●前回のおさらい●
ニューヨークの街中で、崇秀との再会を果たす眞子。
そして最初は他愛もない話をしていたのだが。
「例の研究成果の話」に成って、何故か、気落ちしてしまう眞子。
その原因は、矢張り……
……崇秀が連れて行ってくれた飲食店は、アメリカ人の板前さんが、日本で本格的な修行を15年間され。
帰国後、地元のアメリカで経営を創めた『寿司屋・信玄』
勿論、日本で正規の修行をされていただけの事は有って、かなりの本格派っぽいお寿司屋さんなので。
当然、店で出されてる商品も、カルフォルニア・ロールの様な日本人から見て邪道なお寿司を出している訳ではなく。
『正当な巻物』や『握り』だけをメインに置いて、商売されているみたい。
それに此処は、ニューヨークでは、結構、日本通が足しげく通う有名な店らしく、店のお客さんの入りも上々。
小さい店ながらも、客席は、殆ど、お客さんで埋め尽くされ満席状態だ。
愛想も良いみたいで、店に来店されてる方全員が、楽しそう食事を取られてるしね。
けどさぁ。
日本人の私から見て、外人の方がお寿司を頬張り、お茶を飲みながら歓談してる姿は、ヤッパリ、ちょっと異様な感じを受けなくもない。
まぁ、日本食を食べてる外人って言うのは、こんなもんなんだろうけどね。
そういった風に、呑気に、店を見回しながら思う気持ちとは裏腹に……
『私の気持ちは、何故か沈んでいた』
多分、この気持ちになるのは、今日までの全米ツアーが凄く楽しくて、アメリカでの生活が毎日充実し過ぎてたのが問題なんだろうね。
それで『元に戻れる』のが、今となっては、複雑な心境になって来ちゃってるんだろうな。
……なんか微妙。
そんな中、崇秀は、店のオーナーらしき人物に話し掛けていった。
「よぉ、大将。おひさ」
「OH~~~!!マジかいな!!誰や思うたら仲居間の旦那さんやんけ!!久しぶりでおまんな。元気しとったか?」
陽気な感じで、崇秀に声を掛けてるみたいだけど……
なに、この人?……一体、何人なの?
まるで、神奈川に出没するらしい『ドラムを叩く変な関西人の人の廉価版』みたいな下品な話し方をする人だなぁ。
ウザッ!!
そして、客商売をしてるのに、その喋り方ってどぉなの?
「オイオイ、相変わらず、品のねぇ言葉で出迎えだな。……オマエ、何人だよ?」
「なに言ううてケツかろまんねん。ワイは、どこからどう見ても、生粋のアメリカ出身の、関西は大阪の河内人でんがな。それ以外なにがある言いまんねん」
「オイオイ、それ、既に……生粋じゃねぇし」
確かに、生粋じゃないし。
「まぁまぁ、細かい事を気にしな、気にしな。……そんな事よりやな。仲居間の旦那さんは、また、マブイねぇちゃん連れてまんなぁ。その子、誰でんねん?」
あの~~~、マブイって、どういう意味?
それって……どこで使われてる言葉で、何語?
……ってか、寿司屋のオーナーが小指を立ててるって事は『彼女』って意味なのかなぁ?
彼女ねぇ……
……あぁ因みにね。
後で、崇秀に聞いて話なんだけど『マブイ』ってのは『眩しい』って意味らしい。
「はぁ?コイツの、どこがマブイんだよ?……コイツはな。俺のただの幼馴染だ。それ以上でも、それ以下の関係でもねぇよ」
あぁそうだね!!
何処まで行っても、どうせ私は幼馴染だよね!!
「OH!!さよか!!ほな、ワテに紹介してぇな。一生、大事にしまっせ」
「やかましいわ、この糞親父。悪ぃが、いつまでも、テメェの戯言に付き合ってる程の暇はねぇの。サッサと、空いてる個室に案内しろ」
「個室?……個室で、なにしまんねん?ウチの店は、お座敷でのエロは厳禁でっせ」
「オマエは一回死ね。……いや、寧ろ、直ぐにでも塵になれ。この芥(あくた)野郎」
「酷ッ!!チリとか、ゴミとか言いないな」
「うっせぇつぅの。あぁもぉゴチャゴチャ言ってねぇで、サッサと案内しろ、このロリペド親父。それと序に、寿司を適当に握って、個室に持って来い。……これ、先注文な」
「相変わらず、マイペースで『傲慢』な、お方やな」
「知ってるよ。その辺は、自分でも熟知してる」
なんか、ホント変な人だなぁ。
まぁまぁ、崇秀の知り合いの人に、まともな人を求める事自体、無謀で、間違ってるかぁ。
どこに居ても崇秀の廻りには、変人しか集まらないからね。
崇秀が居るだけで、そこは『変人による変人の集落』に、早変わりしちゃうもんね。
これバッカリは、しょうがないよね。
***
まぁそんな訳で、店の二階にある『VIP用の個室』に案内され。
今は何事もなく、崇秀と向き合って座ってるんだけど……
矢張り、まだなんだか、さっき程のモヤモヤした気持ちが消えない。
私の中で、なにかが弾けて『眞子として存在し続けたい』とでも思ってるのだろうか?
ホント……なんか微妙な心境。
……そんな折。
さっきの怪しげな言葉を使うオーナーさんが『特上握り寿司を二人前』を個室まで持って来てくれ。
テーブルの上に、凄く丁寧に置いていってくれる。
今度は、何も余計な事を言わず、店が忙しい時間なのかして、また、直ぐに店の方に戻って行った。
この辺については、意外と空気は読めるようだ。
「さて、マジで腹が減ったから、寿司でも摘みながら、軽く話でもすっか」
「うっ……うん」
「んあ?なんだ?どうかしたのか?」
「あぁいや、別に何でもないよ。……それよりさぁ。おっ、美味しそうだよね、此処のお寿司。これ、食べても良いのかな?」
「まぁ。オマエの全米ツアーも、明日で最終日。これはよぉ、その成功の前祝みたいなもんだから、遠慮せずに好きなだけ喰え」
「あっ、うっ、うん。ありがとう」
お祝いしてくれるんだ……
……そっか。
まぁそうは言っても、私は、元々余り食が多い方じゃないから、そんなに多くは食べれないけど。
前祝をしてくれてるんだから、頂かないのも、なんだしなぁ。
気乗りしてないから、食欲もないんだけど。
そんな心境のまま、なぁ~~~んとなく、チョコチョコとお寿司を摘み始めた。
うん……
美味しいんだろうけどね……
なんかイマイチ味がわかんないや……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
眞子としての受けた評価が、相当嬉しかったのか。
崇秀の『戻れる』っと言う言葉に、やや不満気味な眞子なのですが。
まぁ、これは仕方がないですよね。
倉津君自身、結構な蟠りを持って今まで生きて来ただけに。
この自由に振舞える眞子の存在と言うのは、何物にも代えがたい物の筈ですからね。
さてさて、そんな中。
眞子の心境がどうあれ。
矢張り研究の成果を、ちゃんと聞かなければならないのも事実。
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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