最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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734 不用意な言葉

公開日時: 2023年2月10日(金) 00:21
文字数:2,370

●前回のおさらい●


 奈緒さんが全てを飲み込んでくれた様に、倉津君も眞子としての覚悟を決め。

『恋愛関係の終焉』『同性として扱われる事』『戸籍上、奈緒さんの妹に成る事』『女性として生きる覚悟』っと言う条件を全て飲む。


そして奈緒さんとの話が終わり、廊下で待ってくれている崇秀を呼びに行く事に。

 私は、廊下でタバコを吸いながら待つ崇秀を部屋に呼び入れた。


崇秀は、この待ってる時間に、既になにかしろの対応策を練っていたのか、その表情には、ある意味、余裕すら感じる。


コチラも奈緒さん同様、前準備が良いみたいだ。


それにしても……2人して、私とは大違いだね。


……っと思いながら、崇秀を、奈緒さんの待つ部屋の中へ招き入れると。


突然、なんの前触れもなく……



「向井さん、話し付いた?」


ブッ!!部屋に入るなり、いきなりストレートに行った!!

なんの躊躇もなしに、本題に突っ込んで行っちゃったよ、この人!!


なんて神経が図太いんだ!!



「あぁ、付きましたよ。眞子は、今日をもって正式に『私の本当の妹』に成りました。だから当然『恋人関係も解消』です」


うわっ!!うわっ!!

奈緒ネェも、この事態を想定していたのかして、全く動揺している様子が無い。


これって、ひょっとして私だけが、穏当になにも準備出来て無かったって事?



「なるほどねぇ。書面上で眞子を『向井姓』に変えて手元に置く方法を選択したか。まぁ、向井さんらしいやり方だな。まぁまぁ、それにしても、今回の一件は本当に迷惑を掛けたな。俺さえ余計な事さえしなかったら、こんな事にはならなかったのに。……此処については、本当に申し訳ない。謝罪して済む問題じゃないけどな」

「まぁ今更、それは、しょうがないんじゃないんですか。今有る現実を見て、それに対処するのが人間ってモノですからね。下手な事を言って、眞子まで居なくなる事を考えれば、これが順当な回答ですよ」

「はぁ~~~、相変わらず、凄い思考だな。……まいったなぁ、ホント」

「えぇっと、仲居間さんだけには、なにがあっても、絶対に言われたくないんですけど」

「なんでぇ?」

「いや、そこは自覚して下さい」


うん、自覚して下さい。


って言うか、頭が良いんだから自覚しなさい。



「……それで、向井さんは、なんで、そう言う心境に成れたんだい?」

「はぁ、まぁ、なんと言いますか。……事実を言っちゃえば、此処最近、自分の中のクラが、ジワジワと眞子に上書きされてきてた面も大きいんですよね。そこに、この話だったんで。……まぁ、なんと言いますか。この子が幸せになるなら、それも有りかなぁって。……あぁ勿論、言って置きますけど、全部が全部納得出来た訳じゃないですよ」

「そうか。……まぁ、今の時点で、全部納得出来たら、それこそネジが吹き飛んでるって事だからね。向井さんの言う通り、順当な回答なのかもな」

「いや、仲居間さんは、そう言いますけど。仲居間さんは、最初から眞子の存在を認めてるじゃないですか?逆に聞きたいんですけど、なんでそこまで割り切れてるんですか?」


うん、確かに、崇秀の割り切り方は常軌を逸してる。

奈緒ネェが疑問に思うのは、なにも特別な事じゃない。


ホント、なんでなんだろう?



