●前回のおさらい●
空間移動や、それに付随して起こる状況についての説明が始まった……のだが。
崇秀が『どっち方にする?』って聞いてきたので。
これはひょっとして『質問内容が、まだ解ってないのではないか?』と思い。
初手から無意味な反抗をする倉津君(笑)
「あぁっそ。じゃあ先に、人体に及ぼす影響の方から、話すとすっか」
即答でしたな。
そして俺の成長は、矢張り錯覚でしたな。
余計な見栄を張る為に、説明の阻害をして、すんませんした。
「おっ、おぉ、そうッスな」
「あいよ。なら、まずは念頭に置く事から言うぞ」
「へい」
「じゃあ、まずは最初に、空間移動に於ける人体の影響なんだが。……コレは0だと思ってくれて良い。特に蜂蜜酒を飲んでさえいれば問題はなしだ」
「ほぉほぉ」
「続いて、体を借りてる場合のオマエの人体の状態についてだが。……コレについては、向こうで体験した事が、オマエにも相手方にも経験値として残るから。良くも悪くも、両者の成長を促す結果に成るだろうな。そんで空に成ってる体の方は、まぁ寝てる様な感じだな」
「なるほど、記憶に於ける、経験値って訳だな」
「そぉそぉ。……んで、この項目の最後に成る。相手方が受ける影響についてなんだが。……コレについては、夢を見ている様な感じに成る」
夢?
寝て見る奴の方か?
「グースカ寝ながら見る奴か?」
「そういうこった。体の主導権を持ってる方の体験を、あたかも、自分が体験してるような感覚になり。上手く行けばプラスイメージ成り。失敗すれば当然マイナスイメージに繋がるって事だな」
「なるほどなぁ。確かにそれだと『まるで夢を見てるみたい』だって言うのも、強ち外れでも無いわな。良い夢であれ、悪夢であれ、自分の意思では無い訳だもんな」
「そうだな。それを相手がどう捉えるかによって、人の成長度合いが変わるんだが。良い夢の事を『神の啓示』っていう奴もいるな」
あぁ……そうか、そういう事か。
これが、恐らく、崇秀が良く使ってる手口の一つなんだな。
短期間で、相手に自分のイメージを植え付けて、成功に導くって事か。
なるほど。
そう考えると『神の啓示』って言うのも、強ち間違いでもないな。
でも、だとしたら……
「じゃあ、その体の主導権って言うのは、どうやって決まるんだ?」
「精神力や、魂の強さが基準になるな。コレは、人体の不思議的な話に成るんだがな。実は、体の細胞1つ1つにも『意識』ってもんが有ってだな」
「はぁ?オイオイ、ちょっと待てよ。細胞1つ1つに、そんな明確な意識なんてもんが有るのか?」
「まぁ、そこまでハッキリとしたもんじゃないんだがな。色々選別する程度の意識ってのはあるみたいだな。どうにも人間の体って奴は、自分に有用だと思う方の『魂』を優先する様に作られてるみたいでな。体は大雑把に魂を選んで『魂の強い』方に主導権を与えるって言われてるな」
ほぉ~~~っ、そりゃあ確かに、人体の不思議ではある様だな。
……にしても。
それが事実だとしたら、人間ってのは、何所までも欲深く作られてるんだな。
体ですらメリットを求めてる事に成るもんな。
「ふ~~~ん」
「まぁただ、此処で1つだけ注意点なんだが」
「注意点?なんだ?どんな注意点が有るんだ?」
「う~~~んとなぁ。体に入る側も、入られる側も、基本的に同じ魂って事に成るから、長期に渡って、その体の魂じゃない方の魂が滞在してると、魂が同調して1つに成っちまう事があるんだよ。此処だけは本当に要注意点だな」
それは怖いな。
それ=どちらかが死んじまうって言うのと同じだもんな。
気を付けなきゃな。
「解ったけどよぉ。それって、大体どれ位の期間なんだ?」
「う~~~ん。そうだなぁ。個体差が大きい話だから、その辺については明確な答えはないんだが。大雑把に言えば1週間~1ヶ月位だな。……まぁ、魂の差があり過ぎて、2日間なんて最短の前例もあるけどな。若しくは、魂の力が近すぎて、お互いが主導権の取り合いに成って、精神崩壊したなんて事例もあるなしな」
なにそれ?
マジで怖いって。
「俺……大丈夫なんか?」
「まぁ、オマエの場合は、基本的な力量が圧倒的に違うから、相手の飲み込まれる心配はないだろうな。けど、どんな状態にあっても、先に言った方の融合例は、細心の注意を払っておくべきだな」
「解ったよ。けど、そんなに差が有るのか?」
「あぁ。まぁ直接向こうの世界を見た訳じゃねぇから、断言は出来ねぇけど。此処の世界の住人って言うのは、基本的に魂が強い。だから、ウチのGUILDの人間だったら、誰しもが、簡単に取って代わる事は可能だろうな」
確かにそうだな。
特にコッチのGUILDの主要メンバーは、常に成長が著しく。
向こうで逢った人間とは、比べ物に成らないもんな。
なら、それも然りだな。
……でもなぁ。
「あぁ、言い得て妙だな」
「だろ」
「あのよぉ、崇秀」
「んあ?」
「変な意味じゃなくてよぉ。だったら、オマエが向こうに行ったら、どうなるんだ?」
「さぁなぁ。俺は、自分が女だった世界になんか行った事がねぇからなぁ。不確定要素でしかねぇんじゃねぇの。どうなるかは、神のみぞ知る世界って事だな」
そうなんか?
じゃあ、危険性が高いか。
ちぇ……
「んあ?なんだよ?なんか企んでたのか?」
「あぁ、いやな。企むって程の話じゃないんだけどな」
「おぅ」
「実は、向こうに居るヒナってのはよぉ。オマエと比べて精神面も弱いし、楽器の演奏レベルも著しく低いんだよなぁ。だからオマエに、直接指導してやって欲しいなぁって思ってよ」
「あぁ、そう言う事な。……でもよ。相手側にしたら、どうよそれ?男同士ならまだしも。女の身に、男が入るってのは、余り気分の良いものじゃないだろうに。そんなもん精神を犯されてるのと同じだぞ」
「そうかぁ……そりゃあ、精神的に良くねぇわな」
「だろ」
ちぇ……他にも思惑があったんだが、ヒナに迷惑が掛かったんじゃ可哀想だからな。
此処は辞めて置こう。
それが順当ってもんだしな。
「まぁ、但しだ。案としては悪くねぇ。本人の了承が取れるなら、考慮しても良いぞ」
「マジで」
「いや、もぅ一回言うが、本人の了承が取れればだぞ。合意がない場合は、絶対にダメだからな」
「おぅ、解ってる、解ってる。勿論勿論」
「それとオマエ、まだなんか隠してるだろ。なにがやりたくて、こんな事を思い付いた」
チャッカリ、そこもバレてやんの。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
空間移動自体には、特に問題はなかったみたいですが。
どうやら、憑依状態の方は、かなり危険な状態みたいなので、此処には細心の注意が必要な感じですね。
まぁですから、遊び感覚だけで、こう言う事はやっちゃいけないって事ですね。
さてさて、そんな中。
崇秀を向こうの世界に召還する事に対して倉津君は、またなんか別の思惑があるみたいなのですが。
一体、何を企んでいるのでしょうか?
ロクデモナイ事じゃなきゃいいんですが……
次回は、そこら辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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