳じゃないんだけどな。


それに……奈緒さんの件で、色々学んだからこそ。

こんな事が言えるだけであって、奈緒さんに出逢わなけりゃ、多分、ゼンと同じ考えだったと思う。

寧ろ、喜んでHしてたと思う。


だから、俺は、決して、アンタ等が思う様な良い奴ではない。


わかんねぇかなぁ?



「あのよぉ。俺、全然、良い奴じゃねぇぞ」

「ぷっ……全然、良い奴なんだけど」

「いや、だからよぉ」

「あれ?ひょっとして迷惑?」

「いやいやいやいや、迷惑な訳ないだろ。これでも俺さぁ、楽器の演奏とか超下手糞だけど『1人でも多くの人に、演奏を聴いて欲しい』とか厚かましい事を思ってる訳なんだよな。だからよぉ、迷惑とかは、絶対に思ってねぇから」

「だったら、なんで、そんなに否定したがるの?」

「いやさぁ。どうせなら、俺と言う人間を知った上で、演奏を聞いて欲しい訳だからよぉ。なんつぅかなぁ、そんなに好印象を持たれると、ホントの俺を知った時、アンタ等を幻滅させるかもしれないだろ……それが、ちょっとなぁ。嫌なんだよな」

「兄貴君って……何所まで純粋なのよ」


伝わらねぇなぁ、オイ。


俺にも、崇秀並みの説得力ってもんが、兼ね備わらないものか?


ハイ、無理。


それだけは確実に無理だな。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


意外と冷静に対処してるみたいですが。

結局、自分の言いたい事が全然伝わらない倉津君。


まぁ、こんなものでしょう。

いや寧ろ、頑張ってる方だと思います。


さて、この後、どうなって行くのかは次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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