「まぁ、真琴だろうと、眞子だろうと、俺にとっちゃあ一緒だからな。実際の所は、別に、なにも変わらないんじゃないの。それにな。自由の身になったコイツは、本当に自分を磨き始めてる。それも以前とは比べ物にならないぐらいの勢いで人間としても進歩してる。……なのでまぁ、向井さんには全面的に迷惑を掛ける結果には成っちまったけど。俺としては、コイツが『眞子になって良かったのかなぁ』っとすら思ってる面があるんだよな」


そっかぁ……


元に戻る確率が低いと解っていたからこそ。

崇秀は、こうやって、私が生活し易い様な環境を作ろうとしてくれてたんだ。


それに+αで、成長を促す様な起爆剤的な環境を同時に作る。


崇秀の行動は、全てに置いて、私の先を読んでくれてたって事かぁ。


もぉ……ヤダねこの人。



「あぁ、そう言う思考」

「あれ?向井さんは違うのか?」

「あぁ、考え方自体は似てますけどね。私自身は、クラって人間が傍に居るだけでホント十分なんですよね。勿論、SEXなんかの問題はあるんですけど。結論から言えば、姿形はそんなに気になってないんですよ。結局、私は、クラって人間が好きな訳なんでしょうね」

「あぁなんて、理解力の有る人だよ。……オマエって、ホント幸せ者な」

「……うん……果てしなく幸せ者ですね」

「ホント、いつもながら、羨ましい限りだな」

「あぁ、だったらさぁ。崇秀、奈緒ネェと付き合いなよ。……崇秀なら、絶対的な信用の元で、奈緒ネェを預けられるからさぁ。奈緒ネェ、凄い良い女の子だしさぁ。まさに、お買い得中のお買い得だよ」

「んあ?……一応聞くが、それはオマエが望む事か?本当に、それで良いのか?」


……微妙。


まぁ言うなれば……本当に微妙ですよ。

そりゃあね、私個人としては、崇秀には『私を見て欲しい』なんて、厚かましい事を密かに考えてるからねぇ。


でもさ、奈緒ネェの幸せを考えたらさ、崇秀しか居ないじゃん。



「うっ……うん」

「あっそ。……じゃあ、向井さん。試しに俺と付き合ってみる?」

「良いんですか?私ならフリーになった所だから、全然OKですよ」

「あっそ。じゃあ、眞子の期待に応えて付き合ってみますか」

「そうですね。私、前からクラが居ないんだったら『仲居間さんと付き合いたいなぁ』って思ってたんで。丁度良かったんですかね」


えぇ~~~!!

なになに?そんなに即決なの!!

そんなにアッサリと、こんな重要な事を決めちゃっていいんですか?


本来お付き合いするって事は、お互いの将来を見据えてする事。


なのに、この2人は……



「……あの、但し、仲居間さん……」

「ふ~~ん。じゃあ、お遊び無しに奈緒は、今日から俺の物な」

「えっ?……あっ……うっうぅ~~ん……うぅ~ん」


えっ?……嘘、嘘でしょ?

この2人、即決なだけに留まらず、イキナリに私の目の前で……『ディープキス』って。


えっ?えっ?


なんだろう……この光景、凄く悲しい……


言い出したのは自分なのに、この光景を見てられないよぉ……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


眞子の不用意な言葉で『奈緒さんと崇秀が付き合う』っと言う、またトンデモナイ方向に物語が動き出したのですが。

ただ、この眞子の言動に関しては、あまり責めてあげて欲しくなかったりします。


眞子自身が『崇秀を好きに成ってしまった』とは言え。

矢張り、奈緒さんの事を考えての上での発言でしたので、眞子自身に悪意がある訳ではなかったので。


ですが、不用意な言葉だった事も、また事実。

奈緒さんも崇秀も非常に自立した人間なので、常に相手を見て居る部分がありますので、付き合うっと言う決断をするにしても、今更時間は必要ないんですね。

それに崇秀にしたら、自身が原因に成っている可能性を残したまま『眞子を女性にしてしまった責務』なんて負い目が奈緒さんに対しても、眞子に対してもありますので、この案件を了承した訳でもある訳ですからね。


ただ、この問題で唯一問題があるとしたら、この場合は奈緒さんの気持ちなんですよね。

先程までの眞子との会話の中で、実は奈緒さん『非常に傷付いてた部分』があったんですよ。


まぁまぁ、そこを、あまり詳しく書いてしまうと今後の展開に興覚めしちゃいますので。

次回からは、その辺も踏まえてジワリジワリと書いていきたいと思います。


ってな訳で、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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