●前回のおさらい●
向井奈緒が好きなのを隠そうとして、崇秀に『ベースの運指運動が出来る出来ない』を賭けの対象にして、その場を凌ごうとするが。
結局、崇秀には、簡単に『運指運動』をされるは、口車に乗せられて『向井さんを好きな事を自白してしまう』はで、不幸続きの不良さん。
そこに更に山中がやって来て、嫌な顔を隠せない不良さん(笑)
崇秀のアホだけでも鬱陶しいのに……なんで山中のアホまでコッチに来るんだよ?
しかも、俺等の話に興味津々。
来んなぁ~~~!!
「なんでもねぇよ」
「っだ、そうだ」
「なんや、なんや、そんなに盛り上がっとるのに、そりゃあないやろ。俺だけ仲間外れか?つれないのぉ」
「るせぇ。テメェにゃあ、一切合切、関係ない話だ」
「おぉ、おぉ、冷たいのぉ。そう言わずに、俺かて仲間に入れてくれや」
「だったらよぉ、山中。ヒントをやるから、そこから考えろ」
「なんやクイズか?えぇで、俺、そう言うの、結構、得意やし」
「テメッ、馬鹿秀!!勝手に仕切ってんじゃねぇぞ!!」
「第一ヒント、ベース」
聞けや!!
オマエはなんでそう、俺の話を聞かないんだ?
つぅか当事者である俺を無視して、勝手に話し進めてんじゃねぇぞ!!
「あぁ~~~っ、ベースなぁ。なんや、それやったら向井さんの話か」
「ハイ、正解」
グハッ……山中の奴、ほぼノーヒントで一発正解しやがったよ。
なんで、それだけでわかんねん!!
「ほんで、その向井さんが、どないしてんな?」
「教えてやりてぇ所だが、そいつは、流石に、俺の口からは言えねぇな」
「なんでやねん?そこまで言うといて、今更、隠し事は無しやろ」
「いやな。教えてやりたいのは山々なんだが、コイツばっかりは無料じゃ教えられねぇ。ちょっと訳有りなんでな」
「そう言うこった。オマエは、この件から綺麗サッパリ手を引け」
そうだ、そうだ、諦めろ。
それがお互いの為ってもんだ。
人が嫌がってるのに、詮索は良くないぞ。
「ちょ、待てや。ほんだら、逆に言えば、なんぞ条件を満たしたら、教えてくれる言うこっちゃな?そういうこっちゃねんやろ」
「いい読みだ……倉津」
「なんだよ?」
「ちょっと、そのベース貸せ」
「はぁ?別に構いはしねぇけど、一体なんに使うんだよ?」
「良いから、良いから。ゴチャゴチャ言ってねぇで、さっさとよこせ」
「チッ!!なんか良くわかんねぇけど、ほらよ」
何を考えてんだか知らねぇが、崇秀の馬鹿は、俺からベースを奪い取った。
「山中、オマエに、これが出来たら、さっきの内容を教えてやる」
「うん?俺に何させる気やねん?」
「ベースの運指運動」
「なんや、それ?」
あぁなるほどな。
自分がさせられた事を、今度は山中に丸々させようって魂胆か。
そりゃ実にオモシレェ提案だ。
……けど、まさかとは思うが、山中の馬鹿まで出来るなんて事はねぇよな。
崇秀は、やり方の説明をするのと同時に、実際にベースで『運指運動』をやってみせた。
「どうだ?これが出来るか?」
「なんや、豪い簡単そうやんけな。その程度やったら、多分、俺でも出来んで」
ウッソ!!マジで出来んのかよ!!
いやいやいや……そうじゃない、そうじゃない。
今の発言は明らかに『運指運動』の見た目だけで判断してる口ぶりだった。
だから下手に心配しなくても、山中は、そんな簡単には運指運動は出来ねぇ筈だ。
「そこまで言うなら、じゃあ、やってみ」
「えぇで、そのベース貸してみぃ。こんなん小学生でも出来んぞ」
「ほぉ」
崇秀は、明らかに嫌な笑いを浮かべている。
しかもそれは、どこか勝ち誇った様な表情にしか見えない。
……っと言う事はだ。
山中は、運指運動が出来ねぇって判断だよな。
なら、面白い。
崇秀の代わりに、みんなの前で恥を掻け。
そんな中、山中は、ゆっくりとベースを構える。
けど、なんだな。
出来無いと解っていても、音が出るまでは不安なもんだな。
♪・・♪♪・・♪
・♪・♪・♪・♪
♪・♪・♪・♪・……
酷くギコチナイ。
正直、ド素人の俺なんかが見ても、山中の指の動きはギコチナイと判断せざるを得なかった。
ヤッパ普通は、経験者でもない限り、運指運動は、そう簡単には出来ねぇもんなんだよな。
あぁ~~~安心した。
「うわっ、ムズッ……なんやねん、これ?全然、思い通りにならへんやんけ」
「だろ……まぁしかし、大したもんだな」
はぁ?なに言ってんだコイツは?
何が大したもんなんだ?
山中の奴、全然、運指運動が出来てねぇじゃねぇか?
「そうかぁ?」
「あぁ、大したもんだ」
「そないに褒めんなやぁ」
「いやいやいやいや、ちょっと待てよ。今のは流石に、全然出来てねぇだろ?」
「オイオイ、何を聞いてたんだ、オマエは?向井さんが今のオマエの言葉を聞いたら『倉津君……ちゃんと聞いてた?私の教え方が下手なのかなぁ』とか言われっぞ」
「うぇ?なにがだよ?」
はぁ?訳わかんねぇ?
大体にして、なんの話をしてんだよ?
『?』が、沢山俺の中で飛び交う。
―――にしても、オマエ、向井さんの真似上手いな。
向井さんだったら、ホントに言いそうだよな、そう言うセリフ。
「オマエ……本当に、山中の演奏で何も感じなかったのか?」
「いや、これと言っては、何も感じねぇが」
「マジか……コイツ、信じられねぇ」
「ちょ、待て、秀。そこは、マコの言う通りやで。俺なんも出来てへんかったで」
「オイオイ、オマエもかい」
少し怒った感じで、崇秀は、何故かイライラしている。
何怒ってんだ、オマエ?
「はぁ~~~。じゃあな、山中、オマエに1つだけ聞いても良いか?」
「あぁ、なんやな?」
「オマエ……なんか楽器やってるだろ?」
なに?
崇秀のこの言い様。
まさか本気で、アホの山中まで楽器が出来るとでも言うのか……
最後までお付き合い、ありがとうございましたぁ<(_ _)>
さてさて、またしても意外な展開になってきましたね。
崇秀に引き続き、山中君も楽器が弾ける様な事を匂わせてましたね。
その答えは、次回の講釈。
またお時間がありましたら、遊びに来てくださいね。
(*'ω'*)ノ バイバイ
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