●前回のおさらい●
初見のコンタクトで、眞子の事が気に入る素直ちゃん。
だが、このままではボロが出るのではないかと感じた奈緒さんが、眞子から視線を逸らす為に来訪理由を聞くと。
『舞歌ちゃんが、勝手に素直ちゃんのリップを使う事』っと言う内容だった(笑)
倉津君、あまりのつまらなさに唖然とする。
そんな中、リップが話題に上がったばかりに、ついつい奈緒さんが『新作リップいる』っと言う言葉を発してしまい。
そのリップを探し始めた時点で、素直ちゃんの視線は、再び眞子の方へ向くのであった。
「あの、倉津さん」
「あっ、はい。なんでしょうか?」
「あの、急に来て、変な話ばかりして、ごめんなさい」
「えっ?あぁ、私は一向に構いませんよ」
「あの、僕。……この事を、向井さんには、どうしても聞いて欲しかったんで」
その会話を聞いた奈緒さんは、再びドキドキ・ハラハラしなきゃならなくなった。
故に、先程よりも速いスピードで、リップを捜索し始める。
……なんか奈緒さん、今日は、自身の思いとは反して、あまりついてないみたいだな。
「あぁ、それなら大丈夫ですよ。それに、そんな事されたら、私だって普通に怒りますもん」
「あっ、もしかして、倉津さんも、僕のこの気持ちわかってくれますか?」
「勿論ですよ。私も、そう言うのが苦手な部類なもので」
「倉津さんも、そうなんですか?」
「はい。もぉ、なんか腹が立っちゃったら、平気で、その子の目の前でゴミ箱に捨てちゃたりもしますよ」
「えっ?倉津さん、凄~い。僕、相手の人に嫌われるのが怖いから、そこまで出来無いけど。人の使ったのって、なんか気持ち悪いって言う気持ちは凄く共感出来ます」
「クスッ……でも、ちょっと正直に言い過ぎましたね。お転婆みたいで、なんか恥ずかしいかったです」
「そんな事……」
会話を合わせるのが上手いな。
女子の会話って言うのは、こんな風にして合わせて行くもんなんだな。
あぁでもこれだったら、奈緒さんがハラハラするスリルを味わう必要がないんじゃないか?
あっ……違うわ。
眞子=俺のままだと思ってるから、奈緒さんがハラハラする羽目に成ってるんだった。
傍観者を決め込むと、意外と自分の事も見えなくなるもんだな。
なんて吞気な事を思っていたら……
「あっ!!あった、あった。みつかったよ。……はい、素直、これ、あげる」
「あっ、すみません、向井さん。探し物をして貰ってるのに、無意識の内に、また話し込んじゃいました」
「良いよ、良いよ。楽しいんだったら、別に気にしなくて良いよ。……あぁ、でも、素直」
「あっ、はい」
「眞子は、あんまり体が強い方じゃないから、疲れさせない様にだけはしてあげてね。眞子も、自分で気を付けるのよ」
って言いながら、コチラをチラッと見て、目線で合図を送ってきた。
「あっ……ご心配掛けて、ごめんなさい」
「良いよ。眞子も、気をつけてさえいてくれれば」
「あの、向井さん。それはそうと、倉津さんって、どこか体の具合が悪いんですか?」
「うぅん、そうじゃなくてね。眞子は、ちょっと家の事情があって、家に篭らなきゃイケナイ時期があったのよ。だから……ねっ」
うぉ!!設定の上乗せをしながらも、俺には『ボロが出るから、あんまり喋るな』って念を押してきたよ。
ドンだけ信用がねぇんだよ俺?
あぁでも、流石、策士の奈緒さんだな。
この状況下でも怪しまれない様な上手い口上を垂れて、俺に制限を掛けてるんだもんな。
大した人だ。
「ごめんなさい。知らないとは言え、込み入った話まで聞いちゃって……」
「そこまで心配して頂かなくても、少しなら大丈夫ですよ。だから、変に気を使わないで下さいね」
「あっ、うん」
「でも、2人共、程々にね」
「「あっ、はい」」
「それじゃあ私、ちょっと、お茶でも入れてくるね」
「あっ、あっ、だったら、僕がやります。それに、ケーキを焼いて来たんで、良かったら、みんなで食べて下さい」
話の切れ目と睨んだ奈緒さんが、お茶の用意をしに台所に立とうとした瞬間、素直は率先して立ち上がり。
お茶のお供のケーキを、持参して来た事をアピールする。
すると奈緒さんは……
「あぁ、じゃあ、悪いけど、素直に、お願いしようかな」
「あっ、はい」
ケーキに釣られたな。
若しくは、なにか他に考えがあっての事とも思える。
なら、なんだ?
「眞子。それにしても、君はラッキーだね」
「えっ?」
「素直のケーキは、凄く美味しいんだよ」
「そうなんですか?それは、凄く楽しみです♪」
この眞子のセリフに、台所に向かう筈の素直の足がピタッと止まった。
コッチもなんだ?
この眞子の褒め言葉に、なんか思う所でも有るのか?
「あっ、あの、倉津さん。そんなに期待されても……」
えっ?素直の奴。
そんなショウモナイ事を言う為だけに、わざわざ足を止めたのか?
えっ?マジで!!
「ハァ、立ち止まってまで、なに言うかと思えば。……心配しなくても、素直のケーキを食べた人は、みんな、君のケーキを絶賛してたよ」
「あっ……」
「そぉそぉ、そう言えば、クラなんかさぁ『お金出すから、アイツ、マジでケーキ屋をやりませんかね?』とか、私に聞いてくるぐらいなんだから、自信持って良いんじゃない」
「えっ?えっ?その話、本当ですか!!僕、真琴君に言って貰ったら、いつでもお店をやりますよ。それならそうと、早く言ってくれれば良いのに」
オイオイ、マジでか!!
これは良い事を聞いたから、また心のメモに記憶しとかなきゃな。
またしてもセーブ・セーブ。
「……って言うか、素直。お茶、淹れに行かないんだったら、私が行こうか?」
「あっ、あっ、ごめんなさい。またやっちゃった」
「もぉ……ホント、君は、話をするの好きだよね」
へぇ~~~、そうなんだ。
奈緒さんが言う程、素直って、そんなにお喋りなんだな。
ドッチかと言えば、学校では大人しい感じの存在だから、そんなに喋るイメージがないんだけどな。
やっぱ、同性同士だと感じが変わるもんなんだな。
「あっ、あぅ……ぼっ、僕、急いでお茶淹れて来ます」
「はいはい、宜しくね。あぁ、それと素直、お茶は、どれでも好きなの使って良いよ」
「あっ、はい」
そう言い残して、気恥ずかしさから、台所にパタパタと走って行った。
そしたら奈緒さん。
素直の姿が台所に消えた瞬間、俺の方に向き直って、イキナリ話を振ってくる。
なら、どうやら、コチラが、素直にお茶を任せた理由の本命か……
まぁ言うて、奈緒さんの話す内容については、眞子の件だろうから。
そこは上手く眞子が話してくれると思うんで、オィちゃんは一安心じゃな(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
なんか今回の奈緒さんは、ずっとハラハラしっぱなしですね(笑)
まぁ、XX眞子の存在を知らない奈緒さんにしたら。
この眞子の行動は不可思議でたまらないから、こうなっても仕方がないかもしれませんけどね。
さてさて、そんな中。
素直ちゃんがいない隙に、奈緒さんが、その辺についての問いを、眞子に投げ掛けて行くみたいですが。
倉津君……って言うか、この場合はXX眞子が、此処を上手く切り抜けられるか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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