●前回までのあらすじ●
順調に追試をこなしていくアホ2人組。
さて、最後の科目。
回答欄を埋めた時点で提出して、時間を削減すると言う作戦は上手く行くのか!!
(ライブまでの時間が無いので、この馬鹿2人は、必死に時間削減を試みています(笑))
今現在、最終強化である理科のテストが始まって約20分が経過。
俺は後、3問ほどの簡単な計算問題を終わらせれば、全て終了の状態だ。
昨日の勉強のお陰なんだろうか。
此処でも思った以上に、簡単な問題で構成されている様に思える。
兎に角、このテストには引っ掛け問題が存在しない。
なので余裕だな。
そこで気になったのは山中だ。
恐らくはアイツも同じ勉強をしていた訳だから『基本的には問題はない』とは思うんだが……妙に気になった。
アイツ、本当に大丈夫なのか?
そう思って、奴を見た瞬間。
解答欄が全部埋まったのか、奴の方が、俺より先に立ち上がりやがった。
「千夜ちゃん。悪いけど、テスト終わったから、先に採点してくれ」
「えっ……もぅ出来たの?」
教室内がざわめく。
まぁそりゃあ、そうだわな。
追試受けに来てる奴が、そんなに早くテストが終わるなんて、誰も思っちゃいなかったんだろうからな。
きっと俺も、昨日、勉強してなかったら、そう思った筈だしな。
「当たり前や。俺を誰やと思とんねん?真面目にやったら、こんなもん屁でもないわ」
「じゃあ、山中君、答案用紙を此処に持って来て」
「あいよ」
「序で悪いがよぉ、俺のも頼むわ」
「えっ?えっ?……倉津君も?」
先程よりも、更に、大きなザワメキが起こる。
オイ……コラ……オマエ等、それって、どういう意味だよ?
マジで失礼な奴等だな!!
俺だってなぁ、山中より少し遅れたが、なんとか解答欄は全部埋めたんだぞ。
オマエ等の様な馬鹿とは、根本からして出来が違うんだよ、出来がよ。
(↑なんて言ってるが、内心は、かなりビビッてる俺)
……ってもだ。
もぉ此処まで来たら、どうにもならねぇ。
後は、神のみぞ知る世界だな。
「オイ、島田先生よぉ。ゴチャゴチャ言ってねぇで、さっさと採点しろ。採点が終わって50点以上だったら、俺ぁ速攻で帰るぞ」
「あっ、うん。50点以上だったら、帰っても良いよ」
「なら、早くしやがれつぅの」
「うん」
だからな雛鳥。
さっきも言ったが『うん』じゃ……もう良いや、メンドクセッ。
兎にも角にも、島田は、先に提出された山中のプリントを採点し始めた。
俺は、山中の解答が気になって、雛鳥の横から、奴の答案用紙を覗き込む。
するとだな。
俺が見たところ、山中と、俺とでは、回答が約3割ほど違う箇所がある。
って事は、どちらかが間違ってるか、若しくは、2人とも間違ってるって事だ。
故に、山中の答案なのに、妙な緊張感が走る。
島田は、それを素早く『○・×』を判定。
その正解率は、約50~60%っと言った所だろうか。
意外に、厳しい結果になりそうだ。
「うん、凄い。山中君54点」
「ウッシャ~~~!!耐えた!!」
「凄いね、山中君。1日で、よく此処まで点数が取れる様になったね。凄いよ」
「千夜ちゃんLOVEやからな、俺は」
「もぉ恥ずかしい事を言わないで」
雛鳥は、山中の肩を『バシッ』っと思い切り叩いた。
「イッタァ~~~。まっ、そう言う訳やからマコ、俺は先に行くで」
「おぉ」
これで、今度は俺の番だ。
勿論、山中の解答を見ていた時の様な、さっきまでの余裕はない。
この時点で、緊張がピークに達しようとしていた。
流石に他人のとは違い、自分の解答用紙だと、お気楽感が一切無く。
とても、答案用紙を直視出来る状態じゃない。
『50点以下で、最悪の結果』
そんなネガティブな感情が芽生えていた。
俺は目を逸らしながら、雛鳥の答えを待った。
「えっ……倉津君……これ」
あっ、あれ?
なんだよ、その得も言えぬ、不安を過ぎらせる言葉は……
まさかとは思うが……50点以下か!!
解答用紙を全部埋めて50点以下って、どうよ?
もし本当にそうなら、奈緒さんや、素直に合わす顔がねぇな。
どうすっかな?
……まぁそうは言っても、得点を聞かねぇ訳にもイカネェか。
「なんだよ?何点だったんだよ?そんなに悪かったのかよ」
「違う、違う。倉津君72点だよ」
「「「「なっ!!なんだってぇ~~~~~ッ!!」」」」
島田のセリフの後、教室にいる全員が机を思い切り叩いて立ち上がった。
って、オイ!!
