最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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089 不良さん 音楽を追う姿勢を問われる

公開日時: 2021年5月6日(木) 00:21
更新日時: 2022年11月16日(水) 14:35
文字数:2,160

●前回のおさらい●


 モヒカンとロン毛と言う奇妙な二人組がファンに成った倉津君。

その勢いで、二部のライブに招待して、その場を去っていくのだが……


何か忘れてませんか倉津君?

……( ゚д゚)ハッ!


調子乗って、あの二人をライブに招待したまでは良かったが、大事な事を忘れてた。


奈緒さんのベースを取りに、外に出たんだった!!


しかし、まいったなぁ。

俺のファンを名乗るモヒカンとロンゲをライブハウスの中に入れてやる事は、まぁ、どうにでも成るとしてもだな。


下手にあんな事を言っちまった手前、あの場所には戻る事が出来ず。

スタジオに置き忘れた奈緒さんのベースを取りに行く事が出来なく成っちまった。


まぁ実際の話で言えば。

此処は変に悩まずに、早々に奴等をライブハウスに入れてしまって、その後、サッサとベースを取りに行くのがベストなんだろうけどな。


でもなぁ。

このイベントの主催者は崇秀であって、俺ではないだろ。


流石に、勝手が過ぎるのも問題だしなぁ。

金銭が絡んでるだけに、崇秀の許可なしに勝手な振る舞いも出来無いんだよなぁ。


どうしたもんかねぇ?


そんな風に悩みながら、スタッフ専用出入り口で、行ったり来たりを繰り返し。

熊の様にウロウロする羽目に成っていた。


そこに……通りの方から黄色い女の声。

恐らく、この歓声は、奴が帰ってきたんだろう。



「おらよっと……おっ!!ヤッパリ、此処に居やがった、居やがった。オマエって、ホント予想に反する事がねぇな。今度は、なにをやらかしたんだ?」

「うっせぇわ!!なんもやらかしてねぇわ!!つぅか、俺の事より、オマエの方こそは、何所で何やってやがったんだよ?」

「まぁそうだなぁ。取り敢えずよぉ、オマエは、なにも言わず、話を聞く前に俺に感謝しろ」

「はぁ?そんなもん、嫌に決まってるだろ。意味も解らず、オマエみたいなボンクラに感謝の念は持てねぇな」

「あぁっそ。わかった。じゃあ、そこまで言うなら、俺に感謝する理由を言った後も、オマエは、絶対に、俺に感謝するなな」

「言われなくても、元よりオマエに感謝する気なんか更々ねぇし」

「そぉかぁ~?ほらよ」


後ろに隠し持っていた2つの何かを手渡してきた。


少し重みが有ったので、即座に確認する。


そこには……見覚えのあるステッカー付いたソフトケースは、奈緒さんのベース。

それに、このバリバリの新品のハード・ケース、俺のじゃねぇか。


なんで、コイツが持ってるんだよ?



「へっ?なんでオマエが、これを……」

「なにな。オマエ等の忘れ物をしたスタジオ方面に、ちょっと野暮用が有ったからよぉ。序に取って来てやったんだよ」

「あぁ、そうなんか、そりゃあ悪いな」

「はい。お前の負けな」

「はぁ?なにがだよ?」

「オマエ、さっき俺には、絶対、感謝しねぇって言ったじゃん」

「がっ」


俺って、ホント、単純な構造で出来てるんだな。


実は、河豚味噌はおろか。

ひょっとして、細胞が一個しか入ってない単細胞生物なんじゃねぇのか?


自分でも呆れる単純さだ。



「まぁそんな話は、どうでも良いや。別に、何か賭けてた訳じゃねぇしな」

「なら、イチイチそう言う面倒臭ぇ事は言うな」

「まぁな……あぁそれはそうと、オマエさぁ、1つ聞いて置きたい事があんだよ」

「なんだよ?」

「オマエの今後なんだけどよぉ……オマエって、将来的には、バンドマンになりてぇの?それとも、ミュージシャンになりてぇの?どっちだ?」

「はぁ?急に、なんだそりゃあ?」


勿論、以前に奈緒さんから説明を受けているから、コイツの言ってる意味は解る。


だが、2人の考えが同じとは限らない。

『バンドマン』と『ミュージシャン』の考えの誤差が有っては、話が全く噛み合わなくなっちまうしな。


故の質問だ。



「あぁ悪ぃ。それだけじゃ解り難いか」

「そうだな。サッパリだ」

「バンドマンは群れ。ミュージシャンは個人。音楽を追うスタイルの話だな」


また豪く簡潔に説明しやがったな。


まぁでも、これなら、奈緒さんと同じ考えだと思っても問題ないな。


なら、答えは最初から出ている。

俺の答えは言わずと知れた『バンドマン』だ。

そして当然、スペシャルチームを作って、みんなで、オマエを討伐するのが目的だ。


まぁこれは流石に、黙って置くがな。



「なるほどなぁ。なら、バンドマンだな」

「そっか……悪いな、急に変な事を聞いて」

「オイオイ、なんだよ?オマエの話って、それだけか?それに、やけにアッサリ引き下がるじゃねぇか」

「いや、それなら、それで良いかと思っただけだ。別に他意は無いぞ」


うん?なんか、やけに引っ掛るモノの言い方だな。


何が言いたかったんだ、コイツ?



「まぁそれなら良いけどよ。なんで敢えて、そんな事を聞いたんだ?」

「オマエの音に、少し興味が湧いたからだが」

「俺の音に興味だと……」

「そぉそぉ、オマエの音」

「オイオイ、馬鹿言うなよ。俺のベースは、オマエが興味を引く様な代物じゃねぇっての。まだ到底そんなレベルじゃねぇぞ」

「そいつは勘違いも甚だしいな。全然違う」

「何が違うって言うんだよ?」

「確かに、オマエの演奏は、聞くも無残なほどド下手だ」

「うっ、うるせぇわ」

「けどな、山中や、向井さんの音とも、完全に違う。明らかに、あの2人より、オマエの音の方が良い音を出してる。レベルが上だ」


はぁ?なんだと?

一体、何を言ってやがるんだ、コイツは?

奈緒さんも山中も、俺なんかじゃあ比べ物にならないぐらいレベルはズッと上。

滅茶苦茶上手いじゃないか。


それこそ遥か彼方の話だぞ。


なのにコイツは、そんなおかしな事を言う。


なんなんだ一体?


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


また崇秀が、ややこしい事を言い出しましたね(笑)

まぁこれは、ある意味、毎度の事なのですが、なにやら今回は、やや様子が違う雰囲気。


崇秀は、倉津君に、一体、何を語ろうとしているのでしょうか?


それまた、次回の講釈。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ(*'ω'*)ノ

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