だからよぉ。
そりゃあ、一体、どういうつもりで言ってんだ、ゴラァァァ~~~ッ!!
オマエ等全員、この場で、一気に締めるぞ!!
俺だってなぁ、やる時はやるんだよ、糞共が!!
……っとまぁ、そうは言っても。
昨日の昼位までは、学校からテストをパクる事しか考えてなかったけどな。
「実力だ実力」
「オイオイ、嘘だろ?マコッちゃんだぞ」
「一体こりゃあ、どうなってんだ?マコッちゃんだぞ」
「マジかよ?あの赤点キングのマコッちゃんだぞ」
「有り得ねぇよ。マコッちゃんだぞ。72点って、どう考えてもカンニングだろ」
オイオイ、哀れな雑魚共よぉ。
人様の点数を聞いて、僻んでんじゃねぇぞ。
俺の背後にはな。
国立大出の嶋田さんを初めとする『天才集団』が付いてんだよ。
この程度の問題なんぞ、朝飯前なんだよ、ボケ共。
(↑さっきまで、ビビッて解答用紙を見れなかった男のセリフ……俺)
「テメェ等、ブッ殺すぞ!!誰がカンニングだ?それによぉ、この教室内で、誰をカンニングしたら点数が取れるって言うんだよ?馬鹿をカンニングしても、点数落とすだけだろうが、ボケ」
「たっ、確かに……」
「んじゃま、精々頑張れや、馬鹿共……じゃあな」
「しっ、信じられねぇ。悪夢だ……」
俺は、一旦、教室全体を見回して。
その上、ゼン達馬鹿を見下した後、颯爽と廊下に出て行く。
そこには、山中が窓側に凭れながら待っていた。
って事は、コイツ、俺が出て来る事を前提にしてやがったな。
「やるやんけ、マコ。まさか、俺より高得点を叩き出すとはな」
「ったりめぇだ。誰が俺の勉強を見てたと思ってやがんだ。奈緒さんだぞ奈緒さん」
「調子のんなよ。全体やったら俺の勝ちや=アリスの勝ちや」
「ふざけんなよ。オマエは、最初から30点位なら取れる実力が有ったじゃねぇか。俺なんか大半が一桁だぞ一桁。伸び幅で奈緒さんの勝ちだろ」
「しゃあない。今回は、まぁそう言う事にしといたるわ……ほら、マコ」
そう言って、山中は右手を上げた。
俺は、そこを思い切り、右手で張った。
「よっしゃ~~~!!」
「おらぁ!!」
『パ~~~~ン!!』
勿論、廊下に響き渡るほどデカイ音で、ハイタッチ。
滅茶苦茶、気持ち良いな。
こんなに良い気分になるんなら、次のテストも、ちょっとは勉強してみっかな。
ホント、悪くねぇな。
当然、この後は、横浜『Live-oN』に向って、ダッシュで移動を開始した。
気持ち良い!!
***
―――此処で余談。
余談と言っても、この話し自体は終わってんだよな。
けど、この後に、少し面白い事が有ったから、余談と言うより報告だな。
っていうのも、実はな。
俺が帰った後、テストで惨敗した敗者共は、わざわざ自分から、島田の補習を受けてから帰ったらしいんだよ。
相当、俺が点数を取った事がショックだったんだろうな。
全員が全員、今までにない位、解らない所を、必死に島田に聞いてたらしい。
ホント、馬鹿だなアイツ等……俺の背後の『天才集団』の事も知らずに、雛鳥に勉強を習うなんざアホだ。
全く笑える事をしてくれたもんだぜ!!
・・・・・・
……いや、けど、ちょっと待てよ。
冷静に考えたら、これってよぉ。
あの馬鹿共にとっては、俺が点数で取れる事が、そんなに必死になるほどショックだったって事か?
いやいやいやいや、もしそうなら、オマエ等、ホント失礼にも程があんぞ!!
オマエ等なんぞ、雛鳥教室で勉強を習って一生、赤点取ってやがれ!!
気分悪ッ!!
調子に乗って余計な報告するんじゃなかった……ホント、気分悪ッ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて第二十九話『ライブ前の試練・結果編』を終了したいと思います。
……っで、この追試編で言いたかった事は。
『勉強に興味を持つ』事さえ出来れば、意外と簡単な方法で点数が取れる、っと言うお話がしたかったんですね。
実際、私も学生時代、このやり方で70点ぐらいはキープ出来てましたからね。
それに、更に効率化を図れば、もっと簡単に勉強をする事も可能なんですよ。
(↑こう言う楽な勉強方法を考えるのが、勉強の本質なのです(笑))
さてさて、そんな感じで「追試編」はお仕舞ですので。
次回からは、ライブハウスに向かっての話に成ります。
まぁ、こう言う部分って、あまり必要じゃない場面なのかもしれませんが。
私はキャラクター達の心理描写を細かく書いていきたいので、良かったらお付き合いください♪
読み終わったら、ポイントを付けましょう!